神滅《かみごろし》の三王の異世界進行録   作:不浄皇

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大変お待たせして申し訳ありませんでした!!
それではどうぞ!


吹き荒れし“暴風”

 

Noサイド

 

檜山

 「…あり得ねぇ……俺の渾身の一撃が……」

 

中野

 「お、おい!何で五十嵐(アイツ)がここに居んだよ!?」

斎藤

 「いや、知らねぇよ!!」

 

近藤

 (ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい?!!)

 

 予想外の事態に、それぞれ狼狽えている小悪党組から目を離さず、暁はハジメに問い掛ける。

 

 「ハジメ、今すぐ透織を連れてこの場から離れられないか?」

 

ハジメ

 「無理だ!今の状態だと、下手に動かした命が危ないよ!」

 

 ハジメの返答に、暁は口元を忌々しげに歪める。

 現在透織は、顔面蒼白で苦し気に浅い呼吸を繰り返しており、医学の知識が無い素人から見ても明らかに危険な状態であった。

 

 

浩介

 「…南雲、五十嵐、此処は俺に任せろ!」

 

 そんな状況下の中、浩介は覚悟を決めた様子、で懐から()()()()()()を取り出した。

 

浩介

 「え~と…あ、あったコレだ!……『息吹きよ。消え()く命の(ほむら)に再び輝きを』…“命灯(めいとう)”」

 

 そしてその中から一枚選んで、直ぐに詠唱。それと同時に、透織の全身が淡い緑色の光に包まれる。

 

透織

 「……フゥ、フゥ」

 

 …すると、みるみるうちに顔色が良くなり、呼吸も落ち着いてきた。

 

ハジメ

 「えっ、これって回復魔法!?」

 

 回復魔法“命灯(めいとう)”。

 良く知られる“天恵(てんけい)”の様に大怪我を瞬時に治すものではなく、対象の生命力、及び自己回復力を底上げして、徐々に回復させていくというものである。

 “天恵”に比べ、即効性と回復量は劣るものの、魔力の使用量(コスト)が少なく、持続性が高いことで、そこそこ重宝されている。

 

 

ハジメ

 「え、遠藤君、何で君が…

浩介

 「南雲!何度も言うが、今は説明する時間が無い!俺は命灯(コイツ)の発動と維持で身動きが取れない!…お前は少しでもいいから魔力の回復に努めて、いざという時に備えてくれ!」

ハジメ

 っ!…ごめん、分かった!」

 

浩介

 「五十嵐!無茶を承知で頼むが…

 「オーケー、OKだ遠藤。皆まで言わなくていい。あのバカ共(小悪党組)は俺が何とかするから、お前は透織の治療に専念しとけ」

浩介

 …すまない、頼んだ!」 

 

 「あいよ~。さて……おい、檜山!」

 

檜山

 「っ!!?」

 

 若干ドスを利かせた暁の呼び掛けに檜山は、思わず体をビクリと震わせる。…が、それでも暁に対して、敵意に満ちた眼で睨み付けていた。

 

 

 「…バカだバカだと常日頃思っていたが、此処までとは流石に予想外だわ。…さっきの魔法(ヤツ)、当たったらどうなるか判って撃ったんだよなぁ?」

 

檜山

 「う、ウルセェんだよ!!テメェこそどっから沸いて出て来やがった!?つーか何だよ、その剣はよぉ!?」

 

 「…はっ、こっちの問いはガン無視かよ。…まぁいい。無駄だと思うが、一応言っておいてやる。…大人しく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なら、今回の件は大目に観といてやるぞ?」

 

檜山

 「はぁあああ!?誰がンな事するかぁ!!…テメェ、今此処で後ろの糞共+α(南雲と白崎と遠藤)(もろ)とも、叩き潰してやってもいいんだぞ!?」

 

近藤

 「なっ、おい大介ぇ?!」

 

 怒りのまま勢いで脅しをかける檜山に、近藤が思いっ切り狼狽えた。

 

 

近藤

 「お前、いい加減頭冷やして状況観ろやぁ!!相手はあの『暴風』、五十嵐だぞ!?どう考えだって勝ち目無ぇだろ!」

 

