試しに今回は初めて視点を入れ替えて書いてみました。よければ感想教えてください。
オムライスをめっちゃ上手に作れたので初投稿です。
Wが目覚めるのを待っている間、俺は聖遺物の馴染み具合を確認していた。
俺と同化したことで本来の能力から少し外れてきているようだ。
活動位階はこれといった変化はなかったが、形成位階が目に見えて変化した。本来は全身から杭をはやすことを可能とし、放たれる杭は絨毯爆撃の様だとも例えられた。
俺の場合は全身から生やすのは変わらないが、最大の特徴は、俺の血を少し使って右手から刀に変形した杭を生成できることだ。
もうこれ杭じゃないよ。ホントに義手刀みたいになっちまったよ。
......義手刀だと紛らわしいな、名前決めよう。
血を使って作ってるし、名前は血刃にでもしておくか。
で、血刃の性能なんだけど、これまたとんでもないことになってる。まず強度がやばい。生成した血刃を義手刀で切ろうとしたけど、傷一つつかなかった。これくらいなら
あとは切れ味もやばい。その辺の瓦礫で試したんだけど、豆腐に包丁を通したような感触だった。これを少しの血液の消費で作れるんだから笑えてくる。
それとは別に、問題がある。
どうにもこの聖遺物。上位者が細工したのか知らないが、使う度に俺の精神が徐々にヴィルヘルムに近くなる、所謂侵食に近い事が起きている。今回は止むを得ず使ったが、僅かに侵食が進んじまってる。
.......このまま侵食が進んだら俺の精神はどうなるんだろうな。残るのか、それとも消え去るのか。まるで分からない。
.........ちょっと、待て。侵食?なんか違和感あるなこの言い回し。
そもそも俺の意識が犯されるような感覚は無いし、主導権がどうだのもない。無意識で侵食だって決めつけてたが、本質は違うのか?
どちらかと言うと、同調や同化に近い気がする。直感だが
んー?何だこの感じ。俺の語彙じゃこの感覚を言葉にするのは難しいな。
侵食、同調....うーん?
────滲む、か?これが1番近いな
俺の意識が消えるわけでもなく、同化する訳でもないし、主導権争いもしてない。そもそもどこかの白い人みたいな中の人いないし。
俺を構成しているものにヴィルヘルムの要素が滲み込んで混ざり合って、いつかは元々の色さえ分からなくなるほどに混ざってしまうのかもしれない。
だが、俺は俺だ。他の何者でもなく、俺はどうしようもなく俺でしかいられなく、他のやつが混ざり込む余地なんてない。俺に混ざって存在を残せるやつなんていないんだから。
だって今ここで生きてるのは俺だろ?
「ん.....」
そんなことを考えていると、どうやらWが目覚めたらしい。
警戒を解ければいいんだけど、上手く行くかねぇ?
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「ん.....」
私を裏切った依頼主が仕掛けた伏兵から逃げた先の洞窟で目覚めた私は体の調子を確認していた。
......これは、あんまり良くないわね。足と脇腹にもらった弾が貫通したのは幸いだけど、ちょっと出血が多い。輸血液でもあれば違ったんだろうけど、生憎とそんなものは持ち合わせていない。大人しくしてるしかないってことね。
コツン、コツン
「!」
足音。1人だろうか、余裕を持った雰囲気で近づいてくる。どうする、手持ちには弾が雀の涙程度しかないP-99と手榴弾が1つ、ナイフ1本しかない。
私を追って来たなら必ず複数人で来てるだろうから手榴弾とP-99は取っておきたい。となるとナイフ1本で迫る敵を殺さないといけないが、この負傷で勝てるだろうか
そう考えるうちに敵がすぐそこまで来た。
逸る心臓を抑え、出てくるのを待つ
「お!目覚めたか。傷の具合はどうだ?」
なんだこいつ
奴らは装備を統一してたが、この男は見慣れない軍服の様なものを着ていた。何者だ?ここに来たからにはやはり私を殺しに来たのだろうか
「あんたは誰?私を殺しに来たの?」
「いや、逆だ。その腹の傷を処置したの俺だし」
その言葉にはっとなり傷口を確認すると包帯が巻かれていた。
言葉通りこの男が処置したのだろう。でもなぜ私の傷を治そうとしているのかがまるで分からない
「なんで私を助けたの?見返りになるようなものは持ってないけど」
「面白そうだったから」
「は?」
そんな理由で、いや理由にもならない私情で助けたというのかこの男は。
「つまらない冗談はいいわ。何がお望みなの?」
「いやまぁ面白そうは半分冗談だけど、こんなところで傷を負った傭兵が1人なんて、何かあったと思うだろ?俺の予想だと、ただ敵に負けて逃げてきたのか。それとも、俺と同じで裏切られたのか」
思わず驚いた。この男も裏切られたのか。けれどこの男が騙している可能性はある。警戒はするに越したことはない。が、話は聞くしかないか
