キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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探し物は何でスカ?


ハナダ、カスミ氏の事情☆彡

「いやー、キバナ氏、ゆうべはお楽しみでしたね?」

「まだ夕方じゃねよ! つーか、楽しみもしてねぇよ! 全力で逃げて来たわ!」

「折角お相手が見付かったのに」

「本気で言ってる?」

「冗談過分」

「殆ど本気じゃねぇか! ふざけんなよ、お前!」

 

 あの後、ボクらは先へ進んだのだが、キバナ氏は直ぐに追い付いてきた。話を聞くに、またフィジカルでどうにかしたらしい。本当に凄いな、あんたの身体能力。

 

「……で、かの有名なマサキの家まで来た訳だが」

「何か立ってますねぇ……」

 

 マサキの家に程近い、「ハナダの岬」という見晴らしの良い所に、女性が1人立っていた。顔は後ろ向きなので見えないが、その背中は哀愁を感じさせる、憂いを帯びた物となっている。

 キバナ氏曰く、ハナダの岬はデートスポットの1つで、ここで告白すると恋が成就するという。

 なのに、彼女は1人。これはもしかして、もしかすると……?

 

「あ、カスミさんじゃん。失恋でもした~?」

「「だからキミはぁっ!」」

「別に何時もの事では?」

「「お前もかよ!?」」

 

 何なんだ、このゆるふわ腹黒コンビは。

 

「……あら、マツリカにエリカじゃないの。わざわざこんな所に来るなんて、どういう風の吹き回し?」

 

 しかし、カスミ氏は特に怒る事もなく、苦笑いに近い表情で返すだけだった。何かやり辛いな。

 

「わたしは、この人たちのTVに出演してるのー」

「へぇ、エンジョイしてるわね」

「それで、カスミさんは何してるのー?」

「別に。……ただ、そういう気分だったのよ」

「(* ̄- ̄)ふ~ん」

「興味無さそうね……」

 

 何なのかなー、この会話は。ジムリーダーとキャプテンが邂逅している、割と映えるシーンの筈なのに、微妙な空気が流れてて嫌なんですけど。

 

「まぁいいわ。折角だから、戦っとく? 画にはなるでしょ?」

「えっ、八つ当たり?」

「憂さ晴らしとも言うわね」

 

 さらに、まさかのポケモンバトルに発展。今回はマツリカ氏が行くつもりのようだ。何でだよ。

 

「行くわよ! スターミー、My(マイ) Steady(ステディ)!」『デュワ!』

Let's(レッツ) Go(ゴー)! おやかたさま!」『たぁあああああっ!』

 

 対戦カードはスターミーとおやかたさま。特殊速攻アタッカーと耐久ポケモンのバトりとなる訳だけど、果たしてどうなる事やら。

 

「スターミー、「あやしいひかり」!」『デュォッ!』

「おやかたさま、あそこにお金が!」『トモダチィイイイイッ!』

『ナァアアアイッ!?』「スターミー!」

 

 と思いきや、スターミーの方が搦め手で、おやかたさまの方がアタッカーだった。「あやしいひかり」に惑わされず「はかいこうせん」を決めるのは凄いが、誘導の仕方が「そこに金がある」というのはどうなのか。

 それにしても、本当に一瞬で終わったな。レベル差は無いようだし、本調子じゃないのかもね。

 

「……本当にどうしたの? 雑魚同然だったけど」

「酷い言い方ね。……ただまぁ、今のアタシは雑魚かもね」

「………………」

「………………」

 

 いや、気まずいのよ。マジで何があったのさ。

 

「――――――アタシ、もう1度会ってみたい人が居るの」

「え~? 誰よ?」

「1日だけでも、会えないかな?」

「あ、もしかして“あの人”?」

「……当ったり~」

「なら、会いに行けば良いじゃん。ここで燻ってても、たぶん“あの人”からは会いに来ないと思うよー」

「確かにね。アイツは根っからの冒険者。例え世界の頂点に立った今でも、目指す物は変わらない。なら、アタシから旅に誘うのも、良いのかもね。後を追い掛けるだけが、女じゃないし。きっと、そう。……それじゃあね、マツリカ、エリカ、あと知らない人たち」『ギャラォッ!』

 

 そう言うと、カスミ氏は憑き物が落ちたような顔で、徐にギャラドスを召喚して跨ると、そのまま「そらをとぶ」で何処かへ飛んで行ってしまった。……ギャラドスって「そらをとぶ」覚えたっけ?

 

「結局、何だったんですかね?」

「さぁ? 探し物でもあったんじゃねぇの?」

「それは見付けられる物ですか?」

「いや、知るかよ」

「ですよねー」

 

 うーん、蚊帳の外感が半端じゃないわー。マツリカ氏とエリカ氏は旧知だから、こうなるのも仕方ないとは言え、なぁにこれぇ?

 

「ま、旅の理由は人それぞれ。オレたちはオレたちの旅をしようぜ」

「そうですね。「キバナモンジャTV」はまだまだこれからですしね」

 

 カスミ氏は、彼女の想う夢の中へ行ったに違いない。そう思っておこう、面倒臭いから。

 

「さ~て、マサキ氏の家にお邪魔したら、次は何処に行きますかねぇ?」

「そうだなぁ……「ニビシティ」にでも行くか? 確か博物館があった筈だし」

「それ、あんたが見たいだけでしょうが」

「当ったり~♪」

「こいつ……」

 

 そして、ボクたちはボクたちの夢を探しに行く。映えあるシーンを求めて。

 

 ――――――例えこの先、何があろうとも。




◆カスミ

 「おてんば人魚」の異名を持つ、ハナダジムのジムリーダー。みずタイプの使い手で、スターミー系統を愛用している。赤緑版でヒトカゲを選んだプレイヤーの前に立ちはだかる第二の関門。「バブルこうせん」はみんなのトラウマ。
 この世界線では、追い掛けている想い人が居るようだが、果たして……?
 ちなみに、四天王のカリン(こおりタイプの使い手)は、カスミの憧れの人物らしい。何故に。
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