オーバーロード-七極星- 作:シンメトリー飛行船
コレニハダヨ(連投注意)
しばらく上げられなかった分あげるぞー!(尚手指は死んだ模様)
あ、そうだ(唐突)
オリキャラタグをつけました。よく考えたら原作に登場してないオリ主意外のキャラはオリキャラだったな.......。結構オリキャラが多かったので....。
※4/19 そこそこの量改稿しました。内容はほぼ一緒ですが、この方がより内容について分かりやすく入ってくると思います。それと、諸事情によりキャラの性格が変更されています。
※1/3 だいぶ改稿しました。これでほぼ完全版です。余計な箇所を大幅に削除してわかり易いように描写を加えました。改行もして大分見やすくなったかと思います(もしかしたらPCだと逆に見づらくなってるかもですが)。長い間お目汚し失礼いたしました。
帝都アーウィンタール 皇城 執務室
「なるほどな、ヘクトール殿はそのユグドラシルという世界から、“さーびすさいしゅうび”という儀式のようなものを経てこの世界に来たと。中々興味深い。爺が聞いたらさぞ喜びそうな話だな」
「ええ。・・・・ところで失礼ですが....爺とは?」
「ああ、我が国が誇る稀代の大魔術師だよ。
名をフールーダ・パラダインという。私の教育係を幼い頃から務めていてね。それで爺と呼んでいる」
「ふむ、納得致しました」
「へ、陛下.......あまり部外者に喋りすぎては.......」
「それくらいわかっているさ。先程から話しても問題無い程度の事しか言っていないだろう?少し調べれば分かる事だ。
それに、こんなすぐ分かることを教えるだけで対価を支払ってくれると言うんだ。こちらが与えるだけ儲けものだろう?」
︎︎そういう皇帝陛下は不敵な笑みを浮かべている。うむ、やはり良いな。話が分かる系.......というか多分、頭が超絶良い系の若い皇帝様。
いちストラテジーゲーム好きのゲーマーとしては、こういうキャラはすごく刺さる。..........あと声が良すぎないかこの人。
まあ、今は
重要なのは皇帝陛下から入る情報だ。明らかに今まで自分が居た世界とは違うな。分かってたことだが。
よく異世界転生・転移物を漁っていた自分としてはそれなりに身近には感じるものの、一番好きだったジャンルという訳でもないから、完全に詳しいとはあまり言えない。
それでもこの状況は異世界転移的にはどうなのかと考えれば・・・・割と、というかかなり当たりの部類に入るんじゃないだろうか。
周辺国家の大まかな事情を教えて貰った(といっても直接言ってくれる訳では無く、言葉の端々に断片的に情報を落としていた)限り、陛下が情報を誤魔化している訳でなければ、この国に転移.......しかも陛下の部屋に来れたのは、かなり幸運だったと言わざるを得ない。
因みに会話はこんな感じである。もちろん言葉だけではなく、仕草や物体、暗号、唇の動き(これは何故か若干精度が悪いが)を利用することによって初めて意思疎通が可能になっている。
「ヘクトール殿は何か趣味はあるのか?」
"どこの国の情報が聞きたい?"か、いきなりぶっ込んできたな・・・
ま、でも聞けるならありがたい。遠慮なく教えて貰おう。
「そうですね......趣味という程ではないですが、強いて言うなら紅茶でしょうか。近くで何かおすすめのお店はありますか?」
陛下が少し考えた後に答える。
「それならば城前の表通りを少し曲がったところにある店がお勧めだ。中々良い香りがするぞ。特に黒い豆をすり潰した粉が、緑煉*1のようでまた芳ばしくて良いのだ。かなり繁盛している老舗だから見れば分かるだろう。ただ、庶民からすると高いのは玉に瑕だな」
「成程、それは大変興味深い。今度伺いますね。他の何かお勧めなお店はありますか?紅茶の店でなくとも構いません」
ふむ.............
