ウチのカルデアがなんかおかしい   作:味噌そぼろ

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 前回の異変を解決してからしばし経過したカルデアに、さらなる異変の気配が忍び寄る……。


ウチのカルデアがケモミミでおかしい
ケモミミ事変 その1


 子供化の異変から随分経過したが、藤丸立香はというと――――眠れなかった。

 自分の英霊(サーヴァント)に弓を向けられたのだ。そのトラウマがなかなか払拭できずにいたのだ。そのため、今でもたまに眠れない夜がある。

 そんな時には、あるおまじないをしている。

 

 (ケモミミが一騎、ケモミミがニ騎……)

 

 そう、ケモミミを数えているのだ。自身に弓を向けたアタランテもケモミミ属性だが、それはそれ。弓がトラウマなのであって、ケモミミはトラウマではない。いや、むしろ良い。何ならアタランテさんも……。

 そんなことを考える前に眠りについたようだった。平均して50騎程の英霊(サーヴァント)をケモミミ化して眠りにつくが、この日は比較的少なく済んだようだ。

 

 

 

 

 「先輩、おはようございます!」

 「ん、あぁおはようマシュ」

 

 後輩(マシュ)のモーニングコールで目を覚ます藤丸。いつもと変わらない日常の始まりだ。

 

 

 

 

 部屋から出た藤丸はキャスターの工房へ向かっていた。このところ、うまく寝付けないため、体の状態を診てもらっているのだ。

 ナイチンゲールに頼む手もあったが、患部を切断しようとしてくる恐れがある。『頭が悪いようですね』と言われようものなら、命がいくつあっても足りないだろう。

 

 「おはよう、委員ちょ……エレナ、いる?」

 

 委員長と呼ばれかけたのは当カルデア、キャスタークラス長のエレナ。このところ藤丸の体調管理を請け負っている。

 

 「いるってよ! 今日の検査は、魔術回路の変調ね……」

 

 色々準備するエレナだが、藤丸は妙な違和感を抱いていた。

 

 「エレナ、それ……寝ぐせ?」

 

 いつもより髪が跳ねている気がする。いや、エレナは普段帽子をしているからそんなに寝ぐせが目立つこともないだろう。しかし今のエレナは帽子の左右の髪が跳ねているように見える。

 

 「あら、そういえば……ってこれ、もしかして耳!?」

 「え!? ま、まさかケモミミ!?」

 

 やけに呑み込みの速い藤丸。勢いそのままにエレナの耳を撫で始めた。

 

 「す、すごい、ホントにケモミミだぁ!」

 「え、ちょっとやだぁ……」

 

 両手を上げて抵抗をするエレナ。しかし意外に早く満足した藤丸はすぐにエレナをナデナデ(じごく)から解放した。

 

 「やっぱり本物みたいだな……」

 「こんなに撫でなくたっていいじゃない! このヘンタイ!」

 「ありがとうございます!」

 「褒めてない!」

 

 いつものように軽いやり取りを交わす二人だったが、藤丸はこの感覚に覚えがあった。

 

 「もしかして……また、異変?」

 「かもねぇ……」

 

 落胆する一人と一騎。前回の異変からしばらく経過しているが、実際にまた起きると体はその独特の気配を察知できるものである。

 

 「今度は一体何が原因なんだ……」

 「さぁ……立香君、今回も調査、お願いできる?」

 

 前回、前々回に続き、やはりこの流れになってしまった。

 だが藤丸は嫌な顔一つしなかった。

 

 「じゃあ、エレナは工房で待機しててくれ。何かわかったら、また連絡するよ」

 

 そういうと藤丸は調査へ向かった。

 

 

 

 「……って言ったは良いものの……」

 

 藤丸は路頭に迷っていた。いつもなら英霊(サーヴァント)が一騎ついてきてくれていたが、今回は一人である。

 ……いや、異変に遭遇するときは大抵最初は自分ひとりだったが、後に支えてくれる英霊(サーヴァント)がいてくれたではないか。

 異変が起こること自体が久しぶりだから少し不安になっているだけだ。そうだ。そうに違いない。

 そう自分に言い聞かせる藤丸は、いつもの場所に来ていた。セイバークラスの英霊(サーヴァント)のいるフロアである。

 

 「デオン、いる?」

 

 彼が呼ぶ名はシュヴァリエ・デオン。当カルデア最古参の英霊(サーヴァント)である。藤丸と共に異変解決に貢献した経験もあるため、真っ先に頼りにしたのだ。

 

 「いるよ、マスター」

 「よかっ……て、デオンもケモミミになってる!!!」

 

 デオンはネコミミが生えていた。帽子を脱いでいるから余計にわかりやすい。

 

 「デオン、その耳になるような心当たりはある?」

 「ないよ。いつの間にかこの姿に……というかマスター、やけに冷静だね。いつもならこう……もっとがっついて来ると思うのだけれど」

 「デオンは俺をなんだと思っているんだ?」

 「僕を喚んだ第一声が衝撃的だったマスターかな」

 

 ちなみに第一声は『可愛い!』である。

 

 「いやさ……ケモミミは確かに好きだけど、放っておいたら大変なことになるんだろうなって思うと素直に喜べなくて」

 「なるほどね……」

 

 なんとなくしんみりしたムードになってしまった。藤丸自身の調子の問題なのか、久々の異変に対して不安になっているのか、いつもの元気が無いように見えた。

 しかし、そんな藤丸に救いの手が差し伸べられる。

 

 「みこーん! お困りですか?」

 「玉藻の前!? 話きいてたのか!?」

 

 呼ばれて飛び出て良妻狐。わざわざ工房からつけて来たのだろうか。だとしたら相当な尾行能力だ。清姫とメル友なだけの事はある。

 

 「ピンチとあらばいつでも駆けつける、それがデキる妻というものですよマスター」

 「すっげぇ自信だな……でも助かったよ」

 「礼には及びません。無用なシリアスなど、私の前では無力、無力なのですッ!」

 

 玉藻の前のシリアスブレイクは当カルデアにおいても健在らしい。今はそれが心強い。

 

 「よし、玉藻、俺と一緒に来てくれ。そしてデオン!」

 「ひゃ!? な、なに?」

 

 二人の会話を聞いていたデオンは完全に油断していた。変な声が出てしまったが、藤丸は特に気に留めていないようだった。

 

 「留守を頼む!」

 「あ、あぁ! 任せてよ、マスター!」

 

 デオンに留守を任せ、藤丸と玉藻の前は調査へと乗り出した。




 久しぶりの投稿になりました。
 次回もお楽しみに!
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