キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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今回はキバナ視点デス。


空の王者☆彡

「まーた飛んで行っちまったよ……」

 

 オレ様――――――キバナ様の前で、再びナンジャモは飛んで行った。現れた怪物を引き離す形で。こうも同じ事を繰り返されると、思う所はある。

 ……また死に掛けて戻って来たら、承知しないからな。

 いや、この場をさっさと乗り切って、今度こそは――――――、

 

『……ギュァアアアアアアアッ!』

「あ、マズい! 1匹通過した!」

「くっ……! さっきのとは別の、ほのおタイプみたいな翼竜ですわね!」

 

 しかし、現実はそう上手くはいかない。マツリカがかつての友から手渡された、「次元修復装置」で塞がり掛けていた時空の割れ目から、1匹のモンスターが現れた。同時に割れ目が完全に修復される。

 つまり、後続が現れない代わりに、奴が逃げ帰る事も出来ない。さっきの翼竜(というか電竜?)よりは真面そうだが、凶暴なモンスターである事に変わりはないだろう。何せ大きさだけなら、あの化け物の倍はあるのだから。

 

「コイツは……やはり、図鑑は反応しないか」

 

 骨格は同じく翼竜型。ただし、こちらは赤茶けた甲殻に覆われており、シャープと言うよりもゴツゴツとした、燃え滾る紅蓮を思わせる物となっている。見た目も、昆虫と混じり合っていた先鋒と違い、ドラゴン――――――否、ワイバーンに近い。ガラルの宝物庫に飾れば、それはもう絵になるだろう。

 まさしく、伝説に語られる赤き竜。そんなモンスターだった。おそらくだが、口から火を噴くに違いない。本能がそう訴えている。

 

 

◆『分類及び種族名称:火竜=リオレウス』

◆『弱点:でんきタイプとドラゴンタイプ』

 

 

『ギャォオオオッ!』

「うぉっ!?」

 

 巨大な翼竜……さっきの電竜と区別する意味でも「火竜」と呼ぶべきか。そいつが、オレ様を鷲掴むように、踏み付けてきた。咄嗟に避けられたが、際どかった。爪先から物々しい液体が漏れ出ている事を鑑みるに、出血性の猛毒が含まれているのだろう。二重の意味で危ない。

 

『バヴォッ! ガヴォッ! ゴヴァッ!』

 

 さらに、これは予想通りというか、口から火球を射出してきた。

 

「きゃあああ!」「熱い、熱いよう!」「助けてぇ!」

 

 一瞬にして辺り一面が火の海となり、避難する住民たちの行く手を阻む。見た目通りの大食漢で、火炙り(ロースト)にして食うつもりだろう。

 

「クソッ!」

 

 マツリカやエリカには、みずタイプ技を覚えたポケモンが居ない。粉や毛を撒いて、火の侵攻を防ぐので手一杯である。どうすれば――――――、

 

「パルシェン、「ハイドロポンプ」!」『ゴースジャナイデース!』

 

 と、何処からともなく炎獄を掻き消す大放水が。

 

「ペパーか!」

「ここは俺が何とかします! キバナさんは、奴の相手を!」

「助かるぜ!」

 

 これで後顧の憂いは無くなった。後はマツリカやエリカのポケモンがライドすれば、何とかなるだろう。

 ならば、オレが成すべきは!

 

「頼むから、言う事聞いてくれよ!」

 

 トドロクツキが収まったボールを一度握り締め、それから戒めを解く。

 

「行くぞ、「エルクレス」!」『グギャォオオオッ!』

 

 このっ……じゃじゃ馬め!

 今テメェと問答している時間は無い、さっさと騎乗されてろ、全力でブン殴るぞ!

 

『………………!』

 

 あ、大人しくなった。優しいだけが教育じゃないよねー。

 

「よし、飛ぶぞ! それから、「ムーンフォース」だ!」『グルヴォァッ!』

『ギュァアアアアアアッ!』

 

 とりあえず、エルクレス(トドロクツキのニックネーム)に跨って飛翔し、火竜のデカい面に「ムーンフォース」を叩き込む。観た所、あまり効果は無さそうだ。ドラゴンタイプに見えるが、実は違うのか?

 だが、興味を引く事には成功した。このまま空に引き離してやる。

 

《そうはいかんな》

「なっ……!」『グルヴォッ!?』

 

 気付くと、向かう先には別の罅割れが現れて――――――、

 

「おやかたさま!」『こんじょぉおおおおおっ!』

《ぐぉっ!?》

 

 次元修復装置を介した「はかいこうせん」が直撃し、退散した。

 

「へっ……!」

 

 そうだよな。任せたからには、信じて突っ切るしかないよなぁ!

 

「来やがれ、化け物! このオレ、「ドラゴンストーム」キバナ様が、直々に相手をしてやるぜ!」

『グギャァアアアアアアアヴォッ!』

 

 火竜が火球を連打してくる。一発一発がエルクレスごとオレ様を飲み込むような大きさで、掠っただけでも火傷を負う程の威力があった。食らえば、ロースト処かヴェルダンにすらなるまい。

 

「面白い! やれるもんならやって見ろ! ドラゴン使いのオレ様が、ドラゴン擬きのテメェ如きに落とされて堪るか! なぁ、エルクレス?」『グルヴァォッ!』

 

 何か言いた気だな、エルクレスさんよぉ。本当はプライドだけが一丁前な、臆病者の癖にさ。分かるんだよ(・・・・・・)オレ様には(・・・・・)

 だから、見せ付けてやるんだよ、あの火竜にな。同じ異世界転移者として、自分が一番だと教え込んでやれ。そうすりゃ、もう怖い物なんて無くなるだろう?

 ……悪いが、オレ様は不器用なんでね。荒療治しか出来ないのさ!

 

『ゴヴァアアアアアアッ!』

 

 おっと、オレ様の“ドラゴン擬き”という発言が気に食わなかったのか、火竜が飛行速度を上げてきた。

 良いぜ、来てみろよ。誰も辿り着けないような、遥か高みへなぁ!

 

「やぁぁぁってやるぜぇえええええっ!」




◆リオレウス

 「空の王者」にして「飛竜の王」と称される、強大な飛竜種。雌個体は「リオレイア」と呼び分けられ、そちらは疾走力に特化している為、「陸の女王」と呼ばれる。
 赤茶けた甲殻と強靭な尻尾、雄々しい翼が特徴で、見た目通り飛行能力が高く、高々度から大地を見下ろし、敵を威圧する。言うまでもないが肉食で、アプトノスなどの草食種を丸ごと鷲掴みにして連れ去る運搬能力も持ち合わせている。
 また、「火竜」の異名通り、口から火球や火炎を放つ事が可能であり、巧みな飛行能力と併せたアウトレンジからの一方的な攻撃で、地表を火の海に変えてしまう。この際、口や喉も高熱で融解しているらしいが、高い再生力によって瞬時に治癒してるんだとか。痛そう(コナミ感)。
 ちなみに、この世界に訪れた個体は全長がウルトラマンの身長よりデカく、もし運命が違えば、別の世界線でミラ・ジョヴォヴィッチとモンスターハンターしていたかもしれない。
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