檜山

 「アホか礼一!?それは地球(向こう)に居た頃の話だ!…忘れたか?五十嵐(アイツ)は今首輪(リミッター)付けられて弱体化してンだろ!対して俺達(こっち)は力を十全に(100%)発揮出来る上に、四対一だ!…余裕で蹂躙出来るだろうがぁ!?」

 

近藤

 「……は?おい、ちょっと待て大介。今お前、()()()って言ったか?…何勝手に俺達まで頭数に入れてんだよ!?」

 

檜山

 「…はぁ?」

 

 近藤の言葉に檜山は一瞬、『コイツ何言ってんだ?』と言いたげに呆け、やがてその意味を理解すると同時に険しい表情を浮かべる。

 

檜山

 「…おい、礼一ぃ?お前…

近藤

 「ザケんな、冗談じゃねぇ!!お前、五十嵐と一対一(タイマン)を張りたくないからって俺らまで巻き込んでんじゃねぇ!!やりたきゃお前一人で勝手にやれや!!」

 

檜山

 …なぁ!?礼一テメェ!!」

近藤

 「ウルセェえ!!…信治、良樹!今すぐここから逃げ…

斎藤

 「…待て礼一。此処は四人で協力して、五十嵐を倒すべきだ!」

近藤

 …なぁあああ!?」

 

 檜山を見限って離脱しようとする近藤だったが、前に同意見だったはずの斎藤の反論に思わず声をあげる。

 

近藤

 「ちょっ、良樹!?」

斎藤

 「いやいや、お前こそ冷静になって今俺達の状況を考えてみろ!仮にこのまま逃げたって、その後どうすンだ!?何で遠藤がここに居んのか知らねぇが、もしアイツがこの事チクったら、本気(ガチ)で俺達色々終わるぞ!?」

 

近藤

 「いやそれは……信治!お前からも何か…

中野

 「悪い、礼一。…俺も“打倒、五十嵐”に一票だ」

近藤

 …信治ぃいいいいいいい!!?」

 

 更に中野も檜山に同調。完全に取り乱す。

 

中野

 「つーかさぁ、礼一。前々から思ってたんだがお前は五十嵐にビビり過ぎなんだよ。そもそもさぁ、“あの噂”自体眉唾物だし、異世界(こっち)に来てからもアイツ、特に何もやって無ぇじゃん……ぶっちゃけアイツ、実は大したことないんじゃねぇの?」

 

近藤

 「バッ…ちょっ、おま…

 

斎藤

 「信治の言う通りだ!それに、此処で五十嵐を叩き潰した後、南雲と遠藤の二人を説得(おど)して、全部アイツ(五十嵐)のせいにしちまえば、天之河(アホ勇者)だけじゃなく七彩路とメルド団長も納得させ(言いくるめ)られるだろ?…だとしらむしろこの状況は、逆転サヨナラ勝ちの大チャンスだろぅが!!」

 

中野

 「ナイスアイディアだ良樹!!だったらもう考える必要は無ぇ!大介の言う通り、今此処でやっちまおうぜ!!」

 

近藤

 「……いやいやいや!?ちょっと待て《ガシィッ!》…ぐぇっ!?」

 

檜山

 「おい礼一ぃ、お前マジでいい加減にしろよ?…これ以上俺をイラつかせたら……お前、覚悟は出来てんだろぉなぁ?」

 

近藤

 「…っ!?~~っ!!」

 

 己の襟を掴み、締め上げながら圧力をかける檜山と、それを止めもせず冷ややかな視線で眺めるだけの中野と斎藤を見て近藤は、四人の中で自身が完全に孤立していることを悟った。

 

近藤

 (このドアホ共がぁあああ!!テメェらは五十嵐(アイツ)のヤバさを知らねぇからンな事言えンだよぉおおお!!)

 

 …が、それでも近藤は決意しかねていた。

 何故なら自分だけは知っていた。自分達がどれ程の危険を冒そうとしていることを…。

 

 

 「お~い、お前ら何時まで駄弁ってンだよ?」

 

檜山

 「ウルセェぞ五十嵐ぃ!!テメェは黙って…は?」

 

 檜山達が視線を向けるとそこには、暢気に魔法瓶からコーヒーを飲んでる暁の姿だった。

 

檜山

 「…おい、お前何してンの?」

 

 「見てわかんね?コーヒーブレイク中」

 

檜山

 「いや、そうじゃなくて……てかお前、あの剣はどこやった?」

 

