キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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「ユラー」と鳴いてるらしいケド、100人中100人が「オンミョ~ン」って聞こえてたと思ウ。


オンミョ~ン☆彡

 「ミカルゲ」。「ふういんポケモン」と分類される、ゴースト/あくタイプの悪霊型ポケモン。

 108個の魂が凝り固まって誕生したと言われており、500年程昔に大暴れしたが、後に不思議な術で「かなめいし」に封じられたという。誰が封印したのかは不明。

 ようするに、解き放たれたが最後、周囲に破壊を齎す悪霊という事だ。

 

「さようなら!」

「逃がすかっ!」

 

 とりあえず、即行でボクを見捨てて逃げようとしたヒスイを捕獲しておく。旅は道連れ、お前だけ死ね!

 

『ユラァーッ!』

 

 だが、ミカルゲはこちらの都合など考慮してくれない。普通に「あくのはどう」を放ってきた。

 

「プニちゃん!」『オプニ~!』

 

 一先ず、プニちゃんのへそダイナモで電気に変えておく。本当に便利な特性よねー。その上、今回は「たべのこし」を持たせているから、そう簡単に落とされる心配もない。

 大々的に登場した所を悪いが、その御霊、刈らせて貰うぞ!

 

「プニちゃん、「パラボラチャージ」!」『プニチュッチュ♪』

『オンミョァ~ン!?』

 

 フヒヒ、どうよ、充電済みの「パラボラチャージ」の威力は。前のジム戦後に技構成弄っておいて良かったぜ!

 

「頼むよ、ガラガラ! 「ボーンラッシュ」!」『ガラガーラ!』

『ユラララァ~!?』

 

 さらに、ヒスイもガラガラを繰り出して、「ボーンラッシュ」を4回叩き込む。よく訓練されたガラガラね。これなら背中を預けても大丈夫そう。

 

『オンミョ~ン!』

「チッ、硬いな……!」「レベルも相当高いですね!」

 

 しかし、ミカルゲは倒れない。元から耐久力のあるポケモンだが、素のレベルもかなり高いみたいだな。これは骨が折れそう。

 だが、耐久勝負ならボクたちに分がある。例え「いたみわけ」を食らおうと、回復力がダメージを上回っているからね。あとはジワジワと嬲り物にしてくれる!

 

『ユリラァーッ!』

「ガラガラ、「はらだいこ」!」『ガラガラポン!』

 

 上手い、「いたみわけ」に「はらだいこ」を合わせて、逆にHPを回復させたぞ。祈祷師じゃなくて、素直にポケモントレーナーしてる方が良いんじゃない、ヒスイ氏や。

 

「「まんたんのくすり」、使ってあげるわ!」

「どうも! ガラガラ、「いわなだれ」!」『ガラガラドッシャーン!』

『オンミョァ~ン……!』

 

 そして、最大強化が施された「いわなだれ」によって、ミカルゲは倒れた。

 

『……ユラォォオオオオオン!』

 

 と思いきや、「かなめいし」が砕け散り、ミカルゲが完全態となって復活した。繋ぎ留められていた部分が4本の腕となり、「卍」を描きながら、胴体とは逆方向に回転している。その姿は昔本で読んだ、とある悪魔の姿に似ていた。

 

『オンミョォオオオオオン!』

「プニちゃん、ガラガラを守って!」『プニィッ!』

 

 うぬぅ、火力こそ大して変わりないようだが、代わりに素早さが段違いになっている。「シャドーボール」を矢継ぎ早に撃ち出してくるんじゃない!

 

「「ボーンラッシュ」!」『ガラララララァッ!』

 

 よし、5発当たった!

 

『ユラァアアアアアッ!』

「嘘ぉっ!?」

 

 「はらだいこ」込みの「ボーンラッシュ」が全弾命中して、落とせないとは。HPも上昇しているみたいね。

 

『オミョォン!』

『プニィ……!』「プニちゃん!」

 

 くそっ、プニちゃんと「いたみわけ」されたか!

 

『ユラァ……』

「えっ、消えた!?」『ガラァッ!?』

 

 さらに、ヒスイとガラガラが反撃しようとするも、ミカルゲの姿が忽然と消える。

 

 

 ――――――ガォオオオォン!

 

 

『ユラァアアアン!』

『ガラァッ!?』「ガラガラ!」

 

 何っ、「ゴーストダイブ」……いや、「シャドーダイブ」か!?

 

『オミョォォォォ……!』

 

 マズい、ミカルゲの奴、ヒスイごとガラガラに「シャドーボール」を当てようとしてる!

