「アラブルタケ」。
パルデアの大穴――――――エリアゼロに棲息しているという、奇怪な姿の生物。名前通り気性が荒く、目に付く生き物に胞子をばら撒き、弱った所を襲うらしい。とある本に記載された「アラブルタケ」という生物に似ている事から名前を拝借している。有名な怪奇雑誌ではキノコと恐竜の合成生物ではないか、と仮説を立てているという。
……まぁ、チャンピオンによれば、タマゲタケの古代種らしいけどね。
タイプは「くさ/あく」で、特性は「こだいかっせい」。ステータス的には物理系の重戦車といった感じであり、高いHPと攻撃で荒ぶる事が得意。キノコ系らしく「キノコのほうし」も使える他、「あやしいひかり」や「こうごうせい」などの搦め手も使える。唯一の欠点は積み技が「せいちょう」ぐらいしかない所だが、正直ここまでてんこ盛りなんだから、「つるぎのまい」とか「ビルドアップ」とか優秀な技を覚えられたら堪った物ではない。
そんな凶暴な古代のポケモンが、今目の前に居る。
「――――――って、それタマゲタケじゃないですよ、エリカ氏!」
「え、そうなんですか? マチスさんに聞いたら“ワーォ、オッタマゲですネー! これはタマゲタケでスヨー!”と言っていましたが?」
「おい、しっかりしろ、ライトニングタフガイ!」
それでもイッシュ人か貴様ぁ!
「ちなみに、何処でゲットしたんですか?」
「ジムの裏庭に何時の間にか生えてました」
「バンナソカナー」
そんな事ってある?
「ジムの物はわたくしの物、だから何の問題もありません! 行きなさい、オタケちゃん! 「キノコのほうし」!」
『アラブリタケェッ!』
くっ、早速「キノコのほうし」を撒いて来たか!
「躱して、プニちゃん!」『ボヨ~ン!』
だが、プニちゃんは見た目に反して瞬発力……というか弾力がある。避けようと思えば、素早く躱せるのだ。
「ジャモちゃん、「パワーウィップ」」『ナンジャモンジャー!』
「それボク……プニちゃーん!」『オプニ~!』
しかし、流石に跳ね上がっている時は無理なので、モジャンボの「パワーウィップ」で叩き落されてしまった。
「畳み掛けて! 「キノコ――――――」
「させるか! 「てっていこうせん」!」『ジュラァヴォオオオオッ!』
「――――――「まもる」!」『タケェ!』
あ、危なかった。キバナ氏が命懸けの「てっていこうせん」で圧力を掛けて技を中断させてくれなければ、確実に遣られていた。咄嗟に「まもる」で防がれてしまったけど、この隙は大きい。
「プニちゃん、モジャンボに「10まんボルト」!」『ビリピカーッ!』
『ジャモォ……!』「くっ……!」
よし、モジャンボに麻痺を入れたぞ!
「オタケちゃん、「くさわけ」!」『オッタマゲェッ!』
「「メタルバースト」!」『ジュラドーン!』
『オマチタケーッ!?』「オタケちゃん!」
アラブルタケの「くわさけ」による追撃も、バベルが「メタルバースト」で反射してくれた。流石はジュラルドン、物理方面は硬いね。
「「キノコのほうし」!」『アリッタケェッ!』
「「てっていこうせん」!」『バヴォオッ!』
そして、どうにか「キノコのほうし」を入れたいアラブルタケに「てっていこうせん」を叩き込む事で、相打ちに持って行った。これでキバナ氏は手持ちを無くした事になるが、充分な戦果と言えるだろう。
何せ、モジャンボは麻痺で動けないし、厄介なアラブルタケはもう居ないからな!
「おのれ、許しませんわ! 行って、フシギバナの「オハナ」!」『バァァナァァッ!』
エリカ氏の次なるポケモンは色違いのフシギバナか。
「……悪いが、後は任せるぜ!」
「OK! バッチ来いやぁーっ!」
残る手持ちが何かは知らないが、ここまで持たせてくれたキバナ氏に報いる為にも、絶対に勝たせて貰うぞよ!
