随分前の話だ。
ある時、中国の軽慶市という場所で全身から光を放つ赤子が生まれた。
当時の世間は相当な騒ぎになった。何せ人間という生物の常識を大きく逸脱した存在の誕生だ。
市民も科学者も政治家も、誰も彼もがこの話に引き寄せられた。
だが事はそれだけに収まらず、発光する赤子の誕生を皮切りとするかのように、世界中で何らかの“超常”を宿す人々が現れ始めた。
原因は不明、除去方法も無い。
出どころの分からない異能は出現当初、ひどく恐れられ、またその異能を用いて犯罪を犯す者も大勢いたという。
現在ではこの特異な体質を“個性”と呼び、人類の八割がなんらかの特異体質を有した超人社会が形成された。
しかし、今なお個性の起源や正体は知れず、また個性を悪用する犯罪者も後を絶たない。
そういった犯罪者はもっぱら“ヴィラン”と呼ばれ、多くの被害を出した。
しかしいつの時代も世を乱す存在あれば、これに抗する者達が現れるのもまた道理。
個々人が容易く社会秩序を壊せるような社会で脚光を浴び、多くの人々が憧れる一つの職業が台頭した。
――その名を、“ヒーロー”
公共の場での個性使用を資格制とし、法を以ってこれを厳しく取り締まる。
その法の中で、個性を悪用する犯罪者を抑制する為、また窮地に陥った人々をその力で救い出すため。ヒーロー公認制度に則り公共の場で個性の使用を許された者達をプロヒーローという。
かつて人々の幻想の中にのみ息づき、決して実現することのなかった空想<フィクション>が、現代では現実<リアル>となって存在する。
その実態がただの公務員で、自らの奉仕を対価として報酬を得る業態の一種でしかないとしても。彼らヒーローは市民を沸き立たせ、人々を惹きつけるには十分すぎるほどの存在だった。
今となっては、プロヒーローは「将来なりたい職業」ランキングで常に一位を占める程に人気かつ馴染みのものとなっている。
そしてヒーローというものが高度に専門的かつ常に危険と隣り合わせの職業である以上、これを育成・輩出するための機関や学科も当然ながら生まれることになった。
『国立雄英高等学校』、短略して雄英もまたそれらヒーロー養成学科を持つ教育機関の一つであり、これまで多くの著名なヒーローを輩出した世界でも最高峰の名門だ。
過去には、現在多くのプロヒーロー達の頂点に君臨するNo.1ヒーローにして平和の象徴『オールマイト』や、事件解決数史上最多の実績を持つNo.2ヒーロー『エンデヴァー』といった、超一流のヒーロー達が在籍・卒業している。
それ故、雄英を志願する学生は例年後を絶えず、その倍率は300倍、偏差値にいたっては今年は79という超難関だ。
障害としてはこれ以上ないほど高い壁ではある。
だが、もし無事に合格しここで学ぶことが出来たのなら。
それはいつか、自らの理想を目指す時、確かな糧となってその歩みを支えてくれるだろう。
◆
雄英高校ヒーロー科の入学試験は二段階に分かれる。
一段階目は筆記試験。その難度及び特殊性を除けば、他の高校入試のそれと大して変わらない。
他の学生との激しい競争であることには変わりないが、極論を言えばそれだけだ。
問題はその後の二次試験。ヒーロー科を目指す学生にとっては、ここからが本番だろう。
・・・・・仮想敵ヴィラン――ロボットを相手にした実技演習、か。
筆記試験をなんとか乗り越えた後、講堂に集められ告げられた二次試験の内容がそれだった。
受験者は試験内容の説明後、バスに乗せられ各自の演習会場へと送られる。
試験時間は十分間、その間に配置されているロボを撃破し、そのポイントによって合否を決定するという仕組みらしい。
加えて、配置されるロボは四種。うち三体はそれぞれ1〜3pt、残る一体は0ptの“お邪魔虫”との事だ。
また試験中は個性の使用が認められ、武具道具の持ち込みも各自自由。唯一してはならないのが、他の受験者に対する攻撃等の妨害行為。
まあ、仮にもヒーローを目指そうなんて奴が、自分の合格の為に悪意で他人を害するなんてのは論外だろう。
それはいいとして、少々気になることがあった。
・・・・・お邪魔虫は各会場に一体、かつ所狭しに配置されている、ね。
どうにも引っ掛かりを覚える言い回しだが、実際どういうものなのかは実物を見てみるまでは分からないし、今は忘れておこう。