 「あン?()()使()()()()()()()()()()ぞ?」

 

檜山

 「…は?」

 

 「あ、何?もしかしてお前ら相手に()()使うと思ってた?…生憎だがな、俺はお前みたいな格下にイキって悦に浸る趣味は無ぇんだ。…自惚れてんじゃねぇぞボケが」

 

檜山

 「…はぁっ!?」

 

 「つーかさぁ、謝る気が無いならせめてこの場から消えてくんね?…それも嫌ならダルいけど、さっさと掛かって来いよ。これ以上お前らの相手すんのは時間の無駄でしかねぇわ…」

 

檜山

 「《ブチッ!!》はぁあああああああああ!!?」

 

 蔑み切った視線で吐き捨てる暁に対し檜山は、先程(透織)の時と同等に激昂……否、もはや怒髪天を突く勢いだった。

 

檜山

「何処までも舐め腐りやがってぇえええ!!もう許さねぇ!テメェらまとめてブチ殺してやらぁあああああ!!!」

 

 完全に怒り狂って殺害宣言する檜山。その後方では、中野と斎藤は近藤に対して苛立ちながら問い詰め始める。

 

斎藤

 「…で、礼一?マジでどうすンの?…まさかこの期に及んでまだ逃げようなんて言わないよな?」

 

中野

 「お前、このままだとアイツら(五十嵐達)より先に大介に殺されるぞ?とっとと腹を括れやボケ!」

 

近藤

 「~~っ!あぁあああもぉおおおおお!!わかったよ畜生ぉ!!こうなりゃヤってやるよクソッたれぇえええ!!!」

 

斎藤

 「よし!…おい大介!お前もそろそろ頭を冷やしてくれ!そのままじゃ勝てる勝負(もん)も勝てねぇよ!」

 

中野

 「頼むぜ大介(リーダー)!マジでお前が頼りなんだよ!」

 

檜山

 「ウルセェ!わかってンだよ!」

 

 半ばヤケクソ気味に参戦を了承する近藤に一旦満足しつつ二人は、檜山にも冷静になるよう促し、小悪党組(よにん)はそのまま作戦会議に入る。

 

 

浩介

 「お、おい五十嵐!お前、何してんだよ!?」

 

 一方遠藤は、暁の小悪党組とのやり取りに対し、思いっ切り動揺していた

 

 「問題()ぇ、むしろ予想通りだ。これでヤツラを逃さず一網打尽に出来る」

 

浩介

 「…一応伝えておくけど、()()()はもう済んでるから、追っ払ってくれればそれで十分…

 「…はっ、()めぇんだよ遠藤」

浩介

 …っ!?」

 

 「…この件はもうそんなんじゃあ済まされねぇ。ヤツラは人の身内に手ぇ出した挙げ句、此処までヤラかしてんだ。ソレ相応の落とし前は付けさせる。…特に檜山の糞野郎は完膚無きまでに叩き潰す!」

 

 そう宣言しながら放たれる暁の怒気と圧力に浩介はそれ以上何も言えずに押し黙り、代わりにすぐ隣にいるハジメに声を掛け始める。

 

 

浩介

 「な、南雲?ひょっとしなくても、五十嵐のヤツ…

ハジメ

 「…あ~、うん。”完全“ではないけど、そうとう怒ってるね。アレはもう止めても無駄だよ」

浩介

 …やっぱりッスか」

 

 諦めたような遠い目をするハジメを見て、浩介も似たような表情を浮かべ……同時に、この後に控える“後始末”について頭を悩ませる。

 …そんな心情を察してか、暁が語り掛ける。

 

 「…悪りぃな遠藤。コレばっかりは譲れねぇんだよ。…代わりに前言ってたお前の“要望”、叶えてやるからさ」

 

浩介

 「……出来る限りの事はやっといてやるが、あんま期待すんなよ?」

 

 ため息混じりな浩介の返答を聞いた暁は、了承するように手をヒラヒラ振りながら無言でゆっくりと小悪党組に向かって歩み出した。

 

 

 …一方、小悪党組はと言うと…

 

檜山

 「……と、作戦はこんな感じだ。お前ら、問題無いな?」

 

斎藤・中野

 「合点承知!!」

近藤

 「………」

 

