オーバーロード-七極星- 作:シンメトリー飛行船
いつもUA、感想、評価、誤字報告、お気に入りなどありがとうございます
お待たせしました!
今回、めちゃくちゃ長くなりました。およそ3話分近くあります。その分時間がかかってしまいましたが....一杯書いたから許して....。
言い忘れていましたが、基本この小説は書籍やアニメ準拠です。不明だったり、描写されていないところなどをweb版やそれ以外準拠とします。
ンフィーレア君ですが、(私のにわかでなければ)原作で年齢が明かされてはいません。
成長期ら辺の男子という情報があるので、エンリとの年の差があまりなさそうなことを考えると、大体15~18歳くらいなんじゃないかと思います。
本小説では、原作開始時点で17歳(エンリより1歳上)ということにしました。それの3年前なので現在この話では14歳ですね。
それと、まだ第一位階の魔法までしか使えないということになっています。よってそこまで魔法にも詳しくありません。薬草やポーションなどの知識については今でも詳しいです。
もし何か詳しいことを知ってる方がいましたら、こっそり教えてくれると助かります。
薬師の少年、ンフィーレア・バレアレは祖母と共にカルネ村に着く。
本来なら一人で来るべきところだが、まだンフィーレアが十分に成長して居らず、冒険者などを雇う程の力が不足していると、心配した祖母のリイジー・バレアレが判断した。あと数年も経てばリイジーが居なくても一人でこなせる様にはなるだろうが、少なくとも今はまだ付き添うということで、二人は荷馬車に乗って護衛の冒険者と共に来ているのである。
「にしても....凄い....。僕らが前回訪れた時は、こんな堅牢なものじゃなかったから....」
「あはは....。まぁそうだよね。私も今更だけどびっくりしてるもん。
ほんと、フローレンスさんは凄いよ。.......でも、違う意味でも凄いけどね....。私は見たことあるけど、魔獣とか一発殴るだけで倒しちゃったもん。
あとね、これはンフィーにだから言うけど....フローレンスさんは意外とああ見えて大食いなんだ」
「そうなの?」
「うん。....でも、よっぽど今まで美味しいものを食べてなかったから、あんなに食べてたのかなって。前に「久しぶりにまともなものを食べた」って言ってたから」
そんな二人の視線の先には、件の人物であるフローレンスが祖母のリイジーと話している。
「ほぉ、じゃあお主は最近この村に来た旅人ということか」
「....ああ、その通りだ。リイジー・バレアレ。」
「ほほ、なんじゃお前さん。フルネームで呼びおって。呼びやすい方で構わんよ。リイジーでも良い」
「いや.......なら、バレアレ氏。それで、村に来たのは森の薬草を取りに来たのか」
「頑固じゃのう。まあ良い。お主の言う通り、儂らはトブの大森林の薬草を取るためにやってきたんじゃ。この村には定期的に来とるからの。ここの薬草を安全に確保出来るのを知っとるのはこの村と儂らだけじゃから、他言無用で頼むぞ?」
「.......む?ならば何故自分に教えた....?一応部外者なのだが」
「ほっほっほ。面白いことを言いおるわ。フローレンス....お主、存外この村に馴染んでおるよ。気づいておらんかったな?」
「.......?そ、そうか....」
と、そのようなやり取りがあったりして。
一通りの挨拶を終えた一行は、途中村長達とも会話を交わしたりしながら、目的の大森林に入ろうという話となっていた。
................
「魔獣か。前回来た時はそのようなものはおらなんだな?儂らも採取していた時に襲われたりなどはしておらん」
「はい。森の賢王がいる限り、我々の村も縄張りの一部なのか、それ以外の存在は近付きすらしてきませんでした。しかし、最近になって突然魔獣が出現しました....。今でこそ私達の村を、まるで要塞のように作り変えたが故に危険は少ないですが。やはり採取に行くには危険が伴います」
「それで、森に行く時はいつもお主が付いて行っておったんじゃな?」
「....そうだな。確かにその、森の賢王とやらかは分からないが。この辺ではあまり見ない強さの気配を感じてはいた。....それがこの辺で絶大な存在感を醸し出していたからこそ、今までこの村は無事だったのだと断言出来る。....故に、魔獣どもがこの辺を彷徨き始めたのは不自然だ。
....というか、自分が居るのにも関わらず襲って来ている時点で、奴らに襲ってこないことを期待するのは無意味だろうな」
「やはりそうか....。ちなみに、お主は森の奥地にも行ったことがあるのじゃな?あの子から聞いたぞ。」
「....あの子、エンリか。確かに森の奥地まで、優れた木材などを取りに行った時はあった。その時は森の賢王とやらには出くわさなかったが....。
....ああ、魔獣には会ったぞ。一応この森に住んでいる原生の生物はだいたい把握した。そういう魔獣はちょっと叩いて追い払っただけだが、そいつら以外の外来種らしきものは基本倒している」
フローレンスの言葉を聞き、やはりこの者ならば....。と、一人確信を深めているリイジー。それを見て、首を傾げているフローレンスに向かって、彼女は向き直って話しかける。
「フローレンスよ、お主に頼みたいことがある。もちろん受けてくれるならば報酬も出そう....。断ってくれても構わん。儂らのトブの大森林の奥地での薬草採取に、協力してはくれんだろうか?」
「....それは、護衛としてという事だろうか。....それとも採取の手伝いだろうか」
実は、フローレンスは以前村の改革をしている時に、自分も薬草を取ってくると言って森で薬草を取ろうとした事があった。
しかしいざ採取しようとしてみても、何故かどの薬草がどれなのか分からないし、そもそも採取の仕方が分からなくなってしまうしで、初めてこの世界に来て散々な目に遭ったのだ。
その事をエンリ達に話すと、「フローレンスさんにも出来ないことがあるんですね!」と言われていた。その後は珍しくフローレンスが拗ねていたという。
そんな事があったからこそ、フローレンスはあまり薬草採取に乗り気では無いのだ。勿論、なるべく手伝うつもりではあるが。いくら大体のことは出来ると言っても、出来ないものは出来ないのだ。昔の知人もそう言っていた。
「流石に儂らよりも薬草に詳しい者は、少なくともお主含めこの村にはいないと思っとる。確かにここ1ヶ月で村を改造したお主の手腕は目を見張るものがあるが、まだまだ薬草の目利きや採取に関しては若いもんには負けんという自負は持っとるつもりじゃよ。まぁ、手伝ってくれると言うなら、それはそれで構わんよ」
「それにの」....とリイジーは付け足すように続く言葉を発する。
「前々から奥地にある薬草を採取したいとは思っておったんじゃが、流石に魔境とも呼ばれるトブの大森林では、いくら冒険者を護衛として雇っていても不安での。しかし、冒険者に加えお主がいるならば、心強いんじゃ。だから儂としては、護衛を頼みたいのう」
「.............分かった。そういうことであれば手を貸そう。それと、報酬は要らない。代わりにこの村に何かしらの物をくれてやってくれ」
そうフローレンスが言うと、リイジーは一瞬納得しかけたが、報酬を要らないといった事で厳しい目付きになる。
「ふむ。お主、あまり遠慮はするものでは無い。それに例え本当に要らないと思っていたとしても、きちんと報酬は受け取るものだ。それが契約する上で、お互いの信用に繋がることにもなる。報酬も無いのにやる仕事と言うのは、不信感を抱かせてしまうからの。それに、きちんと働きや価値に見合った金銭を払うというのは、重要なものじゃ。
これは儂の信条でもある。お主も、せめてもっと報酬を上げろと言えるようにはなりなさい」
「バレアレ氏....いや、リイジー老。自分は冒険者ではない。故に依頼の報酬云々と言うのは関係ないのでは?」
フローレンスの言葉に、リイジーは呆れたように言葉を紡ぐ。
「わかっとらんのう....。お主が冒険者であろうとなかろうと、これは変わらん。同じことじゃ。よく理解出来ずとも、その内分かるようになる。自分や周りの為にも、出来るようになっておくことじゃ」
「.......そうなのか。....リイジー老、ご教授感謝する」
「うむ。そうじゃな....。それに、元々この村には薬草を取らせてもらう代わりに、一部のポーションを礼として卸しているんじゃよ。じゃからお主が気にする必要はないぞ」
「ええ、いつもバレアレさんのポーションには助かっていますよ」
「ふむ、しかしお主がこの村に来て村人達の治療なんかを魔法でやっているならば、儂らのポーションも用済みかの....。お主、なんでも高位(
余談だが、フローレンスはこの村でまだ回復魔法は第三位階までしか使っていなかった。その為、村人やエンリから聞いた話で判断したリイジーは、推測を誤った。
「(高位....