"表通りの向きの方角の国が知っておくべき国で、きな臭い事案が多い"と。
"「黒粉」という麻薬が怪しくて、昔からかなり蔓延している"らしい。
"おまけに民の税も高い"と。
やばいなその国。.....ん、ちなみに今の俺の台詞は、"実際に行って情報を集めたい。西以外の国でも構わないので他の情報も教えて欲しい"ということだ。
ああ、「紅茶」という単語も「西」とお互い変換して話していた。一応地図を見ながら話しているので食い違いはほぼないだろう。だいたい北や真東には国はないから少なくとも西か南.........悪くても南西辺りの方角であることは、俺なんかよりずっと賢い人であればすぐ分かるだろう。
以下、そんな風に会話をしつつ、集めた情報はかなりの量となった。
まずそもそも大前提として、この世界はかなり人間種に厳しい世界のようだ。先程の兵士のように、皇城に勤務する精鋭の者すらあの程度の強さである。
四騎士という方達にも教えて貰ったが、この世界に現れるモンスターは軒並み雑魚ばかり。どのくらい雑魚かと言うと、ほぼ八割ぐらい支援職で、オマケに特定コンセプト極振りのドリームビルダーである、この俺ですら無双出来るレベルだ。そんなモンスター達にすら蹂躙されている.......と言えば、人間達がどれほど弱いか理解出来るだろう。
さて、これを踏まえて。ではそれぞれの国は今どんな状況なのかと言うのを聞けば、まぁ酷い有様だ。
王国はロクな国じゃないらしい。まぁこれは戦争相手だからこその評価でもあるとは思うので、鵜呑みには出来ないが。
しかし単純な悪感情だけでここまでの評価をされる国というのも、大分本当にロクでも無さそうである。今度もう一度別で、独自に調べてみよう。
法国は秘密主義、あと人間至上主義。である。そのままなので語れることが少ない・・・・・
竜王国は国自体は比較的マトモだが、ビーストマンとやらの危機に瀕していて国力は低い。
聖王国も亜人の侵攻を度々受けているし、南北がそこまで纏まっていないせいで、外国の事を気にしている余裕は無い。
ドワーフの国は国交がある為、ある程度詳しくわかるらしいが.......確かに悪くは無い国だが、如何せん文化が人間国家と違いすぎるし、何より洞窟の中で暮らすというのはイマイチだ。
あと、近頃はクアゴアとやらに手を焼いてるらしい。先程の竜王国状態である。とは言え、もし交流を真っ先に持ちに行くならこの国のドワーフ達だろう。
・・・・・で、あとはエルフの国なんだが...............まぁ、憶測で良くない情報を語るのはやめておこう。そのうちまた知る機会も増えるだろうしな。
都市国家連合や評議国は人間種の国では無いということで、そこそこ発展してるという情報は手に入れるが、それ以上の詳しいことは余り彼らも知らないらしい。よって除外する。
あとは大陸中央部とか、その他の場所にも国はあるらしいのだが.............思っていた通り、というか聞く限り思っていた以上に、人間種.......貧弱すぎないか.......?
