何も知らない主人公VS外堀をそれぞれ埋めてくるヒロインズVSダークライ   作:タキオンのモルモット

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えー、前話を上げた直後体調を崩している間に日刊ランキング最高3位になったそうです。この作品を読んでくださって、また評価やお気に入り登録もしてくださってありがとうございます。これからもこの作品をよろしくお願いします。

何があったオブザイヤー


第一話:転入生と宝探し〜修羅場を添えて〜

俺がまだ、学生だった頃の話。と言ってもあと一年で卒業を控えていた俺の下駄箱にはゴミが敷き詰められていた。

 

まあだからと言ってショックを受けるような事は無く、自分の下駄箱の内側に仕掛けていたカメラで犯人を確認して、当時の教師の大半が役に立たなそうだったから自力で仕返しをする。そんな日々が続いていた。

 

だが、それは嫌がらせでは無く、当然の帰結、罰だったと言えよう。だからスター団とやらの勧誘を断り、僕は結果として卒業を迎えるまで、この戦いとも呼べない何かを事務作業のように続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅおはこんハロチャオぉ!!」

 

「コブラァッ!?」

 

そんなどうでもいい過去回想という名の夢から俺はナンジャモの『のしかかり』で強制的に目覚めさせられた。

 

「どーりで全く連絡が取れないと思ったら!!やっぱり寝てるじゃないか!!」

 

「ごふっ、な、ナンジャモ··········な、なんで··········」

 

「なんでもクソもあるかぁ!!今日は一緒にピクニック行くって約束だったじゃんか!!」

 

たしかに。そんな約束はした。だがその話は··········

 

「ナンジャモ、お前、その約束は明後日じゃ·····?」

 

そう、出張から帰宅する前に誘われたそれは、出張の疲れを癒すため一日休みを開けてからのはず。昨日出張から帰ってきたのにそれは────────

 

「何言ってんの??昨日一日休んだでしょ??」

 

話が、噛み合わない。

 

背中を嫌な汗が伝い、まさかと思ってスマホロトムで確認をする。

 

今日の日付は、出張から帰ってきて、二日目。

 

「······················まさか出張から帰ってきて今まで寝てたの?」

 

つまりは、そういう事だ。その返事は出ることは無く、代わりに一日ご飯を食べていないことを認識した腹の虫が大きく鳴り、それが返事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コサジの灯台から、ちょっと離れた場所にて。レジャーシートを広げたそこ一帯では異様な光景が広がっていた。

 

まず大前提として、恐らくサンドイッチが入っていたバスケット、それが無造作に転がっている。中身は当然何も無い。

 

そして多種多様なポケモン達はポケモンフードとサンドイッチを食べながら、ある一点をドン引きするように見つめている。

 

そしてその奥からは油の音。よく見ればテーブルの上にコンロなどの調理器具が置かれていた。

 

「··········相変わらずネクロは燃費が悪いねぇ。ほらナンジャモちゃん特製の追加の唐揚げだぞ〜」

 

「わふぃいわふぃい、ありふぁふぉ」

 

「せめて食べてから喋って???」

 

というか我らが主人公、ネクロであった。

 

「別に燃費が悪い訳じゃないんだけどね。1食でも抜くとその分腹が減ったままなだけで」

 

「十分燃費悪いよそれは」

 

軽口を叩きながらもナンジャモは嬉しそうに手を動かし、次々と料理を作っていく。

 

(ネクロの胃袋掴めてるよね!?掴めてるよね!?)

 

なんて事を考えながら。

 

因みに今のこの状況

 

【隠し生放送】ネクロ氏とピクニック【デート20回目】

 

『ネクロ氏胃袋掴まれてて草ァ!!』

『ゴクリンかよお前··········』

『こいつ一日ぶりに食った飯がうめぇとかそういう事しか考えてなさそう』

『何でこんな露骨にアピールしてるのに気づかねえんだこの男』

 

隠し撮りという名の配信中である。

 

これはあまりにも恋愛クソザコナメクジと思われたナンジャモにリアルタイムで的確なアドバイスをして何とかしてネクロを堕とそうという趣旨の配信で、メンバー限定とはいえ、ナンジャモのPokecasのチャンネルのメインコンテンツである。