下手に先入観で予測して、当てが外れたらパニックなんてのは避けたいものだ。
・・・・・しかし、入試の説明役が『プレゼント・マイク』、てのはどうなんだろうなぁ。
今回、俺たち学生が二次試験の説明を受けるにあたって、その役を任されていたのはボイスヒーローことプレゼント・マイク。
ヒーローとしての活動はもちろん、そのハイテンションさから繰り出される軽快かつユニークなトークで親しまれる人物で、ヒーロー稼業の他にラジオDJや実況解説などもこなしている。
ことバラエティのような場ではこれ以上ないほどの適任だが、今回のような一言で言ってしまえば真面目な舞台では不適切ではないか、などとバスの振動を感じながら益体もない事を考える。
無論、あの場でその役を任されているだけあって、試験内容の説明そのものは実に明瞭かつ分かりやすかった。・・・・・のだが、持ち前のテンションの高さは変わらず、試験に向けて気合を入れる学生にとってはいくらか気勢を削がれるものではないか。
・・・・・もしかしたら緊張で固まってる受験者の心を解すためだったりして。
分かっている限りの彼の性格とヒーローという職の特性を考えれば、あながち間違っていないかもしれない。
もっとも、適度な緊張状態というのは逆にその人物のポテンシャルを引き出すともいうので、やはりなんとも言えない人選だったことには変わりない。
「・・・・・と。もう着いたか」
バスが停車し、係の人間の誘導に従って続々と学生達が降車して行く。
その流れに従い、俺もバスを降りる。
「・・・・・これはまた。随分とでかいな」
バスを降りた先、目の前にあったのは巨大な門。そしてその先にある無数の建物群。
仮想ヴィランとの模擬戦闘演習、とは説明されていたがなるほど、仮想演習である以上、それに見合った会場<ステージ>が用意されて然るべきか。
今回においては、模擬的な市街地がその舞台ということか。
「・・・・・ん?」
少しでも演習場の情報を仕入れようと色々見回っていると、近くにある監視塔の頂点部に、人影を見つけた。
黒く長い髪に、体の凹凸が実に分かりやすい、凄まじく煽情的なコスチュームを纏った女性。
彼女は確か――
「プロヒーローのミッドナイト、か?なんだってまたあんな所に・・・・・」
この場にいる以上、彼女も雄英の教師であり、本試験の試験監督なのだろう。
だが、あんな場所にまで登っていったい何をするつもりなのか――
・・・・・待てよ。確かプレゼント・マイクは試験開始時間については一言も喋ってなかった。それはつまり――
「はい、スタート」
・・・・・やっぱりかっ・・・・・!
彼女の宣言とほぼ同時に、演習場へ向かって駆け出す。
門は既に開け放たれており、ここに集った受験者達を大口開けて待ち構えている。
彼女を見た瞬間から違和感はあったのだ。
言及されない開始時間、わざわざ見つかりにくい場所で待機していたミッドナイト。これらの情報から考えられるのは一つ。
・・・・・カウント無しのロケットスタートかよっ・・・・・!
試験といえば普通、試験官から開始の数分前には何らかの通達があるものだし、一次試験では少なくともそうだった。
その先入観がある以上、運良く彼女の姿とその意図に気づかなければ、咄嗟の反応はできないだろう。
案の定、俺を含めた僅か数人だけが突飛な開幕に動け、他の多くの受験者は呆けている。
おそらく数瞬の後、同じように走り出すのだろうが、その僅かな時間が結果に左右するだろう。
・・・・・ヒーロー志望なら突発的な出来事にも対応して見せろ、てことか!
プロのヒーローを目指す以上、荒事や災害などの緊急事態に遭遇するのは自明の理。
それらに動揺することなく、いち早く的確な行動を取ることが求められるのは当然だ。
とはいえ、それを学生の、それもまだヒーロー科に在籍すらしていない連中相手に求めるとは。
・・・・・上等。そっちがその気なら、こっちもとことんやってやるッ!!
他の受験者に比べてスタートダッシュは成功している。加えて開始前から見えていた演習場の状況という情報的なアドバンテージもある。
条件だけ見れば、十分合格に手を届かせうる。
・・・・・こんなとこで躓いてられるかよっ!