なんだかこのままだと不味い気がするな・・・。
もうこんな良くない流れからの大乱なんて、戦記物の創作物なりゲームなりでごまんと見たぞ。
・・・・・早々に何とかする必要があるか。あんまり自分がいる国に無駄に介入して、さらに悪い展開とかにはしたくないんだがな.........。
さて。となると他の国のこともいいが、いい加減この国についても詳しく知るべきである。
まず、この国はバハルス帝国。
歴史はお隣の王国と同じくらいで、ここだけ聞くとそこはかとなく不安だが、しかし王国とは違い、画期的な政策で封建国家制度ではなく専制君主制度を敷き、とても国自体は活気づいている。
それもこれも、尽く無能な貴族やら重鎮やら王族やらを粛清することによって、膿を排出して国の流れ自体を綺麗にした陛下の辣腕のおかげのようだ。といっても準備は何代か前からしていたらしいのだが。
その身内でさえ粛清する冷酷さから、「鮮血帝」なんて異名で呼ばれているらしい。かっこよ、個人的にはすごい刺さる。こういうキャラいいよね推しになりそう。
部下たちが言うには、歴代最高の皇帝と言っても良いらしい。多少身内贔屓は有るだろうが、それでも今少し会話するだけで分かるほどには、とても聡明な人物である。陛下の属性は盛れば盛るほど良いとされているので、この評価は正しい。
本人もその自覚はあるらしく、歴代最高の皇帝としてこの国をよりよくする覚悟があるらしい。まだ若いのに素晴らしい熱意である。確かにこれならばこの国をここまで発展させたのも頷けるというものだ。
「なるほど.......さすがは陛下ですね。まだあって数時間ですが、貴方様の凄さを実感しています」
「ふ.....よせ、世辞はいらん。
まだまだやることは山積みなのだからな。王として、未だ足りぬところは有るだろうが、それを補ってあまりある成果を出してこそ、歴代最高の皇帝というものだろう?」
あっ..........痺れる..........。
ん"ん"、とまあそんな陛下の凄さはさておき、続いてはこの皇城を案内して貰うことになった。
ついでにその時、俺の動かぬ表情について初めて聞かれた。そこでようやく自覚したんだが、俺はどうやら種族まで変わっている様だった。
確かに見た目変わってるなーとは思っていたが、まさか本当に人間では無くなっているとは驚きである。これもし種族アンデッド系だったらそうなるんだろうか。気になるな・・・・
俺の種族は亜人種で、上位種族であるジーニアス・ノイマンだ。知能の高さと引き換えに、表情が無表情になり、感情があまりに表に出ないという、ゲーム中であればデメリットにならない程度の種族設定持ちだったんだが.......。
個人的にはアバターに使うくらい好きなキャラ造形なので、現実になるとかなり不便ではあるものの気にしてはいない。といっても、最初に対面した時の無表情で無感情な態度が、他人から見れば動じない冷静さに捉えられて有利に働いたみたいなので、そういうところで得が出来るのはかなり美味しい。
元々そこそこポーカーフェイスには自信があるが、これによってほぼ無敵な察することが不可能な軍師になった。
..........それが果たして味方にとっては良いのかはともかく、相手に読まれないという利点は、かなりのアドバンテージである。
「....ヘクトール殿は全くと言っていいほどに表情が動かぬな。その冷静さは見習いたいものだ」
「お褒め頂き恐縮です(本音)」
ほら、このように。
・・・・・しかし、種族の特徴としての知能は高いらしい.........が、あまり実感が湧かないな。一体いつ効果を発揮するのだろうか.............。
まあその辺はおいおい調べていくとしよう。
ああ、そういえば。一応私が亜人種だという事は隠している。見た目はただの人間であり、身体の下さえ見られなければ色白なだけ故に誤魔化しが効く。
.......とにかく、そんなこんなで雑談(という名の情報収集)も交えながら陛下に皇城を案内してもらうという、絶対贅沢なイベントを味わうことになった。
のだが────────────
そもそも、初っ端から豪華な部屋だったわけで。