 

尚20回もやっている時点でお察しの通り、未だ成功したことは無い。悲しいね。

 

そんな事は露知らず、ネクロはナンジャモが急遽多めに買った食材を全て平らげた。

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末さまでした。まさか全部食べ切るとは··········」

 

「いやー、やっぱ丸1日抜くとこうなっちゃうんだよねぇ」

 

満足、と言わんばかりに背もたれにぐったりと寄りかかり、唸るネクロから目を離さず、隠し撮りしているスマホロトムのコメントを見る。

 

『ほら早く料理の感想とか聞くのよ!!』

『もう胃袋掴んでるじゃん。勝ったな、風呂食ってくる』

 

「料理どうだった?」

 

「全部美味しかったよ、流石ナンジャモ」

 

「えへへへへへへへ、それ程でもあるが〜?」

 

『調子乗るのは負けフラグなんよ』

 

そんなやり取りをしながら、時間を過ごしていると、少し離れたところで遊んでいたロトムが慌ててこちらに駆け寄ってきた。

 

慌てた様子でするっとノートパソコンに入り、メモ帳が勝手に開かれて入力される文字を見て、ネクロの顔つきは一瞬にして変わることになった。

 

「ナンジャモ、緊急事態。すぐ近くの崖から女の子が落ちたらしい」

 

「え!?まじ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故、こんな事になったのか。ポケモントレーナーなりたてのアオイはそんな事を思っていた。

 

オレンジアカデミーに向かう途中、崖下の謎の赤いポケモンに気を取られていた私はそのまま滑落。幸いスマホロトムの機能があった為怪我等は無かったが、崖上に戻るには私の貰ったばかりのポケモンでは到底太刀打ち出来ないデルビルの巣。

 

結局のところ、サンドイッチで少し回復した謎のポケモン任せになり、途中までは何とかそれで進めた。

 

しかし、現実はそう上手くいかないようで。

 

あと少しというところで、恐らく群れのリーダーであるヘルガーと取り巻きのデルビル達に囲まれてしまった。

 

謎のポケモンが何とか応戦か、威嚇をしようとしているのか踏ん張ろうとするがどうも力が入らないらしく、ヘルガー達はそんな様子を見てジリジリとにじり寄ってくる。

 

「アオイ!!」

 

上から聞こえるのは私をアカデミーまで案内してくれようとしたネモの声。

 

恐らく、ネモは私より遥かに強いのだろう。先の勝負で、彼女は私に合わせて、そんな言葉を言っていた。

 

逆に言えば、今の手持ちは私のレベルに合わせてあり、恐らくヘルガー達に太刀打ち出来ないのだ。

 

万事休すか、そんな事を考えた瞬間、ヘルガー達がこちらに牙を向けて、襲いかかってきた、瞬間。

 

 

 

 

 

 

「イダイナキバ、『いわなだれ』!!」

 

「ハラバリー、『ほうでん』!!」

 

どこからともなくそんな声が聞こえ、目を開けた時にはヘルガー達は一掃されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっぶね!間一髪って感じだったな?」

 

「大丈夫かい?立てる?」

 

「は、はい、大丈夫です!」

 

ロトムの先導を受け、向かった先で見覚えのある背中が洞窟に向かって叫んでいたので中を見たら案の定、と言うべきか。デルビルやヘルガーに囲まれた赤色のポケモンと女の子がいたため、ナンジャモと2人で掃討することになった。

 

「全く、お前本当に相変わらずだな。あれほど、『目をつけたヤツのレベルに合わせるのは勝手だがどんな事にでも対処できるエースは手持ちに入れておけ』と言ったはずだろうに」

 

「··········久しぶりだね、ネクロ先輩。それとアオイを助けてくれてありがとう」

 

「あ、ありがとうございました!!えっと··········」

 

「ああ、自己紹介がまだだったな、オレンジアカデミー特別教師兼、学者兼、技術者兼、何でも屋のネクロだ。よろしく」

 

