キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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BGMハ、もちろんアレ!


空の悪漢☆彡

 実は、ボクは心が読める。

 いや、正確には感情を読み聞く事が出来る、と言った方が良い。電磁波を視覚化する感覚に近く、意識して相手を見つめれば、鼓動や脳神経の放つ電気信号を受信、それを音として認識して変換するのだ。

 ようするに、「ユーの心が分かるのデース」という事である。

 だが、何処ぞのアンビリーボーと違い、思考の全てを読み取れる訳では無く、精々「怒り」「悲しみ」「焦り」など、喜怒哀楽のような分かり易い感情が単語となって浮かび上がってくる、と言えば良いだろうか?

 だから、聞こえて来た“心の声”をどう判断するかは、結局の所ボク自身の感性に掛かっているのだ。故に初対面の人間を初見で全て把握する事は難しく、対話を重ね相手の人なりを知って、ようやく“今何を思い、どう考えているのか”が分かるのである。

 しかし、それでも現在(いま)目の前に居る、このモンスターの考えている事は、はっきりと解る。

 

 

 「攻撃」「捕食」

 

 

 それしか無かった。愛も哀しみも、恐怖すらも無い。あるのは敵を殺し、獲物を食らう、ただそれだけ。

 間違いない。この子は、この生き物は、ポケットに収まるような存在ではなく――――――本当の怪物(モンスター)だ。

 そう、狂ってしまった時の、トモダチのように……。

 

『クゥギャァアアアアォンッ!』

 

 モンスターが迫る。翼を叩き付けながら、這い寄るように。

 

「イワーク、「ボディプレス」!」『イワァアアアアァクッ!』

 

 だが、阻止される。ニビジムのジムリーダー:タケシ氏と、彼の相棒イワークによって。

 

『ギギギィッ!』

 

 しかし、直撃したかというと、そんな事は無く、モンスターは発達した翼を羽ばたかせて瞬時に後退、見事に回避している。

 

『ギャギャァアアアン!』

 

 さらに、鶏冠や尻尾などの可動部を煽動させ、全身に電荷を纏い始めたかと思うと、柱のような雷を地走らせてきた。

 

「イワーク、「いわなだれ」!」『ブラィアアアアアッ!』

 

 だが、イワークはいわ/じめんタイプなので、でんき技は通じない。返す刀で「いわおとし」を食らわせ、墜落させた。

 

『ギギギギャヴゥッ!』

『イワァアアァクッ!?』

 

 しかし、モンスターは直ぐ様起き上ると、這い寄るように翼を叩き付けてイワークを殴り飛ばし、1度フワリと宙へ舞い上がってから、身体ごと突っ込んで来た。見た所、「ダブルウイング(三連打なので「トリプルウイング」?)」と「ブレイブバード」の連携攻撃に思えるが、

 

 

 ――――――バチバチバチィイイイッ!

 

 

「ぐぁあああっ!?」

 

 着地とほぼ同時に広範囲に「ほうでん」して、タケシ氏を感電させた。でんき技が通じない事を学習した上で、指揮官(たかのめ)を潰そうとしたのだろう。事実、成功した。

 

『ギャヴォオオオオッ!』

 

 その上、迷いなくタケシ氏に襲い掛かる。真っ先にトレーナーを行動不能にするとは、分かってるじゃないか。

 

「プニちゃん、タケシ氏を守って! それから「パラボラチャージ」!」『プニニニ……オップニィッ!』

『クギャギギギッ!?』

 

 もちろん、これ以上の好き勝手は許さない。例えアイツの都合で呼び寄せられたのだとしても、人やポケモンを殺そうとするのなら、止めさせて貰う。

 何故ならボクはジムリーダー。トレーナーを導き、治安を守る者。給料を貰っているからには、働いてあげるのさ!

 

「キバナ氏、タケシ氏を頼みます! ついでに避難誘導も!」

「へいへい、扱き使われてやりますよ、こういう場合はな!」「……スマン! 戻れ、イワーク!」

 

 とりあえず、戦闘不能なタケシ氏はキバナ氏に任せておく。マツリカ氏とエリカ氏は、

 

「こちらですわ! 早く逃げて下さいませ!」

「よーし、さっさと穴を塞いじゃうぞーん!」

 

 まぁ、今はバックアップでもいいか。何やらよく分からない機械で、時空の割れ目を修復しているみたいだし。手が空き次第、援護して貰えばいい。

 

「さぁ、相手をしてあげるわ、異世界のモンスターさん! お願い、プニちゃん、イルルちゃん!」

『プニニニ!』『ジパパパパン!』

『ギギギャヴォオオオオオォン!』

 

 そして、ボクらはモンスターと対峙する。

 

『バリバリル!』

「キミは……!」

 

 それと何故か、あの時のサンダーも。

 たぶん、彼はカントーの中央一帯の空を縄張りとしているのだろう。寒冷地から殆ど動かないフリーザーや、決まった縄張りを持たないファイヤーと違い、海と山があり発電所まで設置されている4都市+1町は、電気を餌にするサンダーにとって都合が良いに違いない。

 だから、空を割って現れる連中は、等しく彼の敵と言える。

 しかも、彼我の戦力差を理解出来る高い知性を持っているのか、一時的にでも人間の指揮下に入るのも厭わないときた。なるほど、ボスの器だ。

 だけど、丁度良い。協力してくれると言うのなら、遠慮なく頼らせて貰うとしよう。

 

「……頼むよ、サンダー!」

『ギャヴォオオオオオス!』

 

 今までの戦いを観て、ボクは理解した。あのモンスターに容赦は無用だと。

 ……どんな生き物も、攻撃を受ければ、痛みを感じ、恐怖を覚え、隙が生まれる。

 だが、このモンスターはそんな物など感じてない。油断せず、動きが完全に止まるまで、攻撃を続けるしかないのである。

 

『ギギャギギヴォォォン!』

 

 むろん、そんな事は向こうが一番分かっている。だからこそ、全身に黄緑色の電荷を纏い、完全な戦闘形態へと移行していた。あの電圧はでんきタイプですら大ダメージを与えかねないが、逆に自分自身にも負担を強いているのだろう。諸刃の剣って奴だ。

 そう、ボクらも、あのモンスターも、立場は同じ。殺られる前に、殺るしかない。

 

 

 ――――――さぁ、一狩り行こうぜ!




◆ライゼクス

 モンスターハンターの世界からやって来た、マジもんのモンスター。
 昆虫と飛竜を組み合わせた、美しくも刺々しい見た目をしており、ビブラーバよろしく煽動する事で発電し、放電したり、全身に纏ってフィジカルを強化する事が出来る。
 高い飛行能力を持ち、かの空の王者ともタメを張れると言われている。ただし翼の扱い方はかなり乱暴。
 また、誕生と同時に捨て置かれ、愛を知らないまま育つ為、非常に凶暴で、目に付く物を片端から殺す残虐な性格をしている。
 その習性故か、「電の反逆者」「空の悪漢」とも呼ばれている、危険生物である。
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