まず、この国はなんと言っても設備が充実している。城の外観だけでもわかる通り、警備も多くの精鋭たちが居て万全のようだし(あくまで現地基準だが)、設備だけで無く軍事力も相当な物のようだ。
城自体の造りも豪華でありながら無駄がない。
いまさっき居た執務室も、簡素でありながら立派な作りだし、途中に挟まれる廊下も、細かいところまで手入れの行き届いている様子だ。壁なども余程いい材質の物を使っているのが見て取れる。壁紙や調度品とのバランスが素晴らしいしな。
一応陛下に(遠回しに)確認を取りながらどんな資材を使って建てているのかも聞いている。隣の人が引きつった顔していたので恐らく目を丸くするようなくらいお金がかかっているんだろう・・・・・。
食堂や兵舎などであってもとても荘厳で、全てが豪華に見える。が、その豪華さは決してゴテゴテした目に優しくない豪華さではなく、きちんとところどころの良さを生かした、必要最低限な豪華さであるのがより美しさを際立たせる。
何も無い所があっても無理に飾り付けることはせず、人々の視線が多く集まりそうで、且つ人通りがあまりない所に調度品などを置くことにより、無駄なスペースが無いように魅せるそのレイアウトなど。
端的に言っても、素晴らしい城という評価をつけることが出来るだろう。まるで芸術だ、文化遺産なんかにも登録されそうな感じである。
住みたい(願望)。
....他にも、明るい色合いのテラスから眺望出来る美しく澄み渡る青空と、その下に広がる広大な帝都には、帝国魔法省や帝国魔法学院なんて言う心惹かれるワードの施設もある。帝国銀行や美術館、中央市場や闘技場など、しっかりと市民の生活や娯楽も充実しているようだ。
かなり発展しているこの国だが、一応問題もあるにはあるようだ。まぁ、さすがにそこは詳しくは教えてくれなかったが。出会ったばかりの部外者だし、しょうがないだろう。
そんな感じで、ここ数年でかなり発展したこの国に、私が転移できたのは幸運以外の何ものでも無いと言える。
色んなものを見ながらほうほうと関心していると、陛下が声をかけてきた。
「本当に何も知らないとは、確かに別世界から来たというのは信憑性があるな。.......とはいえ、全て信用している訳ではないがな」
「勿論.......普通ならそうでしょうから。それに疑っているのは私もなのですよ陛下。ですからお互い様です」
お互いに不敵な笑み(まあ俺はフリだが)を交わす。
一瞬吃驚しかけたが、この無表情のお陰で動揺は悟られていない。
交渉事において、この種族特徴かなり有益である。相手に動揺を悟られないというのは、こういう高貴な人物を相手にする上で、今の状況にはピッタリなんじゃないだろうか。
逆にここまで自分に有利だと、なんだか疑ってかかってしまいそうだが.............。今はそんなこと言ってる場合でも無い。もしこれがカス運営の仕業だったりしたら仕返ししてやろうと思っているのだから。
・・・・・いや、むしろそこまで未練ないし感謝してやるべきか?
だが、ユグドラシル運営にここまでのことが出来るとは到底思えない..........何かカラクリがあるのは矢張り間違いなさそうだ。
「確かに道理だな。貴公からすれば突然見知らぬ場所に居て、最初に出会ったのが私達だろうしな」
「ええ。ですが、私は最初に会ったのが陛下で良かったと思っていますよ?でなければ今頃、私はまだこの世界で彷徨っていたかもしれませんし」
「あるいは、この国での事件が一つ増えるところだったな。結果的に、私の部屋に現れて正解だったと言うことだ。なんとも奇妙な話だがな」
「ええ、本当に」
最初に出会ったのがあなたで良かった、陛下。
この世界に来て、これからどうなって行くのか──────先程とは違い、今はとても楽しみなのだから。
◆◆◆◆◆◆
突如現れたこの男..........ヘクトール・マスコは、予想以上の好人物であった。
最初は激務の息抜きついでに、愚者であれば戯れで弄んでやるつもりだったのだが、思いの外こちらの思慮に追いついてくるのだ。
まず、注目すべきはその知能の高さにある。会話の節々から読み取れる地頭の良さと、そして一般人とは到底思えない教養の高さ。
何よりも、私が品定めをしようと複雑にした会話についてくるところだ。
