モンハン好き主人公inヒロアカ世界   作:極楽ゆたんぽ

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使え個性

 天彗龍バルファルク。モンハンに数多く存在するモンスターのうち、最もかっこいいと俺の中で評判な超イケメンモンスター。ゲーム初登場PVを見て一目惚れした奴はきっと俺だけではないだろう。

 くそかっこいいBGMもさることながら、他モンスターと比べて生態や戦い方など異彩を放つこの龍が、なんと俺の意思で動かせるという。これでテンション上がらない人類なんて果たしているのだろうか、いやない。

 しかし、やはりというか、さすが古龍というべきか。一筋縄ではいかなかった。

 

「10秒が2回…」

 

 この一カ月、俺はまず心操に頼らず個性を使えるようにした。コツを掴むまで何回か洗脳してもらいつつ、ついに自分の力だけでバルファルクになれた時の嬉しさは半端なかったぜ。世界の中心に行ってバルファルクを叫びたくなったほどだ。

 そして俺の個性に関して検証を進めた結果としてある程度分かったこと。

 

 バルファルクとしての活動可能時間約10秒、それが2回。あまりに短すぎる変身、それが俺の限界だった。

 ちなみにこの10秒の間、俺はバルファルクを満足に動かせていない。まるで低スペックパソコンでオンラインFPSゲームをプレイしているかのような凄まじいラグを経て不恰好に二、三歩歩けたと思ったらスタミナに限界が来て目の前が真っ暗になり、気づいたら変身が解けている。一回の変身で体力の全てが持っていかれる訳ではないらしいが、二回目を変身し終えるとほぼほぼ体力が尽きる。

 なんというじゃじゃ馬個性、いやじゃじゃ龍個性。心操に一年でものにすると大口切ったが、一年程度では到底足りない気しかしない。

 それに、雄英入試まであと8カ月もない。その間でどこまでいけるか…

 

「まあ、俺のやる気は青天井だけどな」

 

 この一カ月の間で、ネットにとあるニュースが流れているのを見たからな。

 

 すなわち、ヘドロ事件。

 とうとう原作が始まったのだ。俺が個性習熟に勤しんでいる中、原作主人公たる緑谷はオールマイトからワン・フォー・オールを授かるために体を鍛えている。

 なんということだ。細かい時期や状況の違いはあれど、今の俺と緑谷はとても似ているではないか。

 そして俺は当たり前のように緑谷たちと同年代に生まれたと思っていたが、そうではない未来だって十二分にあり得たという可能性に気づき、心底焦ったし同世代に産んでくれたことをマジで親に感謝したものだ。直接言葉に出して伝えたことは若干後悔してるが。

 

「ただ、こっちの方が少し有利…いやそうでもないな」

 

 個性に関して緑谷より数ヶ月早く特訓できるのは良いが、なにせあっちはあのワン・フォー・オール。そしてオールマイトという緑谷にとっての憧れにして最高の師がいる。対してこっちは未だ手探り状態…気を抜くつもりは毛頭ないが、これまで以上に気合い入れないとな。

 

 

 

 

 それからはあっという間だった。俺が幼稚園児してる時からいつの間にか中3になっていた時以上に時間の流れが早く感じたものだ。

 バルファルクになる、体力めちゃ削れる、休憩中に勉強、バルファルクになる、体力なくなる、寝る。大体これの繰り返しだ。

 特筆すべき点は、ドラグーンヒーローリューキュウが師匠役を担ってくれたこと。個性ドラゴンということで何かアドバイスが貰えないかと休日を使ってアポ取ってリューキュウ事務所を訪れたら、俺の個性に興味を持ってくれたようで何かと便宜を図ってもらった。思えばこれがデカかった。

 リューキュウの使っている訓練施設を借りることができたのだ。おかげで周りの目を気にしながら公園とか山の中で特訓するよりも遥かに濃い経験を積むことができたし、時折軽い模擬戦形式で体の動かし方や周りに与える影響などを実戦に近い形で教えてもらった。あと連絡先も交換させてもらった。望外の喜びとはこの事よ、おかげでしばらくニヤニヤが止まらなかった。心操にはよく頭の心配をされたもんだぜ。

 

「すぅー…ふぅー…」

 

 そしていよいよ雄英入学試験。今俺は、あの雄英高校の前に立っている。

 不安は、まだある。個性に関しても、原作知識に関しても。

 それでも、やると決めた。なると決めた。家族を守れるヒーローに。

 

 覚悟を決めろ!