檜山

 「…おい、礼一ぃ。返事はどうしたぁ?あぁ!?」

近藤

 「ちょ、ちょっと待てって!まだ心頭滅却してる途中なんだよ!」

 

檜山

 「いや、どんだけビビってんだよ!?オメェ、マジでしっかりやれよ!?シクったらタダじゃおかねぇからなぁ!?」

 

近藤

 「ウルセェわかってンだよ!!そっちこそ、『コレ成功させたら、さっき自分だけ逃げようとした件はチャラにする』って約束、ちゃんと守れよ!?」

 

檜山

 「いいからさっさと構えろ!!五十嵐のヤツが動き始めたぞ!」

 

 …そんな感じでごちゃごちゃしながら臨戦体制に入る。

 

 

檜山

 「よし、やるぞ!!…『舞い上がれ塵芥(ちりあくた)ぁ!』“砂霧(さぎり)”!」

 

 ザザァア!!

 

 「っ!?」

 

 …檜山達が練った作戦は以下の通りだ。

 まず最初に檜山が風で砂塵を巻き起こして煙幕にする魔法を唱え、暁の視界を遮る。

 

檜山

 「行け、礼一!!」

近藤

 「…ああ、こうなりゃやってや…らぁ!!」

 

 続いて近藤が、高速移動を可能とする技能“縮地”を発動。訓練用の剣を手に暁に向かって突撃する。

 狙うのは暁の脚部(あし)。訓練用に刃引きされてるとはいえ、まともに食らえば骨折、そうでなくても間違い無く動きを止めるだろう。

 

檜山

 「信治、良樹!」

 

斎藤

 「あぁ。こっちは問題無い!」

中野

 「俺もいつでも行けるぜ!」

 

 そしてその後、一撃を入れた近藤が離脱したと同時に、中野と斎藤がすかさずに“火球”と“風球”を撃ち込んで暁に大ダメージを与える。…という流れだった。

 

檜山

 (後は動けなくなった五十嵐(エモノ)を、四人でタコ殴りにする簡単なお仕事だ。…ヒヒヒッ、今まで俺を散々見下してきた礼だぁ。じっっっくり、徹っ底的になぶり尽くしてやるぜぇ!!)

 

 砂煙の中に突入する近藤を見て勝利を確信(捕らぬ狸の皮算用を)していた檜山は、頭の中で来るであろう未来(お楽しみ)を舌舐めずりをしながら想像していた。

 

 

 ドゴォオオ!!

 

近藤

 「プぎゃぁ?!!」

檜山・中野・斎藤

 「……へっ??」

 

 ……が、この後直ぐにそれは大間違いだったと、身を持って思い知らされる(ハメ)になる。

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

檜山

 「いいからさっさと構えろ!!五十嵐が動き始めたぞ!」

 

 

 …時は数十秒(すこし)遡る。

 檜山の怒声が響くなか、近藤はひたすら自分に言い聞かせていた。

 

近藤

 (大丈夫だ…落ち着け礼一。よくよく考えれば大介言う通り、現状は俺達が圧倒的に有利。むしろこれで負ける方が難しいだろ!いつまでも“あの時のこと”に囚われてんじゃねぇ!)

 

 …実を言えば、近藤は過去の出来事(トラウマ)により暁に対して大きな恐怖心を抱えており、これまでは暁と関わらぬ様、必死に努めてきた。

 

 …だが、この状況につい考えてしまった。

 今ならあの『暴風(五十嵐)』に勝てるかもしれないと。

 

 

檜山

 「よし、やるぞ!…」

近藤

 「っ!?」

 

 そうこうしてる内に作戦開始。檜山の魔法で暁は砂煙に包まれる。

 

檜山

 「いけ、礼一!!」

近藤

 「…ああ、こうなりゃやってや…らぁ!」

 

 近藤は残ってた迷いを絶ち切るように、檜山の合図と共に“縮地”を使って暁に向かって突進する。

 

 

近藤

 (やってやる…やってやるぞ!今此処で五十嵐(ヤツ)に打ち勝って俺は、あの時失った自信(プライド)を取り戻す!!)

