ウチのカルデアがなんかおかしい   作:味噌そぼろ

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 藤丸立香やカルデアを取り巻く様々な異変には、必ず彼をサポートする英霊(サーヴァント)の存在があった。
 そんな英霊(サーヴァント)が不在の時、彼はどう立ち向かうのか……。


最終章・ウチのカルデアが無人でおかしい
カルデアに誰もいない日 その1


 前回の異変解決からしばらく経ったその日、藤丸(ふじまる)立香(りつか)は――――眠れなかった。

 厳密には寝ていたのだが、中々寝付けず、睡眠の開始が遅くなってしまったのだ。

 というのも、度重なる異変に対してカルデアが迅速に対応できるように訓練を重ねていたのだが、昨日はハッスルしすぎてしまったのだ。おかげで貴重な令呪はもう一画も残されていない。

 そのせいで寝る時間になっても中々臨戦態勢から神経が落ち着かず、且つ大量の睡眠時間を必要としてしまったのだ。

 単に遅起きになるならまだいい。問題は後輩(マシュ)のモーニングコールを寝過ごしてしまったことだ。疲れていたとはいえ、何を言われるかわからない。

 

 

 「ごめんマシュ……あれ?」

 

 藤丸は通信記録からマシュのモーニングコールの履歴を調べたが、今朝の記録にマシュからの通信はなかった。

 

 「……何か、あったのかな……?」

 

 しばらく異変が起こっていなかったこともあり、そろそろ異変があると思っていたが、まさかマシュの身に何かが……。

 

 「誰か……デオン! デオン、いるか!?」

 

 藤丸のマイルームに入る権限を持つデオンの部屋には、直接連絡を行えるようになっている。

 だが、デオンからの応答は無かった。

 

 「まさか……皆!?」

 

 藤丸はいてもたってもいられず、部屋を飛び出しそうになっていた。

 しかし、藤丸の部屋の扉が開いた時、来客が胸に飛び込んできた。

 

 「フォォォォォォウ‼」

 「おわぁ!」

 

 衝撃で仰向けに倒れる藤丸。胸の上には、よく見知った存在がいた。

 

 「フォウくん!?」

 「フォウ、フォーウ!」

 

 現れたのはフォウ。ただのネコと思うなかれ、藤丸にとっては命の恩人(恩猫)に近しい猫なのである。

 

 「フォウ君は無事か、良かった……あ、そうだ!」

 「フォーウ?」

 

 藤丸の顔を覗き込むように見ていたフォウは首を傾げた。

 

 「フォウ君、一緒にこの異変を解決しようよ!」

 

 唐突な決断だったが、藤丸に精神的な余裕が生まれた証拠でもある。

 いつの間にかいることが当たり前になっていた英霊(サーヴァント)達が消え、焦燥感に支配されそうになっているところにフォウが来てくれたのだ。安心感は凄まじかっただろう。

 何より、異変解決には相棒(パートナー)となる存在が不可欠である。

 

 「フォウ!フォウ!」

 

 フォウは藤丸から降りて走り回った。『OK』ということだろうか。

 

 「よし! そうと決まれば――――」

 

 藤丸は勢いよく立ち上がった。もはやその瞳には不安も迷いもなかった。

 

 「――――しらみつぶしだぁぁぁ!」

 「フォーウ!?」

 

 勢いよく飛び出した藤丸を、フォウは困惑と驚きと共に追いかけた。

 

 

 

 

 

 藤丸が最初に訪れたのは、英霊(サーヴァント)召喚室だった。

 藤丸のいるカルデアにおいては、英霊(サーヴァント)を召喚する場合にはこの部屋で行うようになっている。

 当然、レイシフトの最中に召喚することもあるが、カルデアにいるときは決まった場所で召喚しているようだ。

 

 「思えば、ここで俺がマスターになったんだよな……」

 

 藤丸は、その当時の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 『英霊(サーヴァント)の召喚、緊張するよなぁ……』

 『先輩なら、きっと大丈夫ですよ』

 『でも、どんな英霊(サーヴァント)()ばれるのかわからないんだろ?』

 『どんな方が()ばれても、きっと先輩の味方をしてくれますよ』

 『……もっと気楽にってことか?』

 『はい! その方が先輩らしく――――』

 『よし! じゃあガチャ回すつもりでやるぞ~』

 『ガチャ!?』

 

 俺が詠唱を済ませると、魔法陣は眩く光を放つ。

 『ガチャ』なんて言ったが、そんな気やすいものではなかった。

 俺の目の前に現れるのは、一時代を築き上げた英雄なのだから――――

 

 『やりました先輩! 召喚成功です!』

 『き、来たか!? 英霊(サーヴァント)――――』

 『私の真名()は、シュヴァリエ・デオン! フランス王家と君とを――――』

 『かわいい!!』

 『え』

 『え』

 

 俺は、英霊(サーヴァント)召喚の緊張と興奮でおかしくなっていたようだ。初対面の英霊(サーヴァント)になんてことを……。

 だが俺の目の前に現れた英霊(サーヴァント)は非常に外見が優れている。そんな彼(彼女?)を言葉で表現するのに、最も適した言葉が咄嗟に出たのだ。後悔はない。後輩の視線も英霊(サーヴァント)の――――デオンの視線も冷ややかだが、俺に後悔など、ない。

 

 『へへっ、お呼びとあって参上したぜ! 何を隠そうこの俺は光の――――』

 『先輩! いきなりそんなこと言ったら混乱されてしまいます!』

 『でも……でもかわいいじゃないか!』

 『そんな! 私だってかわいいです!』

 『マシュ!?』

 『え、あ、これはその……』

 『き、君たち、大丈夫かい? その……頭とか』

 『毒吐かれた!?』

 『も、もしかして私も入ってる!?』

 『ちょっと、無視!? 一応俺も呼ばれたんだけど!?』

 

 あの時は騒がしかった。初めての英霊(サーヴァント)召喚に緊張していた自分が馬鹿らしくなる。

 今にして思えば、あの時召喚出来たニ騎――――デオンとクーフーリンがずっと俺たちを支えてくれたんだ。

 

 

 

 

 「フォーウ?」

 

 思い出に(ふけ)っていた藤丸の意識を、フォウの鳴き声が連れ戻した。

 

 「あ……ごめん、ここにはいないみたいだね。次の部屋を探そうか」

 

 二人は、次の場所へ歩き出した。

 

 

 




大変長らくお待たせいたしました。
最終章のつもりで書いています。
次回もよろしくお願いします。
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