キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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※おねショタではありまセン。


怪獣狩りの少年☆彡

 言語学において、異文化の「言葉」を解読するのに必要なのは、「これは何ですか?」という質問である。

 ……という訳で、急遽お出掛け調教タイムを中断し、異世界人の少年との対話及び言語解読をする事にした。正直、悪漢だの王者(笑)だのとじゃれ合ってる場合じゃない。どう考えなくても、これが最優先事項だ。

 

『これは何?』←オーキド博士の研究資料

『本』

『これは何?』←モンスターボール

『ボール』

『これは何?』←キバナ氏

『男』

『これは何?』←ボク

『小さい子供』

『ぶっ殺すぞテメェ』←ボクの心の声

『ええっ!?』

 

 とまぁ、こんな感じで、思考の言語化を交えつつ、いけいけドンドンと翻訳していく。非常に地味な作業だけど、しない訳にもいかないだろう。

 

「ルンルン、パンだよー」『ルンパン♪』

「ミドリちゃん、秘伝ハーブよ~♪」『にゃおは~ん♪』

 

 だからって、直ぐ様飽きるな貴様ら。いい加減にしろよ、おっとりひょうたん島。

 

「……それで、何処まで何が分かったんだ?」

「とりあえず、大まかな彼の出自と、向こうの文化をサラッとって感じですね」

 

 うーん、期待して貰って悪いけど、この手の作業は物凄く時間が掛かるんですよ、キバナ氏。ボクの能力を以てしても、本当に概要の触り程度しか分からないし、会話もポツポツとしか出来ない。

 ――――――で、この子に関してだけど、とある村出身の「ハンター」らしい。

 “向こうの世界”では、ライゼクスやリオレウスのようなガチモンが溢れ返っており、人類は僅かな生活圏で細々と根付いているそうな。その為か、文化としては「戦闘」以外の事に関しては何処か古めかしく、電子機器に相当する物は存在しないようである。蒸気機関ぐらいはあるみたいだけど。

 さらに、モンスターと人間との間に、ボクらとポケモンのような絆は皆無と言っていいようで、常に食うか食われるか、ギリギリの境界線で暮らしているらしい。共存共栄は望むべくも無く、呉越同舟が良い所って感じかな。

 そして、その境界線を守り、生態系の調整を担うのが、ハンターなのだという。

 しかも、キバナ氏みたいに、フィジカル任せで。装備の不思議パワーのおかげもあるのだろうが、あんなクソデカモンスターを相手に生身で挑むとか、マジであり得ない。

 

「ぐぉおおお……勝った! 何とか!」

『負けたー』

 

 試しにキバナ氏と腕相撲して貰ったら、ギリギリで少年が負けた。こんな年端もいかない子供でさえキバナ氏とほぼ互角な事を脅威に思うべきか、それとも人型モンスターとでも言うべき少年に何とか勝ってしまうキバナ氏を化け物だと思うべきか、どうなんだろうか?

 ちなみに、少年の名前は「アグル」というらしい。ガイアの意志かな?

 だが、そんな強靭☆無敵★最強なアグル少年が、何故オーキド博士のお世話になっているのだろう。そこん所、どうなんですかね、オーキド博士?

 

「海岸に打ち上げられとったんじゃよ。相当な深手を負っていたし、疲れ果てとった事から、“何か”に追い回されたんじゃないのかのぅ?」

「そうなんですか……」

 

 そこら辺は、本人に聞いてみるしかないか。

 

『君、何で、傷だらけ、ここ来た?』

『目、覚めた、知らない場所。そこで、ディアブロス、みたいな奴、番、殺した、危ない、思って。怒ったそいつ、追い掛けられた、泳いで逃げた』

『そう……』

 

 つまり、前回のアレに巻き込まれる形で転移したら、一緒に飛んできたモンスターの夫婦と止むを得ず戦闘し、片割れを斃したら、残る側に追われる身になってしまった、と。

 さっきも言った通り、彼の世界ではモンスターとの殺し合いは当たり前で、襲われたら対処するしかない。仕方なかった。

 そうなんだけど……でも……ボクは――――――、

 

『怖かった。ハンター、憧れ、強くなった。でも、相棒、居ない、独り、知らない、世界、怖くて……殺した』

「………………!」

 

 生きる死ぬの世界で生きているハンターだからだろう。ボクが僅かに(・・・・・・)抱いてしまった嫌悪感を(・・・・・・・・・・・)、知覚されてしまった。

 ……馬鹿なのか、ボクは!

 自分の常識が通じない、見た事も聞いた事もない世界に飛ばされ、凶暴なモンスターが直ぐ傍に居るのに、“相手も生き物だから”なんて甘えた理由で手加減するなんて、出来る訳ないだろ!

 そもそも、こんな若い子に自分の都合を押し付けるなんて最低だぞ、ナンジャモ!

 

『……ごめん』

『………………!』

 

 気付くと、ボクは彼を抱きしめていた。罪悪感とか、可哀想だとか、そんな事すら考えず、思わずにだ。正直、ちょっと恥ずかしいけど、やらずにはいられなかったんだよ。

 

「うぅぅ……うぁああああああッ!」

 

 その瞬間、アグルくんは泣き叫んだ。堰を切ったように涙を流し、少し幼さの残る顔をクシャクシャにして。

 そう、どんなに強くとも、ガチモンすら狩るハンターだろうとも、彼はまだ子供なのである。ボクに弟が居るとしたら、これぐらいの歳なのかも。そう思える。

 

「「「「ジィ~ッ」」」」

 

 クッソ、そんな目で、ボクらを、見るなぁあああああッ!




◆アグル

 モガの村出身のハンターで、片手剣使い。
 幼い頃に見たユクモ村専属のハンターや我らの団ハンターに憧れ、大して役に立たないモガの村専属のハンターに成り替わろうと、ハンターを志した過去を持つ。両親と姉の4人家族。父親が漁師で母親が海女、姉はギルドで働いている。
 ある日、モガの森に見覚えの無いモンスターが現れたとの事で、調査に向かった際に時空転移に巻き込まれた。
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