ウチのカルデアがなんかおかしい   作:味噌そぼろ

17 / 18
モテモテ事変 その5

 英霊(サーヴァント)達の猛攻を退けた藤丸とスカサハは、手をつないで夕暮れの浜辺を歩いていた。

 

 「思えば、こうして二人でいられるのは初めてだな」

 「そう、ですね……」

 「どうした? 緊張しているのか?」

 

 終始ぎこちない様子の藤丸だが、やはり年頃の少年にとって容姿端麗なスカサハの水着、それも手つなぎ浜辺デートとなれば緊張もしてしまうだろうか。

 

 「そりゃあ、緊張しますよ、師匠、お綺麗ですし……」

 

 藤丸はぎこちなく言葉を紡いだ。

 率直な感想だった。

 

 「嬉しいな、お前からそう言われるのは」

 「俺も……」

 

 藤丸は返答しようとしたが、言葉を詰まらせてしまった。言葉が見つからなかったのかも知れない。

 スカサハもそれ以上追及はせず、二人は手をつないだまま、静かに浜辺を歩いていた

 

 

 

 

 

 レイシフトを終えたマシュ、デオン、クーフーリンはエレナたちと合流を果たした。

 

 「それで、宝具ごと撃ち抜かれて見失った、と……」

 「そうなのよ……」

 

 エレナの宝具『金星神(サナト・)火炎天主(クマラ)』は円盤型の飛行宝具である。

 空中からビームを発射したりキャトったりする対軍宝具である。

 強力な力を持つが、スカサハの持つ必殺の槍の前ではなすすべも無かった。

 

 「それで、今先輩たちは何処に……?」

 「そうねぇ……走っていった方角から考えると……浜辺の方に向かって行ったと思うけど」

 

 エレナは藤丸たちが向かった方向を指さした。

 

 「でも不思議よね、皆急にリツカ君とデートしようだなんて……」

 「あぁ……」

 

 元凶の正体を伝えるか迷ったが、今は藤丸の事が先だ。何より、正体を教えればブチ切れて何をするか分かったものではない。

 マシュたちはエレナの指した方向へ向かい、藤丸たちを追いかけ始めた。

 

 

 

 

 「リツカ、夕日が綺麗だな」

 「……ですね」

 

 沈む夕日を見ながら、藤丸とスカサハは二人並んで座っていた。

 

 「普段はあまり見る余裕もなかったからな」

 「確かに……思えば久しぶりですね。こうやって夕日を眺めるのは」

 

 藤丸は夕日を眺めた後、スカサハの方を見た。

 夕日に照らされた彼女の横顔が美しい。

 

 「どうかしたか?」

 「い、いえ、師匠、お綺麗だと思って……」

 

 赤面する藤丸。一日のデートでは、やはりまだ慣れないらしい。

 

 「ずっと緊張しっぱなしだな」

 「そうは言っても……」

 「良いんだ」

 

 スカサハは静かに笑う。

 

 「君が十分話せるようになるまで、気長に待つよ。時間はたっぷりあるんだ」

 「あ……ありがとうございます」

 

 ……それから、しばらく時間が経過した。

 夕日はまだ顔をのぞかせている。そう長くはない時間だったかも知れないが、藤丸には長く感じられた。

 

 「……師匠」

 「どうした?」

 

 藤丸はスカサハの顔を見た。それに合わせてスカサハも藤丸に目を合わせる。

 

 「師匠、ずっと頼りになって、お綺麗で……その………………俺、師匠が好きです!」

 

 真っ直ぐに本心を伝えた藤丸に、スカサハも満足そうだった。

 

 「そうか、お前の気持ちはよく分かった」

 

 スカサハは体を藤丸の方に向け、顔を少し近づけた。

 

 「目を閉じてくれ、リツカ……」

 「ッ!? ……は、はい……」

 

 藤丸は静かに目を閉じた――――

 

 ――――

 

 ――――――――

 

 ――――――――――――――――

 

 ――――――――――――――――――――――――

 

 「……リツカ?」

 「……ふぁい?」

 

 急に名を呼ばれ、目を開ける藤丸。

 スカサハのキョトンとした顔が目に入った。

 

 「どうしたんだ、リツカ。そんな変な顔して」

 「え……あの、師匠?」

 「なんだ?」

 「……デート、なんですけど……」

 「らしいな」

 「もしかして……さっきまでのこと……」

 「覚えてるぞ?」

 「……え」

 「……そういえば、なんで急にお前とデートなんか……何か知らないか?」

 「――――う、」

 

 藤丸はついに泣き出してしまった。

 

 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!! 師匠のバカァァァァ!」

 「お、おい待て! 何か知ってるのか!? お~い!」

 

 逃げる藤丸と追うスカサハ……それを、遠くからマシュたちが眺めていた。

 

 「……いいとこ、邪魔しちまったかなぁ」

 「良いんです、先輩ったら、私というものがありながら……」

 「ま、まぁ、これで元通りになるわけだし……」

 

 夕日が沈むまで、追いかけっこは続いていた。

 

 

 

 

 

 レイシフトから全員が帰還し、しばらくした後、マイルームにて藤丸とマシュは話していた。

 

 「……で、全ての元凶たる黒ひげさんは?」

 「独房入りです」

 「そうか……」

 「センパイ」

 「はい?」

 「貴方には私がいるのですから、他の方に現を抜かすのはぜっっったいに辞めてください」

 「はい……」

 

 いつになく熱心に説教するマシュ。頬を膨らませてプンプン怒っている。

 

 「今日はもういいです。次は私とデートしてくださいね」

 「はい……って、次?」

 

 藤丸が突っ込むと、マシュは急に顔が真っ赤になった。

 

 「つ、次ったら次ですッ!」

 

 速足で部屋から飛び出すマシュ。

 部屋に一人残された藤丸は、ベッドに仰向けになった。

 

 「なんだよ、皆急に『デートしよう』なんて言ったくせに……」

 

 藤丸から見れば、一度にたくさんのお誘いが来ていたのにレイシフトから帰ってきたらいつも通りに戻ってしまっていたのだ。唯一いい感じだったスカサハとも途中でおしまいだった。

 

 「……せっかくなら、みんなとデートしたかったなぁ」

 

 藤丸はその後、妄想に(ふけ)るばかりだった。

 

 

 




 番外編、これにて終了! ありがとうございました!
 5話までかかっちゃったよ!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。