どう考えてもリイジーがフローレンスの実力を見抜ける訳は無いのだが、フローレンスは気づけなかったが為に誤解が生まれた。フローレンスは天然であった。
すると少し残念そうにするリイジー。だが、「まぁ、村人が怪我や病気で苦しまなくて済むようになったようじゃし、別にいいんじゃがな」
と、自分達がもう薬草を取れなくなるやもしれないのにも関わらず言う。
「いえ、大丈夫ですとも。我々はこれまで通りバレアレさんのポーションは必要にはなるでしょう。いつまでもフローレンス様に頼り続ける訳には行きませんので」
「そうか!それはありがたいのぉ!」
村長は世話になっていたバレアレに報いる為に、これからもよろしくしようとする。しかし、その善意はフローレンスが「この村は自分が居なくても怪我を治せるものがあるのだな。怪我や病気の治療法もある程度は教えているし、これなら心配は無いか。」と、村に残る為の最後の枷を外させてしまった。
もちろんエンリ達のことはあるが、それもまた会いに来れば良いだろうという上での考えであり、実を言うともうこの村でやり残した事はないだろうと決めてしまっていた。
そして、村長は数秒後のフローレンスの提案に、自らの発言を後悔する事となる。
「ならばリイジー老。その報酬、自分を王国の都市に連れて行って貰うということではダメだろうか。もう村は大丈夫だろうから、王国の都市にも行ってみたい....いや、行く必要があるのだ。もちろん首都などで無くとも、一番近いそこそこの規模の街でも構わない」
完全に村を出ていくとは言っていないものの、その態度からして暫く帰って来そうにないことを、この1ヶ月の付き合いで察知した村長は内心後悔した。
王国から何らかの人員が来た時に、この村が大きく変わっていることを説明する為に、フローレンスにはまだ村にいて欲しいのだ。
しかし、その目論見は見事失敗してしまった。他の村人はフローレンスが出ていくことを惜しむだろうが、無理矢理止めはしないだろう。
かく言う自分も、恩人である人を強制することなどできず、あくまで永住する方向に誘導する程度に留めていた。
せめてリイジーが断ってくれればと淡い希望を抱くものの、流石にそれは叶わぬことであった。
「おお!そうじゃよ!
ちゃんと言えているじゃないか。
ふむ、いいじゃろう。儂らが住む城塞都市のエ・ランテルに行くまでじゃが、お主を連れて行こう。それが報酬でいいんじゃな?」
「ああ、よろしく頼む。リイジー老」
村長の事情など知らないリイジーは、むしろきちんと報酬を求めたということで気を良くして、快く了承してしまった。哀れ村長。
その後、なんとか本音を隠しつつも引き留めようとさりげなく説得する村長の涙ぐましい努力があったりしたが、無駄に終わった。フローレンスはテコでも動かなかったようだ。
こうして彼らは出立する為に準備を整えて、いざトブの大森林へと向かって行った。
◆◆◆◆◆
「
「.........................フローレンスだ」
「................うん?あ、ああ....よろしくな!」
そんな感じで、若干微妙な空気の紹介が始まった。今こんなことをしているのは、ンフィーレア達が薬草採取の作業中な為に、最初は警戒していたものの特に何も無く暇な上、ここはまだ森の浅い所でもあるので、今の内に連携のことも考えて自己紹介しようという流れになったからである。
なお、ンフィーレア達との自己紹介は既に済ませてある。フローレンスはさんざんエンリ達から話を聞いていた為、自己紹介のすぐ後に「ああ、君の事は大体知ってるから大丈夫」とンフィーレアに言った。
ンフィーレアとしては、「いや、僕は全然知らないんだけど....」と困惑していた。個人的に魔法のことも気になる為、後でもう一度話しかけようと思っている。
そんな中で、冒険者───セントリオが今度はメンバーも紹介し始めた。
「じゃあ、他の奴らも紹介しとこうか。
まず、
「宜しく頼む」
「だっはっは!よろしくな!」
「次に斥候のシン」
「どうも」
「神官のハルテンヤー」
「今日もいい天気ですね。塩漬け物食べます?」
「最後に
「よろしくお願いします。」
「これが“アガハストガーディアン”のメンバーだ。
ちなみに俺は、このパーティーでは戦士を担当してる。」
(白金級冒険者.......。確か八つあるランクの内、上から四番目....。
その国の冒険者の約20%という話だったか....。見た所、そこまで強そうでは....。いや、この世界のレベルは異様に低かったんだった。単にこの辺が弱いだけなのかとも思ったけど、どうやら違うようだし....。
....リーダーは他と比べて少し強そうだけれど。まぁ、どんぐりの背比べ?か....。装備も....良くて上級というところか。)
「うちのリーダーは結構強えぞ?難度50はある魔獣とタイマン張って勝った事もあるしな!俺たちチームでなら、難度60あるヤツら相手でも充分戦えるしな!ま、安心して任しとけ!」
「自信があるのはいい事だけど、慢心するのはコンザの悪い癖。気をつけた方がいい。」
(なんど....?....難度?..........ああ、そういえば村で冒険者に詳しい者がそんな事を言っていた気がする....。確かこの世界における強さの指標だったか。....大体3くらいで割るとユグドラシルでのレベルとも丁度良かった気がする。)
「全くその通りだ。お前は盾なのだから、もう少し落ち着きを持ってどっしり構えておけ。我のように。」
「俺はいーつもどっしり構えてるぜ?お前らに攻撃は通さねえから安心しろよ!」
「その意気ですよコンザ。塩漬け物食べます?」
「ハルテンヤーさんも。コンザさんはいいですけど、初対面の人に塩漬け物勧めないでください。」
「あはは、すまないね。フローレンスさん。仕事はきっちりさせて貰うから、心配しないでくれ。」
「.......ん、そうか」
とりあえず大体は把握した、終わったと言わんばかりにフローレンスは周囲の警戒に戻った。
そのあっさりすぎる反応を見て、冒険者達は苦笑いした。
...................
しばらく薬草採取を行い、充分な量が取れたらしい。ンフィーレア達が移動を開始すると言って、フローレンス達もまた動き出した。
その時、神官のハルテンヤーがフローレンスに声をかけてくる。
「フローレンスさん、少し良いでしょうか。貴方が回復魔法を使えるという話を聞いて、興味を持ちまして。同じ信仰系の術者として、ぜひお話がしたいと.......あ、お腹空いてません?塩漬け物食べます?」
この世界の神官としては珍しい価値観を持っているハルテンヤーだからこそ、フローレンスに声をかけられた。
ちなみに遠くの他のメンバーからは、「あいつ行ったぞ....!」「まじか....度胸あるよなぁ....」だったり、「空気読めないんだから....」「あらあら、大丈夫でしょうか....」「全くあいつは....」という言葉も聞こえてくる。
「.................ん、話はいいぞ。あと塩漬け物は要らない」
はっきりと塩漬け物を断られたので、少し悲しそうにもしたものの、ハルテンヤーは話題を繋げる。どこからか「そりゃそうだろ」と言う言葉が聞こえてきたが、彼は気にしない。
フローレンスが話し始めないので、先に話したのはハルテンヤーだった。
「現在私は大変名誉なことに第三位階の信仰系魔法まで使わせていただいております。....一番得意なのは回復魔法ですね。神官なので当たり前ですが。....フローレンスさんはどの程度の位階魔法を使えるのでしょうか。参考までに教えていただきたいのです」
「...................え?」
(第三位階....?聞き間違い....では無い....か....。ああ....、確かに難度的にも考えるとせいぜいその程度か.......。しかし、これはどう答えたものか....。)
この辺になってようやくこの世界の強さが正確に把握出来てきたフローレンス。後でこの冒険者達に、この世界の詳しい冒険者事情なんかを詳しく聞こうと決意するのだった。
それはそれとして、返答に困ってしまって少し間が空いてしまった。フローレンスは急いで答えなければとは思いつつも、どれくらいのレベルで言えば良いのかが分からなかった。
咄嗟に、自身がよく使っている魔法の位階を考えて、もし戦闘になった時に不自然に思われないようにするくらいのレベルを答えた。
まだ上にランクが三つあるんだし、二位階くらいは上を言っても大丈夫だろうと思ってしまった。
困惑していた故の、謎の根拠の無い自信である。
「.............自分は....第五位階までなら....使える....。回復魔法が一番得意だが..........。.......あ、えっと....どうした?......ちょっと高かったか?(まずい、もしかして冒険者に第五位階すらも使える者はいないのか?)」
唖然とする冒険者達、中でも目の前の神官の男性と、後ろに居る魔法詠唱者と思われる女性が口をあんぐりと開けているのは、ある意味面白く見えるだろう。
「だ..........第五位階...........?そ、それはほんとなのでしょうか?」
「あー..........あーいやその、だな」
「ほ、本当に!?!?本当に第五位階魔法を使えるのですか!!??ど、どうなんでしょうか!!??」
「お、おーい!?ソーラ?お、落ち着け?お前らしくないぞ?」
「だっ、だって第五位階って!あの人今第五位階って言いましたよ!?」
「う、うむ.......。我は守りに長けた戦士故、魔法の事は点で分からぬが....。お前やハルテンヤーが第三位階までしか使えないということと、その様子からして、あの者がかなりの使い手だという事は分かる」
「だって、この国でも使える人は片手で数える程しか居なくて!
それなのに、第五位階がさらっと使えるって言うなんて.......」
「いやはや..........驚きましたよ....。よもや第五位階とは.......」
何やら凄い騒ぎになってしまったことを、自分が少し動揺しすぎたことで起きてしまったと責める。
しかし、まだ一応他に使える者が居ると言うので、ひとまず有り得ない事にはならなくてほっと一息をついた。
ちなみに、遠くで魔法談義が始まった時に聞き耳を立てていたンフィーレアもビックリしていた。
(だ.......第五位階.......?始めて使える人に会ったよ......。そんな凄い人だったんだ....。でも、まだあんまり魔法について詳しくないし....実感が無いな....。)
と、そんなことになっているが、ソーラが途中で「つ、使えるしょ....証拠として、ちょっと今ここで試してみてはくれませんか.......?いえ、決して私が見たいだけとかでは無く..........」などと言っていたが、魔力の無駄遣いでしょうとハルテンヤーに宥められて、渋々引き下がっていた。
しかし、それを見ていたフローレンスが「実戦で実際使おう、証拠ならそこで見せよう」と言った事により、最初よりソーラのボルテージは上がりまくっていた。仲間は先程よりもさらに苦笑いしていた。
...................
