ウチのカルデアがなんかおかしい   作:味噌そぼろ

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 朝起きたらカルデアの英霊たちが軒並みヤンデレ気質になっていた模様です。
 解決に急ぐ藤丸に様々なヤンデレ化英霊(サーヴァント)が襲い掛かります。頑張れ!


ウチのカルデアがヤンデレでおかしい
ヤンデレ事変 その1


 「うーん……」

 

 人理定礎修復後、藤丸(ふじまる)立香(りつか)は――――寝ていた。

 ブーディカさんが主宰となって皆でバーベキュー。結局夜通し騒いでそのまま倒れるように眠ってしまったわけだ。

 

 「もう食べられないって……」

 

 夢のなかでも、まだバーベキューをしているのか。藤丸は寝返りをうとうとして――――異変を感じて目が覚めた。

 

 「ん……あれ?」

 

 手足が動かない。動かそうとするとガシャンガシャンと音がする。

 恐る恐る目を向けると、手足がベッドに()()()()()()

 

 「え? ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

 ちょうどベッドの上で大の字になるように手足が鎖で繋がれていた。あまりの出来事に脳が追い付かない。

 

 「誰か、誰か助けてくれ!」

 

 助けを呼ぶと、聞きなれた声がした。

 

 「ふふふ、かわいいですね、先輩」

 

 声の主はマシュ・キリエライト。彼女は藤丸を先輩と呼ぶが、藤丸にとっては頼りになる相棒と言ってもいい。

 

 「ああ、マシュか。助かった……解放してくれ」

 「なに言ってるんですか先輩、これでずっと一緒にいられるんですよ?」

 「へ?」

 

 助かったと思った矢先にこれである。ウチのマシュってこんなにヤンデレ気質だったっけ?

 

 「ほら先輩、もっと嬉しそうにしてもらわないと、私の苦労が報われないじゃないですか」

 

 どうやら、マシュは本気らしい。

 だが、藤丸はこんな関係は望んでいない。人間同士だろうが、マスターと英霊(サーヴァント)だろうが、信頼関係を築くことが重要である。こんな、物理的に相手を縛り付けるようなことをして、どうして信頼が築けようか。

 

 「嫌だ! マシュ、お前はそんな子じゃなかっただろう! 誰か、本気で助けてくれ! マシュがおかしくなった!」

 

 必死に叫ぶ藤丸。誰に届くかも知れない悲痛な叫びをあげる。

 

 「先輩……私の事嫌いになったんですか? あんなに一緒にいたのに? 他の子に(うつつ)を抜かすんですか? ……もういいです、先輩。私のものにならないなら――――」

 

 マシュが足元にあるなにかを拾おうとしている。不味い。多分、アレは不味い。

 藤丸が諦めかけた時、どこからか声がした。

 

 “解体するよ”

 

 直後、自身を縛り付けていた鎖が切断される。

 

 「助けに来たよ。おかあさん(マスター)

 

 助けに来たのはジャック・ザ・リッパー。物凄く頼りになる(こわい)英霊(サーヴァント)である。

 

 「ありがとうジャック。助かっ――――」

 「じゃあ、おかあさん(マスター)の中に還るね」

 

 安堵から一転、ナイフを自分の腹部に突き立てるジャック。完全に殺りに来ている。

 

 「れ、令呪! 『止まれ、ジャック』!」

 「ッ! おかあさん(マスター)、どうして……」

 

 藤丸が使った令呪は英霊(サーヴァント)に対する絶対命令権、今命じた強制停止だけでなく、空間転移や魔力のブースト、果ては自害さえも命令できる、たった三画の命綱。カルデアのマスターたる藤丸には一日に一画は補充されるとはいえ、その貴重な一画を消費してしまった。

 しかし、命には代えられない。ジャックが身動きを取れなくなった隙に、部屋から飛び出した。

 

 「あ! 先輩……」

 

 マシュが追ってくる前にどこかへ逃げなくては。

 

 

 

 

 一心不乱に走っていると、誰かに手を引かれた。

 

 「え、あ。…誰?」

 「……トロイア……」

 

 声の主はヘクトール。トロイア戦争の大英雄で、こと防衛戦においては右に出るものはいない。敵同士だったこともあるが、今では頼れる――――

 

 「今までどこ行ってたの、トロイア。オジサンのトロイア……」

 「あ、ヘクトールもそんな感じなの!?」

 「トロイアはそんなこと言わない……」

 「まぁ都市ですし――――」

 

 いちいち返答していたら、腕をつかむ手に力を込められた。

 

 「痛ッ! は、離してくれ!」

 「…こりゃあ、『躾』が必要かねぇ…」

 

 どこかへ連れていかれる。

 藤丸は恐怖のあまり目をつぶった。

 その時だった。

 

 「手を放せ! ヘクトール!」

 

 英霊(サーヴァント)が一騎、二人の間に割って入った。

 

 「デ、デオン!?」

 「助けに来たよ、マスター」

 

 その真名はシュヴァリエ・デオン。文武両道、かつスパイから竜騎兵連隊長までこなした、フランスを代表する英霊(サーヴァント)である。

 

 「デオン、てめぇ……」

 「さぁ、下がれヘクトール。マスターは渡さない」

 

 デオンの気迫に圧倒されたのか、あるいはそういう戦術なのか、ヘクトールは霊体化し、何処かへ行ってしまった。

 デオンと二人、取り残されてしまったが、不安は消えない。デオンもヤンデレ気味になっているかも知れない。

 

 「災難だったね……どうかしたかい? マスター」

 

 デオンはマスターを気遣う素振りを見せる。他の英霊(サーヴァント)達とは違い、特に性格の変化はなさそうだ。

 

 「デオン、デオンは普通だ! 怖かったよデオンー!」

 「ど、どうしたんだいマスター、急に泣き出して…」

 

 いきなり泣き出す藤丸に、デオンも困惑した。藤丸は彼(もしくは彼女)に、今日起きたことを説明した。

 

 「なるほど…今日は英霊(サーヴァント)の皆がおかしかったのは、君に対する愛情、友情が歪みだしたため…ということか」

 「デオンは今まで通りみたいだけど…あ、『自己暗示』か」

 

 スキル『自己暗示:A』。デオンの持つこのスキルは、ほとんどの精神干渉をシャットアウトする。おそらく、このスキルのおかげでヤンデレ化を免れたのだろう。

 

 「原因を突き止めよう、デオン。マシュのあんな姿はもう見たくないし、ジャックはいつもより怖いし…早く解決しないと」

 「同感だ、マスター。協力させてくれ」

 

二人は互いに頷きあい、解決に向けて走り出した。

 

 




 次回投稿は未定です。こんな感じで短めに進めていけたらいいなと思っています。
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