 

「そうは行くかぁ!」

 

 ボクは走る。キバナ氏みたいな馬鹿力は無いけど、ボクには見えている(・・・・・・・・・)。108個もある魂が、統率役も無しに行動出来る筈がない。必ずどれかが(・・・・・・)中枢として(・・・・・)機能している(・・・・・・)

 

「お前の“(たましい)”はそこかぁ!」『きゃああああああッ!?』

 

 よっしゃ、ざまぁ見ろ、オミヨちゃ~ん!?

 

「今だ! 「パラボラチャージ」!」『プニニニーッ!』

「ガラガラ、「ボーンラッシュ」!」『ガラララララ!』

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

 

 そして、プニちゃんとガラガラのスーパーラッシュによってミカルゲは倒れ、光となって消えた。

 

「……ありがとうございます」

「良いって事」

 

 助かったのはお互い様だしねー。

 

 

 ――――――テンテンテンテン、テンテンテンテン♪

 

 

「ドワォッ!?」

 

 誰だ、このタイミングで電話かけて来たのは!?

 ……って言うか、ボクのスマフォロトム、こんな着信アリそうなメロディーだっけ!?

 

「も、もすもす!?」

《どうした、ナンジャモ。というか、今何処に居るんだ、お前。座って待ってろって言っただろうが》

 

 あ、キバナ氏か。勝手に動いたのは悪かったけど、仕方ないじゃ~ん。

 

「えっと……ごめんチャオ。ちょっと訳あって、立ち入り禁止区の「ハートフラワー」の中に――――――」

《はぁ? 何言ってんだ、お前?》

 

 すると、キバナ氏は心底意味が分からんという声色で言った。

 

《「ハートフラワー」は立ち入り禁止でも何でもないし、そこには慰霊碑しかないだろ。お前、墓参りするような相手がトキワコンツェルンに居たのか?》

「は?」

《何も知らないで上ったのかよ。いいか、「ハートフラワー」ってのはな……》

 

 キバナ氏曰く、「ハートフラワー」はソーラーシステムであると同時に、例の事件で殉職したトキワコンツェルンの社員を祀った場所で、慰霊碑が建てられたのだとか。大好きなポケモンたちと共に、温かな光(・・・・)に包まれながら、静かに眠れるようにと、アポロさんが手配したらしい。

 

「温かな光……」

 

 気が付くと、そこは真っ暗闇では無く、ガラス張りの天井から陽光が降り注ぐ、温かな空間に様変わりしていた。その中心には、108人分の名前が刻まれた、「かなめいし」によく似た慰霊碑が鎮座している。

 さらに、その中には――――――、

 

「「ヒスイ」……」

 

 思わず振り返るも、そこには誰も居なかった。ヒスイも、ガラガラも。

 

『カラ?』

 

 代わりに1匹のカラカラが、不思議そうに首を傾げるのみである。

 

《まぁ、何でも良いから、さっさと降りてこい。それとも、迎えに行ってやろうかね~?》

「……いや、自分で行く」

《そうかい。待ってるから、早くしろよ》

 

 ボクは通話を切った。

 

 

 ――――――わたし()たちの事、忘れないでね。

 

 

 誰かの声が、聞こえた気がした。ボクはこの事を、生涯忘れないだろう。墓場まで持って行ってやるさ。




◆ミカルゲ

 108個の魂が凝り固まって誕生したと言われるポケモン。遥か昔に大暴れしたが、とある高僧の不思議な術により「かなめいし」に封じられたという。タイプもゴースト/あく、とそれっぽいが、構成する魂の全てが悪霊という訳ではない模様。毎回面倒な出現方法なのが特徴で、大抵はシロナの一番手が初対面である事が多い筈。
 この世界線では例の事件の際に殉職した、トキワコンツェルン社員たちの魂から生まれた存在で、本来なら悪霊でも何でもないのだが、最近頻発している次元の割れ目による影響で暴走したという経緯がある。
 ちなみに、「かいほうされたすがた」はソロモン72柱の序列10番の悪魔にシルエットが似ており、HPと素早さが大きく上昇している。その種族値配分は、何処となくギラティナに似通っている。その為か「シャドーダイブ」が使えたりする。

 ◆◆◆※閲覧注意↓↓↓◆◆◆

 余談だが、ヒスイは当時の第6実働部隊の新人で、カラカラの時から育てたガラガラが相棒だった。……そして、シオンタウンの住民を避難させる為の殿となり、「はかいこうせん」を受けて死亡した。遺体は損傷が激しく、右手首しか見付からなかった。享年16歳。
 オミヨの方は、シオンタウンで一番最初に襲われた犠牲者で、赤い部屋パターンの子供であった。遺体は原形を留めておらず、亡き祖母に貰った首飾りしか回収出来なかったという。享年7歳。
 ……ようするに、ハートフラワーに慰霊碑しかないのは、それに収まる程度しか遺体を拾えなかった、という事である。
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