時間は経過し、今は大森林の奥地。
だいぶ先に進んだため、鬱蒼とした景色になって先を見通すのも難しくなってきていた。一応冒険者としての備えで明かりなどはある為、まだ昼間だということもあってか、暗くて見えないという事態は避けられていた。
そして、奥地に入って採取したかいあってか、かなり貴重な薬草をそこそこの量採取することが出来た。リイジーは終始とても嬉しそうな雰囲気を醸し出し続けていたので、このまま依頼は大成功、そのまま村へ帰れるかと思われたが....。
そこは魔境と呼ばれしトブの大森林。タダで返すわけは無かった。
「魔獣が接近して来てる。数は5で、内前方から3、後方から2。前方のはイビルリザードが2、
「よし、陣形を組むぞ。中央にバレアレさん達。それを囲むように展開。後衛組はバレアレさん達と一緒に居てくれ。その場から前衛に支援と回復魔法を。俺とディロボは前方で敵を抑えよう。コンザとシンは後方から来る敵を頼む。シンはコンザのサポート、コンザは暴れろ。もし敵が増えた方は、なるべく防衛に徹して片方の片がつくまで耐えろ。隙を見て後衛組も攻撃魔法を危なそうな方へ撃ち込んでくれ」
的確な指示をリーダーであるセントリオが出し、メンバーが素早くそれに従って陣形を組む。阿吽の呼吸で一瞬で形になっているのは、流石熟練冒険者達だ。
戦闘準備は悪くない。と思いつつ、自身も戦列に加わるフローレンス。
それはなんと、
「フローレンスさんも後衛で................あれ?フローレンスさん?
あの.............何故我々と同じ前衛へ.......?」
「.......何故も何も、自分は最初から前衛のつもりだったのだが」
周りの人間全員が驚愕している。流石に魔法で戦うと思っていたのか、事前に強いことは知っていたリイジーも驚いている。
「...................ああ、そうそう。.......元々この森に住んでいた動物や魔獣だった場合はあまり倒さずに、出来れば痛めつけるだけで逃がしてあげて。ただ、外来種らしき奴らは倒していい」
「いやいやいや!そんな余裕は無いぞ!?ここはトブの大森林の奥地だし!大体どの魔獣がこの森の原生生物かなんて知らないぞ!?」
「そうか.................ならばその部分は自分がやるから気にしないでくれ」
「お、おい....。何言って..........」
「_______ッ! 皆、来る!」
シンの警告を号令として合図に、一斉に冒険者達の眼前に躍り出た魔獣達。前方にいるのは斥候である彼女が予想したとおり、イビルリザードと
後方にはレッド・フライング・ボアが2体おり、金級冒険者パーティーなら尻尾を巻いて逃げ出す相手である。しかし、ここに居るのは
それに今回は強力な助っ人もいる。彼らは勇敢に、魔獣達へと向かって行った。
「《
魔法詠唱者であるソーラの魔法が、戦闘のまず最初に放たれた。それは、雷系の属性が効かない
「《
それに続き、神官のハルテンヤーも残った
そのまま、無属性である魔力の塊をぶつける。鉄の羚羊は大きく仰け反り、疾走していた勢いを殺させることが出来ていた。
「二人とも支援を!」
後ろも気になるが、前方の方が厄介だと判断したのか、それとも一気に方をつけてしまおうと考えたのかセントリオが指示をする。視界に二人を捉え.......二人?フローレンスの姿が見当たらないので、(どっちにしろ三人同時には掛けられない)とりあえずそれに応え、タレントもフルで使いまくってソーラが支援魔法を飛ばす。
「《
《
それに習い、ハルテンヤーは後方の二人に支援魔法をかける。方やタフな
「《
《
後方の二人は今にも接敵しそうな赤き飛行する猪と対面して、しかし余裕そうに笑みを浮かべる。
「おう!ありがとよ!んじゃあ....
武技〈能力向上〉〈戦気梱封〉!行くぜオラァッ!!」
「増援が来る。早めに片付ける。
武技〈疾風加速〉〈知覚強化〉ッ!」
コンザとシンは突っ込んできた魔獣二体とぶつかり合う。武技を使いながら、二体の魔獣をいなして行く。コンザが暴れて、シンは危なそうな所をカバーしている。
「喰らえや〈剛撃〉ィ!」
「_____ッ!そこっ!〈斬撃〉!」
コンザは鎚で、シンは短剣で。見事な一撃を入れつつ、ふらつくもまだ倒れない魔獣と戦闘を続行する。
一方前方の方はというと.......。
「行くぞ!武技〈急所感知〉〈能力向上〉〈威力蓄積〉!」
「来るがいい魔獣よ。武技〈防御強化〉〈痛覚鈍化〉」
セントリオとディロボが武技を使いつつ攻める。まずは動きが、痺れているおかげで鈍いイビルリザード二体。早めに倒さねば、折角魔法攻撃で得たチャンスを失ってしまう。
「一気に決める!〈威力蓄積〉解放!〈斬刃〉!」
複数の武技により、急所に威力がマシマシの飛んだ斬撃を受けたイビルリザードが一体倒れ伏す。完全に倒した訳では無いが、暫くは起き上がって来ないだろう。
その隙を見てもう一体が攻撃を仕掛けるが、それはもう一人の大盾を持った
「通させんよ、武技〈重要塞〉!」
見事なタイミングで割り込み、そのまま攻撃を無効化する。全く効いていない様子に驚いたのか、イビルリザードに一瞬の隙が生まれる。そこをすぐさまディロボはつく。
「愚かだな。武技〈盾強打〉!」
大盾の武技でそのまま殴られるイビルリザード。防御強化によって防御力が上がっているのも上乗せされて、ものすごく重い一撃となる。
そのまま、もう一体のイビルリザードも倒れ伏す。そのまま二人は丁度、蔦などの拘束がちぎれて解放された
鉄羚羊が突進してくる。それを後衛や後方へ近づけさせまいと、セントリオとディロボが道を塞ぐ。ディロボは武技を展開しながら突進を受け止め、横合いから強力な溜めた一撃をセントリオが撃ち込む。
「グアッッッッ」
悲痛な鳴き声を上げながら、しかしギリギリ持ちこたえた鉄羚羊が再度突進しようとする。
「くっ、厄介な.......頑丈な上タフだ....。だがもう倒せそうだ!一気に仕留めるぞ!ディロボ!」
「うむ!さあ、鉄くずにしてやろう。魔獣」
再び同じ構えを取ったディロボの背後にセントリオはいつでも飛び出せるよう陣取る。鉄羚羊はそんなの分かっていると言わんばかりに先程とは違う箇所から攻撃しようと試みるものの.......。
「ハルテンヤー!我に攻撃を寄せろ!」
「分かってましたとも!《
鉄羚羊が冷静さを失い、絶対に標的を倒さんと全力で突っ込んでくる。
しかし、ディロボからしてみれば守りを固めているところに来てくれるのは好都合である。先程のように構えは継続し、敵の攻撃を受け止める。
「もう一度やるか?武技〈重要塞〉!」
ガキンッ!と音を立てて攻撃を防ぐ、もう相手は虫の息だと悟ったのか、後ろに控えていたセントリオがすぐさま最後の一撃を叩き込む。
「これで終わりだ!〈斬撃〉!」
その一撃を受けた魔獣はようやく地に伏した。この中ではおそらく一番強いだろう魔獣を倒した事により、安堵の息を吐くが、チームの頼れる耳がまだ増援が居ると言っていたことを思い出し、気を引き締める。
彼らが鉄羚羊を倒す丁度少し前、後方の二人も苦戦していた。何しろ相手は飛び回るので機動力があるのだ。
「くっ....面倒くせぇ!ちょこまか動きやがって!」
すると彼の背後に、対面している方とは別のもう一匹のレッド・フライング・ボアが襲ってくる。先程まで相手をしていたシンは咄嗟にターゲットを変えられたが故に動揺しそうになったが、すぐ様コンザに警告を促す。
「コンザ!後ろ!」
「おうよ!武技〈要塞〉!反撃もオマケだァ!」
すぐ様攻撃を武技で防ぎ、反撃まで叩き込む。しかし、その瞬間を狙っていたのか、その反撃を回避して、一気に二体同時にシンの方へ突撃する。
「なっ!しまった、〈即応反射〉!シン!」
「焦りすぎ、大丈夫。この程度なら」
流石に二体同時はキツいと判断したのか、コンザがシンの方へ守ろうと駆け寄るが、シンはそれを言葉で制しながら武技を使いつつ攻撃をいなす。
「武技〈回避〉。そら、これでも食らっとけ」
片方の武技を使わずに躱した方に、体勢を立て直せないよう数本所持している投擲用の短剣を突き刺す。魔獣は痛みで悶え、その場に落ちる。
しかし、何らかの条件を満たしたのか、今度はもう片方のレッド・フライング・ボアが二人に向かってブレスを吐く。
「____ッ!〈
しかし、それが分かった瞬間。
「援護します!《
ハルテンヤーの属性防御がかかり、なんとか軽傷ですむ。
その攻撃の隙を見逃さず、ソーラがトドメを狙う。
「落ちなさい!《
弱点の属性の魔法をモロに受けた魔獣は地に落ちる。すかさず、地に並んで倒れている魔獣二体へと後方の二人がトドメを刺した。
「ふぅ.............なんとかなったな.......。向こうも倒したか................」
「かなり強敵だった。でもまだ増援が................あれ、おかしい。
最初に聞いた足音よりも少ない。これは..........二体だけ?」
倒し終わった前方の面子と合流し、正面から来る増援に対して構えながらも違和感を感じるメンバー。何より、一番の問題があった。
「なぁ.............?フローレンスさんはどこに行ったんだ.............?」
「そういえば....さっきから姿が見えねぇな.......」
最悪のケースも考えるが、しかし今は目の前の敵だ。シンが警告すると、それに合わせ魔獣が飛び出して来た。
「うっそ!?
