ウチのカルデアがなんかおかしい   作:味噌そぼろ

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 ヤンデレ化の原因は、バーベキューのお肉が海魔だったから。
 キャスター達の協力もあり、いよいよ解決へ向かう此度(こたび)の事変。
 しかし、藤丸達の前に、さらなるヤンデレ(?)英霊(サーヴァント)達が立ちはだかる――――!!


ヤンデレ事変 その3

 藤丸とデオンはブーディカさんの部屋へ向かっていた。

 

 「思ったより早く解決しそうで良かった……」

 「キャスターの皆には、ちゃんとお礼を言っておかないとね」

 

 リラックスムードで話す二人。

 しかし、災難は突然降りかかる。

 

 「フハハハ! 探したぞリツカ!」

 

 現れたのは慢心王、もとい英雄王ギルガメッシュ。あらゆる宝具の原典を所有するトンデモ全身金ピカ英霊(サーヴァント)である。

 

 「お前は(オレ)の寵愛を受けるにふさわしい。ちょうどウルクの人理も修復したところだ。今からでもレイシフトすれば、二人だけの国が創れるぞ。どうだ、これ以上ない幸福であろう!」

 「嫌だ! 俺はカルデア(ここ)が好きなんだ!」

 「なぜ拒絶する? (オレ)とお前、それ以上に必要なものがあるか?」

 「――――みんな、必要だ」

 

 藤丸にとって、カルデアの皆はもはや家族と言っても良かった。

 共に苦難を乗り越え、喜びも悲しみも分かち合った家族――――それが、藤丸の、カルデアへの想いである。

 

 「そうか……だが、何度言い間違えようと、(オレ)は許そう」

 

 そういってギルガメッシュは宝具を展開した。

 『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』。ギルガメッシュが所有する財宝が保管されている宝物庫。そこから武器を射出するという豪快で反則級の宝具。

 現出させた武器は二挺。直撃させる気はないのだろうが、それを躊躇(ちゅうちょ)なく射出する。

 

 「下がって、マスター!」

 

 藤丸の前に出たデオンは、美しい剣技でもってそれらを切り伏せた。ドレスを着た状態で、当時イギリス最高と言われた剣士にフェンシングで勝利したという逸話もある彼(彼女)の腕前は伊達ではない。

 

 「おのれ……我が婚儀を邪魔立てするか、雑種!」

 「婚儀って……」

 「(オレ)は王の中の王! 性別など些細な問題に過ぎん!」

 

 デオンは心の中で賛同した。男としても女としても、フランス王家に忠誠を誓った彼(彼女)にも通ずるものがある。

 ツッコミを入れた藤丸も内心納得しかけた。なるほど、これが王の器(カリスマA+)というものか――――。

 

 「でも俺はここが――――」

 「(オレ)をあまり待たせるなよ、藤丸」

 

 死角から鎖が射出された。その鎖は藤丸を絡めとり、デオンからギルガメッシュの側へと引き離した。

 『天の鎖(エルキドゥ)』。ギルガメッシュの友の名を冠するこの鎖は、あらゆる神性を繋ぎ止め、離さない。神性を持たないものにとっては頑丈な鎖程度の強度しか持たないが、ただの人間(藤丸立香)相手なら十分過ぎるほどだろう。

 

 「ぐっ……ギルガメッシュ……!」

 「マスターを離せ!」

 

 鎖を断ち切ろうと突進するデオンに、さらに武器を射出し足止めするギルガメッシュ。いくら廊下で展開できる『砲台』の数に限りがあろうとも、宝具の厄介さに変わりはない。

 

 「今は精神(こころ)は支配できなくとも、体さえ支配してしまえば、それも時間の問題……白百合の騎士よ、貴様も自覚しているのではないか? 藤丸と過ごした時間、その愛おしさ、尊さを、そしてそれを独占したいという己の欲求を!」

 「そ、それは……」

 

 デオンは自己暗示のスキルでそれを抑えているに過ぎない。そのタガが外れれば、他の英霊(サーヴァント)と同じようにヤンデレ化してしまうはずだ。

 

 「己の欲望に従うことの何が悪い?! 雑種、貴様もそれに従え。そして(オレ)から藤丸を奪って見せるがいい」

 

 出来るはずがない――――藤丸はそう思った。

 デオンの剣技はカルデアにいる英霊(サーヴァント)の中でも指折りだ。しかし、ギルガメッシュはそれすらも凌駕するほどの物量を誇る。

 しかもまだ切り札――――『天地乖す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』すら抜いていない。対界宝具の真名解放による一撃の前では、デオンの剣技など無力だろう。

 しかし、藤丸にもまだ切り札がある。

 

 「令呪を持って命じる!」

 「マスター!?」

 「藤丸、何を――――」

 

 ギルガメッシュは確かに言った。『藤丸()と過ごした時間、その愛おしさ、尊さ』と。ならばカルデア(ここ)に来て時間がまだ短く、ギルガメッシュに縁深い英霊(サーヴァント)を――――

 

 「『来てくれ! エルキドゥ』!」

 