踏み締める脚に更に力を込め、後続との距離を離す。
進む先に、自らが目指す先を見据えながら。
――衛宮士郎は、こんな所で立ち止まってなどいられないのだから。
◆
「・・・・・なかなか早いわね」
監視塔の屋根上、多数より遥かに早く駆け出していった先頭集団を視界に収めながら彼女――18禁ヒーローミッドナイトはそう独りごちた。
すでに先頭集団は仮想ヴィランであるロボットとの交戦を開始、破壊にまで至っている。
試験開始前から学園側の意図を把握し、迅速な行動に移る判断力があるだけあって、中々に有望そうだと彼女は考える。
特に、赤髪の少年。
バスから降車してすぐに視界を巡らせていた事から、その時点で既に情報アドバンテージを得ようとしていたのだろう。
演習場を囲う外壁は相応の高さだが、それ以上の高度の建造物は幾らでも把握できる。個性によってはその情報が大いに役立つ。
・・・・・加えて、私の姿を視認するや否や表情を変えていた。
その時、彼女から見えた表情からして、この時点でおそらく学園側の意図に気付いたのだろう。
彼が気付いて間も無く試験は開始され、それに遅れることなく反応していた事から、この推測にほぼ間違いはない。
その後の戦闘状況も優秀なものだ。
演習場に入ってすぐ、両手に生み出した白と黒の双剣でロボを数機破壊した後、近くのビルを登り、今度は弓矢を生み出して次々と地上のロボを撃破している。
遠近共に対応可能な戦闘スタイルは当然ながら、瞬時に自らに有利な立ち回りをし、着実に成果を上げていく様は見事という他ない。
だが、彼女がこの少年を何より気にする点は、また別のところにあった。
・・・・・あのとき助けた少年がまさかこの学園に来るとは、ね。
それは十年前の出来事。
当時、まだ新人ヒーローであった彼女が赴任した街で、ある事件が起きた。
あるヴィランが街で騒ぎを起こし、手当たり次第に暴れていたというものだ。
犯人であるヴィランは電気に干渉する個性を有していたようで、その力で街のインフラ設備に大きな影響を与えた挙句、それらに通る電気を武器にヒーローに抵抗していた。
もっとも、それだけであったのなら大した問題ではない。
無論、街のインフラに影響を与えるなど実に傍迷惑な話ではあるのだが、それによって狂わされたインフラはどれも病院などの緊急時における急所とも言うべき施設には影響を与えておらず、また復旧も早くに終わるものだった。
ヴィランの制圧にも大して時間は掛からなかった。
だから、本当に問題だったのはここから。
この電流ヴィランが騒ぎを起こすと同時に、別の場所でもう一人のヴィランが暴れていたのだ。
その人物は爆弾を生み出す個性を用い、それを使って幾つかのビルを倒壊させたのだ。動機に関しては、自らの個性を目一杯使いたい、という超人社会においてはありがちな理由だった。
ただ個性の性質上、それがあまりにも破壊的であったこと、当人の残虐性が噛み合ったこと、別箇所で起きた事件にヒーローの人員が割かれていたこと。
これらが合わさった結果、事態の深刻化と、ヴィランの制圧および救助活動が遅れてしまうという事態を招くことになった。
だが事件発生から数分の内に、この爆弾魔による被害は一箇所に集中することになる。
・・・・・ヒーローやっててもう長いけど、あの光景だけは一生忘れないでしょうね。
当時の彼女は爆弾魔の地点と比較的近い場所にいた為、現着は他のヒーロー達より早かった。
そうして現場に辿り着いた彼女が見たのはどこまでも異様な光景で、今日に至るまで彼女の記憶に深く刻み込まれるものだった。
生み出した無数の爆弾を一箇所に投げつけるヴィラン――そして、それを受ける巨大な鋼の塊。
それが現場に到着した彼女が見た、最初の光景だった。
『何よ、これ・・・・・』
余りにも特殊な状況に、彼女は僅かな間、その動きを停止した。
よくよく見ればそれはただの鋼ではなく、無数の刃が寄り集まり、まるでドームのように肥大化した姿だった。
その謎の剣山はおそらく個性によるものだろうが、それにしたって異常だ。
だって、剣は一箇所から出現しているというのに、そこには個性の保持者である人間の姿が見えなかった。それはつまり、当人は剣山の内側にいることを意味する。
側から見ているだけで分かるほど、その刃の群れは隙間すらない程の密度を誇っていた。
内側にいる人物にどれほどの影響があるか。もしそれが自らの自傷すら覚悟した行為であったのなら、その傷はどれほどの痛みを与えるのか。押しとどめた爆弾による衝撃はどれほどのものか。
まだ新人であったとはいえ、既に幾らかの事件に遭遇・解決していた彼女をしても、目の前の光景は理解し難いものがあった。
そうやって彼女が立ち止まっている間にも爆弾魔は爆弾を投げつけ、その破壊力によって刃は砕かれ、その端からまた新たな刃が現れる。
そんなイタチごっこを、もう何度も繰り返していたらしい。
爆弾魔の方は既に息が上がり、限界が近い事が見て取れた。
『ッ・・・・・!』
彼女はその段でようやく我に返り、自らの個性を以ってヴィランの制圧に取り掛かった。
彼女の個性は“眠り香”。
自身の表皮から放出される催眠性の香りによって、吸い込んだものを眠らせるものだった。
ヴィランが意識を一点に集中させ、かつ長時間の個性使用による疲労で意識がそぞろであったことからも、彼女の個性は遺憾無くその能力を発揮した。
事はヴィランが彼女の存在に気づく間も無く終結した。
ミッドナイトが現着後、一分と経たないうちの制圧劇だった。
・・・・・さて、こっちはどうなってるかしら。
爆弾魔を手早く拘束した後、彼女はゆっくりと剣山に近づく。
この刃の塊がヴィランでないという確証は無い。
事件の全容を把握していなかった彼女がヴィラン同士による仲間割れなどを考慮して慎重を喫すのは当然の判断と言えた。
そうして、あと二歩で剣山に触れられる、という距離で、変化は起こった。
『・・・・・っ!』
現着してからこれまで、刃を増殖させる以外のアクションを起こさなかった剣山が、唐突にその刃を減じさせていった。
緩やかな速度で、幾らかの刃をこぼれ落としながら、徐々に収縮していく。
そうしてその硬い殻が開かれていき、ようやくその正体を見ることになった瞬間――彼女は今度こそ、言葉を失った。
・・・・・子供――ー!?
