モンハン好き主人公inヒロアカ世界   作:極楽ゆたんぽ

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始まりました、物語。
始まりました、物語。


 超常は日常に、架空(ゆめ)は現実に。

 世界総人口約八割が何らかの特異体質である超人社会で、一つの職業が脚光を浴びていた。それが、ヒーロー。

 無個性たる緑谷出久がNo.1ヒーローのオールマイトに個性を授かり、物語は動き始まる…

 

「とかそういう感じだったよな…」

 

 そんな世界に生まれた俺は今、齢四歳にして今後の身の振り方を考えていた。

 

 

 

「うーん」

 

 「僕のヒーローアカデミア」は俺の好きなアニメ漫画ランキングの中でも一位二位を争うほどに面白いと思える作品だ。特にアニメ版は何回も見返したし、熱い展開のところは夢に出てくるくらいにはリピートした。『もし自分に個性があるとしたら』なんて妄想、暇さえあればしょっちゅうしてたぜ。でもな?

 ヒロアカの世界に行きたいとは思ってなかったんだよな!

 

 この世界は割とぽんぽん人が死ぬ。よくテレビでヒーローの活躍について報道されているが、それだけヴィランが無差別に暴れてるってことで、まあ危険な世界だ。

 そして作品は後半になるにつれてより危険度が増す。一歩間違えたら、一秒遅かったらバッドエンドみたいな場面だってまあまああるわけだし。

 だからこそ俺はこの究極のネタバレ、あるいはレギュレーション違反な原作知識をどう扱うか。それを今のうちに決めておかなければならないだろう。それは分かってるんだが…

 

「うーん…」

 

 いまいち考えがまとまらない。というか眠い。疲れた。いやこれは俺が怠惰なわけではなく、体がまだ幼いからだ。ちょっと何かしら考えるだけですぐ疲れる。四歳になるまでは考えるどころじゃなかったくらいだしな。

 まあ幼いだけが理由ではないと思うが、とりあえず疲れたので寝ます。

 

 

 

 

 俺こと竜崎共也(りゅうざききょうや)には個性がある。個性診断でそうお医者さんに言われたからな。ただその個性がなんなのかが未だ分かっていない。早いうちに分かりたいんだがなぁ。

 

「すごいです共也、漢字が上手く書けるようになりましたね」

「わはは」

 

 今は文字を書く練習中。個性に関することが分からないから、それ以外でとりあえず出来ることをやっている。まあ原作知識があるないに関わらず、雄英には行きたいからな。今世の母上のお求めだ、応えてやりたい。幸いにして国語とか数学とかならさして苦労もなくこなせるから、俺が頑張らなきゃいけないのはこの世界特有のものだけだ。前世と違う歴史とかヒーローに関する法律とかな。

 

「共也は頭がいいので、私も鼻が高いです。でもあまり我儘を言わないことが母さんは不満です。欲しいものなどありませんか?」

「満ち足りている」

「むぅ」

 

 この母は何かと俺の世話をしたがるが、恥ずかしいのでやめて欲しい。赤ん坊の頃のおむつを交換された時に感じた羞恥心を俺は未だ忘れていないぞ。さっさと記憶から抹消したい。抹消の個性はどこだ。

 くそ、思い出したらまた恥ずかしくなってきた。何か別のことで気を逸らさねば…そうだ、原作知識の扱いについてまだ決めていなかった。

 ただ、やはり自分の個性が何なのかがはっきりしてから決めたいな。もし自衛が可能な個性であれば原作に介入する選択肢も現実的になるし、介入しないけどヒーローにはなるって道もあるし。

 うん、もうちょっと考えよう。なぁに時間はたくさんある。なにせ俺は今をときめく幼稚園児だ、ゆっくりいこうな。

 

「母さん、お手洗い行ってくるね」

「あ!お手伝いします!」

「不要です」

「むぅ!」

 

 むぅ、じゃないよむぅ、じゃ。

 

 

 

*

 

 何もしていなかったわけではないし、何も考えていなかったわけでもない。

 成長するにつれ考え事をしてもあまり疲れないようになったし、疲れやすい体質でもいいように食生活にも気を遣ったし、父がキャンプ好きだというのでそれに付き合う形で山を登ったりして体を鍛えてきた。

 倍率がえげつない雄英を目指して勉強もちゃんとした。母は頭が良い上に教え方も上手かったので、俺も楽しみながら勉強することができた。

 一つだけ。個性に関することだけが進展なく、自分の個性が分かったらまた考えると決めた原作知識関連も、日々の生活が楽しくて放置気味だった。

 

 そしたらいつの間にか俺は中学三年生になっていた。

 

「うーん…」

 

 こんなはずでは。

 おかしい、なぜ俺はもう中三になっているんだ。絶対におかしい。俺は幼稚園児だぞ。なぜ俺の目の前に進路希望調査の紙があるんだ。こんなこと考えさせるな、分かってんのか俺は幼稚園児だぞ!