とは言え、ここからは慎重に行かなくてはならない。こちらのアイテムも無限ではないからね。というか、既に強化系のアイテムは使い切っているし、回復系のアイテムも残りは後僅か(「まんたんのくすり」1個と「かいふくのくすり」1個のみ)。隙を見て「スピーダー」と「クリティカット」も積んではいるが、残り後3匹となると気を付けるに越した事は無いだろう。
だが、攻めなければ勝てないのも事実。多少強引でも、フシギバナは何としてでも倒さなければ。
「プニちゃん、「10まんボルト」!」『プニニニッ!』
「……耐えて「じしん」よ!」『バナナナァアアッ!』
うわっ、こいつモジャンボごとプニちゃんを狩りに来やがった!
「大丈夫よ、プニちゃん! 「だくりゅう」!」『プッチャ~ン!』
だけど、プニちゃんの耐久力を舐めないで欲しいわね。反撃の「だくりゅう」で洗い流してやるわ!
『ジャモハァ!?』『バナァ……!』「戻りなさい、ジャモちゃん!」
この一撃でモジャンボは倒れ、フシギバナは耐えたものの命中率が著しく下がった。これは大きいぞ!
「頼むわよ、ワタッコの「モモ」!」『ワタポヨ~!』
最後の1匹は色違いのワタッコか。何でそんなに色違い持ってんのよエリカ氏。やっぱり景品なのか。
でも、関係ないね。先ずは変に動かれる前に、フシギバナを倒す!
「プニちゃん、「10まんボルト」!」『プニーッ!』
「モモちゃん、「おきみやげ」! オハナちゃん、「やどりぎのタネ」」『バイバ~イ!』『ダネェッ!』
「なぁっ!?」
チクショウめ、相性不利なワタッコを「おきみやげ」で早々に退場させて、せっかく強化したプニちゃんの攻撃と特攻を下げる事で、フシギバナを生かしやがるとは!
しかも、「やどりぎのタネ」を植えられたから、ダメージレースで負ける。ここはイルルちゃんを肉壁にして、プニちゃんを回復すべきか……?
「プニちゃん、もう一度「10まんボルト」!」『プニャーッ!』
いや、ボクは
『バナッ……!』
やった、麻痺した。畳み掛ける!
「「10まんボルト」!」『プニニニニニニニッ!』
「「パワーウィップ」!」『バナルァアアアッ!』
『アプゥ……!』「お疲れ様、プニちゃん……!」
最後の「10まんボルト」を浴びせて、プニちゃんは倒れた。あの猛攻じゃ仕方ない。
しかし、
「行って、イルルちゃん!」『ジィ~ッ!』
「フン、鼬の最後っ屁ね! 例え麻痺していても、オハナちゃんの方が早いわ! 「じしん」!」『バナァッ!』
初陣で背水という可哀想なイルルちゃんに、フシギバナの無慈悲な「じしん」がヒットする。
「それはどうかな!」『プカ~リ♪』
なーんて言うと思うかぁ!
「なっ!? 「ふうせん」ですって!?」
持たせて良かった、カジノの景品!
「食らえ、「チャージビーム」!」『ジジジジジッ!』
「くぅ……「パワーウィーップ」!」『バナァドッ!』
「当たらん! 「チャージビーム」!」『ジパーッ!』
「そう何度も! 「パワーウィップ」!」『バナッ!』
『ジジジ……ジィッ!』「残念、「がんじょう」だ! 止めよ、「ラスターカノン」!」『ジジジバババッ!』
『バナァ……ドォ……!』「なっ、ま、まさか……このわたくしがぁっ!?」
さらに、怒涛の攻防の末、残り僅かなフシギバナのHPをどうにか削り切って、イルルちゃんが勝利を収めた。
『――――――レジバーッ!』「おおっ!」
そして、莫大な経験値が入り、イルルちゃんがレアコイルに進化する。やったね!
「ど、どうにか勝てましたね……」
「だな……マジでヤバかった……」
ふぅ、真面目に死ぬかと思った……。
「……フフフ、これは夢よ。これは夢、悪い夢なのよ! バンザーイ! さぁ、未来へ向かって脱出するわよ!」
「「おわーっ、ちょっと待ったぁっ!?」」
まぁ、自棄を起こしたエリカ氏が天国へ旅立とうとするのを止めるのに、かなり苦労する破目になったのだが……。
◆ワタッコ
ハネッコ系の最終進化形。頭と両腕の綿毛で南風に乗りながら世界各地に子孫の種を蒔いていき、それが尽きる時に彼らの旅(一生)も終わるという。何それ哀しい……。
色違いは鮮やかなピンク色をしている為、女性から非常に人気があり、エリカ様もその1人である。「おきみやげ」で早々に退場したけど。