「あれ!?ボクのこと知らない!?貴方の目玉をエレキネット!!何者なんじゃ?ナンジャモですっ!!ハッコウシティのジムリーダー兼インフルエンサーだよ!!名前だけでも覚えて帰ってね!!」

 

「え、あ、アオイです!よろしくお願いします!!」

 

と、一通り自己紹介が終わったところで。俺は件の赤いポケモンに目を向けた。

 

「なんでコイツがこんな所に··········」

 

「え、この子の事知ってるんですか?」

 

「あぁ、たしかオーリム博士の──」

 

「お、こんな所にいた··········って何でお前が居るんだよ!!」

 

そんな話をしていたらまたもや第三者の姿が。片目を隠した少し長髪の少年は赤いポケモンを見ると少しの嫌悪感と驚愕を露わにして、大声を出てきた。

 

「君は確か··········オーリム博士の息子さんのペパー君だったか?」

 

「··········なんだ、母ちゃんの知り合いか··········ってネクロ!?そりゃ母ちゃんの事知ってる訳だ··········」

 

「おー、まあそういうこった。で、こいつって確かオーリム博士のポケモンじゃなかったか?」

 

「あー··········まあ色々あったんだよ。ンで全く懐かねえしオレはオレで複雑だし··········ソイツに懐いてんの?ならこれ、そいつのボール」

 

ポイッ、とペパーはアオイに向かってボールを投げた。

 

「そいつも俺なんかについてくるの嫌だろうし、頼むわ、じゃ!!」

 

「え、ちょ、ちょっと!?」

 

余りにも華麗な流れでアオイにボールを託してペパーはどこかへ走り去ってしまった。

 

「··········一応説明しておこう。そのポケモンの名はコライドン。太古の昔に生息していたというポケモンで、一応ライドポケモンにも分類される。オーリム博士の資料だとモトトカゲの古代の姿··········なんて書いてあったが真偽不明だ。ソイツは今力を十全に出せない状態だがな」

 

「え、そ、そうなんですか?」

 

「専門じゃないから素人意見で申し訳ないが、消耗具合が酷いから多分そうだろう。まあその辺は俺よりペパー君の方が詳しいと思う」

 

「わ、わかりました·····ありがとうございます!」

 

突然の流れに戸惑いながらも、しっかりコライドンの説明を聞き、もう引き取る気満々な彼女の様子を見て、どんだけお人好しなんだ、と軽く引きつつ、そろそろピクニックに戻るかと踵を返そうとしたところ

 

「待って」

 

ネモが止めてきた。

 

「··········何かな?」

 

「戻ってくる気はないの?ポケモントレーナーとして、チャンピオンランクとして」

 

「無いね。俺は俺の宝と夢を見つけた、そしてそれはポケモンバトルには関係の無い話だよ··········そうだアオイちゃん。1つアドバイスだ」

 

「え?」

 

「これから先、君は様々なことを経験する事になるだろう。しかしそれに挑むかどうかは、自分の意思で決めるんだ。他人の意見を聞いたり、参考にするのはいいけど自分の道は自分で選ぶこと。特にそこの緑髪のバトルジャンキーは執念深いからね」

 

「·························」

 

「それじゃあ俺らはこれで。またどこかで会ったら、その時はなんかご飯でも奢ってあげよう、じゃ!」

 

そう言って今度こそ踵を返す。

 

ネモは下を向いたまま、反応すらしなかった。

 

 

 

 

 

 

アカデミーへ向かう道、アオイは無言になってしまったネモにこう告げる。

 

「ネモ。ネクロさんとの間に何があったかなんて知らないし、これっぽっちも興味無いけど、これだけは言っておく」

 

「··········何かな?」

 

 

 

 

 

 

「私はネモを超える。その為にジムチャレンジもするしチャンピオンランクになる」

 

 

「────────────────────」

 

こうして、彼女の物語が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかボク途中から空気だったんですけどぉ!?」

 

『草』

『だからあれほどフラグ立てるなと言ったのに』

 

 




さて、これを書いている間にもう31日が過ぎようとしてます。皆様よいお年を!これからもこの作品をよろしくお願いします!!
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