キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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誰しも終わりはある


明日へさようなら★彡

『バギャヴォッ!』

 

 先ずはサンダーが「ぼうほう」を巻き起こす。稲妻を伴う竜巻が幾つも発生し、疾風の包囲網を形成した。

 

『グヴェァォオオッ!』

 

 だが、ディアブロスはブレスにより、いとも容易く「ぼうふう」の壁を薙ぎ払う。

 

『コォオオオオン!』

『グヴヴゥゥ……!』

 

 しかし、サンダーは既に射線から退避しており、入れ替わるようにフリーザーが「ふぶき」を発生させた。流石に攻撃の直後だった為か、ディアブロスは真面に食らい、僅かに怯む。どうやらこおりタイプの攻撃に弱いらしい。

 

『ハォオオオッ!』

『グヴォ……ッ!?』

 

 さらに、ファイヤーの「だいもんじ」が炸裂し、ディアブロスは大きく仰け反った。

 

『――――――グヴォァアアアッ!』

『ファォッ!?』

 

 だが、ほのおタイプの通りは今一のようで、即座に体勢を立て直し、ファイヤーに殴り掛かる。ファイヤーはギリギリで躱せたが、掠っただけでも致命傷は免れまい。それは既にドードーが証明している。

 

『ファアアアッ!』『クォオオオッ!』『ギャォオオオス!』

 

 そこで3鳥たちは連携を意識し、ファイヤーの「エアスラッシュ」の後に「かみなり」や「ふぶき」を放つようになった。風の刃で牽制して、効果がありそうな攻撃を食らわせる事にしたのだ。

 

「……これは! ドンカラス、「あくのはどう」!」『カォオオオッ!』

 

 しかも、事態を解決しに出動したであろう受付嬢の人が、ドンカラスに乗って駆け付けてくれた。これで手数が増える。

 

『グゥゥゥ……!』

 

 それらは確かに効果があり、ディアブロスは瞬く間に傷だらけになったのだが、

 

『グヴェァアアヴォン!』

『『『ギャヴォッ!?』』』

「嘘っ!?」『ドンカラ!?』

 

 一声叫んで喝を入れれば、動画の逆再生のように治癒してしまった。体内にある菌糸らしき物が、ディアブロスの熱によって増強され、身体を再生させているようである。何だ、そのチートは。これじゃあキリが無いじゃん!

 ――――――いや、あれは単に“身体を突き動かす”為に傷を塞いでいるだけで、根本的な体力回復には繋がっていない筈だ。このまま体力を削れれば、あるいは……。

 

『グヴォァアアアアアアッ!』

 

 しかし、世の中そんなに甘くは無い。ディアブロスが再度大爆発を起こして、鳥ポケモンたちの態勢を崩しに掛かったのである。

 

『グルヴォォオオオッ!』

 

 そして、右翼で地面に身体を縫い付け、ブレスを吐き散らかしながらグルグルと周り、勢いのまま空中へ躍り出て、最後に特大の爆発を引き起こせば、鳥ポケモンは全員戦闘不能に陥っていた。もちろん、受付嬢の人も巻き込まれ、白目を剥いている。あれは暫く目を覚まさないだろう。

 

「う゛う゛……!」

 

 どうしよう、最早誰も動けなくなった。逃げる事も、立ち向かう事も叶わない。このままじゃ……!

 

 

 ――――――ザリッ!

 

 

 すると、ボクの直ぐ傍で、土を踏み締める音が。誰かと思い、顔を上げてみれば、

 

「アグル……?」

「………………」

 

 そこには、思い詰めた表情をした、アグルの姿が。ディアブロスの注意が逸れている隙に、前に見せて貰った「いにしえ秘薬」とやらで回復したのだろう。あれだけ瀕死の重体だった身体が、ほぼ元通りになっている。

 その上、彼はボクらに「生命の大粉塵」を振り撒いてくれた。曲がった手足が少しずつ元に戻って行く。

 だが、その速度は芳しくない。立てるようになる頃には、全てが終わっているだろう。というか、失った血液までは戻って来ないので、回復した所でって話だが。

 

「……ごめん」

 

 と、アグルがボクらの言葉でポツリと謝罪した。

 さらに、己の片手剣(えもの)を構え、ディアブロスを睨み付ける。その姿に怯えは見受けられない。

 

 

『怖い』『死にたくない』『嫌だ』『父さん』『母さん』『姉さん』『帰りたい』

 

 

 いいや、ただの強がりだ。心の底では震え上がっている。

 それでも、アグルはディアブロスに立ち向かおうとしている。ハンターとして、ボクらを守り、決着を付ける為に。

 

「嫌……待って、行かないで……!」

 

 そんな事をしたら、キミは……!

 

「うぉおおおおおおおおおおおっ!」

 

 だが、アウルは止まってくれなかった。目尻に涙を浮かべ、震える脚を咆哮で誤魔化しながら、ディアブロス目掛けて走り出す。戦う男に、二言は無かった。

 

『グヴェァアアアォオオオオオッ!』

 

 ディアブロスもまた、それに応えるように、悪魔の怒声を轟かせ、突進してくる。アグルを今度こそ亡き者にする為に。

 

 

 ――――――バキィイイイン!

 

 

 勝負は、一瞬だった。

 大地を抉るディアブロスの双角を、僅かな隙間を縫うように滑走したアグルの剣が、ディアブロスの胸を串刺しにした。そこには膨大なエネルギーを生み出す炉心たる心臓があり、そして。

 

 

 ――――――ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!

 

 

 暴走したエネルギーが大爆発を起こし、何もかもを吹き飛ばした。ディアブロスも、アグルも。

 

「うぁあああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 更地となった「ダイグレンビオトープ」の真ん中で、ボクの叫びが虚しく木霊した。

 




◆ファイヤー

 棲み処が定まっていない伝説の鳥ポケモン。所謂「火の鳥」であり、火の粉を撒き散らせながら空を飛び、傷付いた身体をマグマの中で癒すという。フリーザーに勝るとも劣らない美しさを持ち、何処かの誰か曰く「雌」らしい。過去に山で遭難していたカツラを助けた事があるとか。
 ちなみに、双子島のフリーザーやカントーを旅するサンダーとは同期かつライバル。この世界でも移り気なのは変わっておらず、適当にそこらをうろついている。
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