国の情報は会話の端々に潜ませ、並の者では読み取る事さえ不可能な伝え方をしているというのにもかかわらず、それをさも当然のように把握してすぐさま返答を返してくる。
意趣返しなのかなんなのか、その返しの言葉にも含みを持たせて、こちらの情報に対しさらに深く内容について尋ねてくる。
おまけに、こちらが多少説明しただけで政策や機構をすぐに理解し、咀嚼して私に返してくる様は、なんとも最近では得難い会話の経験になっていた。
久々に他者との知恵を巡らせた会話というものを出来たことで、内心とても楽しんでいたのだ。私の異名を出した時も、最初と同様に全く動じた素振りを見せず、肝が座っている。
そして、それと同時にこうも思った。
・・・・やはり、この男は只者では無い。私の目に狂いは無かった、と。
流石に四騎士やそれ以外の者と会話を交わす時は、通常通りそのままの意味で会話をしているようだが。
....互いに互いの情報を使って鎬を削るような情報戦をこんなことですることになるとは.......やはり世界はまだまだ広いのだなという事を思い知らされる。
未だ自分は精進する余地がありそうだと気付かされつつも、しかし自分の伸び代はこんなものでは無いということにも気付くことが出来た。中々実のある会話が出来ていることが喜ばしい。
だが、会話していると分かるが、本当に彼は何も知らなそうなのには驚きだ。
フールーダなどのことを知らないのは勿論。この国や皇帝である私の事。更には周辺国家の名前すら知らないという始末だ。普通ならば流石に無知という他ないが、彼のような知者が国の名前を知らないだけとはとても考えにくい。
何より、よく観察してみればその風貌もこの辺の国のものでは無いというのがよく分かる。
特に興味があるのは、彼の出自についてだが──────そこはおいおい調べさせておくとしよう。
本人から以外にも情報収集をすることは基本だしな。と、頭の中で思考を巡らせる。
「さて、案内はこんな所でいいだろう。どうだ?」
「はい。大変ためになりましたよ陛下。まだまだ分からないことだらけですが、大まかにでも地図を把握出来たのは僥倖でした。それにこの城は素晴らしいですね。このテラスから見える帝都の風景もとても素晴らしいです」
ふむ。この国の事や周辺国家、帝都の設備などを詳しく把握出来たか。ならばよし、そろそろ本題に入るとしよう。
そうして話題を振ろうとしたところで、流石と言うべきか。タイミングを見計らっていたのか、向こうから話を振ってきた。
「ところで、ここまで案内していただいたお礼がまだでしたね。
陛下のお眼鏡に叶うかは分かりませんが・・・・・これを」
そう言ってヘクトールが出した物は、濃い色をした上品な布に包まれた剣のようだ。
「私の世界にある剣です。魔物との戦いに是非活かせると思いましたので、どうぞお納め下さい」
そうして、隣に居たバジウットに受け取らせた剣の布を解き、取り出して見てみると。
「これは........」
見事な装飾が施された、素人目で見ても物凄く洗礼された品質の武器が姿を表した。
まるで、紫の水晶をそのまま象ったかのような美しい刀身。そして燃え盛るような赤い色をした柄を持つその剣は、一目見て現世の品物とは思えないほどのオーラを放っている。
「バジウット..........お前、これをどう見る?」
「いやあ、こりゃすげえ。まじでこんな業物見たことねえですよ。俺は職人って訳じゃねえですがねぇ?これは剣持ったことがあるやつならみんなこれの異常性に気づきますよ。
やばいなこりゃ、高品質なんてもんじゃねえ。爺さんにでも見せたらとんでもねえ事になるんじゃねえですかい?」
「それほどか」
そんな上物を献上するとは、余程この程度の物資に余裕があるのか。それとも、大した物ではないと言える程高貴な身分なのか。
いずれにせよ、やはり只者ではないようだ。
今すぐにでも爺に鑑定させたいところだが、生憎と今はカッツェ平野に赴いてアンデットの掃討に向かっているので、おそらくそれが出来るのは明日か明後日くらいだろう。ともかく.......。
「よく分かった。ありがたく受け取ろう。そして..........ヘクトール、貴公さえ良ければだが、しばらくこの国に滞在しては行かないか?