 藤丸の呼んだエルキドゥは、条件に最も適した英霊(サーヴァント)と言っていい。まだカルデアに召喚されてから日が浅く、まだ研修中である。ヤンデレ化しているとしても、その矛先は藤丸ではなく、ギルガメッシュに向くだろう。

 

 「やぁ、いつぶりかな? ギルガメッシュ」

 「エルキドゥ……」

 

 明らかに表情が変わるギルガメッシュ。呼んだのはどうやら正解だったらしい。

 

 「ギルガメッシュ、もう僕に飽きちゃったのかい? あんなに激しく()し合ったのに? 僕が――――僕が『人形』だから?」

 

 藤丸を捉えていた鎖が消える。ギルガメッシュの意識がエルキドゥに向いたせいだろうか。

 

 「おのれ……我が友を盾にする気か、見損なったぞ藤丸。我が寵愛に値するといったあの言葉、貴様の死をもって撤回させてもらう!」

 

 再び『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』を展開、標的は藤丸立香。

 だが、今度はエルキドゥが藤丸の身を守った。

 

 「……藤丸君にも話があるのなら、まずは僕と決着(はなし)をつけよう。ギルガメッシュ」

 

 ギルガメッシュと藤丸の間に入ったエルキドゥの顔は不気味にほほ笑んでいた。

 かつての友との『愛』を懸けた戦いに心を躍らせているのだろうか。

 

 「さぁ、デオンは藤丸君と行ってくれ。僕が用があるのはギルガメッシュの方だ」

 「……あぁ、感謝する」

 

 デオンは藤丸を連れ、先へ急ぐ。

 

 

 

 「なぜ(オレ)の邪魔をする?」

 「邪魔? 僕はただ、君の愛が欲しいだけだよ、ギルガメッシュ」

 「今さっき、(オレ)が彼奴に向けた財宝の数々、それこそが(オレ)の愛だ。それを自分に向けて欲しいと言うのならば――――我が愛に耐えきれるか、見せてみよ、エルキドゥ!」

 「いいよ――――それが君の『愛』なんだね? わかるともっ!」

 

 人類最古の英雄、そのニ騎が、激突した。

 

 

 

 轟音が響いた。あまりの音だったため、デオンは不安を口にした。

 

 「だ、大丈夫かな?」

 「大丈夫だよ。カルデアには緊急防御システムがあって、それを展開させれば、結界二十四層、魔力炉は――――」

 「む、マスター、それは『フラグ』というものでは?」

 「あー……まぁ大丈夫だよ。あの二人以外にも英霊(サーヴァント)はいるんだし、いざとなったら止めてくれる人もいるはずだし」

 

 カルデアには他にも多くの英霊(サーヴァント)がいる。力を合わせれば、あの二人を止めることだって出来るはずである。

 …………多分。

 

 「僕は皆を信じてるよ」

 「そうだね。今まで戦ってきた彼らなら――――」

 

 大丈夫、そうデオンが言いかけた時、目の前に英霊(サーヴァント)が現れた。

 

 「よう、デオン、藤丸(ボウズ)をこっちへ渡しな」

 「クー・フーリン、キミまで……!」

 

 蒼い装束、朱い長槍、ケルト神話における英雄、クー・フーリン。

 別の世界では様々な時代、場所での聖杯戦争に参加した、まさしくベテランの一人である。

 そして何より、彼はデオンと同時に召喚されたカルデア最古参の英霊(サーヴァント)である。

 

 「キミにマスターは渡せない。ここで起きている騒ぎの事は知っているだろう?」

 「騒ぎ、ねぇ……」

 

 クー・フーリンは槍を担ぎ、けだるそうに話した。

 

 「別に、そんなもんに興味はねぇよ。何がどうなってるとか、知ったこっちゃねぇ。ただ俺は、欲しいモンを手に入れに来ただけさね」

 

 彼は担いだ槍を持ち直し、藤丸へと向けた。

 

 「それは藤丸(ボウズ)、お前だ。」

 「ッ! 槍を下ろせ! クー・フーリン!」

 

 デオンはサーベルを構えた。ちょうど、フェンシングの剣士のように。

 

 「へぇ、この俺と()ろうって?」

 「元よりこの命、マスターをお守りするために捧げたもの。例えキミが相手でも、私は容赦はしない」

 

 デオンは、彼と初めてレイシフトした時のことを思い出していた。

 

 『私はマスターを守る! この命に代えてでも――――』

 『馬鹿言ってんじゃねぇ、てめぇがいなけりゃ、誰が藤丸(ボウズ)マシュ(嬢ちゃん)を守るんだよ――――』

 

 最初はウマが合わないと思っていた二人だが、共に戦う内に、背中を任せられる存在になっていた――――はずだった。

 

 「昔言ったコトみてぇなセリフだな。……昔と言えば、一回だけ手合わせしたことがあったよな? あの時ゃ、互いに本気じゃなかっただろうが――――どうだ、今からその続きってのは」

 「望むところだ、クー・フーリン」

 

 カルデア最古参、その二騎もまた、激突しようとしていた。

 

 

 




 はい、もうひと悶着ありそうです! でも物語も終盤、ここを乗り切れば、きっと解決出来るんだから!
 いつも読んでいただき、ありがとうございます!

 クリスマスイブ、特に何も無し!
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