「俺たちはヴィランチーム、か。改めてよろしくな葉隠」
「こちらこそよろしくね、竜崎くん!」
は、葉隠と密室で二人きり!透明だから見えないけどほぼ全裸の女の子!!何かが起きるはずはないし、起こそうと企む輩がいたら叩き潰すけど!
第一戦は緑谷と麗日vs爆豪と飯田。原作と流れは同じだったが、やはり生で見ると迫力が違った。爆豪の暴走に、緑谷の大怪我。この頃のかっちゃんは刺々しいからなぁ。それに緑谷の腕自壊100%ワン・フォー・オール。実際に見るとやっぱ威力やべえって。あれを超えるって決意した奴おるとかマジ?
講評も終えて、いざ俺たちの番。意気消沈具合が半端ない爆豪が気になるが、友達でもない俺が立ち直らせることは不可能。試合に集中しよう。モニターでみんなが見ているんだ、情けない様は見せられない!
見せられないので原作知識を参考にして対轟作戦を組ませてもらった!わりぃな!
「竜崎くん私ちょっと本気出すわ、手袋もブーツも脱ぐわ!」
「あ、待った。その本気はあっちの初撃を躱してからにしときな?」
「あそっか!轟くん対策だね!」
第二戦、俺と葉隠vs轟と障子。ぶっちゃけ原作知識では第一戦の試合しか覚えてないんだが、まあ原作抜きにしても轟が初手で凍らせてくるのはわかっている。
ヴィランチームで助かった、もし俺がヒーローチームだったら建物への被害を考えて行動しなきゃいけなかったからな。実質屋内ではバルファルク使うなって言ってるようなものだ。ヴィランチームだとしても動きにくいのは変わらないけど。屋内じゃ小回りがなぁ…
「障子が索敵を済ませたら真っ先に氷結が来る、それを躱してからが本番だ。作戦通り行こう」
「おっけー!」
俺たちは今フロア二階にいる。俺が気兼ねなく暴れられるように核兵器は一番上に遠ざけて設置してある。
手をグーパーしたりガッツポーズらしき動きをして気合いを入れている葉隠を横目に、俺は昂っていた。
ああ、もうテンションが上がりまくって仕方ない。俺、ちゃんとA組にいるんだなぁ。葉隠と共闘、轟たちと対戦できるなんて夢のようだ。生まれたばかりの頃はどうしようどうしようと悩みまくっていたが、危険な世界とはいえやっぱり楽しいなぁ!
そしてだからこそ、強くならなければならない。家族も守る、こいつらも守る。B組の奴らも、先生たちも、それ以外で原作に出てきた思い入れのある奴らたちも。
全部ひっくるめて守る!そのための第一歩、狙うは短期決戦!
オールマイトの合図が来て、いよいよ訓練がスタートされる。来いよ、いつでも来い…!個性はとっくに待機状態にしてる、あとは反応するだけ…
いつ来るか分からないが、そう時間はかけないはずだ。僅かな異音すら聞き逃すな。集中して…なんか足がひんやりしッ
「掴まれェ!」
「うわわっ!」
葉隠を背負って即変身!バルファルクの足が凍るが、まったく問題ない。ちょっと冷たいけどな!
というかやっぱ凍らせる速度が速い!マジでギリギリだった!けど葉隠を守れた、第一段階クリア!
さあ、第二段階にして最終段階だ。今の俺はヴィラン、せいぜい派手に暴れさせてもらうぜ?
読み通り轟は対して時間をかけずにさっさと氷を使ってきた。つまりそう動いていないはず。大体入り口付近、その辺にいるんだろぉ!?室内とかバルファルクにゃ狭すぎんだ、拡張工事しまーす!
葉隠を降ろしてから二階の床をぶち抜いてダイナミックにエントリー!おっとやっぱりいたか。こんにちは轟さん障子さん、死なない程度に殺してあげる!
「!障子、離れてろ!」
飛散する瓦礫とともに突っ込む俺を轟が凍らせる。対応が早すぎるぜちくしょう!ただ、こんな足止めがバルファルクに効くかァ!