 

「はぁ」

 

 溜息を一つ吐き、さぁ現実に向き直ろう。色々となあなあにして平和な日々を謳歌したツケが回ってきただけだ。さすがにここいらで身の振り方に関してははっきりさせておく必要がある。

 でもさぁ、俺の個性がはっきりしないんだからしょうがなくね?個性ありって診断されて、毎日どんな個性が発現するのか楽しみにしてたんだが。周りからちょっと冗談めかして「無個性じゃーん!」って言われて凹んだこともあるんだぞ!俺の巧みな人間関係構築手法によっていじめには発展しなかったし、凹んだ俺を優しく撫でてくれる母の手にちょっぴりほろりときたこともあるんだぞ!

 くそう、薄々と考えてはいたことがやはり正しかったのか?できれば間違っていてほしかったことが。

 

 前世の記憶を持っていること。それが俺の個性、そういうことなんじゃないのか?

 

「ぐぬぬ」

 

 自衛もクソもない。原作知識にないその辺のチンピラヴィランと目と目が合って俺に勝負を挑んできただけで死ぬぞこんなの。

 俺だって人並みにはヒーローへの憧れがある。顔も知らない一般市民はぶっちゃけどうでもいいが、大好きな家族を守れるなら俺だってヒーローになりたい。そう思ってきたのに…

 

「ぐぬぬぬぬ…」

「…何をそんなに唸ってんだよ」

「お前は心操ぐぬ使」

「違うけど」

 

 原作でオールマイトも言っていた記憶がある。個性がなくてもヒーローになれるかと聞いた緑谷に、それは無謀だ、力が無ければ死ぬだけだ、と。そんな酷い言い方ではなかった気がするが、ニュアンスは間違っていないはずだ。

 俺の持つ原作知識は力ではない。言うなれば爆弾、火薬庫だ。爆発すれば原作の流れを変えることができるだろうが、どんな形になるのかは分からない。

 そしてその爆発は、必ず俺を巻き込むだろう。当然だ、爆弾は俺が持っていて、俺から放たれるのだから。

 

「それで、唸ってたのは…進路?雄英って書いてあるけど」

「雄英のどこ行くかで悩み中」

「あぁ…個性使えないって言ってたっけ」

「ぐぬぅ」

 

 今の心操の言葉はただの確認で、バカにはしてないはずだ…してないよな?ちょっと俺の個性の話に関して疑心暗鬼になってきたぞ。

 いや大丈夫だ、心操は優しい奴だから単に俺のことを心配してくれたんだろう。やっぱりこの世界で個性が使えないのは響くなぁ。

 

「心操は雄英のヒーロー科だろー?羨ましいぜちくしょー」

「…受かるとは思ってないんだけどな」

「あぁ?お前の個性なら…あー、試験内容次第か」

 

 そういや心操は最初普通科だったっけ。試験内容が、あれだ、戦闘力重視の対ロボット戦だったから。

 あー、それだったら俺は万が一にもヒーロー科は無理そうだなぁ。実質無個性で戦闘なんて無理が過ぎる。くっそ、A組の奴らと友達になりたかったが、諦めるしかないか…

 最後に悪あがきだけしてから諦めるか。

 

「なあ心操、俺に洗脳かけてくれよ」

「は?竜崎お前、大丈夫か?」

「それってもしかしなくても頭の心配してるだろ」

 

 失礼な。これに関してはお前と出会う前からずっと考えてたぞ。

 

 

 

*

 

「本気なんだな」

「そりゃそうよ」

 

 今日の授業も全て終わり、俺たちは教室から場所を変えて運動場の隅っこにいる。ここで洗脳をかけてもらうのだ。それが俺の悪あがき。付き合ってくれて本当に助かるぜ心操。

 心操の個性は洗脳。文字通り他者を洗脳できる。洗脳した奴にできる命令にはいくつか条件があるし、対象に応答させられなければ洗脳できないが、それを差し引いても強力な個性だと言える。

 もしこれでダメなら、ヒーローは諦めざるを得ない。原作知識も封印だ。一般通過普通科雄英生として慎ましくA組を持ち上げよう。

 

「じゃあ、行くぞ」

「おう、頼む、わっ…」

 

()()()使()()

 

 心操の洗脳にかかり、命令が与えられる。ふわふわとした感覚の中で俺は期待していた。

 前世の記憶、それが俺の個性。それは薄々考えてたよ。でもそれと同じくらいに考えてたことがある。

 

 その前世の記憶が足を引っ張っているから、個性が使えないんじゃないか?ってな。

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