刃のドームの中にいたのは、幼い子供。
身長や容姿からして、年の頃はまだ五歳かそこらといった所。
収まりきらない刃を覗かせ、全身の至る箇所には見るも無残な無数の傷跡が血を滴らせながらその痛々しさを曝け出している。
軽く見ただけでも、少年の体には切創、刺創、爆傷、熱傷などが見受けられる。
およそ、小学生にもならないような幼子が――いや、仮にプロのヒーローであったとしても、これほどの傷を負って平然としていられるわけがない。
だというのに、少年は一切、苦しむそぶりも見せない。
それを、苦痛に叫びを上げることを、涙を流すことも、ましてや表情すら変えないなど。
『――おねーさん』
『・・・・・っ!?』
少年が発した呼びかけは彼の表情と同じく、どこまでも静かだった。
その声を聞き、彼女はすぐに己が責務を果たそうとした。
少年を安心させ、すぐに助けてあげるから、と。そう告げようとしたのだ。
だが、彼女がその思考を実行に移す前よりさらに早く、少年は次の言葉を紡いでいた。
『・・・・・おねがい――この人たちを助けてあげて』
言葉の意味を彼女が理解するより前に、その答えを眼前に叩きつけられる。
少年の背後、この瞬間にようやく収まった刃の内から出てきたのは――小さな子供を抱きしめた、三人組の親子だった。
お互いを抱きしめ合い、恐怖に抗っていただろうその姿が、ミッドナイトの網膜に確かに刻み込まれた。
『――――――』
今すぐに、彼らを助けねば。
そう考えて、心の底からそう願っているのに、まるで打ちのめされたかのように彼女の体は動かなかった。
だって、これはあんまりだ。
こんな年端も行かない少年が、この三人の親子を守る為に――自ら苦痛を受け入れて、ヴィランと対峙していたと、そう言うのか。
『・・・・・おね、が、いだから――』
その先は続かなかった。
限界を迎えたのか――それとも当に立っていることすら奇跡だったのか。
少年はまるで糸が切れたかのように、地面に倒れ伏した。
ポツポツと雨が降り始め、雨水に少年の血が流れていく。
『ミッドナイト、状況はどうなってる!』
新たに聞こえた声に、はっとする。
距離の関係でこれまでやってこれなかった他のヒーロー達が、ここに来て続々と到着したのだ。
その瞬間、彼女は今度こそ自らの責務を果たすべく動き出した。
『子供が一人重傷を負ってる、救急車――いえ、誰でもいいから治癒系の個性持ちを呼んで、早くっ!!』
必ず、この少年は助けねばならない。
自らの命を賭して誰かを守ろうとしたこの子供を、決して死なせてはならない。
人々を守り救うヒーローとして以前に。一人の人間として、そうしなくてはならないのだと彼女は断じた。
自己を犠牲にして誰かを助けた人物への対価が、その人物の死だなどと認める気は毛頭無いのだから。
そうして、彼女らヒーローの迅速な対応の甲斐あって少年は一命を取り留め、彼が守ろうとした家族も無事に保護されることになった。
その後、ようやく事態が落ち着き、被害者への聴取なども行われた。
これはミッドナイトが後から知り合いの警官から聞いた話だが、なんでも例の少年と親子の間に接点は無く、彼らがヴィランに襲われそうになった時にいきなり現れたのだと。
当初の彼はその手に剣と思しき武器を生み出して戦おうとしたのだが、爆弾を生み出しそれを手当たり次第に投げつけるヴィランに対し不利を悟ったのか、あの刃のドームを自身の体から生み出したらしい。
そうして自身と親子三人を囲い、即席のシェルターで耐え凌いでいたのだ。
その間、暗闇と響く爆音と衝撃に怯える親子に対し少年は、大丈夫だ、必ず守る、と。励ましの言葉を何度も繰り返しかけていたらしい。
この話を彼女が聞いた瞬間、再び戦慄を感じずにはいられなかった。
ヒーローが市民からの熱烈な人気を誇るこの現代、ヒーローに憧れる子供は多い。いつかは自分も・・・・・そう考える子供は山ほどいるだろう。
だが、いかに強力な個性を有していても、街を破壊するヴィランと対峙し、見ず知らずの親子を救うためにその身を投げ出せる人間がいったいどれだけいるだろう。
ましてや自らの死にも直結しうる自傷を前提とした行動ならば、尚更だ。
少年が生み出した刃の群れは、彼の体から生み出されながら、それにも関わらず彼自身を傷つけていた。
この一件で少年が負っていた傷のほとんどは、その自らの個性による自傷だった。
個性の暴走か、はたまた過剰行使か。どちらが正しいのかは分からない。