 

「ッよし!」

「どけデク!俺の前に立つな殺すぞ」

「うわびっくりした」

 

 ハァっ、あれは!俺の斜め前にいるあれは、生かっちゃん!すげぇ、頭の爆発具合すげぇ!癖毛か!?いや癖毛の一言で片付けて良いのかあれは!どうなってんだ!?

 いや待て落ち着け、これから試験なんだ、浮かれてる場合じゃってあれは緑谷!!原作主人公!!つまづいて転ぶ寸前の変な体制で静止しているあれが生デク!!!そしてその隣には緑谷を静止させた生ウラビティ!!転んじゃうと縁起が悪い?ヤサシイ!ヤサシイウラビティ!ほ、他にも探せば原作キャラいるんじゃないか…?

 

「落ち着け…落ち着け…」

 

 今この時だけは原作キャラは捨て置け、試験に集中しろ。落ちるわけにはいかない、俺はヒーロー科に…あっ服が浮いてる!?葉隠だ!!服の動きからしてえいえいおーしてる!?カワイイ!!!

 

 

 

 

 

『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!"Plus Ultra(更に 向こうへ)"!!それでは皆良い受難を!!』

 

 10分間の模擬市街地演習。攻略難易度に応じてポイントを設けられた仮想(ヴィラン)を行動不能にしてポイントを稼ぐ。

 よーしよし、試験内容は原作と変わらず戦闘力重視だ。バルファルクにうってつけ、救助重視とかだったら割と終わってたからな。

 

 ふふふ、以前までの情けない俺とは違うぞ。たった10秒で限界を迎えていた活動時間、今の俺は40秒にまで伸びている!そしてこの40秒を()()に使ったとしても、4回は変身が可能!適度な休憩さえ挟めば、実質行動可能なのは160秒、三分弱というわけだ!10分間まるまるは戦えない辺りが不満だが上手いことやるしかない!

 そのためにはまず…

 

『はいスタートー!』

 

 スタートダッシュで差をつけろ!

 

「オラッ獲物はここだぞロボット共ぉ!囲んでタコ殴りにしてくれよぉ!」

『標的補足!!ブッ殺ス!!』

 

 周りに生徒がいない今が最大の稼ぎ時、ヘイトを稼いで近寄ってもらってから変身!活動時間の節約節約ぅ!

 スタートダッシュで先頭に躍り出た、後ろから追い付かれる前に今ここにいるポイント根こそぎ刈り取る!

 ロボの装甲なんてものともしない、まるでダンボールを扱うかのようにして二体を前足で押し潰す。続けて突っ込んできてくれたエサに感謝を込めて飛びかかる。遊んで遊んでと戯れ付く犬のようにかわいいだろう?体重差と鱗の硬さが悪さをしなければな!

 そのまま流れるように二体を倒す。リューキュウに鍛えてもらえてなかったらここまで軽やかに動けてないなぁ。マジ感謝だぜ姐さん!さあ次だ、おかわりもって…あっちょっとタンマ、休憩のお時間ですわ?

 

「っハァー、ハァ、フゥー!これで何ポイントだ!?知らねえ突っ込め!!」

 

 わはは!後ろで見てる生徒たち!そしてモニターで見てる先生たち!バルファルクの威光にひれ伏せぇ!わはははげほっげほ!

 

 

 

 

 

「ふぅ、ふぅ、ふはぁー…!」

『残り二分切ったぞォ!』

 

 活動時間を節約しながら騙し騙し戦ってきたが、そろそろ限界か…?何秒使ったかなんて数えてない、スタミナ残量から推し量るしかないが、あと一回か?あと一回ならいけそうだが、それで何秒動ける?

 やばい、テンション上がって近寄ってきたロボットを適当に壊してたせいでポイントも数えてない。30はあるだろうけど、あと二分でどれだけ稼げる…っ!

