―――――――ドドドドドドドドッ!
爆音が鳴り響く。比喩ではなく、本当に爆発している。1歩進む毎に地面がダイナマイトのように爆発し、爆炎のデスロードが敷かれているのである。現在進行形で。
「いやいやいやいや!?」
それが生物の遣る事か!?
「緊急脱出!」「うおっ!」「「南無参!」」「うわぁあああっ!」
『グヴェァアアアヴォッ!』
受け身を一切考えない、文字通りの緊急脱出をした瞬間、ジープが粉砕された。かち上げられたとか、そういうレベルではなく、角が刺さったと同時に爆破されたのだ。ヤバいヤバいヤバい!
「ドードー!」『バリバラヌゥ!』
「ダリアちゃん!」『ダリャッ!』
「リザリーちゃん!」『モトォ!』
「エルクレス!」『ギャヴォン!』
次の攻撃が来る前に、ボクたちは各々のライドポケモンに跨って散開した。こんな走る爆薬庫を相手に、皆揃って逃げ出しては、あっという間に一網打尽にされてしまう。
「アグル!」「………………!」
もちろん、アグルもちゃんと回収した。出来ればエルクレスを繰り出したキバナ氏に託したかったが、ちょっと遠過ぎた。このまま逃げるしかない。
『グヴォオオオッ!』
やっぱり、ボクとアグルを追って来たか。相対速度的に逃げ切れないかも……!
『ギャヴォオオッ!』
「………………ッ!?」
跳び上がった!?
さらに、そのままボクたちへ向かって――――――、
「リザリー、2時方向にジャンプ!」『リザァンッ!』
ボクの指示で、リザリーが跳んだ。
――――――ドギャヴォオオオオオオッ!
その瞬間、背後で大爆発が起こった。凄まじい爆風により、ボクたちは悲鳴を上げる間も無く離散する。少しでもジャンプが遅れていたら、離散処か爆散していただろう。
しかし、ギリギリ過ぎたせいで、体勢を立て直している暇がない。
というか、全身打撲かつ四肢が軟体動物のようになってしまったので、ボクに関しては身動ぎすら出来なくなった。意識が今にも吹っ飛びそうだ。
『グヴェアアアォッ!』「ひぅ……!」
そして、空中という無防備な状態のアグルに、ディアブロスがハンマーのような尾を振るう。当たれば微塵も残るまい。
「……危ねぇ!」「はぅっ!?」
だが、直撃する寸前に、キバナ氏がアグルをキャッチした。素晴らしいぞ、キバナ氏&エルクレス!
『――――――グヴォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!』
「どわっ!?」『ギェッ!?』「わぁっ!」
と思ったのも束の間、ディアブロスが大地を引き裂く勢いの咆哮と、キノコ雲を生み出す程の爆発によって、アグルたちを分散させた。角度の問題からか、今度は全員が叩き付けられ、漏れなく戦闘不能になる。
むろん、ディアブロスの攻め手は緩まない。動けないアグルを挽き肉にしようと、再び突進してくる。
「ドードー!」『ギャヴォオオス!』「……かはっ」
しかし、見るも無残なハンバーグが出来上がる前に、マツリカ氏がドードーを駆り、回収。そのまま高速で脱走する。
『グヴァォォォ!』
すると、ディアブロスが物凄い勢いで跳び上がり、避けられるのも構わず、地中に潜行した。
――――――ズドドドドド……ゴバヴォォオオオオン!
「きゃあ!」『バリァッ!?』「あぐっ……!」
さらに、真下から地面ごと吹き飛ばすという、まるで意味不明な遣り方で、マツリカ氏たちを宙へ巻き上げた。そんなのありかよ!
「エリカ!」
「分かりましたわ!」
「……ドードー、「らいめいげり」!」『ギャヴォオオッ!』
これはマズいと思ったらしいマツリカ氏は、偶々近くに吹っ飛んできたアグルをエリカ氏へ投げ飛ばし、自分はポケモンバトルへ移行した。ドードーの「らいめいげり」が空を裂く。
『グヴェァォン!』『ガッ!?』
「ドードー!? ……戻って!」
だが、読んでいたかのようにディアブロスが翼を振るい、ドードーは打ち墜とされてしまった。カウンターだったとは言え、たった1発で伝説のポケモンが瀕死である。人間が食らえば、文字通り微塵も残らないかもしれない。
『ヴォォォォ……!』
「何ですの!?」
と、逃げるエリカ氏たちを、ディアブロスは追い掛けず、大きく息を吸い込み出した。あれは、もしや……!
「バリバリ、「ひかりのかべ」!」『バリアーッ!』
「……ダリアちゃん、「まもる」!」『ダリァッ!』
――――――ゴヴォオオオオオオオオッ!
危機を察したエリカ氏とマツリカ氏が守りの態勢を取った瞬間、ディアブロスが赤黒い熱線を吐いた。
「「きゃあああああっ!?」」「うがぁ……っ!」
『バリーン!?』『ダォッ!?』
そして、防御など無意味だと思い知らされる。彼の熱線は、「ひかりのかべ」も「まもる」すらも叩き割って、マツリカ氏たちを吹き飛ばしてしまった。直撃したら原子分解されていただろう。
「あがっ……!」「がふっ、げほっ……!」「あぁ……」
しかし、1発KOなのは同じであり、何よりあのブレスには猛毒も含まれているので、3人とも急速に弱っていった。ここから逃げるなど、不可能と言い切って良いだろう。
『グヴォァヴヴヴッ!』
もちろん、ディアブロスは容赦しない。大きく頭を振り被り、その邪悪な双角をアグル目掛けて振り下ろす。
「や゛、や゛め゛……」
言葉にならないし、意味も無い。ボクなんかが幾ら叫ぼうと、あのディアブロスは止めてくれないだろう。
だけど、お願いだから、もう止めて……!
と、その時。
『バリバリル!』『ギャヴォッ!?』
何処からともなくサンダーが現れ、「かみなり」を落とした。突然の乱入者に、ディアブロスの動きが一瞬だけ止まる。
『コォラス!』『モヤスワァッ!』
さらに、フリーザーとファイヤーまでもが出現し、ディアブロスへ一斉攻撃を仕掛ける。フリーザーは双子島が近いから、ファイヤーは偶々だろうが、これは有難い。
『グヴェアアアアアアアヴォッ!』
『『『ギャース!』』』
そして、ディアブロスと伝説の鳥ポケモン3羽による、壮絶な縄張り争いが始まった。
◆フリーザー
カントー地方を主な生息地にしている伝説の鳥ポケモン。氷の結晶を思わせる鶏冠とオーロラのようにたなびく尾羽、青く煌めく水色の羽毛を持ち、身体から生み出される冷気により吹雪を巻き起こすという。雪山で遭難しそうな者の前に姿を現すという、死神みたいな一面もある。本来の生息地は人の立ち入れない永久凍土らしいので、カントーだけに出現する訳では無い。
今回登場した個体は双子島を根城にしており、カントーの空を巡回しているサンダーや、気儘に旅をしているファイヤーとは同期かつライバル関係にある。