『クギャギャヴォン!』
「8時方向に後退! 「チャージビーム」!」『クワァヴォッ!』
『グヴァゥゥゥ……!』
「クソッ、避けられた! ……垂直降下!」『バリバリル!』
『キシャアアアアアアアアアッ!』
おは、こん、ハロ……って、言ってられるかぁ!
何だ、この激しい空中戦は。単純な速度こそトドロクツキの方が上回るけど、機動力が高過ぎる。攻撃がまるで当たらないし、四方八方から攻撃される。今はサンダーのフィジカルとボクの指示でどうにか拮抗しているが、いずれは押し負けるぞ。
『クギャギャッ!』
「くっ……!」
特に、この側撃雷が厄介である。回避動作に織り交ぜて撃ち出してくるモンだから、避け難い事この上ない。動きがランダムなのも、まーた嫌らしいわ。
つーか、仮にも翼竜の骨格でバレルロールするなよ!?
『グヴァギャアアアアアアアッ!』
「プニちゃん!」『プニィ……!』
翼竜が「でんじほう」っぽい物を撃ってきたので、イルルちゃんに跨り空を飛ぶプニちゃんに、電気に変えて貰う。結構な威力だが、プニちゃんの打たれ強さなら問題ない。
むしろ、でんき技が等倍で通ってしまう、サンダーの方が問題だ。当たれば、確実に落とされる。
『ギギギャギャギャッ!』
「うわっ!? 上昇しろ!」『………………!』
しかし、向こうはそれが分かっているのか、執拗なまでにボクとサンダーを狙ってくる。雷を宿した翼を振るい、鋏状の尻尾を突き出して電流を放つ。緑色の電荷を纏いピクセル光を煌めかせる姿は美しいが、こうなると恐ろしいだけである。
そのデカい図体で、トドロクツキ以上の連撃を放って来るな!
「図に乗るなよ! 「チャージビーム」、「ラスターカノン」!」『ギャギャギャォ!』『ジパパパン!』
『クゥギャヴォォォン!?』
だけど、やられっぱなしは趣味じゃないんでね。姿形と今まで放った技の効き具合から、お前のタイプが「でんき/ひこう」の複合だってのは分かってるんだ。サンダーと同じ弱点を、お前自身が持ってるんだよ!
……とは言え、体格差は如何ともし難い物がある。同じ欠点があれど、一発で墜落させるのは難しいだろう。あんな巨体を飛ばせている時点で、飛行能力の高さが証明されているからね。
『グゥゥゥ……!』
「何だ?」
すると、翼竜が鶏冠に電気を集め始め、
――――――ズバァアアアアアッ!
『プニィッ!?』『ジパパパッ!?』
「プニちゃん、イルルちゃん!」
巨大な雷の
『ゴヴァアアアアアッ!』
「しまっ……!?」『………………!』
マズい、気を取られている内に、距離を詰められた!
――――――ドシュッ!
「危なっ!?」『バリッチィ!?』
『ギキググゥゥ……ッ!?』
だが、突如下から打ち上がってきた、巨大な火球に中断される。助かったけど、何ジャモこりゃあ!?
「おっと、失礼!」『グォッ!』
『ギュァアアアアアアアアア!』
さらに、トドロクツキに跨ったキバナ氏と、それを追い掛ける馬鹿デカい翼竜が通過する。極悪な風圧で吹き飛ばされてしまったが、どうにかサンダーが頑張ってくれたおかげで、何とか墜落せずに済んだ。
「ちょ……キバナ氏、何してくれちゃってんのよ!?」
「どうだ、盛大な横槍だっただろ?」
「ぶっ飛ばすぞ、この野郎!」
こんな時に、何をドヤ顔してんだコラァ!
「つーか、何ですか、コイツ!?」
ボクが相手をしていた翼竜が「電竜」なら、こちらは「火竜」とでも言うべき姿をしていて、全長が電竜の倍もある。こんな化け物、飛び立った時は居なかったと思うんだけど!?
「マツリカたちが割れ目を塞ぐ直前に割り込んできたんだ。これ以上は無いが、こいつも危険な外来種である事には変わりないよ。何せ、人間もポケモンも纏めてローストにして食っちまおうとするぐらいだからな!」
「くっ……!」
何が悲しくて、被害者同士で殺し合わなくちゃいけないの?
お前は世界の何がそこまで憎たらしいんだ、「Z」さんよぉ!
「で、でも、どうすれば!?」
流石に40メートル級の化け物を落とせる自信はない。あるとしたら、そいつは人間を止めている。
「バーカ、何でわざわざ割り込んだと思ってんだ。……化け物には化け物ぶつけんだよ!」
「なるほど!」
同士討ちにさせて、弱った方を一緒に沈めてから、勝った方を狩る、って訳ね。中々にエグい事を考える。
「それがか弱い人間様の遣り方だよ」
それはそうなんだけど、アンタが言うと説得力ないな!
『クゥギギャォオオオオン!』
『グルギャォオオオオオッ!』
しかし、生来凶暴な者同士だからか、キバナ氏の目論見通り、電竜と火竜が争い始める。まさに一色発。空の王座を賭けた、大怪獣空中決戦である。
『ゴアバァアアアッ!』
『キシャアアアアッ!』
火竜の放つ火球の連打を躱しつつ電竜が迫るも、巨大な尻尾を振るわれ、一時後退する。ならばこれはどうだとばかりに電竜が「でんじほう」を撃ち出すが、火竜の火炎放射で阻まれ、逆に自分が焙られた。やはり体格差が大き過ぎるか。
『コォォォ……ゴヴァアアアッ!』『ギャァッ!?』
そして、火竜が口に蒼い炎を溜めたかと思うと、自身と同じくらいの大火球を吐き、電竜を飲み込んだ。これは流石に勝負あったか……。
――――――バリバリバリ……バチィイイインッ!
『ガァアアアァヴィアアアアアアッ!』
いや、まだ決着は付いてない。大火球を内側から爆ぜ飛ばして、電竜が現れたのである。
さらに、極度の興奮状態に至ったか、もしくは命の危機に瀕して覚醒したのか、甲殻が今まで以上に刺々しく隆起して、全身に青い電荷を纏っている。これがアイツの本気の姿なの!?
◆『分類及び個体名称:
◆『弱点:こおりタイプ』
『ギャォオオオスッ!』
『ギュヴァアアアッ!?』
そして、青電竜は圧倒的に巨大で強大な空の王者に、閃光の如く襲い掛かるのであった。
◆青電主ライゼクス
ご存じライゼクスの二つ名持ち個体。「ライトニングリヴォルト」の異名通り、強大な電力を有し、その輝きは青く美しい。
全ての技が強力かつ凶悪な威力を持つが、中でも鶏冠に電荷を集中させて叩き付ける「来トングブレード」は必殺級で、食らった者は消し炭すら残らないという。「ガード強化」で防げちゃうのは内緒。最近は通常個体でも、似たような技を持つ奴が居るらしい。おそらく、青電主へ至る直前くらいの実力者なのだろう。