でもなんでこんな昼に出てきてるんですか!?」
「御託は後だ!現に今襲われてんだろ!しかも二体な!」
「ここが正念場ということですね!実を言うとそろそろ魔力がやばいんですが!」
「私だってそうですよ!でもなんとかします!」
「俺達もあと少ししか武技を使えそうにないが....。皆!なんとかここを乗り越えるぞ!そして、全員で帰還する!」
そうして彼らは構える。リイジー達をなんとか守りながら、格上の相手にも果敢に立ち向かっていくのだった。
.......その月の狼の背後にある、夜のように闇深い空間に気づけないまま....。
...................
時は少し遡り、丁度“アガハストガーディアン”のチームが最初の魔獣達と交戦している時。
「バウッ!バウッ!ガウッ!ガッ..........キュウウン」
「ふむ、今ので最後か....」
フローレンスは増援が来ると聞いて感覚を研ぎ澄ませた時に、彼らでは対処出来ない強力な魔獣達が迫ってきているのを把握した。
その場にすぐ出て来る魔獣は彼らでも対処出来そうなので、一足先に増援の魔獣を全て一人で片付けていた。
その数約20体。全てが難度60以上の強力な魔獣達だ。最も、フローレンスからしてみればただのザコの群れだが。
「スキルや
しかし、
まぁ..........彼らならギリギリなんとかなるだろう」
この魔獣たちも村に持っていけばそこそこの素材として使えそうなので、次々に
どうやら、この世界にアイテムボックスはないらしく、以前エンリに見られて彼女がものすごく吃驚したという出来事があった。それからはなるべく人に見られそうな場合は
そんなことをしていると、何やら自身の感覚が反応する。どうやら、厄介な奴が彼らの方へ一体向かったようだ。
「..........バジリスクか..........。まぁイビルリザードがいたからそんな気はしていたが.......。今の月の狼を二体相手にしている彼らには、少々荷が重そうだな。...................行くか」
最後の一体を放り込み、そのまま彼らの元へと駆け出す。その時、さらに強力な気配がこちらに向かって来ているのを感じたが、とりあえず自分にとっては脅威でもなく、何とかなりそうなので、今は合流を優先するのだった。
................
場面は戻って冒険者達が月の狼と戦闘をしているところ。
強力な魔獣を二体同時に相手することで、彼らの疲労はピークに達していた。なんとかギリギリ持ちこたえながら、片方の月の狼を倒すことには成功する。
最後の一体も、もう少しで倒せる所まで追い詰められそうだ。
しかし..........
「くっ.......無理!避けられない!武技〈連続回避〉!」
シンが連続で繰り出される噛みつきと爪撃を切り札の武技によって躱す。
しかし、そのせいでもう彼女は集中力が底を尽きてしまった。
更なる追撃を魔獣がしようとするが....。
「あああっ!テメェの相手は俺だァァァァ!
武技〈戦気梱封〉〈剛撃〉ィ!」
そうはさせまいと戦鎚による強力な一撃をコンザが叩き込む。
なんとか退避しきれたシンを確認した後、ソーラが魔法で、セントリオが武技でとどめを刺そうとする。
「終わりだ!〈威力蓄積〉解放!武技〈連続斬撃〉!」
「《
斬撃が、魔法が魔獣を捉える。渾身のそれぞれの一撃によって魔獣はようやく地に倒れ伏した。
戦闘が終わった事に気づいた全員はその場にへたり込む。唯一魔力が残っているハルテンヤーも、チームメイトを回復するために魔力を使う。
「大丈夫ですか....?ディロボ....。片方の月の狼を倒すために戦っている間、もう片方の方を貴方一人に任せ切りにしていましたからね....。かなり傷も多い。今治します....。
《
「ああ、大分良くなったよ。感謝する、ハルテンヤー」
「いえいえ。しかし、困りましたね。ほとんどもう魔力がすっからかんですよ。皆さんの怪我も《
「あれだけの相手だったんだ、仕方ないさ。だが、これでかなり俺達も強くなったとの証明にはなるだろう」
「だな!こりゃあミスリル級も夢じゃねえかもなぁ!お、そういえばシン。おめぇ大丈夫だったか?結構前に出て、敵の注意惹き付けてたろ」
「問題無い。かなり疲労があるが、歩けない程じゃない。コンザのカバーがよかった。ありがとう」
「おう!そりゃあ良かったぜ!」
「はぁ.......一時はどうなることかと思いました.....,」
そんな感じで落ち着いている彼ら。それを見ながら、戦闘中一番背後で観戦していたンフィーレアは心の中で思う。
(やっぱり冒険者は凄いな....。皆が憧れるのも頷けるよ....。だからおばあちゃんもそこそこの大金を出して雇ったんだね....)
だが、安息もつかの間。シンが唐突に叫んだかと思うと、絶望したように口を開く。
「嘘............そんな.......まさか。これは.......この足音は、バジリスク....?」
「「「「「!?!?」」」」」
バジリスク。難度70に迫るほどの化け物。ギガント程ではないにしろ、厄介な状態異常の魔眼に、毒の体液を持つ。耐性を揃えていなければ、ミスリル級冒険者でも手に余る相手だ。
いくらなんでも、そんな相手とこんな消耗した状態で当たるのは得策では無い。しかし、このまま逃げ切れるとも思えないのも事実。
すると、ディロボが口を開く。
「ここは我に任せておけ....。大丈夫だすぐに追いつく───」
「はぁ!?馬鹿言うなよ!いくらなんでも一人で食い止めるなんざ無茶だ!そんなこと言うんだったら全員で戦うぞ!」
「無理だ....いくら相手が一体とはいえ、俺達はもう瀕死みたいなものだ。その状態で戦えば、護衛対象諸共全員死ぬ。ならば一人だとしても残って時間稼ぎをするのが合理的だ」
「.......,..........確かにそれは合理的な判断だ」
「リーダー!?」「おい、セントリオ!」
「待て待て....!だが、あいにくとその案は認めない。却下だ」
「な....」
「時間稼ぎなら
「ええ..........。それが、いいでしょう。私はもう覚悟を決めました。
魔獣どもにみすみす仲間はやりませんよ。ほら、塩漬け物でも食べて元気出してください!」
「お前達....。ああ、分かった!全員で食い止めるぞ!あとハルテンヤー!塩漬け物は要らない!」
「ええ!?今の流れはどう考えても了承する流れでしょう!?」
全員を笑いが包む。少しだけこの状況でも勇気が湧いてくる。
それを見ていたンフィーレアとリイジーも、そのやり取りに元気づけられる。
「すみませんバレアレさん。最後まで守り切れそうには無いです。これじゃガーディアンの名が泣きますね..........」
「わしらのことは心配するな。何としても生き延びて見せるとも」
「はい!皆さんがやられる前に、絶対に助けを呼んで来ますから!」
「そうですか。それはありがたい......。.....そういえば、助っ人のはずのフローレンスさん、結局最後まで姿が見えませんでしたね....」
「そうじゃのう....。まぁきっとあやつはあやつで戦っておるよ。死んでもおらんし、お主たちや儂らを見捨てて逃げた訳でも無いじゃろうて」
その台詞を聞いて、彼らは苦笑いする。実はもう見捨てて逃げたんじゃないかとも思ってしまったのだが、今は信じるしかない。薄い望みにかけながら、彼らはリイジー達を送り出そうとする。丁度そのタイミングで、彼らの前にバジリスクが森の中から躍り出る。
「______来たよ!皆!」
「よし!!行くぞ皆!!!」
全員が吼える。この強力な魔獣を倒すと。そして必ず生きて帰ると。
もうあと少しで接敵するというところ、リイジー達がこの場を離れられるというところの直前で.............。
「『光輝の聖纏』〈ブラストウーンズナックル〉」
「.....................................え!?」
一瞬。
激しい轟音を立てて、目の前の巨体が崩れ落ちる。
強敵になるはずだった、目の前の冒険者達を蹂躙するはずだった魔獣は、たったの拳の一撃で、沈んでいってしまった。
「...................は?」
暫く呆然としていた彼らだったが、ようやく自分たちがどうなっているのかに気づく。目の前の化け物はもう見る影も無く、ともすればまるで夢でも見ているのではないかとも錯覚するが、それが現実だと分かると、一気に体から力が抜ける。それと同時に、目の前の存在に対して畏敬の念が浮かび上がってくる。
「す....すげえ....。あんな化け物を一瞬で、一撃で倒しちまったなんて....」
「凄い....まるでオリハルコン....いや、下手したらアダマンタイトにも届きうる強さじゃないか....」
「魔法だけじゃなくて直接戦闘まであそこまでの強さなんて....。信じられません....」
ちなみにフローレンスは、(やばい予想以上に弱くてやり過ぎた)と思っていた。
「....皆、無事?」
「え、ええ....なんとか致命的な怪我はしていません。魔法で治したりもしていますしね。....ただ、もう私達は魔力やらポーションやら武技なんかも使えずにすっからかんですので。疲労困憊ですね....。これ以上の探索は不可能でしょう」
「凄いね、フローレンスさん....そういえば、先程までは一体どこにいたんだ?」
「ん....?ここに来ている魔獣の一団がいたって、さっきそこの斥候の子が言ってたからな。君達には手に負えそうに無かったから、自分が倒してきた。....どうやらこの辺にいるのは、この森に元々住んでいた奴らじゃないみたいだ。....積極的に襲ってきたのも不自然だし、森の賢王の縄張りでも関係ないって所かな」
「え....?魔獣の一団....?そんなに多くの奴が居たなんて.......確かに途中数は減っていた、けど....」
「あの、実際にどの程度の敵が居たんでしょうか?」
「....ああ、気になるのか。..........じゃあ見せようか?」
唐突な意味不明の言葉に、え?となる一同。
討伐証明の部位でも取り出すのかな....と思っていると、なんと袋から出るわ出るわ魔獣の死体。その数およそ20体程。
あまりな光景に全員は口を噤んだ。中には唖然となって口を開きっぱなしの者もいる。
突っ込みたいことは色々あるが、どれを突っ込んでもやばい答えしか帰ってこない気がして、もうなんでもいいか....と諦めた。
「いやぁ....まさかここまでとはなぁ....。こりゃあ本当にアダマンタイト級はあっても不思議じゃねえぜ」
「な、難度60以上の月の狼並の魔獣がたくさん..........私もう、何が何だか分からなくなってきました....」
「安心して、私も。というか索敵で負けた時点で、自信がポッキリ逝ってる」
「物凄いのだな....貴方は....」
彼らがフローレンスを褒めそえるが、当の本人はあまり芳しくない表情をしている。
そこに、リイジー達も声をかけてくる。
「いやぁ、こりゃ驚いたわい。お主はやはりやる奴じゃったか、それも飛び切りの。村の者たちが絶大な信頼を寄せるのも、分かるもんじゃな」
「本当に凄いです!こんな強そうな魔獣の数々を倒しちゃうなんて....!