体を包む氷を破壊しつつ接近する。しかし瞬く間に次の氷結。ぐぬぅ、さすがはA組ツートップの一角。サイズ2022.12cmのデカさを誇るモンスターを相手にして、動揺は一瞬だけとは。あ、ちなみにリューキュウのところで身体測定してもらいました。雄英にも測定できるやつあるかなぁ?まあ教室の扉さえあんなデカさなんだ、多分あるんだろうな。
「この個性、竜崎か」
そうです、私が竜崎です。んで初期ロキくんのコスチュームちょっと新鮮!あと目に温かみがない!
氷が効かないとはいえどうしても動きは止められる。その間に距離を取られ、詰められない。状況を千日手にされて困るのは時間制限のある俺な訳で。んでもってそろそろ限界が来る…!40秒って早すぎ!
変身が解除されると数秒の隙が出来てしまう。絶対その隙を突かれるだろうから一旦退きたいが、状況を立て直されたら負けだし障子を逃しても負けだ。轟の後ろに障子がいるからこそ建物全体に行き渡る氷結攻撃が封じ込めていられる。解禁されたら俺は大丈夫だとしても葉隠がやられる。変身解けたら俺もやられる。突っ込むしかないか!?マジキツすぎ…っ!
しかしやるっきゃない。俺にヘイトを集めて葉隠を自由に動かせれば勝機はある!頼むぜインビジブルガール!
ラスト一撃、撤退ではなく突撃を選択。俺を隔てる壁として作られた氷を破壊し、轟に迫る。しかし難なく凍らされて動きが止まり、そこで変身が解ける。案の定、変身解除直後の隙を突かれて初撃の氷結より強く凍らされた。く、首から下全部凍らされるの新感覚や…めっちゃキツいんですけど。
「悪かったな、レベルが違いすぎた」
「わはは」
「何を笑って…、!」
おいおい、勝利宣言してるとこ悪いけど、まだ終わってないぜ?
核兵器は最上階、これから探すにも時間がかかるだろう。今の俺は動けないが、動けないだけ。確保テープを巻かなきゃ捕まえたことにはならない。
そして、そのテープを巻こうにもまだ葉隠がどこにいるのか分かってないお前らは、取る行動の一つ一つに慎重にならざるを得ないだろう。俺は囮で、テープを巻く瞬間にも葉隠が来るんじゃないか?だったら轟が遠距離から凍らせてしまえば事足りる…そう考えたんじゃないか?考えててください。
そうして慎重になってる間に、俺は再変身が可能となる!
窮屈に俺を拘束する氷を弾き飛ばしながらバルファルクに変身する。俺の笑いに警戒を強めたおかげか、きっちり再変身にも対応してまた凍らせてくる轟。いいぜそのまま俺だけ見てろ、ぶっちゃけ葉隠対策で建物全体を凍らされる方が困るんです!作戦の要だからな!
「まだ動けるのかよ」
はっはぁー!一回の変身に限界が来ても、それは体力の全てが使われたってことじゃないんだよ!どういうことかって!?あれだ、水泳で200m泳ぐために50mを4回か100mを2回かに区切るだろ?折り返し地点で休憩してんのさ!
そしてぇ!今のお前らに果たして葉隠の存在を意識できているかなって何ィ!?