しばらくは宛も無いだろうしな。悪い提案では無いとは思うが」
これ程の人物を野に放って置くのは惜しい。出来ればこの帝都に滞在して貰い、その情報を出来るだけ引き出したいと考える。
それに、まだまだ何かを持っていることは確実だ。今のところは友好的だし、その頭脳にも光るものがある。是非ともこの国に取り込みたい人材だからこそ、こちらも好条件でなるべくこの国に引き留めるべきだろう。
「こちらこそ。ありがたい申し出です陛下。
これからよろしくお願いします」
皇城のテラスで、夕焼けに近い陽に照らされながら、恭しく礼をするヘクトール。それを見て私は、不敵な笑みを見せながら、これからに期待を馳せて言葉を返した。
「ああ、よろしく頼むぞヘクトール」
こうして。この男はしばらくの間、帝都の皇城に留まることとなった。
◆◆◆◆◆◆
よし、喜んで貰えたみたいで良かったな。
やはり推測通り、この世界の強さからして装備のレベルも大分低いようだ。試しに反応を見るために、ジャブのつもりで
陛下の対応からも、やはり周囲の自分を見る目がかなり変わったのが分かる。
結果、ひとまず住処は確保できそうなのはとてもGoodだ。
そういう俺は現在使用人に案内されて、自分に用意された部屋まで移動中である。
どう考えても陛下の部屋に侵入した賊に対する対応じゃない。完全にお客様対応だが、まぁ気にしないことにする。
正直その方が助かる。危うく転移して早々逃亡生活になるところだったからな・・・そんなのは嫌だ。
..........でも恐らく多分、追っ手とか返り討ちだろうけど。
そんなことを考えていたら、部屋の前まで着いたようだ。中々良さそうな部屋だなと思い、では早速中を拝見...........と。
ドアノブに手をかけようとしたところで....。
「おおおおおお!!!!!!!
そ、その強大な魔力はああああああはぁはぁは!!!!!???
いや、間違いない!!!!第七位階のオーラではないかぁぁぁぁ!!!!!!」
なにごと!?!?!?!?!?!?!?
.............................................................
.............................................................
.............................................................
「ふぅっーーー!!!ふぅっーーー!!!」
「お、落ち着きました.......か?いや、落ち着いて無いですね?」
「そりゃあそうじゃろう!?いきなり第七位階の使い手に出会えるなんぞ、こんな奇跡はそうそう無い!!!
どうじゃ!?今からでもわしの研究塔に来てはくれんか!?勿論礼もしよう!!!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さいね?いくらなんでもちょっと急すぎませんか!?」
あれ、さっきまで無表情無感情キャラのクール軍師だったのがもう崩壊している。
いや、こんなん動揺するなって方が無理だろう。
初対面であの距離感で鼻息荒いお爺さんの顔面が目の前にあったら誰でもビビると思うのだ、うん。
「えーと、とりあえず落ち着いて話しましょう?ここは私の部屋........と、言うことに今日からなったので、ひとまず腰を落ち着けましょうか?ね?」
「おおおそうか!この部屋で魔法の深淵について教えてくれるのじゃな!?
ならば早く!!この老いぼれにその力の一端を教えてくだされぇぇ!!!!」
ええええ〜〜〜〜??????
このお爺さん永遠にハイテンションじゃないか。とりあえず落ち着いて欲しいんだが?
まず中に入って!!!転移初日にこんな廊下で騒ぎ起こされても困るんだってば!!!いや既に自分が騒ぎを起こしているけども!!!
・・・・何らかの手段で探知されたようなので、探知阻害系の指輪を外してた俺も悪いのだけども!!!
そんなこんなでなんとか説得して部屋の中に入ってもらった(半分引きずりながら)。全く誰なんだこの人.......