 

『ブッ殺ス!!』

「ッ」

 

 疲労のせいか考え事か、体を休めるために寄りかかっていた建物を壊して近づいてきたそいつに気づけなかった。というより俺の場合、敵の接近には大体五秒くらい前には気づいておかなければならないんだ。

 なぜなら、変身にかかる時間。俺は個性を使ってからバルファルクになるまでに五秒前後の時間を要する。スタートダッシュした時は前もって個性を待機状態にしておいたからすぐバルファルクになれたが。

 こういう不意打ちに対処するのは…っ!

 

『オラヨッ!』

「っ、これは…!」

「随分と疲労しているな、先ほどの個性の代償か?」

「トッ」

 

 トコヤミサン!トコヤミサンカッコイイヤッター!そして俺のことを観察していたような発言、お前もバルファルクに惚れたか常闇ィ!?

 って危ねぇ、うっかり名前を呼ぶとこだった。さすがに入試の段階で名前を把握してるのはやばい。同じヒーロー科か普通科か、なんにせよ雄英生になってからじゃないと不自然だ。早く友達になりてえ!

 

「いやぁ助かっ」

 

 ドオオオオオオンという轟音が響く。これは0ポイントの奴が来たか。タイミングがひどいぜ、ちゃんとお礼を言わせてほしかった。まあ来てしまったものは仕方ない。

 というか出現位置すぐそこやん。ラッキー。

 

「ちょうどいい。なあ、…闇を従えし者、ちょっと手伝ってくれないか?」

「!…あれを仕留める気か?」

 

 常闇って呼べないし鳥くんって言うのはちょっとなぁと思って適当に呼んだら、一瞬ソワっとしてすぐ冷静になる常闇にちょっと笑ってしまいそうになった。一応真面目に考えてるんだ、勘弁してくれ。

 

「いいや、俺の体力的にもそれは無理だ。だから機動力を削ぐ。人々を助けるヒーローなら、ああいうの相手でも退かないだろ?」

「…なるほど、道理だな」

 

 救助ポイント狙いなのは内緒だぜ?

 

「お前は目を、俺は関節部位を破壊する!んで、悪いけどその闇で俺を投げ飛ばしてほしい。いけるか?」

「いいだろう。最後の数分、俺はお前に従おう」

 

 頼もしィー!これがいずれヒーローになる奴の器!そこに痺れる憧れるゥ!

 と、あのデカロボがいよいよ動き出そうとしてる。あんまり長く話している暇はないな。周りに動けなくなってる奴もいないし、さっさと済ませるとするか!

 

「頼むぜ!」

「承知!黒影(ダークシャドウ)!」

『アイヨ!』

 

 体力的にラスト一回!頭が高いんだよロボット風情が!バルファルクを見下ろしやがって、跪けやオラァ!

 投げ飛ばしてもらうことにより加速を獲得!空中で変身してからの…狙うは股関節!キャタピラの付け根辺りが脆そうだなぁ!?

 デカロボは俺と黒影(ダークシャドウ)のどちらを狙うかで一瞬迷った、その一瞬が命取りよ!技名にする気はないただの通常攻撃!喰らえバルファルクの鉤爪!

 

 ゴギャっと良い音を響かせ、装甲勝負はもちろんバルファルクの勝ち。片足?片キャタピラ?とにかく自身のバランスを保つ一角を失ったデカロボは、体制を崩し…やっべこのままだと巻き添え食らうじゃねえか!!離脱!はよ!!!

 残ったスタミナを振り絞ってデカロボから離れる。急いだせいでバルファルクの姿で転んでしまった。格好つかねえなぁ…そのまま個性が解除される。

 

「っフゥー、あー疲れた」

 

 というか意外と脆かったなあのデカロボ。部位破壊にもうちょっと苦労するかと思ったが…あっちょっと悪あがきとかやめてもらえます!?お前の適当パンチは当たらなくても瓦礫飛んできたら死ぬんだよ!今の俺はバルファルクじゃないんだぞ!

 

「ちょっ、たっ助けて!俺を助けろくださいお願いします!黒さん!黒さーん!」

 

 その後、無事に黒影(ダークシャドウ)に回収してもらって試験終了。

 

 か、格好が、格好がつかない…常闇の前なのに…

 ちくしょう龍気さえ使えてたら…!

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