エンリの言っていたことは本当だったんだ!」
「.......二人も無事で良かった。....さて、皆下がっていて。もう君達は戦えないだろうから、後は自分に任せておいて。.......万が一の為に、逃げられる準備くらいはしておいてほしい」
その言葉を聞き、皆訳が分からないといった感じで困惑する。
「お、おい?何言ってんだ....?魔獣は全部倒したんじゃねえのかよ....?」
フローレンスは冷静に、全員に自身の予測を聞かせる。
「..........ああ、先程襲ってきた魔獣はこれで全部だ。この辺りで外来種らしき魔獣の気配はもう居ない....。だから、今自身が把握しているこの気配は、恐らくこの森の魔獣ではあるのだろう....。
だが、今までと違って(君らを基準にするならば)かなり強力だ。はっきり言って格が違うだろう。君らでは全く歯が立たない故に、なるべく早く退避して欲しい」
その少し後、シンもその耳で巨大なモノが接近する音を聞き取ったらしく、その身と声を震わせながら告げる。
「.............まずい、確かに巨大な足音が全速力でこっちに向かって近づいてくる。はっきり分かる、さっきのとはまるで比べ物にならない....」
シンの言葉を聞き、一気に顔を青ざめる一同。
「お、おい.............それやばすぎないか..........?早く逃げねぇと手遅れになるんじゃ....?」
「なぁ....フローレンスさんがかなり強いって言うようなやつから、逃げ切れると思うか....?まず、敵わないだろうし....。生きて帰ることなんて....」
「もしかすると、それは森の賢王なのかもしれぬな..........」
「そんな!縄張りに入ったら最後、もし遭遇すれば生きては帰れないと言われている、あの森の賢王ですか!?」
「.......万事休す、ですか....。流石に塩漬け物を食べている場合では無さそうですね....」
各々が絶望に再び染め上げられる。やがてその足音はすぐそこまで迫って来ていた。
「くっ....こうなったらもうどうしようも....。
...................あの、フローレンスさん?なんでそんなに落ち着いてるの.......落ち着いてるんですか?」
「.......?いや、自分なら勝てるからだが」
再び嘘でしょ?という顔になる一同。しかし、フローレンスならばもしかしたらという希望を皆が抱く。
もし、伝説の大魔獣である森の賢王を倒すことが出来たならば....それは伝説の一端を垣間見れることでもあろう。
彼らもどんな窮地に立たされても冒険者である。そんな伝説が見られるのかもしれないと思うと、少しだけウキウキしてしまうのだ。
そして.......。場が緊張に包まれ、全員が身構えた時。
伝説の大魔獣が、やって来た。
「......................む」
一瞬で距離を詰め、何か細長いモノが1番前に居たフローレンス目掛けて襲いかかる。周りのもの達はその動きを目で追えず、辛うじて見えたシンも、「危ない!」という言葉を発するが時既に遅し。もう間に合わない!と全員が思ったが....。
ゴォォォォーーーーン
というなんとも言えない、大きな鉄の塊に、頑丈な金属をぶつけた時のような甲高い音が鳴る。よく見れば、緑の鱗が生えた細長い尻尾のようなものが、フローレンスが手に填めている篭手のようなモノに当たっている。
すると、驚いている皆を差し置いて木々の奥の影から
「くぅぅぅ.......痛っったぁぁぁいでござるぅぅぅ!!!!!」
という叫び声が聞こえた。
何だ今の声....?という風に思う間もなく、今度は恐らくその声の主の尻尾と思わしきものが木々の影に引っ込んでいく。
今の一撃を受け止めたフローレンスは、やはりどうとでもなりそうなザコの相手だな、と当たりをつける。
そんな評価を下されているとも知らずに、謎の声は辺りに声を反響させて話しかけてくる。
「良くぞ!今の一撃を防いだでござる!だが次はこうは行かないでござるよ!森の賢王である
威勢よく話しかけてくる割には、中々姿を表さない相手にイライラして、フローレンスは挑発して引き摺りだそうとする。
「.............?何だか大した事ない攻撃をしておきながら偉ぶっている.......。もしかして、これが森の賢王とかいうやつの実力なんだろうか。..........だとしたら、名前負けもいい所。余程....小物のようだなそいつは。それに、この森に勝手に蔓延っていた魔獣達を倒したのも自分達だが....。どうやら恩も義も感じ無い低俗な種族らしいな....森の賢王は」
と、言う感じの挑発をした事によって、それを聞きつけた森の賢王と思しき存在は少し唸る。やがて、観念したようにその姿を見せる。
「いやはや.......某にそこまで啖呵を切ってきた相手は初めてでござるよ。その勇気と、余所者の魔獣達を倒してくれた礼として、特別に某の姿を見せてやろうでござる。とくと目にこの姿を焼きつけるでござるよ!」
早くしろと内心思っていることを隠しながらフローレンスは待つ。
他の者たちも皆息を呑んでいるようだ。
そうして、森の賢王は彼らの前へその姿を見せる。
「________これは.......!」
ほぼ全員が叫び出したいほどに怯える。
その白銀の毛皮と、しなる蛇の尻尾を持つ四足獣の姿。それは正しく伝説に語られる森の賢王そのもので、溢れ出るその威容はまるで.......
でっかいジャンガリアンハムスターであった。
「............................え?」
ほぼ全員が畏れ慄き、「こ、これが伝説の大魔獣....」「な、なんて恐ろしいんだ....これがかの森の賢王....」「もうダメだぁ....おしまいだぁ....」などという風な台詞を言っているのだが、フローレンスとしては、拍子抜けに感じてしまった。
(森の賢王の姿か....?こ、これが....?)
流石のフローレンスでも動揺せざるを得ない事態に、しかし何を勘違いしたのか、その魔獣は得意気に胸を張る。
「どうでござるか?この恐ろしさに平伏するがいいでごさる!さぁ!今ならば、あの魔獣達を倒した褒美として、特別に逃がしてあげるでござる。さっき言った事を訂正して、さっさと回れ右して帰るでござるよ!」
「...................は?」
ちょっとハムスターに似てるからって調子に乗っている畜生に無性に腹が立ち、何だかちょっと手加減してあげようかな....とか思っていた思考は完全に消え失せた。
元々尊大で生意気な癖に、大して自分よりも強くない奴らを生前にも見てきたせいで、余計にそれらに重ねてしまい腹が立ってきた。
この森の支配者だし、縄張りのおかげで今までカルネ村の住人は助かって来た訳だから一応殺す気はないが、それにしても縄張りの邪魔な奴らを追い出してやったのにその態度なのか。という気持ちから、最大限ボコってやろうと決意する。降参してくる可能性もある訳だから、一応尋ねてから攻撃しようと話しかける。
「なるほど、そういう態度なワケだ....。なら、こちらもそれ相応の行動で示させて貰うぞ?」
「ほう?言うではごさらぬか。
ならば!某とお主、命の奪い合いをするでござるよ!」
そう言う森の賢王。どうやら引く気はないらしいので容赦なくやることにする。
「おい、こちらには無抵抗な非戦闘員もいる。その者達だったとしても、縄張りに入ったから、生かして返さないという事でいいんだな?」
「今更命乞いでござるか?みっともないでござるよ!さぁ、某と勝負................」
「そうか、なら遠慮はいらないな」
「!?」
次の瞬間、いつの間にか懐に潜りこんでいたフローレンスに驚愕し、急いで距離をとろうとする森の賢王。しかし、それはあまりにも怒っている時のフローレンスに対して、遅すぎる反応だった。
「『清浄の願い』『排絶の教典』『光輝の聖纏』『覆滅の聖闘気』『悪性特効』〈バスターラッシュ〉〈パニシングブロー〉〈手加減・峰打ち〉」
「ちょっ.............ちょっと待つでござ................」
「死に晒せ!」
トゴォォォォォォォォン!!!!!
「ごさるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?????」
と、巨大な爆音と悲鳴が大森林に鳴り響いたのであった....。
◆◆◆◆◆
「も、申し訳ありませんでしたでござるぅぅ.........。
倒してくれてありがとうでござるぅぅぅ.............。
無辜の一般人まで命を取ろうとしてごめんなさいでござるぅぅぅ....」
「うん。よく言えました」
一撃で沈められた森の賢王は、すっかり気勢を削がれてフローレンスの言う通りに感謝と謝罪をさせられていた。体勢もジャパニーズ土☆下☆座である。
その場面を見てフローレンス以外の全員は、無茶苦茶が過ぎる..........。と、思っていた。
後に、街に戻った彼らが広め、一発で偉大なる森の賢王を拳で沈めた聖者の英雄として、伝説譚の一つとして語られるくらい有名な話となるのだが、それはまだ先の話である。
それは置いといて、ひとまず安全が確保出来たと安堵する一同。
さっさと森を抜けて村まで帰ろうと誰かが提案すると、「ならば某に任せて欲しいでごさる!」と自信満々で道案内を森の賢王が買って出た。
森の賢王は、「きちんと送り届けるでござる。だからその右手を下ろして欲しいでござる」と、半ば懇願するように語っていた。
そんな訳で、今は魔獣とも接敵せずに安全な帰り道の道中である。
因みに、森の賢王のダメージはフローレンスが治した。その際、他のメンバーも若干回復されきっていなかったので、それも治したのだが....。
少し深手の傷を負っていたソーラに対し、跡になったらいけないからと、
第五位階の魔法を使って見せたのだ。
ソーラは、あまりの至近距離でのインパクトと、今までの消耗の蓄積で気絶してしまった。今は森の賢王の背中に乗せて運んでいる。
「いやぁ〜それにしても凄いでござるなぁ〜。流石は某を打ち負かした御方でござる。回復魔法もあそこまでの技量を持っているでござるか」
「まさか見えない所に深手を負っているとはね。チームメイトの異変に気づけないのはヒーラー.......癒し手失格だぞ、ハルテンヤー。」
「面目無い....。いくら動揺していたとはいえ、あの場面でもし貴方が割り込んで下さらなければ、大事な仲間を失っていました。感謝致します」
他のメンバーも口々に礼を言ってくる。また、フローレンスの英雄的な所業について、改めて賛辞の言葉を投げかけてくる。
フローレンスは相変わらず、久々のこそばゆい感覚に包まれてなんとも言えない気持ちになった。
それを見ていた森の賢王は、フローレンスに対して、足を止めて平伏しながら話しかけてくる。
「流石でござるな!某を倒した御方!
もし良ければ、是非とも某に忠誠を誓わせて欲しいでござる!
これからは貴方に使えるでござるよー!」
「.............え....いや、まぁ、別にいいけども....」
「そういえば、我が主はなんと呼べばいいのでござろうか....。
フローレンス殿....?フローレンス姫....?分からないでござる....。」
「どうでもいいんだけど.......」
「では我が主と呼ぶ事にするでござる!よろしくでござる!」
「えぇ..........」
何か勝手に忠誠を誓われて、勝手に仕えられた。今までに無い感覚だったのでフローレンスは困惑してしまった。と、ここであるひとつの疑問が浮かぶ。
「........そういえば、森の賢王の名前はなんて言う?ぶっちゃけずっと森の賢王って言うの面倒だし、本当の名前があるんじゃ?」
「いえ....某は名前は持たないでござる。森の賢王と言うのも、たまたま会った人間が名付けて、かっこよかったゆえにそれを逃がしたら広まっただけでござる」
「ふーん、通りで。あんまり賢そうじゃ無いしな」
「ガーン!!!でござる.......」
「ま、それは置いといて名前はどうしようか....。ずっと森の賢王って呼ぶのは嫌だなぁ.......」
「では、フローレンスさんが名付けては?森の賢王を下したのはフローレンスさんですし」
「おお!それはいいでござるな!是非お願いしたいでござる!」
「そうか..........でも急に言われてもな..........」
唐突に名付け親になってしまったフローレンスは、思考を巡らせる。
暫く無言で歩き続けて時間が経って行く。すると咄嗟に良さそうな丁度ピッタリだと思う名前を思いつく。
「.............よし、決めた。悩んだけど....これにする」
「おお!楽しみでござるなぁ!一体どんな名前でござろうか?」
満を持してフローレンスが口を開く。そしてその名を口にする。
「森の賢王....。お前の名前は.............
「..........えええ?」
「おお!とても良い名前でござるな!某嬉しいでごさる!
某はハムスケ!うーん、しっくりくる名前でごさるぅー!!」
ハムスケは喜んでいるが、周りは軽くドン引きしている。それもそのはず、思った以上にヘンテコな名前であったのだ。
だが、彼らだからこそ、反応はまだこの程度で済んでいる。
もし、これが他のギルドメンバーやいつもの面子ならば、全力でその名付けを阻止するだろう。
そう....。何を隠そうフローレンスは、ネーミングセンスが
「うーん、いやぁははは。まぁ、本人が喜んでいるからいいんじゃないかなぁ.......。」
「何かこんな立派な容貌なのに名前がしょぼくないか?」
「しっ!黙ってなさい!」
彼らの反応に、思っていたのと違うものを感じて、(こいつらの感覚はよく分からないな....)と思うフローレンスなのであった。
こうして彼らは危険な冒険を経て、無事にカルネ村へと帰還するのであった。
◆◆◆◆◆
「あ!フローレンスさんとンフィーレア達だ!おーい!!」
村に帰って来た彼らは、いくらフローレンスから処置を受けて居たとはいえ、クタクタであることには変わりないので、村長やバレアレ家の勧めによって一足先に休息をとることにした。
なお、フローレンスは微塵も疲れていない(感情は忙しかったが)ので、依頼の件について、報酬などが落ち着くまで見回りしてくると言ってまた橋を渡り村の外へ行ってしまった。
時刻は夜、話が進んだのはだいぶ落ち着いてきて、冒険者達も起きて来た頃合であった。
...................
村長宅で、依頼の報告兼フローレンスの英雄譚を話す冒険者らに、エンリやネムはワクワクを隠せていなかった。
「じゃあ、あの大魔獣はフローレンスさんに仕えるようになったんですね!やっぱりフローレンスさんは凄いです!ここまで色んな話を聞かせてもらいましたけど....全部一人でやったなんて信じられないです!」
「ははは、結局俺達も倒したのはそこまで強くない野生動物と、強かったけれど7体くらいしか魔獣を倒してないからなぁ....。
冒険者の面目が立たないよ....」
「そんなことは無い。お主達が儂らを必死に守ってくれておったのはこの目でしかと見ている。きちんと仕事はしてくれたと冒険者組合には報告させて貰おうじゃないか」
「ありがとうございます。バレアレさん」
依頼の話も纏まり、ではこれにて解散しようという時になって、唐突にフローレンスは口を開く。
「ふむ.......。せっかくこれだけ関係のある人達が集まっているし、もう今ここで言ってしまうか。
................エンリたちもよく聞いてくれ。
自分は今回の報酬として、リイジー老達に着いていき、街まで──────エ・ランテルまで行く約束になっている」
その話を聞いたエンリやネムが目を丸くする。村長も悔しそうな表情をしている。他のものは、そのまま黙って様子を見守っているようだ。
「そ、そんな..........じゃあフローレンスさん、もう村からは居なくなっちゃうんですか....?」
「えぇっ!?そんなのやだよ〜!!まだまだこの村に居てよ〜!!」
「うん、当面は戻れないと思う。ごめんね」
フローレンスのその言葉を聞き、二人は今にも泣き崩れそうになっている。
「うぅ.......どうしてそんな急に....それにもしかして、....もうこの村には戻ってこないんですか....?」
「ええっ....!?えっぐ.......魔法使いさん行っちゃヤダ〜!!!二度と戻って来ないなんて寂しいよ〜!!!」
二人の危惧は最もだと、フローレンスは思う。だが彼女達の為にも、きちんと自分が説得せねばならないと、務めて優しい口調で二人に話しかける。
「落ち着いて.......二人とも..........。....前にも言ったけど、自分はこの辺についてもっと詳しく知る必要があるって、言ったよね?.......この村はもう自分は居なくても大丈夫だし、そろそろその時だと思うんだ」
「うぅ.......二度と戻って来ないなんて嫌です....。寂しいです.......。それにフローレンスさんは居なくていいわけありません....。村の皆も私達も、もっといて欲しいと思ってます....」
後ろで村長が凄い頷いているが、気にせずに言葉をエンリたちにかける。
「ちゃんと聞いて欲しいんだ.......エンリ、ネム。居なくても大丈夫って言うのは、別にそういうことじゃなくてね。....元々この村は良い村だった。ただ、それだけじゃ不安だったけど、それが今では自分達だけでやって行けるほどの村になった.......。確かに自分の力が及ぼしたこともあるとは思うけれど、それでも今はもう自分が居なくても.......心配しなくてもいいくらいに立派な村になったんだ....。
....だからね、もう心配なことが無くなった以上、自分はやるべき事の為に街に行くこの機会を、逃す訳には行かないんだ。....分かってくれる?」
「それは....この村では出来ないんですか....?私達の村では、フローレンスさんは満足出来ないんでしょうか.......?」
「うぅ....行っちゃやだよ〜....魔法使いさ〜ん....えぐっ」
「....うん、自分もこの村にはずっと居たい。....でもね、街に行けるなら行きたいんだ。....それにね、最初はあんまり乗り気じゃ無かったんだけど、エンリたちと出会って、この村で過ごして....。ほんの少しだけど世界を知って....この村や皆の為にも、余計に守りたいと....やらねばならないと思ったんだ」
