参加者全員不死のデスゲーム   作:こすとこ

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突然の始まり

 

『──君達にはデスゲームをして貰う』

 

 ざわ、と四人の間で空気が揺らいだ。バラバラの様相をした二組の男女。それがお互いの顔をキョロキョロと見合わせる。

 

 そして、その中の一人が恐る恐ると言ったように口を開く。

 

「……えっと、なんの冗談なんだ、これ? 僕は後輩に誘われた店に来ただけなんだけど……」

 

 真っ白な部屋に取り付けられたスピーカーから、声だけが響く。

 

『その《後輩》は我々の仕込みだ。他の者達も、似たような境遇でここにいる』

 

「……あ」

 

「って事は基樹元々俺嵌めようとしてたってこと? いや、まじかー」

 

「あの子……あー、そゆこと?」

 

 残りの三人が思い当たる記憶を辿ると、スピーカーは一瞬の沈黙の後、再度強調する。

 

『そして、諸君らに行って貰うのは《デスゲーム》だ。命をかけた脱出ゲーム、と言えば分かり易いだろうか?』

 

 一拍。再びぼんやりとした雰囲気が流れ始める。

 

「あー、なるほど、なるほど……?」

 

「ふむふむ」

 

「……で、どうやったら出して貰えるんだ?」

 

 余りにも冷静が過ぎる。まるでこのような事態に慣れているかのような対応力。

 心の中で慌てだしたデスゲーム主催者は、現実を突きつけようと再び口を開こうとし──そこで思い出したように、金髪の少女が叫び出す。

 

「はぁっ!? 意味分かんないんだけど!! なによデスゲームって!! いきなりそんなこといわれて『はいはいそうですか』って納得出来るわけないじゃない!!」

 

 その少女の名は、小鳥美堀(みほり)。ギャルっぽい様相の彼女はそのままイメージ通りギャルであり、日々を充実させて過ごしている。

 

 ちなみに能力は不死である。

 

 そしてその様子を見て安堵したのはデスゲーム主催者だった。

 

『ふ、ふはは──安心しろ。脱出方法はある。まず君達には──』

 

 しかし、その安堵も一瞬。次の瞬間、まるで突然状況を認識したかのように三人が喚き出す。

 

「──ヤベえじゃねぇか?!! おい!! 出せよこっから!! クソやろう!!!」

 

 林道疾風(はやて)。いかにも社会に不適していそうな彼はそのままクラスでも生きており、いわゆる陰キャとして名を馳せている。

 

 ちなみに余談だがスキルは不死である。

 

「……やばいっ! 言葉に出来ないけどやばいっ! そう! 逃げないとっ!! 死にたくないっ!!」

 

 無表情で焦っているの白朗(はくろう)(めぐり)。不思議ちゃんな彼女はそのイメージを裏切らず不思議ちゃんである。

 

 ついでに性質は不死である。

 

「そ、そんな?! クソ!! なんでこんなことに!! 僕が何をしたっていうんだ!! 僕はまだ死ねないんだ!!」

 

 壁を叩く、眼鏡をかけた彼は今現在浪人中袋卯(ふくろう)十間(とうま)である。高校まではエリート街道を歩んで来た彼だが、大学受験に失敗し、見た目通りのちょっと自己中に見えなくもない性格になっている。

 

 それと異能は不死である。

 

『……き、君達には1つの選択を──』

 

「──だっせっつってんだろ!!」

 

「意味分かんないんだけど!」

 

「死にたくないっ!!」

 

「そもそも僕は明日模試なんだ!! さっさと出して貰わなきゃ困る!」

 

『せ、選択を……』

 

 デスゲーム主催者は途切れ途切れに言葉を発する。完全に場の主導権は失われていた。

 それもそうだろう。なにせ、この場の全員が理由はどうあれ『不死』なのだ。4人の認識としては、最早デスゲームではなく『ゲーム』だった。

 

 ならば、何故こんなに4人は大声で喚き散らかしているのか。それも理由は単純である。なにせ、彼ら彼女らの意思は奇しくも1つに纏まっていたからだ。

 

 

((状況はさっぱり分からないけど──不死のことをバレる訳にはいかない!!))

 

 そう、今から始まるのはデスゲームではない。

 これから始まるのはお互いに『不死』であることをバレないようにデスゲームに挑む、4人の男女の物語である。

 

 

 『その…………選択を……』

 

 

 そして、そんな状況であることをつゆ知らず、デスゲーム主催者はひとり悲しくポツリと言葉を零していた。




要するにお互いが不死であることをしらない、不死の男女4人が、これまた参加者が不死であることをしらない主催者主導のもと、不死であることをお互いに隠そうと奮闘するお話です。
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