天使降臨
『嫌だよ……私しーくんと離れたくない!』
『束……』
夏が終わりを告げようとする8月の最後―――ピンクが掛かった髪を揺らす少女と幼馴染の青年は大きな木の下で二人でいた。束と呼ばれた少女は追手から逃げて、幼馴染である青年に会いに来た…青年はそんな束を抱き締める。
『束…一緒に逃げよう』
『しーくん……でも束さんと一緒にいたら…』
『関係ねぇさ…それに大好きな女を守れなくて、何が男だ…』
『っ!?し、しーくん!?だ、大好きな女って!……それって』
『一人しかいねーよ。今俺の目の前にいる…篠ノ之束だけさ』
『しーくん……しーくん!!』
このまま二人の時間が続くと思った……しかしそれが許されるはずもなく、日本政府の追手達が束に迫る。青年は為す術もなく、束を奪われる。
『しーくん!しーくん!!嫌だっ!!離してっ!!』
『束!……ちくしょうがァァァァァァ!!!』
SP達に動きを封じられ何も出来なかった青年はただ、連れ去れる彼女の姿を見る事しか出来ずに涙を流すしかなかった。やがてその場からSP達はいなくなり、青年一人が残された。
『俺は守れないのかよ……大好きな女さえ……力が…力があれば』
『―――ふぉふぉ。なかなかの男じゃのお主』
『誰…なんだ……』
青年に声を掛けたのはくたびれて黄ばんだ白衣を身に纏い、両目にはゴーグル、左腕の鉄アームが特徴的な博士のような老人。青年は倒れたまま、ただ上を見上げる。
『青年よ。力が欲しいか?』
『……欲しいに決まってる……』
『その力を与えるとして、お主はその力を何に使う?』
『大好きな女を守りたい……それだけの為に使う……そんだけだ』
青年の強い意思……それを感じた老人は青年に手を伸ばす。
『お主名は?』
『綾崎翔真……』
『ならば翔真、わしに付いてくるがよい。わしならお前に技術や力を与えられる……来るか?』
『……本当なんだな?……もしアンタに付いて行けば……力を貰えるんだな?』
『嘘は言わんさ。助けたいのじゃろ?あの少女を』
老人が言ったその言葉に翔真は立ち上がり、老人と共に姿を消した……やがて時は流れて数年後。篠ノ之束が作り出したパワードスーツ“インフィニット・ストラトス“は【白騎士事件】を機に通常兵器に変わる新たな兵器として各国で運用されていた。しかしインフィニット・ストラトス(通称IS)は女性にしか運用出来ないという点があった。
それ故に女尊男卑の思想が強くなり、一部過激派によりその思想はより一層強くなり男達にとっては少し住みにくい世界になった。そしてISの生みの親である篠ノ之束は各国の追手達から今も逃げていた。コアをある程度作った後束は行方を眩ますも、各国政府は強引な手で彼女を探す。
『さあ観念しなさい、篠ノ之束』
『妹が心配で日本に戻って来ていたとはな?』
「ははっ……全く……執念深い事だね……さすがの束さんも疲れたよ」
不思議の国のアリスような服は所々破れ、疲弊が溜まっている束は立っている事もやっとの状態だ。打鉄を纏う女性達は徐々に束に近付く。
『来てもらうぞ?篠ノ之たば―――』
一人の女性が近づこうとした時、一筋のビームが飛来―――――それを交わす打鉄の部隊……疲弊する束の前に白い翼を広げた天使が舞い降りる。
『な、なんだあれは!?』
『ま、まさかあの翼……死を告げる天使か!?』
全身装甲に白い翼……そして顔に当たる額部分には黄色い4本のVアンテナが目立つ天使は束を抱き上げる。
「きみは……誰……」
「……遅くなったな束。お前を迎えに来たんだ」
「っ!?……その声……まさか……」
束がびっくりするのも束の間、打鉄の部隊が襲い掛かる。
「邪魔するなよ……せっかくの再会なんだ……」
死を告げる天使はそのまま束を抱えて、ビームサーベルを抜いた。
この作品は作者が大分前に書いたオリ主がIS世界で頑張る話だけどのパラレル的な話です。初見の方でも安心して見れますのでご安心を!