ただ一つ言えるのは、彼は初めから、他人を守る為に自らの犠牲を覚悟したのだということ。
自らの意思でヴィランと戦い、敵との相性を瞬時に把握して、他者を守るために最適な行動を選択出来るほど冷静な少年が、その代償を理解できないわけがないのだから。
その証拠に、ヴィランが制圧されるや否やドームを解除し、すぐに親子の保護を求めてきた。
敵が排除されたことと、ミッドナイトが敵ではないと判断しての行動だろう。
その上、自身が守る親子の精神にまで気遣った。
どこまでも冷静で、透徹された鋼の如き意思。
彼は無謀や自棄で死にかけたのではなく、初めから全て承知の上で自身を犠牲にしたのだ。
その後、件の少年にはまた別の意味でさまざま”おまけ“が付き纏っていたことが判明するのだが。それらの多くには彼女は関わっていない。
結局の所、どれだけ衝撃的な出来事であろうと、彼女にとって忘れられない記憶だったとしても、彼との関係は救助した側とされた側に留まる。
それぞれの人生に関わり合う事なんて、それこそあり得ない。
少年は新たに自らの道に踏み出し、彼女も自身の使命に邁進する。
それが互いの人生の続く先なのだと、そう区切りをつけたのだが・・・・・
「それがまさか、こんなところで再会するなんて。・・・・・人生、何があるか分からないわね」
あれからそれなりの時間が経ち、更に多くの場数と経験を積み重ねて来た彼女だが、未だにあの当時の光景は忘れられない。
おそらく、ヒーローとして生きていく限り――いや、たとえその生き方を止めることになる時が来たとしても、彼女が忘れる事などないのだろう。
それ程までに、十年前の出来事は彼女の奥底に焼き付いている。
・・・・・けど、もしあの時の彼のままここに来たのだとしたら。
その可能性は無いわけではない。いやむしろ、あんなに小さな頃から自らの命を差し出す選択を出来てしまえる少年が、そう容易く変わるとは思えない。
彼は間違い無く変わっていないだろう。
十年前の光景はそう断言できるほど、鮮烈なものだった。
・・・・・でも、そのままじゃ、あなたはヒーローになれない。
彼はおそらく、試験を突破してくるだろう。
筆記試験での結果こそ断定できないけれど、少なくとも二次試験での成績は間違いなく上位に食い込んでくるはずだ。
現段階におけるロボットの撃破ポイントだけでも、既に例年の上位層と遜色ないペースだ。このままいけばトップ10はまず固い。
加えて、受験生には伝えていない“隠し評価点“から見ても、彼は優秀と言わざるを得ない。
筆記試験さえきっちりと押さえ、なおかつこのペースを維持し続ければ、合格は確実だろう。
だが、そうして見事に入学を果たしたとしても、彼が当時の精神性のまま成長したのであれば、決してプロヒーローにはなれない。
現代におけるヒーローとはあくまでも職業の一つ。
多くの規制と法律によって縛られ、同時に守られる公務員でしかないのだ。
ヒーローをはじめ、警察や消防など有事に際して市民を守る立場にいる人達は職業柄、常に危険に晒されることを覚悟しなければならない。
だが、彼らとて人間。人並みの欲や感情があり、彼らを大切に思う誰かが待っている。
ならばこそ、彼らは人々を守ると同時に、自らも無事に帰らねばならない。
危険に立ち向かい、不幸にも殉職してしまう例は多々あれど、最後まで自らの命も諦めてはならないのだ。
それをこなしてこそのヒーロー、プロの人間。
初めから自らの犠牲を前提にした救いなど、あってはならないのだ。
たとえ、そのような生き方こそが真実、ヒーローと言われる”概念“に最も相応しい在り方なのだとしても。
「・・・・・まあ、心配しすぎ、か」
彼が首尾よく合格し、ここ雄英に入学するとなれば、その担任となる人物は二択。かつ彼の性質からして回されるのは確実に一人。
その人物は見目悪く、愛想も無い、相当に厳しい教師なれど、何より自己犠牲という在り方を是正しようとし、また生徒に真っ直ぐに向き合える人間だ。
彼の元で学ぶことになるのなら、あの少年はきっと正しく成長できる。
自分はその道行きを少しずつ支えていけばいい。だから――
「学校でまた会いましょう――衛宮士郎くん」
◆
「・・・・・これで73pt」
自らが射抜いたロボが停止するのを認め、確認の意味合いを込めて獲得点数を口にする。
既に試験開始から結構な時間が経過している。
時計などの、現在の時間を把握できるようなものは設置されていないため完全なる感覚での判断にはなるが、おそらく開始後七分といったところか。
