ボツルート プロローグ
ファンタジー世界に転生し、なんとか元の世界の並行世界に再転生できた。
やはり文明。文明は正義である。
途中忍者の世界も経由したし、それはそれでよかったけど。
俺は大学生の兄の陽太と中学生の弟の星矢を弟子として、俺、月也は高校生活をエンジョイしていた。
再転生の際に、ファンタジー世界と忍者世界からアフターフォロー万全の状態でいくつか魂を連れてきている。魂達は5才で記憶が、10歳で能力が、15歳でアイテムが解放されるように調整してある。連れてきた、もしくは力を渡した人物は厳選したいい子達で、犯罪などには力を使わないと信じている。ちなみに20歳で2022年になるように調節してある。
2022年には趣向を凝らしたパーティーをする予定で、それは伝えてある。それに最低2022年までの共同体加入義務もつけている。
忍者の皆さんは烏夜衆、魔法使いの皆さんは魔道士協会日本支部。
それぞれの掲示板を見ているだけでとても面白い。腹の探り合いや自慢、愚痴、教え合いなどなど。
共通しているのは、2022年に対する警戒である。
ふふふ、期待されると頑張りたくなっちゃう。2022年にする事と東京という場所だけ予告しているので、さぞかしドキドキしている事だろう。何せ全員東京から引っ越したほどだし。
ハロウィンの日を楽しみにしていろよ!
2017年。アイテムが使用可能になり、掲示板がざわめいている時に、俺は兄の独り立ちを宣言した。
ひとまず大学をお試しでテリトリーにする事にしたのだ。この世界で魔法や忍術を習得できるようになるにはアイテムが必要なので、必然的に現地人の弟子第一号であり現地の一人前の魔道士兼忍者第一号だ。
兄は表舞台に出る気割と満々なので、サークルも魔法忍術研究会でそのまま弟子取りもする予定である。
時期は学園祭に合わせた。それなら希望者がテリトリーを見学できるからな。
弟子予定者を中心に、テリトリー見学の希望者は多かった。
前日24時、早速兄はテリトリーを広げ、俺と弟は見物をした。
テリトリーを広げて早々、兄の陽太は血相を変えて移動した。
俺達も追いかける。異様な気配がする。
大学の地下にいたのは、蜘蛛と人を混ぜたような化物だった。人が縛られて触手のようなもので襲われている。便宜上アラクネと呼ぼう。まあ、絵面は完全にエロゲに出てくる変態触手なんだけど。
他にも犠牲者は何人かいて、あー。男女関わらず「穴」に卵を植え付けられている。メスがうみつけた「穴」に、オスが突っ込んで精子を放っている。この世界はエロゲだった?
『おや。迷い込んじまったのかい? あんた達も苗床にしてあげようねぇ』
「逃げろ……」
「そうはいかない。ここは今日から私の縄張りでね。服従か死か選んでほしい」
『妖力の欠片もない癖に、面白いことを言うね。本当に今日は口ばかりの者が多い』
「エネルギーボルト」
簡易魔道弓を使い、アラクネに向かい攻撃。しかし妖力か。
指輪が二つついたような見た目で、中指に片方の輪を通し、もう片方を引っ張って合言葉を言うだけで魔力で矢を形成するという親切設計である。ちなみに12本同時形成。
弟の星矢は戦いの様子を魔道掲示板にあげている。
掲示板はこちらの世界にもいた不思議生物に大盛り上がりである。
買い取りたいという者まで現れた。
アラクネ達が軽く弾き飛ばそうとして逆に腕や首を吹っ飛ばす。
『な、なんだい、これは!? この男といい、妙な術を使うね!』
「君はどうやら高値で売れるらしい。あまり傷をつけずに殺したい。動かないで」
『抜かせ!』
糸を飛ばしてくる蜘蛛だが、軽く振り払う仕草をするだけで風が吹き糸が吹き飛ばされる。
兄は相手に肉薄して、生き残ったメスの胸に短剣を深く刺した。
魔物はあっさりと息絶えて、一番高値をつけた魔術師に魔道掲示板越しに販売された。
「さっきの力は一体? 霊力は感じなかった」
戸惑っている襲われていた人。霊力? ってのも興味はあるが、それより治療である。
貞操はなんとか無事なようだが、腕をちぎられてるな、かわいそうに。兄は迷わず回復させるようだ。
「星矢。治療するから記録止めて」
「はーい」