 

 そう決意する近藤は更に加速しながら、砂煙の中に突入する。

 そして、暁とお思しき影が見えたと同時に…

 

近藤

 「勝った、死ねぇ!!」

 

 …そう、勝利を確信して剣を振り抜いた。

 

 

 スカッ…

 

近藤

 「………は、えっ??」

 

 …が、その一閃は何の手応えも無く空を切き、影の先に暁の姿は無かった。

 

 

 「おい、上だ」

近藤

 「…っ?!!」

 

 突如、聞こえてきた声に近藤が上を見上げるとそこには、上空から()()()()()()()()()()()()()()()こちらに向かって落ちてく暁の姿があった。

 

 

近藤

「……あ、ちょっ…

 「…とりあえずお前は一旦、地面とキスでもしてお(に這いつくばっと)け!」

 

 ドゴォオオ!!

近藤

 …プぎゃあ?!!」

 

 躊躇無く放たれた暁の拳は脳天に直撃。そのままの勢いで近藤は、顔から地面に突き刺さる。

 その威力は相当なモノだった様で、頭部の周りの地面がクレーター状に陥没し、衝撃で発生した風圧が、砂煙を一瞬で吹き飛ばした。

 

 

檜山・中野・斎藤

 「……へっ??」

 

 そうして露になった光景を見た残り三人は、呆けた表情のまま固まる。…無理も無い。“縮地”を発動した近藤は、三人の目でも追えない程の速度であり、『アレは防ぎ様がない』と高を括っていたからだ。

 

 

 「……フン」

 

 …ズボッ!

 

近藤

 「あが…か、かかっ…」

 

 檜山達の様子を見つつ、暁は片手で近藤の髪を掴んで、そのまま大根みたいに引っこ抜く。

 …先程の一撃のせいか近藤の顔面は、鼻が潰れ、前歯も何本(いくつ)か折れているという、ボロボロの状態だった。

 

 

檜山

 「な、なななな何してンだ信治、良樹!?ボサッとしてないで早く撃ち込めよ!!」

 

斎藤

 「アホか?!今撃ったら礼一も巻き込むじゃねぇか!お前早く助けに行けよ!?」

 

檜山

 「ウルセェ!あんな役立たずもう知るか!いいからさっさとやれぇ!!」

中野

 「いやいやいや!?もうコレヤバいって!!もう礼一(アイツ)放っといて早く逃げようぜ!」

斎藤

 …ちょっ!?信治おま…」

檜山

 「ザけんじやねえぞテメェら!!口答えしてんじゃねぇぞ!?さっき、『(リーダー)の指示に従う』って言ったよなぁ!?」

 

 …早々と近藤を見棄てる檜山。それに異を唱えるも、自分からは動こうとしない斎藤。…そして完全に怖じ気付いて、一刻も早く逃げ出そうとする中野の三人は、互いの意見が合わずにその場で言い争いを始める。

 

 

近藤

 「……あ、あが、五十嵐ぃ。俺もう降参するから助け…」

 「…お前、今更そんな事が通用すると思ってんのか?…とりあえず…」

 

 最早檜山達(他の三人)は当てにならないと悟った近藤は必死に命乞いをするも、暁はそれを瞬時に一蹴。そのまま近藤を掴んだ腕を大きく振りかぶる。

 

近藤

 「あ、ちょっ、ままま待って…」

 「オラァ、逝って来ぉおおい!!」

近藤

 「イィイイイイヤァああああああああああ!!!」

檜山・中野・斎藤

 「…っ?!!」

 

 

 …そして、そのまま勢いよく近藤を投げ飛ばす。

 投げられた近藤は手足を大の字に拡げ、横一文字に高速回転しながら、檜山達に向かってきた。

 

中野・斎藤

 「ひぃっ?!!」

 

 人間手裏剣と化して迫りくる近藤を、中野と斎藤は地面に伏せ…

 

檜山

 「ふぉおおおおお!?」

 

 …一方檜山は某映画(マト〇ックス)のように、上半身を後ろに仰け反らせて回避する。…その際、一瞬だけ回転する近藤と目が合うが、その目は恐怖と後悔、そして自分への怨嗟に満ちていた。

 

近藤

 「ヂグジョォオおおおおおおやっぱり辞めときゃよか《ドゴォン!!》ギャぶぅっ!!」

 そのまま檜山の上を通過した近藤は、後ろの壁(レンガ製)に轟音と共に激突する。

 

 

檜山・中野・斎藤

 「…っ?!!」

 