.......いや、待てよ?まさか。
「あの、お爺さん。お名前をお聞かせ願えますか?」
「ふむ?自惚れている訳では無いが.......わしのことを知らぬ人間がこの城に居るとはな.......まあ良い。
わしはフールーダ・パラダイン、よろしく頼むぞ」
あぁ〜〜.............なるほど。
この方が大魔術師と陛下が仰っていたフールーダ翁か。なんだか少し想像と違ったのだが、魔術師って皆こんなもんなんだろうか?
「私は本日より、陛下の恩赦によってこの部屋に滞在させていただくことになりました。ヘクトール・マスコと申します。以後お見知り置きを」
「ほう、なるほどのぉ.......。
まぁそんなことはどうでも良い!!さぁ!!早く!!わしにその魔法の深淵をみせておくれぇぇ!!!」
ちょ!?また暴走モード入ったって!!どうするんだこれぇ!!?
何か反らせる話題でもないか.......?
・・・あ、そうだ。ならばあのことでも聞いてみようか。
「えっと........フールーダ翁は魔法の位階をどの程度まで扱えますか?」
「わしは第六位階までじゃな!!人の限界と言われた第六位階を収めたが故に、これ以上の伸び代があまり無く悩んでいたのじゃが。そこへお主が現れた!この200年待ち続けたかいがあったわい!これは天啓よ!神のお導きに違いない!!」
全然話反らせてない!むしろグイグイ来る!
だが、聞きたいことは聞けた。陛下はさすがにこの国の戦力関係の事については教えてくれるわけ無かったので、この状態のフールーダから情報を抜かせて貰ったのだ。
そしてこれで、この世界の人間の魔法レベルがどの程度かは分かった。
聞くところによると、どうやらフールーダ翁は逸脱者と呼ばれる、英雄の領域すら越える程の実力者らしい。
大陸に数人しかいないとされていて、その内の一人だとか.......。
・・・・それはつまり、逸脱者とされるフールーダ翁でさえ、長寿の魔法を使っても第六位階がせいぜいということ。要は、英雄とされる者たちですら第五位階。それ以下は良くて第四位階がせいぜいということになる。
というか、一般的な魔術師の限界が第三位階らしいのだ。
その第三位階でも凄いらしいので、この国....いや、周辺国家含めてたとしても、やはりこの世界は全体的にかなり人間のレベルが低いようだ。
「わ、分かりました。ならひとまず後で魔法について話しましょう。
今はまだ私もここに来たばかりですので.......。落ち着いてからということで....」
実際自分の魔法についてすら全然把握出来てませんからね.......。
そこのところもせめて確かめてからでないと。人に教えるとか無理難題でしょう。
「そうか...........................................................................................................仕方ありますまい。今日のところは出直しましょう。
ですが!!!明日こそ!明日こそ!ですぞ!いいですな!」
「え、ええ..........そういうことで.......」
そんなこんなでなんとかフールーダ翁は退出した。嵐の様な人だったなほんと.......。
あ、ちなみにパラダイン氏呼びはしていない。なんかもう尊厳とか無かったからな・・・・
はぁ.............。
皇帝陛下................前言撤回する──────
ちょっとこの世界での今後が心配になって来た.............。
◆◆◆◆◆◆
.「へ、陛下.............」
「ん?どうした....ロウネ」
「その..........フールーダ様がお戻りになられました.......」
「おお、そうか。思ったより早かったな..........
・・・・・どうした?」
「その..........恐らく、いつもの発作が..........しかもどうやら──────
ヘクトール殿の部屋に向かったのが目撃されたようです..........」
「..........それはどの程度ほど前だ?」
「................およそ、一時間程前です..........」
ジルクニフは天を仰いだ..........
城の描写.......ムズいですね.......。
第七位階程度ということもあり、古田の魔法狂いは抑え目です。抑え目なんです()。
毎日投稿できるって素晴らしいですね.......
投稿頻度
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一話ごとは短め、投稿間隔は早め。
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一話ごとは長め、投稿頻度は遅め。