ということで、被害者を探し出し、怪我の治療をして、中の卵を掻き出して、子蜘蛛を売り捌き、残りは焼き払った。卵液やオスの精子にはえっちな気分になる成分が入っていたらしく、治療がクッソ大変だった。水魔法で中を洗い流し、浄化の魔法と解毒の魔法と鎮静の魔法を掛ける。
「君はいったい誰なんだ?」
「魔道士協会日本支部のメンバーであり、現代の忍者烏夜衆のメンバーでもある」
「は? 魔道士?」
「信じてくれなくても構わないよ。魔法使いも忍者もとても少ないからね」
「いや、信じる。俺は陰陽寮の遠宮 遥。ここへは、除霊に来た。ああいうの増えてんだ。霊なんかじゃあり得ない化物」
「よくわからないけど、霊能力で倒せるものなの?」
「無理。でも異形の対策となると、どうしてもこっちに来て、困ってる」
「ふむ……。それは大変だろう。君達は公的機関なのかな?」
「一応は」
「幽霊の対応は難しいけれど、あんな感じの化物なら私達にも対処できそうだ。何せ小さな団体で、資金もなくてね。血気盛んな方も居られるし、匿名性を守って報酬さえ出してくれるなら、誰かは受けてくれると思う。身を守る道具を売ってもいい。どうかな?」
「すぐ上に相談する」
「説明するにも何か必要だろう。この簡易魔導弓をあげる。私の魔力を流してあるから、五発は撃てるはずだ。ああ、私と連絡を取れる鈴もあげよう」
「いいのか? 高価な物じゃないのか?」
「何、単なる営業さ。あとは子供がしていい仕事じゃないからね。年上としてちょっとした手助け。がんばったね」
「……ありがとう。俺、本当は怖くて。でも友達は守んないとって」
「えらいね。もう大丈夫だよ」
兄は少年を慰めた。そりゃ泣いてもしょうがないよな。あんな化け物と戦えなんてふざけんなって感じだ。
その日の夕方には、もう兄はお呼ばれして部室で会うこととなった。
俺と星矢も後ろに控えている。綿飴うまい。
「対異形の依頼を肩代わりしてくださるとか」
「除霊は出来ないからね?」
「こちらそちらに回したい依頼ですが、どんなものでしょうか。後、どちらのジャンルかペアで調査に向かう依頼もしていただきたく思います」
ドンっと書類が置かれる。
兄は書類をどんどん両掲示板に流していく。
「これは来週中には、これは今晩、これは……」
メンバーは転生したばかりでお金が欲しかったというのもあり、あっという間に依頼は分配されていった。
「報告書は私が回収してお渡しします。その時、料金も受け取るということで。手数料は一件一万でお願いします。繰り返しますが、除霊は出来ないので、それっぽかったら差し戻させていただきます」
「それは構いません、ところでこれを機に自衛隊に対異形部門を設立したいと思うのですが、それは可能でしょうか? 対異形の先駆者からお話を伺いたいです」
「うーん。鍛えるのは良いですけど、この世界、才能が物を言うのはわかっていただけますよね? 魔術や忍術に適応できるのは僅か、一般的な訓練でも対異形となるとめちゃくちゃ大変ですし」
「それでも国民を守らなければなりませんから。アドバイスなり訓練なり、ぜひ試させてほしいです」
「法律面での便宜とお金で請け負いますよ。相手が国なら悪用される可能性も低いですし、学生よりも自衛隊や警察を防衛に充てる方がマシでしょう」
ということで、師匠も公募する。
師匠になりたいメンバーは何人もいるのだ。
施設がほしいメンバーだって多い。
話はかなりスムーズに進んだ。
自衛隊基地にダンジョンを建設して、そこを訓練場とした。
霊能者達も除霊任務に容赦なく異形討伐が混じってしまうので一緒に訓練する。
素人には違いがわからないらしい。明らかだと思うけどなぁ……。
そして、2018年10月1日。
日本は異形や霊障問題について公表し、それに対抗する特殊部隊ヒーローズを設立した事を公にした。
今まで隠してきた巨額の経費をこの際正式に計上しよう、ついでに増額しよう、という事だったが、当然大騒ぎになったのだった。
どちらの話の方が良さそうですか?
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