闇鍋!   作:かりん2022

5 / 8
具材:忍者

幼い時から訓練漬けで、子供の頃から戦場に出て、そして死んでいく。

それが当たり前だと思っていた。

 

『なあ、■■。もしも平和で戦争も殺し合いもない国に生まれたらどうする? 忍者の技術は伝統芸能って事で教えたりとかしてさ。宙返りするだけで皆がすごいすごいって手を叩くの。子供の時は毎日楽しく遊んだり本を読んで、大人になったら適当に働いてさ。たまに美味しいものを食べたりして』

 

ーー想像できない。

 

『想像しろよ。そしてそれを望むなら、俺と契約をしろ。この里を、世界を捨てて、俺について来い。そうだな、名前は烏夜衆。いい名前だろ? 俺達は烏夜衆として再出発するんだ』

 

ーー里抜けは殺されるぞ。

 

『生まれ変わった後の話だから問題ねーよ。想像だけなら自由だろ? それで、20歳の時にパーティーをするんだ。凄くでかい祭りだ。大祭だ。楽しみにしてろよ。東京で、20歳の時だ。忘れるなよ。夢の代償は』

 

ーー生まれ変わったら……そうだな。でも平和な世界での振る舞いなんてわからないから、その時は、いろいろ教えてくれ。

 

 そうして、死んで。生まれ変わって。

 俺は確かに平和な国に生まれていた。

 

 5歳になって、毎夜前世の夢を見るようになって。

 俺は両親に縋りついた。日々怯えた。この幸せすぎる毎日が、泡のように消えてしまうのではないかと。

 

 10歳になって、忍力が渦巻いた。前世よりも多いくらいだった。

 過去が追いかけてきたんだ。前世からの因縁が、俺を捕まえにきたんだ。ひどく恐れた。

 そして、頭の中に文字が写った。

 

『烏夜衆掲示板

 1 管理人

 よし、上手く行った。烏夜衆の民さん、全員生きてるようで何より。

 それではお前らの義務を発表します。20歳の時に東京で行う大祭に1時間は参加すること。でないと死にます。

 今から5年後に物資を届ける。10年したら自由にやっていいが、それまで派手すぎる事はするな。大祭に備えて弟子とかを作っておくといいぞ。弟子を作れるようなアイテムを5年後に送る』

 

「???」

 

 俺の頭に過去がよぎった。烏夜衆。大祭。平和な世界。

 

 何人かが管理人に話しかけたがそれきり管理人は黙ったまま。

 それから、俺達は話し合い、俺が頭領に就任し烏夜衆を結成し、忍者教室を開いた。

 

 素質があってこれはという信用できる者に薬剤を使ったら、どういうわけか忍法が使えるようになった。

 異世界で、平和な国で忍者を広める喜び。あの男への畏れ。

 

 この素晴らしい奇跡の代償がどうしても思い出せない。

 

 そして、その日。

 

 異世界からの侵略者ともいうべき化け物が暴れている時、ついにこの時が来たと覚悟した。

 

 あんな殺し合いの日々は二度と送りたくない。送らせたくない。

 この平和な国を守りたい。

 

 だから、我らが侵略者を殺す。

 

 他にもおかしな奴らが来ていて、腑に落ちた。

 きっと奴は、たくさんの世界を巡って魂を集めてきたのだろう。

 

 誰が共に肩を並べて戦おうと関係ない。

 

 我らは我らで敵を倒す。

 

 久々の血は酷く馴染んだ。

 

 忍法で巨大蛙を使役して怪獣と激突する。

 

 日本の子らを、戦場へ送らぬために。我らは、闘う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大祭ではなかったのか。そうだと最初から知っていたとしても戦ったろうが、徒労感は抑えられなかった。

 なんとか撃退し風呂に入って食事をして仮眠をとっていると、案の定政府のものが現れた。

 

「烏夜衆頭領の真也さんですね。お話を伺わせてください」

 

 日本国首相を名乗るその男は汗を拭き拭き告げた。

 

「伝統芸能を大事にする真也さんのお心、素晴らしい物と思います。日本の忍術、是非とも後世に残すべきです。自衛隊には体を動かすのが得意な者達が沢山いましてですね、また日本としても昨今の情勢を考えまして、御庭番の復帰を考えております。給金は、君」

「はい。これぐらいでいかがでしょうか」

「国に仕えるのは構わんが、こんな得体の知れない者を懐に入れるなど、いいのか?」

「逆ですよ。こんな時だから取り込まないと。私はね。戦争なんて真平ごめんです。でもそれには抑止力も必要です。戦争を防ぐためならなんだってやります。よろしく頼みます。この通り」

 

 深々と頭を下げる首相。それは国を守るため。

 

「……私も戦争は嫌いだ」

「では決まりですね! いやー良かった。君、次はどこだね」

「異能者互助会です」

「そうか、それでは、詳しいことは担当者と話してください」

 

 異世界侵略の撃退に大祭。

 考えることは多いが、平和を守る為に、覚悟を決めるべきだろう。

 

どちらの話の方が良さそうですか?

  • ボツルート
  • 本編
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。