二人はまだ涙ぐんでいるが、少しだけまだ納得してはいないけどというふうに頷く。
弱ったなと思いながらも、ちゃんと最後まで説明仕切ろうと言葉を紡ぐ。
「後で他の村の皆にも言うけれど、二人には事前にきちんと説明しておきたかったんだ。だから納得しろとは言わないけれど....。二人なら、わかってくれると思う。絶対に悲しませはしたくないけど、どうしても悲しませることにもなってしまう。そんな自分を....許してはくれないだろうか....?」
そう言うと、エンリもネムもこちらをじっと見てくる。
....しばらくして、口を開いたのはネムだった。
「ぐすっ....魔法使いさんはいつもいきなりだから....、今回も理由があるんだよね....。じゃあ....約束して?ちゃんと村に戻って来るって....。そうしたら許してあげる....」
「すんっ.......私もです....。絶対、また村に帰って来てください....。いつでも待ってますから....」
そう言う二人の目には、もう引き留めようという意思こそなかったが、まだまだ寂しいと思っているのが感じ取れる。
「.......ああ.......約束する....。暫くは無理かもしれないけれど、定期的にカルネ村には帰ってくるよ....。だから、悲しまないで....。泣かないで....ね?」
ようやく話が纏まりそうになり、場の空気も少しだけ落ち着いたものになる。未だ二人は泣いているが、それでもどうやら受け入れて来たようだ。
「はい....。じゃあ、絶対に、無理はしないでくださいね....。これも約束です....!ちゃんと村に帰って来てください....」
「ネムとも約束して!魔法使いさん....!ううん、フローレンスさん!」
二人の差し出す手を握り、しっかりと頷きながら返事を返す。
「もちろん....。必ず無茶はせずに無事に帰ってくるよ。リイジー老....。そうか、明日....か。明日恐らくここを発つと思うから、その時までちゃんと泣き止むこと....。でないと安心して出発出来ないからね....。二人にはちゃんと、笑顔で村の前まで見送って欲しいんだ。....出来る?」
二人が頷いたのを見て、フローレンスは二人の事を優しく撫でる。
「うん.......もう大丈夫そうだね。もし村に帰って来ることがあったら、何か街でお土産を買ってくるよ。楽しみに待ってて」
「はい....じゃあ、楽しみにしておきますね!」
「フローレンスさん、最後のお願い!これを聞かないと許さない!!」
「ん....どうしたの?」
「朝まで家で一緒にいて!同じベッドで寝よ!そうしたらちゃんとネム泣き止む!」
「うん....分かった。そんなことでいいのなら」
「あ!じゃ、じゃあ私も!一緒に寝ます!」
「うん?....いいよ」
「!?」
何やらンフィーレアが動揺しているが、フローレンスや他二人は気づかない。そのまま微笑ましい空気で話は終わって、冒険者達やそれ以外も、約二名以外の者達は心穏やかに、村長宅を後にして、それぞれの建物へ帰る。フローレンスはエンリやネムと共に、エモット家で寂しさを紛れさせるように楽しい雰囲気に包まれながら、その喧騒を村に響かせて明日を迎えるのだった....。
冒険者達や、フローレンス達がそれぞれの建物へ戻る少し前。
ガッカリしたようなンフィーレアが祖母を先に行かせながら、泊まるための借家に向かっていると、後ろから声をかけられる。
誰かと思って振り返れば、そこには、自身が落ち込んでいる胸中の原因である、件のフローレンスが居た。
「ンフィーレア?どうした?具合でも悪いか?」
「あれ?フローレンスさん、どうしたんですか?エンリ達の家に行ったんじゃ....?」
「ああ、勿論後で行くといっておいてある。だが、その前に暗い表情をして村長宅を出ていく君を見かけたのでな。少し追いかけた。何かあったか....?」
その原因が貴方なんだけどな....と思いながらも、ンフィーレアはそれは口には出さない。いくらなんでも八つ当たりに過ぎるからだ。
彼女達とフローレンスの結んだ絆はとても強く、それを惜しんで別れの前日の夜くらい一緒に居ようと言っていただけなのだ。それを、自身の個人的感情で水を差すのはいけないと、それくらいはまだハッキリ恋愛感情を自覚していないンフィーレアでも考えることはできた。
ただ、どうしても気になる。決してまだハッキリと恋愛感情を自覚しているのでは無かったとしても、その前提が無くなるくらいには今ンフィーレアは動揺していた。
なぜならフローレンスは一体
一体何が相手にならないのかとか、まだハッキリとはよく分かっていないが、それでもフローレンスが彼女達と一晩一緒に寝ると聞いて、気が気ではなかったのだ。
「いえ....。別に何があったとかじゃないですよ。気にしないでください。わざわざ気を遣わせてしまったみたいですみません。フローレンスさん。何だかちょっともやもやしてるみたいで、でも明日にはそんな悩みも吹っ飛んでいると思いますから!」
「....」
気丈に振る舞うが、相手の反応は芳しくない。隠すのもうまくできていないか....と思い、内心あまり気分は良くなかった。すると、それを見抜いたのか、よく分からない質問をしてくる。
「..........ふーむ。特に身体に異常は無さそう....ともなれば精神面....。
....ンフィーレア、そのもやもやはどんなものなんだ?なるべく詳しく教えて欲しい」
「....え?えーと、.......なんというか。悔しいというか.......自分でもよく分かって無いんですけど、フローレンスさんがエンリと一緒に寝るって言った時に、何だか嫌な気分になって....おかしいですよね....すみません!忘れて下さい!」
「ふむ....なるほど。ンフィーレア、エンリは大切?」
「え?はい。勿論です。エンリは大切な幼馴染ですから!」
「.......そうか。ああ、分かった。ンフィーレアはエンリの事を.......。
....いや、何でもない」
「....?」
何かを一人で納得したように頷くフローレンス。それを一体何が分かったんだろう....と不思議そうに見つめるンフィーレア。
少しの間うんうん頷いていたフローレンスだったが、唐突に再びンフィーレアに向き直り、口を開いた。
「....うん。なるほどね。.......自分は応援しているよ。....きっとエンリも....いや、余計なことは言わないでおこう。自分もさりげなく力にはなれるように協力するよ。頑張ってくれ、ンフィーレア」
「は、はい....?ありがとうございます....?」
「とりあえずそのもやもやはきちんと覚えておくといい。明日、ちゃんとエンリと何でも良いから話すといいよ。今度またこの村に来る時には、エンリと話すことを心がけてみるといい」
何だか具体的に良くは分からないアドバイスをされて困惑するンフィーレアだが、とりあえずもやもやを覚えた方が良いと言われて、少し気が楽になる。何だか、何か必要なものを肯定された気がしたのだ。
確かに、明日エンリと話すのは何だか気まずいと思ったが、フローレンスにそう言われて、言ってもそこまであまり気まずくもないんじゃないかと思い直す。
明日きちんとエンリと話せば、このもやもやも晴れるかもしれない。
「ありがとうございます。フローレンスさん。明日朝、エンリに話しかけてみますね。じゃあ改めて....おやすみなさい!」
「....ああ、おやすみ。....いい夢を」
そうして二人は再び向かうべき家に向かって歩き出した。片方はまだ見ぬ幼馴染との景色に無自覚に思いを馳せて。もう片方は心優しく、勇気ある少年達の恋が成就しますようにと願いながら....。
「《
....願わくば、その夢と恋路に勇気あらんことを....」
◆◆◆◆◆
翌日、旅立ちの時。
早くに起きたフローレンスは、エンリ達と同じ食卓で朝食を取ったあと、訪ねてきたンフィーレアと入れ替わるようにエモット家を出た。
村中を回って村人達全員に自身が村を発つことを告げる。ただ、勿論惜しまれはしたものの、何故か何人か知っている者たちがいた。前々から村を出ていくような話はしていたものの、どうやらそういうことではなくて、村長が予め伝えてくれていたらしい。なかなか憎いことをしてくれるなと、フローレンスは村長に心の中で感謝を告げる。
おそらく自身が出立するために、村の皆に囲まれて身動きが取れなくなることを懸念しての事だろう。村長はまだまだ現役だとも思いつつ、あんまり働きすぎて、腰をやらないでくれよと思う。
そんなこんなで、満足そうなンフィーレアや、やけにニヤニヤしているリイジー。元気よく挨拶してきた冒険者たちなどとも村の入口の前で合流し、勿論エンリやネムたち、他の村人達も、各々すべき事は終えたのか見送りに来ていた。
フローレンスは、特に子供達に伝えるのは苦労したな....。と思い出しながら、村人と会話を続ける。昨日エンリ達にあんな事を言っておきながら、自分もかなり寂しいという感情を抱いているらしい。
空の天辺に日が昇り、旅立つ彼らを照らす。
それは今生の別れではないけれど、されどとても惜しまれながらも未来を進むための別れ。決して戻れない道では無い。然してその覚悟は、簡単なものでも無く、大切な村やそこに住む彼女達の為に....。
一人の超越者とその一行は、見送られながらカルネ村を後にする。
向かうはエ・ランテル。この物語において重要な場所となる、三国の要である城塞都市。
そこで何が起きるのか、何があるのか....それを知るのは、もう少し後の話である。
「.............行くか.......。邪悪な気配蔓延る、王国の中心地へ。まずは、エ・ランテルだ。必ず、この世界こそは....ハッピーエンドにしてみせる」
組織詳細
◾︎ “アガハストガーディアン”
名前の由来は、伝説の武器と謳われるアガハストという武器を手に入れる事を目標としている為。割と在り来りな理由である。また、護衛依頼をきちんとこなすという思いからも、守護者という名が入っている。