「俺は○○っていう奴に嵌められたんだが、聞き覚えないか?」
「○○って、私に依頼してきた奴じゃない」
「おっと?話がきな臭くなってきたな」
この男の話に嘘がなければ私たちは同じ依頼主に騙されたことになる
「そういえばお前さん、ひょっとしてWか?噂で容姿の特徴は聞いていたが」
「そうね。私がWよ。あんたは...」
「俺はヴィルヘルムってんだ。今くらいは覚えててくれや」
「ヴィルヘルムって、あのヴィルヘルム?敵対するやつを必ず皆殺しにしてきた、戦鬼なんて2つ名がつけられてるあの?」
「なんだその2つ名!?恥ずかしすぎるだろ........嫌だなぁそれ」
頭を抱えるヴィルヘルムを見て、噂とはどうにも似つかない男だと思う
「あなた、全然噂通りの人間じゃないのね。2mを超える歴戦の戦士だとか、笑いながら敵を殺す戦闘狂だとか、返り血を浴びて楽しむ狂人だとか言われてるけど、そんなこと無さそうじゃない」
「尾びれつきすぎだろその噂。後半はその通りだけども」
「.......なんだかんだ噂通りかもしれないわね」
頭が痛くなってきた
はぁ.......
「それにしても、この後どうするよ?裏切り者を皆殺しなら一緒にやりたいんだけど」
「一緒にって、手負いの私をどうするつもりよ、背負って行くつもり?」
「んー、そうだな......いっその事そうしてもらうか?」
「言い出した私が言うのもあれだけど、嫌よ。潰すなら私も潰したい」
気づいたらヴィルヘルムと一緒に依頼主を潰す計画を立てていた。
この男、入り込むのが自然すぎて違和感がなかった。そういった技能を磨いてきたのだろうか
「だったら、その傷をアーツで塞ぐから見せてくれ」
「アーツ?あなた感染者なの?」
「初期段階だけどな。鉱石病に関してはどうにでもなるし、それはどうでもいいんだよ」
聞き捨てならない言葉が飛び出してきた
「ちょっと、どうにでもなるってどういう意味?」
「言葉通りだ。俺のアーツで体内の源石を放出できるし、逆に溜め込んでアーツの威力なんかを底上げできる」
そんなことができればこの世界の情勢はひっくり返るだろう。致死率100%の鉱石病をアーツひとつで治せるというのだから
「それ、私に言っても大丈夫なの?」
「ん?あっ、やっべ」
この男思ったより抜けているのかしら?
「あー、言いふらされたら困るな。どうすっかね.....殺すか」
「ちょっと!?待ちなさいよ!誰にも言わないから!」
さっきまで助けようとしてたのに急に殺そうとか言い出すから思わず大声で叫んでしまった
「んー、口先だけとか契約とかは信用ならんしなぁ。悩ましい」
そういって考え込むヴィルヘルム。もしかして私、墓穴掘った?
「俺もせっかく助けたやつを殺すのは嫌だし、こうしよう。」
「しばらくの間、俺たちと一緒に行動してもらいたい。期間に関しては特に設定は無いが、問題ないと判断したらすぐ解放する」
......随分と条件が緩くないかしら
その後に私が話して回る可能性を考えなかったのだろうか。
いや、少し話しただけで分かる。この男はそれをしたら知った奴を全て潰すつもりだ。そういうやつだとこの短い時間で理解してしまった。
こうなったら従うしかなさそうね。まぁこの男もその相方も腕が立つようだし、報酬が減る事に関しては目を瞑ろう。生きるためには仕方ない
「分かったわ。それに従うしかなさそうだもの。改めて。サルカズの傭兵、Wよ。よろしくね」
「改めて、ヴィルヘルムだ。よろしく頼むぜ?」
差し出された手を握る。
はぁ、どれくらいの付き合いになるのかしらね
「じゃあまずは傷を見せてくれ、手早く塞ぐ」
「痛くしないでよ?」
「それは保証しかねるなぁ」
「いっ....!もう少し優しくしなさいよ!」
「精一杯やってるわ!もうすこしだから我慢してくれ」
「おい。私たちを襲った奴らを見つけた。どうす....る....?」
「お、スルトか。助かった、Wの傷を治したらすぐ行くぞ、ってどうした?固まってるけど」
ヴィルヘルムの相方らしいサルカズの少女が現れて入口で固まっている。どうしたのかしら....あっ
傷を治してもらうために腹部と素足を晒している私。それを治すために近づいているヴィルヘルム。
この構図はまずい。
「私が偵察している間に女と遊ぶとは、大した度胸だな。ヴィルヘルム」
「は?いやこれは傷を塞ぐために....」
「死ねっ!」
「熱っつぅ!?待て待て、これ本気で焼き殺しに来てるだろ!こいつ怪我人だぞ!?」
「知らん、諸共焼け死ね!」
そう言われるや否やヴィルヘルムが私を抱えて走る
「ちょっと!?巻き込まないでよ!」
「俺に文句言うなよ!あいつが勘違いすんのが悪いだろ!」
「勘違いするような体勢でやろうとしたのが悪いのよ!」
「それ言うならそれを止めないWも悪いだろ!」
ぎゃあぎゃあ罵りあいながら抱えられて逃げる私とヴィルヘルム。これ戦場でやることかしら......