「確保ー!ってうわぁ!?」
「最初の轟の氷結で終わればそれでよし、終わらなかった場合は轟が竜崎を、そして俺が葉隠を見る。俺はこの対戦中、一度たりとも葉隠への警戒を緩めてはいない…確保テープが一人でに動くのが見えたからな」
「なんだってー!」
「…下手に動かないでくれ。色々と困る」
手袋もブーツも脱いだ完全透明体の葉隠に対し、持っているテープを目安に複製腕で覆い被さるように拘束する障子。
な、なんて矛盾。気づかれずに近づく為には服すら脱がなければならない葉隠、ただし確保する為にはテープが必要…
しかし視覚にインパクトを与えるバルファルクに加えてあれだけ状況を掻き乱してやったのに、小さなテープ一つ見逃さないとは…ぐぬぬ。そして障子が紳士で本当に良かった。手を掴むだけでなるべく葉隠との身体的接触を避けている。お前…ほんと良い奴だな…
その後、葉隠への警戒を解いて俺に注力する轟にあえなく敗北し、さっさとテープを巻かれた。俺と戦いながら葉隠も警戒してたのねあなた…
『ヒーローチームWIN!!』
ああ楽しかった。けど葉隠に申し訳ない…
※
「やられたぜ障子、まさかああも冷静に対応されるとは」
「轟がお前を抑えてくれていたおかげだ。それに確保テープがあったから気付けただけだ、一戦目の麗日同様、反則勝ちだと思っている。講評でも指摘されたからな」
「それでもすごいよ!私絶対捕まえたって思ったもん!」
あの後、轟に氷を溶かしてもらってモニター室へ戻った。その道中、突如として火蓋が切られた俺と葉隠の謝罪合戦はオールマイトから止められた。いやだって、どう考えても個性の習熟が甘い俺が足を引っ張ったし。この頃の轟は炎を封印してるから、あのまま戦い続けられていれば勝機は全然あったし。別に俺は負けたけどバルファルクは負けてないし?
ちなみにだが、再変身にかかる時間は場合によって違う。活動時間40秒をフルに使って限界が来て強制的に個性解除された場合が大体5秒とかそんなもんで、俺が任意解除した場合はほんの2、3秒で再変身が可能となる。あの時は葉隠の接近を障子に気付かせたくなかったから、音を立てつつ二人の視線を俺に向けるために暴れたが。冷静さを保つって強いわ。
今は教室で切島発案の反省会中だ。言わずもがな俺はこの空間にいるだけで幸せです。
「なあ竜崎、お前の個性すっげぇかっこよかったぜ!なんて名前なんだ!?」
「あ!それアタシも思った!強そうだったもんねえ」
爆豪は何も言わずに、轟は用があるとかでさっさと帰った。下手に事情を知ってる俺は爆豪を引き留められず、めっっっっっちゃ我慢して見送った。立ち直らせるのは緑谷だ、俺じゃない。ああ早く爆豪と友達になりたい。かっちゃんかっちゃん言って纏わりつきたい…!
轟がいないので障子&葉隠と三人で反省会をしていたら、切島と芦戸が話に乱入。ちなみにみんなと自己紹介は済ませてある。だいぶ幸せの濁流にも慣れてきたぜ。
しっかしそっかー気になっちゃうかー分かっちゃうかーバルファルクの良さが!好きになっちゃったかなぁまあそれも仕方ないよなバルファルクだもんなぁ!!!
「ふっふっふ、気になるなら教えてあげようお二人さん!俺の個性、その名もバルファルク!!最高にかっこいい、古龍の名だ!!」
「おお!何か知らねえけど響きが漢だ!!」
「おおー!…古龍ってなに?ていうかあの姿って龍なの?」
「りゅ、龍です!全然龍っぽくない生態してるけどちゃんと古龍のカテゴリにいます!俺が未熟だから飛べないだけで!信じて!」
モンハンの世界って結構適当だけど!「なんかよく分からんけど強いし古龍にしとこか」みたいな分類の仕方よくするけど!バルファルクの名前の由来に隼とか使われてるけど!俺は龍って信じてます!だってその方がかっこいいし!!
必死に古龍とは何なのか、バルファルクとは何なのかをモンハン知らない民にも分かるように説明するが、「よく分からないけどかっこいいイェーイ」みたいなテンションにぐぬぬしていると、怪我が完治しきっていない緑谷が教室にやってきて芦戸も切島もそちらに流れていってしまった。
バルファルクは孤高の存在、理解できないのも仕方のないことさ…いずれ分からせてやる…!
その後声は聞こえなかったが、校門付近で繰り広げられた爆豪の決意表明を窓から見ることに成功した俺のテンションゲージがオーバーリミットしたことは言うまでもない。