本来はエ・ランテルの冒険者では無いため、原作では登場しない。しかし、エ・ランテルを去る前にフローレンスと出会ってしまったため、フローレンスの居る所に留まって活動する様になる。主に魔法組が。
キャラ詳細
◾︎セントリオ・リートヴィヒ・キーン
レベル17程度の“アガハストガーディアン”のリーダー。チームでは戦斧を使う戦士と全体の指揮を担当し、まとめ役的なポジションも担っている。オリジナル武技の〈威力蓄積〉を修得していたり、タイマンで難度51の敵に勝つなど、白金級では破格の強さを持つ。アガハストを求めた張本人。また、元騎士としても護衛依頼は確実に成功(例え自分達が被害を被っても)させようとする気質がある。結成の大体の理由がこの男。街に戻ってからはフローレンスが、大量の魔獣を倒したり、森の賢王を手懐けたり、高位の魔法を扱う事などを一番広めた者でもある。
◾︎ディロボ・イルヘイヤ
レベル14程度の“アガハストガーディアン”のメンバー。白金級としては並程度だが、その立ち回りと大盾を取り回せる膂力は目を見張る物がある。しかし、一人称が我なのにも関わらず、周りのメンバーが濃すぎて若干影は薄くなりがちである。本人はその事を気にして一人称や喋り方を凝っているのかもしれない。難度60(レベル20)の月の狼の攻撃を、暫くの間押しとどめておける程の防御力を持つ。
セントリオが冒険者チームを作る時の招集に応じて組んだ。一応初期メンバーで、最初はセントリオ、ディロボ、ソーラだけだった。
◾︎コンザ
レベル15程度の“アガハストガーディアン”のメンバー。かなり近接戦闘での腕に自信があるようで、実際にリーダーのセントリオとタイマンをしても、装備の差を考えずとも拮抗出来る程の実力を持つ。その性格は豪胆にして快活で、ちょっぴり戦闘狂。パーティーでは盾役兼戦士の役割を果たす。その戦鎚は特殊な加工がされており、通常の戦鎚よりもより強力な物となっている。因みに、彼は無自覚にシンに思いを寄せている。戦闘でも、彼女がピンチに陥ると真っ先に動く。
元々何かに困っていた訳ではなく、強いて言うなら闘いたくて加入。
余談だが、アダマンタイト級冒険者チームのガガーランという戦士と知り合いらしい。繋がりは不明。
◾︎シン・ヨーゼ
レベル15程度の“アガハストガーディアン”のメンバー。チームの
実はコンザが自分を好いているのは気づいているのだが、一向に告白してこないのでやきもきしている。
セントリオの招集は丁度いい金稼ぎと鍛練になると思い加入した。
余談だが、とある忍者の里の出身らしい。しかし本人に忍者の才が無かったため、別の道を探す為に里を出奔した身である。
◾︎ハルテンヤー・ゴルトロン
レベル14程度の“アガハストガーディアン”のメンバー。パーティーでは近接戦闘はあまり出来ず、魔法による攻撃と支援を得意とする。要は、
しかしその真の目的は、合理的に高位の回復魔法を修得して、難病等を患っている者たちを救済したいというものである。その為か、合理的で回復魔法の境地にいるフローレンスを尊敬している。
余談だが、仲間内でもしつこすぎてあしらうのが板に着いてしまうほど塩漬け物が大好きで、人にもしょっちゅう勧めてくる。常に多少食しても切らさない程度を携帯している。
◾︎ソーラ・ラルベイラ
レベル15程度の“アガハストガーディアン”のメンバー。パーティーでは魔力系魔法詠唱者として、魔法での攻撃及び支援。人よりも多少魔力が多く、水系や雷系の魔法を得意とし、最大で第三位階まで使える。
チームに加入したのは魔法の研鑽を積んだり見識を深めるため。
個人的に少しだけリーダーが気になっていた様ないなかった様な気がするが、それが全部吹き飛ぶくらいフローレンスに心酔した。
モンスター詳細
◾︎ イビルリザード 難度42
(ギガントでは無い)バジリスクの下位種。
一応邪視や毒の血はあるが、ぶっちゃけ無いに等しい。現地世界でも魔法などで耐性を上げれば容易にレジスト出来る程度。
◾︎
雷系の属性が効かない。炎系の属性は良く効く。鉄みたいに硬いしタフいので、対策していないパーティー等では詰みかねない可能性もある。人によっては難度詐欺な魔獣である。
◾︎レッド・フライング・ボア 難度40(41)程度
飛ぶ。翼は申し訳程度に生えているが、どう考えても飛べないだろって感じの見た目をしている赤い猪。見た目の割に難度相応の強さをしている。ついでとばかりにピンチになると〈
???詳細
◾︎『清浄の願い』
?????
◾︎『排絶の教典』
?????
◾︎『光輝の聖纏』
?????
◾︎『覆滅の聖闘気』
?????
◾︎『悪性特攻』
?????
スキル・魔法詳細
◾︎ 信仰系魔法《
第二位階魔法。力の塊をぶつける。無属性。神官の一般的な攻撃魔法だが、用途が攻撃でしかないため意外と修得する者は少ない。法国ではそうでも無いが、普通の国の神官からはあまり好んで使われず、専らよく使っている所を見られるのは冒険者などである。
◾︎信仰系魔法《
第二位階魔法。対象の生命力(HP)を増幅させる。元が多ければ多い程増える。一定時間が経つか、術者の意思によって解除可能。実はこれはまだ下位の魔法で、もっと上の位階に上位互換の魔法が存在する。
効果は殴られた時にふらつかなくなったり、下位のブレスを受けても立っていられる程度。
◾︎信仰系魔法《
第二位階魔法。対象が回避する時に補正がかかる。躱しやすくなる魔法。俊敏さも体感上がるような気がする。気がするだけなのか本当に少し上がっているのかは不明。
◾︎信仰系魔法《
第三位階魔法。一定範囲内への攻撃を軽減する魔法。その場から大きく離れると意味が無いため、護衛対象がいる時や特定の場所で乱戦になったりした場合に役に立つ。味方と認識しない相手には防御効果が働かないので、地味に便利なところがある。特に闇属性を強く防ぐ。
◾︎信仰系魔法 《
第二位階魔法。敵の狙いを特定の人物に向けさせる誘導魔法。無機物(アイテム)などにはかけられず、生き物にしかかけられない。レジストされなければヘイトを引き付けた相手の多少の冷静さを失わせられるので、場合を選ぶ魔法。獣系にはレジストされにくく、盾役にかけつつハメる戦法が常道。
◾︎魔力系魔法《
第三位階魔法。水の砲撃を一定方向に少しの間放出し続ける。圧力でも押し出したり、水属性が苦手なモンスターなどに有効だったりと使い道は意外とある模様。水は単なる水では無く、これ自体が魔力砲のようなものなので注意が必要。
◾︎信仰系魔法《
位階不明。《
ユグドラシルでは、興奮して攻撃外しを懸念してこちらを使うプレイヤーも居た。
◾︎バトル・クレリックスキル
〈ブラストウーンズナックル〉
破壊の力を込めた魔力を流し込みつつ相手を殴るスキル。単純にダメージを増加する技だが上位職の技な為、とりあえずで打っても壊滅的な被害の威力を出せる。フローレンスはしばらくは封印しようと決めた。
1日に5回まで使える。
◾︎バトル・クレリックスキル
〈バスターラッシュ〉
魔を払う力を連続で繰り出す拳撃を行うスキル。このスキルは他の攻撃系のスキルと合わせて使用可能なので、火属性の連続拳撃(防御無視・毒状態付与)なんて言う荒業も出来る。上位職の技な為、一発一発の威力もそこそこある。ハムスケは殺る気で攻撃したため、他に一つだけスキルを使って容赦なくボコった。1日7回まで使える。
◾︎レリーフフューリースキル
〈パニシングブロー〉
回復系統の近接攻撃スキルの中で最上位の職のスキル。威力は他のスキルの比では無い。100レベルギルドでダメージディーラーを出来るくらいにはダメージを出せる。また、対象の相手のカルマ値やPK率などによっても、特攻が入る仕様になっている。その為更なる爆発的なダメージを望める。ただし、一定時間回復魔法が使えないというバステが自身にかかる為、回復職としては余程の事が無い限り発動しない。
1日に2回まで使える。
◾︎ゲームシステム
〈手加減・峰打ち〉
正確にはスキルでは無く、ユグドラシルで出来た機能。トドメをさしたくない場合などに行う手加減シリーズのコマンドのひとつ。しかし、そもそも峰打ちが出来るパッシブが多かったことと、敵に対してわざわざ手加減をしない事から、これらのコマンドがあまり知られていない。
何故現地世界で出来たかは不明。一応やってみたら出来てしまった。
本来はハムスケが死んでも死ななくてもどっちでも良かったが、何だか懐かれてしまったので、結果的には蘇生するような羽目にならずに済んで良かったと思っている。
武技詳細
◾︎〈威力蓄積〉
セントリオのオリジナル武技。一度目で宣言した時に集中力を消費して、二度目に解放をすることによってその時の攻撃の威力が爆発的に上がる。ただし、一々二度宣言しなければいけないのと、次の一撃は警戒されてしまうことから対人などではあまり強くない。セントリオは王都で披露した時に、ヴェスチャーに褒められて弟子に勧誘された。冒険者業の傍ら、ヴェスチャーの元で修行しようと思っている。
◾︎〈連続回避〉
連続して危機的な攻撃を自身の体勢や技量を無視して避けられる。
回避の上位武技だが、その分集中力を使う。基本は1日1回までしか使えない。
◾︎〈連続斬撃〉
連続して強力な斬撃を繰り出す。斬撃の上位武技。武技の斬撃を複数回使用したような集中力を消費する。その辺のモンスターであればこれだけで片がつくが、そもそも自分の武技の斬撃が通用しない相手の場合は意味が無い。
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恋愛描写がムズすぎて書けません....。なんてこった....。プロットでは一杯恋愛描写あるんやぞ....?無計画過ぎんか....?誰か助けて下さい....。
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ちなみに私はンフィーとエンリくっつけ勢なので、オリ主とエンリはくっつきません。今の所は。ご了承ください。
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