 三人がそれぞれ立ち直って再び前に視線を向けるとそこには、猛スピードで迫ってくる暁の姿があった。

 

 

斎藤

 「ひぃいい!無理無理無理ぃ~!!」

中野

 「こここ降参!降参しますから勘弁してくださいぃ~~!!」

 

 …それを見た恐怖で心が折れた中野と斎藤は、武器を遠く投げ捨てると同時に、必死に地べたにひれ伏した。

 

 (……フン)

 

 …幸いな事に、二人の対応を見て危険は無しと判断した暁は、そのまま通り過ぎる。

 

檜山

 (あのクソ共がぁ!?どいつもこいつもマジで役に立たねぇ!)「…『荒ぶり猛る厄災よ。冥府より出でし死の使いよ!』…」

 

 …対して檜山は、出来るだけ距離を取る為に全力でバックステップしながら魔法の指輪(しょくばい)を暁に向けて、“喇尖牙”の詠唱を始める。…その際、射線上にはちゃっかりとハジメ達も捕らえており、一気に口封じ(証拠隠滅)も計ろうとしていた。

 …因みに、そこには()()()()()()いたが、止まる気配は一切無かった。

 

 

檜山

 「…『捻れ渦巻き牙と成れ。鋭く研がれて槍と成れ』…(大丈夫だ、間に合う。…ひゃはははは!まとめてバラバラにしt…)

 

 「…チッ!」(…あぁ、本当に(マジで)ダメだコイツ)

 

 ダァン!!

 

檜山

 …へっ??」

 

 詠唱を終えて勝ち誇る檜山だったが、次の瞬間、暁が急激に加速。あっという間に懐に入られた上に、右拳を思い切り振り絞った状態だった。

 

檜山

 「ひぃいい?!ら…らら、“喇尖g…

 「遅せぇえええ!!」

 

 ドグシャア!!

檜山

 「ぶぅぐぅううううううううう!!?」

 

 動揺しつつも無理矢理魔法を放とうとする檜山だったが、それよりも早く暁の渾身の一撃(アッパーカット)が顎に突き刺さる。…顎が砕ける感触と共に檜山は、縦回転しながら天高く舞い上がる。

 

檜山

 (……は?ちょ、オレどうなってンの?何で空と地面が交互に見えンだ?……つか痛てぇ?!顎がめちゃくちゃ痛てぇ!!)

 

 混乱しながら宙を舞う檜山はやがて、重力に従ってゆっくりと落ちてくる。

 

 

 「……おい、まだ終わりじゃ無ぇぞ?」

檜山

 「っ?!!」

 

 …そうして落ちて来た檜山の目に一瞬捕らえたのは、自分に向かって回し蹴りの体勢を構えた暁の姿だった。

 

 

 「オラァア!!」

檜山

 「ふぁ、ひょっ?!…《ドカァアア!!》ぐげぇええええ!!」

 

 恐怖に歪む檜山の顔面に、暁は容赦無く追撃(回し蹴り)を叩き込む。

 

 ドカッ! バキッ! バコッ!

檜山

 「はがっふげっほごぉ?!」

 

 吹き飛ばされた檜山は地面を何度かバウンドし…。

 

近藤

 「う、うぐぅ……はぁっ?!ちょっ…ヒィ!!?」

 ドゴォオオ!!

檜山

 「ぎゃばぁアアアア!!?」

 

 …最後は近藤と同じ壁に激突。…丁度そこに近藤もいたが、間一髪で回避に成功する。

 

 

ハジメ

 「うわぁ、エッグぅ…」

 

浩介

 「ああ、まるで交通事故だ…」

 

中野・斎藤

 (ひ、ひぇええええ?!!)

 

 その様子を観ていたハジメと浩介はドン引きし、中野と斎藤もへたりこみながら顔を真っ青にしてガタガタと震えていた……よく見ると、二人の下には()()()()()()()が出来ている。

 

 

檜山

 「か…か、かかっ…か…」

 

 ……暁の怒涛の二連撃を受けた檜山は、全身ズタボロ……特に顔面は完全に変形しており、見るも無惨な状態だった。

 

 ガシッ!!