試験開始早々、ビルを登り高所からの狙撃を続けたことで、撃破ポイントはかなりの点数を稼げた。
おまけに仮想ヴィランとして配置されているロボどもは見た目の割に案外脆く、それなりに鍛えている奴ならば素手で装甲を貫通出来る程度の強度しかない。装甲と機体との接合も緩いらしく、その気になれば装甲を引っぺがしてコードを引き千切る、なんて真似も出来るだろう。
正直、この程度の雑魚エネミーで本当に試験になるのかと、なかなか疑わしいものだが、実際に手こずってる学生もいるから、それほど容易い相手でもないのかもしれない。
「――――」
再び矢を番え、標的に狙いを定める。
見据える先には一体のロボ。仮想のヴィランらしく、録音された口汚い罵詈雑言を撒き散らしながら駆動している。
外すことはない。どれだけ動き回ろうが、いかに難解な挙動をしていようと、中ると確信できたならその時点で矢は既に狙いを射抜いている。
「――――」
そうして矢を放った先、数瞬前まで思い描いていた通りの軌道を描き――ロボが振り下ろそうとする両腕のみを射切った。
想定外の横槍によって一瞬、ロボはその動きを停止する。
その僅かな隙を突いて、ロボの前で足を滑らせていた学生はすぐさま姿勢を立て直し、ロボを破壊する。
一連の動作の後、不思議そうな顔をするそいつから目を離し、再び自分の獲物を探す。
正直な所、こういう事は競争相手を舐めた行動の様な気がしてならない。
今だって、自分で撃破していればポイントを得られたのだ。他の受験者が対応しきれないロボを破壊するだけなんだから、妨害行為とは認定されない筈だ。
そういうのを頭では分かっているものの、いざとなっては結局、相手に塩を贈るような行為をしている。
俺個人としては、それ自体は何ら憚ることのない行動だと思うが、如何せん相手がどうとるかは分からない。
実は反撃の手段があり、虚仮にされたと怒りを抱いても不思議ではないのだ。
・・・・・でも、もし本当に手が無かったら。
ロボの攻撃は通り、そいつは傷を負ったかもしれない。その僅かなロスで、彼が得られたはずのポイントが減ってしまうかもしれない・・・・・そのせいで、合格への道が閉ざされてしまったら。
そういう事になるのは嫌だった。この一年、雄英入学に向けて必死に勉強してきたから、この場にいる連中の苦労と努力の程は痛いほど分かる。
でも、そうまでしても合格という椅子は限られていて、実際に入学できるのはほんの一握りの連中だけ。
自分もまたそういう競争という渦の中の一人だとは分かっている。
けど、必死に努力をして頑張ってきた人間が、それに見合った結果を得られないのはどうにも我慢出来なかった。
叶うのなら、全ての人が幸福で満ち足りた人生を送れないかと、幼い頃からそう願わずにはいられなかった。
それは何をきっかけにしたのでもなく、ただ昔から漠然と、しかし何より固く願う理想だった。
そしていつの日か、少しでもその理想を叶えられるような人間に――”正義の味方“になるのだと、そう決めて生きてきた。
それが叶えようのない夢物語なのだと、そんな真理はとっくの昔に理解している。
けど、だからといってその夢を諦める道理も、その理由も無い。
果たせない願いでも、それに少しでも近づこうと足掻き戦うのが人間ではないのか。
――その生き方を、誰より体現しようとするのがヒーローという人達ではないのか。
無理、無謀、不可能。
どれも足を止める理由にはなりはしない。
俺がこの道を進むと決め、正義の味方を志す以上、これは決して曲げてはならないことだ。
だから、どれだけ憎まれ口を叩かれようと、どれだけ人に疎まれようと、その行為が一種の利敵行為だと蔑まれても。
俺は、俺が後悔しないように生きていくのだと――
「・・・・・!?何が起きた・・・・・っ!?」
矢を射ろうとした瞬間、演習場中に響く爆音。
ビル群を飲み込むほどの煙埃が巻き上がり、通りを覆う。
もうもうと上がる黒いカーテンの向こうに、巨大な影が見え――
「おい、冗談だろう・・・・・?」
煙が晴れた先、そこに存在したのは、これまで撃破してきた仮想ヴィランとは比べ物にならないほど巨大な”超大型“ロボット。
全長はおそらく20mほどか状態は人体を模し、下半身は戦車のようにキャタピラで駆動するそいつは、突然街中に現れその暴力的なまでの威容を惜し気もなく晒している。
・・・・・プレゼント・マイクが言っていたのはこういうことかよっ・・・・・!
