「えーっと、かくかくシキジカで……」
「おー、なるほろー。これでもカントー地方に詳しいし、わたしが案内してあげよー」
突然の洗礼に驚いたものの、やはりノリが良いマツリカ氏、カントー地方を案内して貰える事と相成ったぜ☆♪
……いやー、マジでホント、「みがわり」発動して良かったー。
「ブッ……クスクス」
「テメェ、ダイレクトアタックかますぞ。デュエル開始を宣言しろ、マツリカ!」
「まーまー、負けた物は仕方ないじゃないですか~♪ つーか、何時までしょげてんですか。番組はむしろ、ここからが盛り上げ所でしょうが!」
「はいはい、分かりましたよ、モンジャラ氏」
「ナンジャモだわ失礼な」
誰が「ツルじょうポケモン」だコラ。草は決して生えません!
ま、それはそれとして、先ずは何処から行きますかねぇ~?
「では、マツリカ氏! カントー地方の玄関口、クチバシティと言えば!?」
「「ディグダのあな」!」
何でだよ!?
「クチバジムを手っ取り早くクリアするのに最適だから」
「いや、あの……ジムリーダー目線じゃなくて、この土地ならではの魅力とかをですね……」
「……じゃあ、やっぱりクチバジムなんじゃないかなー? 何だかんだで、ここで一番目立つのあそこだし」
「確かにそうかもな。ちなみに、ジムリーダーのマチスはイッシュ地方から来たマジモンの軍人らしいぜ」
「おー、流石はwikiバナ氏、博識ですね~♪」
「検索ツール風に言うなや」
しかし、マツリカ氏やキバナ氏の言う事も尤もだ。
一応、ポケモン大好き倶楽部のカントー支部があるらしいけど、どの地方でも会長さんの話は長いのが通例だから、正直行く気はない。たぶん、途中で絶対に寝る。ならば、ジムを見学した方が見栄えがあるだろう。
「ちなみに、ずっと気になってたんですけど、あの無駄に大きい建物は何ですかな?」
「ああ、ジヌシさんが建てた多目的ビルだねー。わたしの絵も何枚か飾ってあったと思うなー」
「そっちでも良くないですか!?」
「だが断る」
「だが断られた!」
……いや、まぁ、良いですけど。ジムの方が盛り上がると思うし。つーか、ジヌシって名前?
「はい、ここがクチバジムでーす」
ともあれ、マツリカ氏に先導され、クチバジムの前までやって来た訳だが、
「おー……何かボロい!」
「いきなり失礼な事言うなよ、おい」
だって、本当にボロいんだもん。建物自体は新しいのに、そこかしこが破損している。どういう使い方をしたらこうなるんだろうか?
「「「お邪魔しまーす」」」
とにかく、突撃クチバのジムリーダーじゃい!
「おー……中はゴミ箱ばっかり!」
「だからぁ!」
いやだってさ、部屋いっぱいに並ぶ、無駄に洗練された無駄の無い無駄なゴミ箱は何なのよ。どんなコンセプトなんだ、このジムは。
「そもそも、ここって何タイプのジムなんですか?」
「でんきタイプだよー」
「異名が「ライトニングタフガイ」だからな。軍人仕込みの力強いポケモンバトル売りなんだと」
「ほへー」
あ、一番奥にあるビリビリしたコンデンサーって、そういう事だったのね。これは同じでんきタイプ使いとして出しゃばらずにはいられませんなぁ~!
「じゃあ、お願いします先輩」
「だから何でオレ様!? そこはお前が行けよ!」
「またまた~、汚名挽回のチャンスじゃないですか~♪」
「いや、せめて返上させてね?」
いいから早く行けスケープゴート。
「しかし、これマジでどうすりゃ良いんだ?」
「ゴミ箱の中にあるボタンを押すと、電磁ロックが解除されるんだよ~。ただし、2回連続で成功しないと駄目だし、1度でも間違えると正解のボタンがランダムで変更されるから気を付けてね~」
「あ、そういう事……」
何か地味だな。
「うーん、中はゴミばっかり……」
あと、絵面が酷い。ガタイの良いイケメンくんが、ゴミ箱を必死に漁っている姿は、何処かシュールで哀愁も漂っている。どうしてこうなった。
「うわ、このティッシュ使用ず――――――」
「プニちゃん、「10まんボルト」!」『プニプニ~♪』
「何でだよ!?」
コンプライアンスだよ。
「……見付からねぇ!」
その後もキバナ氏はゴミ箱を漁り続けたが、中々見付からない。例え見付けても、別のゴミ箱を漁った瞬間、ロックが元に戻ってしまっている。何かしらの法則があるのだろう。今回、番組による見学という事もあって、ジムトレーナーさんには待機して貰っているのだが、それでも時間が掛かり過ぎである。
――――――これ、やっぱりジヌシさんのビルを見学した方が良かったんじゃね?
「……バベル、「てっていこうせ――――――」
「止めなさいて」
ああ、だからこのジムこんなにボロボロなのね。そりゃあ八つ当たりもされるわ。見てるだけでイライラするもん。絶対コンセプト変えた方が良いよ、これ。
「仕方ないな~♪ このボクに任せなさ~い♪」
いい加減飽きて来たので、ボク自らが出陣した。
「はい、これとこれ!」
「嘘だッ!」←外でヤミカラスがバサバサ飛んで行く程の声量。
本当なんだな、これが。電磁波が見えるから、何処と何処が正解なのかは丸分かりだったのよ、最初から。キバナ氏に名誉返上して貰う為に、敢えて言わなかったけど(笑)。
「お~、ようやくクリアしましたか! 待ち草臥れてブックスをリーディングしてましたヨ~! そこのボーイはダメダメネ~!」
そして、2枚の電磁ロックの向こう側で優雅に本を読んでいるは、ジムリーダーのマチス氏。サイドを刈り上げ上を逆立てた金髪にサングラス、迷彩服を纏ったマッチョボディ……うーん、確かに何処からどう見ても軍人さんだねぇ。
「初めまして~♪ 何者なんじゃ? ナンジャモで~す♪ 遥々パルデア地方から取材に来ました!」
「その出で立ち……アナタ、エレクトロマスターでスネ~!?」
「はい、Level5です」
「オ~ッ、ワンダフォー!」
「いや、何なんだお前らは……」
でんきタイプですの。
よ~し、今回ばかりは流石にボクもバトっちゃおうかな~!
同じでんきタイプのジムリーダーとして、挑まずにはいられないぜ~!
……というか、絵面が地味過ぎて話題性が無いから、せめてポケモン勝負で盛り上げないと登録数が伸びないんだよ!
「よろしくお願いしまぁあああああす!」
「OK!」
こうして、ボクとマチス氏のバトりが、ズドンと始まったのであった~。
後半へ~続くっ!
◆マチス
イッシュ地方からやって来た「ライトニングタフガイ」。個人的には「イナズマアメリカン」で覚えてます。
見た目通りの軍人であり、でんきタイプのジムリーダーの癖に「メガントンキック」だの「メガトンパンチ」だのを覚えさせている肉体派。近くのディグダの穴でもぐらを捕まえればほぼ完封出来るのは内緒。ジムの内容が今も昔も不評であり、八つ当たりを受ける事もしばしば。