 

檜山

 「ぐぇっ?!」

 

 …が、暁は一切の躊躇も無く、檜山の襟を掴んで、そのまま宙吊りにし、地の奥底から聞こえるような低い声色で問いかける。

 

 

 「……オイ、檜山(カス)。今のお前が知っておくべきであろう言葉を一つ教えてやるよ」

 

檜山

 「…っ?…ッ?!」

 

 「…『撃って良いのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ』だ。…ま、ざっくり言えば、『“やったらやり返される”って事を重々承知した上で実行しろ』って事だ。……俺がテメェに何を言いてぇか判るか?」

 

檜山

 「ふ、フザケんなぁ!!?お、おおお前ぇ、ンなことしてタダで済むと思…《ドクシャア!!》ぐぎょぼぉお?!!」

 

 …騒ぎ始める檜山を暁は、壁に思い切り叩き付けて黙らせる。

 

 

 「…はぁ?『フザケんな』?『タダじゃ済まさない』?……そりゃコッチのセリフだこのグズ野郎がぁ!!!」

 

 ドカァア!!

檜山

 「ぎゃぶぅ?!!」

 

近藤・斎藤・中野・遠藤

 「ひっ!!?」

ハジメ

 「………あっ」

 

 …直後、暁は怒声と共に、再び檜山を壁に叩き付ける。あまりの容赦の無さに小悪党組(近藤達三人)はおろか、遠藤までもが完全に萎縮……否、ハジメだけは、『こりゃまずい』と言いたげな表情で硬直していた。

 

檜山

 「あ…あがががっ!?」

 「テメェこそ散々ヤラかしといてタダで済むとと思ってんじゃねぇぞ!?…『ぶっ殺してやる』とかヌカした上で実行してんだ。……テメェも()()()()覚悟は出来てンだろうなぁ……ああっ!!?」

 

檜山

 「ヒィイイイイイィイイイイイイイイイ!!?」

 

 じょぼぼぼぼぉおおお~~!!

 

 暁の強烈な怒気に当てられ、完全に心が折れた檜山は、()()()()()()()()()起こしながら悲鳴を上げる。

 …立ち込めるアンモニア臭に不快感を感じた暁は、思わず檜山を掴んだ手に力が入り、それが止めをさされると勘違いした檜山は泣き叫びながら助けを求め始める。

 

 

檜山 

 「いやぁああああ誰かぁああああ(たしゅ)けてぇええええええ!!!死ぬぅううううう殺されるぅううううううう!!!」

 

浩介

 「オイオイオイオイ!?ちょ、南雲アレ…」

ハジメ

 「ヤバい!いつの間にか爆発(ガチギレ)寸前になってる!」

 

 その様子にハジメは、慌てて止めに入ろうとする。…正直、檜山がどうなろうと知ったこっちゃないが、これ以上やり過ぎると暁を擁護するのは難しいと判断した為である。

 

 

???

 「そこまでだ、五十嵐!!」

 

 …だがここで、暁の邪魔……もとい、檜山の救世主が現れた。

 

 

光輝

 「貴様、何をしているんだ!?今すぐ檜山を解放しろ!!」

 

 

 その場にいた全員(昏倒している透織以外)が一斉に、声のする方に視線を向けるとそこには……無駄に神々しい雰囲気(オーラ)を醸し出しながら聖剣を構えた光輝がいた。

 

 




以上になります。
今回は本作オリジナル魔法について簡単に説明させて頂きます。

烈閃(れっせん)
光系初等魔法。
天〇飯の太陽拳と同じ。

命灯(めいとう)
治癒系初等魔法。
ざっくり言うと某RPG(FF)のリジェネ。(因みに“天恵”は多分だがケアルラくらい)

砂霧(さぎり)
風系初等魔法。
今回の説明通り、砂煙を巻き上げて目隠しにする技。攻撃性は皆無だが消費魔力(コスト)は少なめなので、檜山みたいな多少魔法が使える戦士系の天職持ちには割りと重宝されている。

喇尖牙(らせんが)
風系中等魔法。
外見のイメージはNA〇UTOでお馴染みの螺〇丸を、巨大化且つ銃弾状に形成した見た目。(…少なくとも、人に撃って良い代物ではない)

次回もよろしくお願いいたします。

ハジメのヒロインについて(ハーレムは確定)

  • 原作通り(某吸血姫様がメイン)
  • 香織がメイン(吸血姫様が挑戦者)
  • 両方(香織と吸血姫)いってまえ!
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