試験後半になると”所狭し“と現れる、各会場に一体だけ配置された0ptのお邪魔虫。
なるほど確かに言葉通りだろう。全長はおろか、横幅も道路四車線を丸々埋め尽くすほど。それでも収まりきらない巨体が、道路をはみ出して両脇の建物の外壁を削っている。
『試験時間、残り二分――!!』
「・・・・・!」
各所に設置されたスピーカーから、ミッドナイトの声が聞こえる。
試験後半に現れると言っていた以上、あのロボが出現した時点で残り時間が僅かなのは明白だ。
最後の最後で、ダメ押しの振い落としという事か。
「あのロボ、まさか・・・・・っ!?」
僅かに思考を行なっている間に、ロボはその腕部を天に向けて高く高く掲げる。
その行動の意味を理解した瞬間――すでに駆け出していた
「・・・・・・・・・・っ!」
振り下ろされる拳、膨大な質量を伴って大地へと落とされた一撃は、その衝撃だけで街の一角を蹂躙し尽くす。
ロボが拳を振り落としてすぐに走り地上へと辿り着いた先で見たのは、振り下ろされた一撃による巨大な破壊の痕と、多くの学生が先の衝撃で吹き飛ばされたり、あまりの巨大さに腰を抜かしているという、惨憺たる光景だった。
「無茶苦茶やりやがる・・・・・っ!」
いくら危険と向き合うヒーローを養成する学科の試験とはいえ、いくらなんでもやりすぎだ。
あのサイズの敵性体が襲って来れば、下手をしなくても死傷者が出る。
こんなことのために死人が出るなんて、そんなこと認めてたまるか!
「・・・・・っ、まだ動くのか!」
お邪魔虫と称された通り、時間一杯まで受験者の妨害をするつもりか。
多くの学生は勝ち目がないと悟り・・・・いやそれ以前に、本能的な恐怖からか、焦った表情で巨大ロボから距離を取っている。
けどほんの数名、体が硬直し未だ動けないでいる者がいる。
このままでは、大怪我どころでは済まない。
「ふざけてんじゃ、ねぇぞッ!!!」
憤る心を抑えず、感情のまま叫びを上げる。
今はただ最短で、一直線に。傷付きそうな目の前の人物を助け出す事を考えろ。
滾る激情はそのまま、ただその心だけは冷徹に、深く自己に埋没する。
「投影<トレース>――」
告げる言葉はただ一言。
この一節を以って衛宮士郎を変革させる。
「開始<オン>――ッ!!」
言霊は締められ、この手に確かな重みが生まれる。
衛宮士郎の身体能力では、一番遠い学生には今から走り寄っても間に合わない――ならば、助けられる物を、間に合う物を創ればいい。
助けるべきは三人。先の衝撃で倒れ伏すもの、敵の巨大さに座り込んでしまった者、目の前の出来事について行けず放心する者。
その全員をこの窮地より、”引っ張り上げる“。
狙いを定め、手にした得物を放つ。
「え?・・・・・ちょちょちょちょぉ――!?」
狙い通り、放った”鎖“は一番ロボに近かった女子の胴体を絡め取り、そのまま全力でこちらに引っ張り上げる。
今日という日を目指して、普段の鍛錬に更に磨きをかけ肉体を鍛えた甲斐があった。一年前であれば、鎖に繋がれた人一人放り上げるなんて芸当はできなかっただろう。
「すまんが着地はそっちで頼むっ!」
「まじかよぉぉ――ー!?」
頭上から響く悲鳴を耳にしながら、適当なところで鎖を回収し、同じ要領で残る生徒を釣り上げる。
一瞬だけ、視界を後ろに向ければ、一人目は何とか怪我なく着地し、残る二人も先ほど避難していた連中が何人か戻って来て、補助してくれていた。
・・・・・取り敢えず、あいつらは無事。残る仕事は――
今なお進行を続ける巨大ロボ。
入力された指令<コマンド>通りに動く機械は、試験終了まで自ら停止することはないのだろう。
だったら、こっちから無理矢理止めてやる。
「装填完了<トリガー・オフ>」
無闇に破壊はできない。
あの巨体であれば、たとえ残骸でも誰かを巻き込む可能性がある。
ならば、必要最低限の攻撃で無力化させる――!
「全投影、待機<バレット・クリア>――凍結解除<フリーズ・アウト>ッッッ!!!」
放つ剣弾は二本。
狙うはデカブツの肩部関節。
動作ケーブルだけを斬り裂いて、二度とその腕を動かせないようにしてやる!
高速で射出されて剣はその勢いを減じさせることなく、狙い過たずにロボの腕を使いものにならなくさせた。
だが、腕が無くとも動きは止まらない。その巨体だけで、並み居る受験者を踏み潰そうと稼働する。しかし、
・・・・・抵抗力は削いだ、なら後は――!!