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どうやら落ち着いたようで、ヴィルヘルムとスルトと呼ばれた少女が話し合いに臨んでいるのを私は横から眺める。ヴィルヘルムは地面で正座だけど。ちょっとおもしろい
「で、なにか申し開きはある?」
「そろそろ許してくれよ。仲間増えたし奴らの場所も探してくれたし、いいことしかないじゃねぇの」
「私が言いたいのはそうやって私が偵察している間にあんたがそこの女とイチャイチャしてたのがムカつくって話」
「だからいちゃついてねぇよ、傷を塞いでたんだって。あと女じゃなくてWな」
「はぁ......あんたが滅茶苦茶やるのはいつもだけど、今回は特に酷い」
「でもこいつ相当腕が立つぞ?1人であいつら相手にここまで逃げ切ったんだぜ?」
「そういう話はして......もういい」
「一緒に動くなら足でまといになられても困る。最悪あんたがさっきみたいに抱えて戦え」
「最悪ね?」
ヴィルヘルムがそう言って立ち上がり私を抱える。所謂お姫様抱っこだ
「私OKしてないんだけど?てか降ろしなさいよ」
「よし、じゃあさっさと皆殺しにしようぜ、疲れたし腹減った」
「後でアイス奢ってよ」
「仕方ないか」
あれ、無視されてる?
「ちょっと、聞いてるの?」
「お前さん毎回めちゃ食べるから見てて寒くなる」
「アイスだけが私を落ち着かせてくれる」
「それ言いたいだけだろ」
「なんのこと?」
「雑だなぁおい」
「嘘でしょ?このまま進むの?」
「そうだけど?お前さん足怪我してんのに歩かせるわけねぇだろ。あとすまんが俺の右胸のポケットの中の物を取ってくれ。そうそれ。これ、その辺の死体から漁ってきた銃弾と手榴弾とか。見た感じその銃P-99だろ?弾は選んできたから安心してくれ。そのポケット入り切らない分は別の場所に仕舞ってる」
「あ、ありがとう」
なんか釈然としない
「よし。そんじゃスルト、場所を教えてくれ」
「こっちだ」
「了解」
スルトが先頭に立って歩き出す。抱えられながらだけど一応銃の状態でも見ておこうかしら
「いやぁ楽しみだなぁ!どんな顔して殺されてくんだろうなあいつら」
「それを楽しむのは間違いなくあんただけだ」
「手も足も出ないことに絶望しながら死んでいくのかしらね?」
「そりゃもっと愉快な事になりそうだ」
「なん...だと...?」
この2人とは思ったよりウマが合いそうなのは運がいい。
私を嵌めたんだから、相応に罰を受けてもらわないとね?
いかがだったでしょうか
正直な話、スルトもWも年齢が明かされてないせいで時系列に矛盾が起きてそうで怖い。いっそ私も明言しない方がいいのだろうか
血刃の性能が頭おかしいのは1話で上位者が話していた魂の格の問題です。アークナイツの人物としては規格外な魂の大きさと質をしているのであの程度の消耗で済んでます。
主人公くんの侵食の件ですが、あれはこれまた上位者が聖遺物との同調率を上げるために仕組みました。とある方法で一気に同調率を上げ、かつ侵食も止まる方法があるのですが、みなさん気づくでしょうか。ヒントは主人公が喋ってます。
次回殲滅します。
ヒロインをモスティマとWとシュヴァルツの内から選びたいんだけど誰がいい?
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モスティマ
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W
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シュヴァルツ