前進する巨体に臆さず、自ら接近する。
これだけの巨体、急所をピンポイントで貫くにはその正確な位置を見つけなければならない。
そしてその巨大さ自体が、俺にとっては障害となる。
離れた距離からでは駄目だ。より近くで。より深く。より鮮明に。
その設計を遡り、構造を網羅し尽くす。
「ふっ・・・・・!」
その無粋な無限軌道に轢き潰される直前、救助に用いた鎖を放つ。その両端には杭の如き短剣が繋がっている。
その鋭さも強度も確かなものだ。
真っ直ぐに投擲した先で、その短剣部分は装甲に深々と突き刺さった。
それを確認すると同時、一気にロボの機体上に跳び上がる。
たとえ自身の脚力では不可能でも、引き寄せられるロープ代わりがあればやれないことはない。
「・・・・・っと」
流石に着地までは綺麗に終わらず、機体の揺れもあって少々フラつく。
けど、目論見通りに乗り込むことは出来た。後は、こいつの動力部を見つけるのみ。
「同調開始<トレース・オン>」
自らを一体の生き物から、一個の装置へと切り替える。
分厚い装甲に手を触れ、その全容を隅々まで“解析”する。
使用材質を、設計思想を、運用方法を追想し、解体する。
「づぅ・・・・・!」
読み込んだ膨大な情報量に、脳が拒絶反応を起こす。
頭の中でピンボールでも跳ね回しているみたいに、ガスガスと痛みを訴える。
・・・・・放っ、ておけっ。それより今は――ー
機体を隈なく調べ尽くし、その動力源を今度こそ見つけた。
最後に必要なのは、この分厚い装甲をぶち抜いて、内部の機構を破壊する術だ。
「投影開始<トレース・オン>」
いま一度心を鎮め、残る一手を用意する。
使い慣れた黒弓を生み出し、空いた右手に番える“剣”を創り出す。
銘は無く、ただ頑丈さと鋭さだけが取り柄の一振りだが、この場においてはこれ以上ないほどに必要な条件を満たしている。
「――――」
大きく息を吸い込み、穿つ先を見据える。
この一瞬、この身は外界の何をもにも影響されない。
機体の動作による振動も、残る試験時間も関係なく、ただ思い描く結果を果たす事にのみ専心を向ける。
「――――往け」
限界まで弦を引き絞り、全霊の一射を放つ。
外しはしない。たとえ中る結果を見ていなかろうと、抵抗も無くそこに埋め込まれただけの標的など、逃しようもない。
そして一拍の後、鈍い金属音が鼓膜を震わす。
ァァァァン、と余韻を周囲に染み渡らせながら、機体はそれに倣うかのようにその動きを停止させた。
頭部に怪しく輝いていた赤い点灯も、その光を失った。
「――成功、だな」
弓を降ろし、自身の思惑が上手くいったのだと認めた。
巨大な機体には、二次被害を引き起こしそうな損傷箇所は無く、またその動きによって崩れ落ちそうな建物の下には、既に誰の姿も無い。
後ろを振り返ってみれば、何人かの学生はこちらの行く末を観察しているが、それ以外の面子は各々ポイント獲得に勤しんでいる。
俺としてはどう考えても度を過ぎた危険物体を無力化するのと、それによって他の連中が気兼ねなくポイント獲得に専念できるようにするというのが理想だった。
この状況を見るに、まさしく完全な目的達成だろう。
「その所為といえばなんだけど、あれから1ptの追加も無いんだよなぁ、結局」
当然と言えば当然だが、このデカブツを相手にしていた間は、撃破ポイントは一度も加算されていない。
73ptに到達した時点で自身の撃破ポイントは途切れている。
あの後すぐにこのお邪魔虫が現れたんだから、そんなこと気にしている暇も無かったというのが実情だ。
この失速が原因で、結果に影響する可能性も十分に考えられるだろう。
無論、不合格通知の到着も覚悟しておかねば。
「・・・・・何はともあれ、誰も大きな怪我もしなくて良かった」
一人でそう納得し、満足気に頷いてみせる。
これぐらいのポーズをとっておかないと、本当に不合格だった時、さすがに落ち込みそうだ。
『そこまで――ー!只今を以って二次試験は終了となります!』
デカブツの上から揺れない地上に帰還したそのタイミングで、各スピーカーより試験終了を知らせるミッドナイトの宣言が聞こえた。
同時に、それを示すブザーだかサイレンだかも鳴り響く。
それを聞き遂げてようやく、人心地つけた。
出発前に励まされたように、出来ることは全てやりきった。試験中に自分の信条に恥じるような行いもしなかった。
試験の出来についても、筆記・実技共に自身の中では概ね良好。
実際に合否が通達されるまでは安心出来ないが、結果がどうあれ、鳴こうが喚こうがこれで手は尽くし切った。
後は、自分の積み重ねてきたモノが身を結ぶことを祈るだけだ。
投稿開始直後のスタートダッシュということで、なんとか2日目で第二話を投稿出来ました。
物語はまだまだ始まったばかりですが、Fate履修済みの方にはお馴染みの衛宮士郎の異常性を、ここから徐々に描写していく所存です。
とはいえ、現状の彼はあくまでヒロアカ世界の衛宮士郎であり、その根底に対する認識も少々異なっております。
これから物語が本格的に開始しますが、できる限りペースを落とさず投稿し続けたいと思います。
それではまた、次回でお会いしましょう。