キバナモンジャTV!   作:ディヴァ子

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※この世界線にシルフカンパニーは既に存在しまセン。代わりにトキワコンツェルンが担っていマス。


トキワコンツェルン☆彡

 皆の者、おはこんハロチャオ~。

 ボクたちは今、マツリカ氏の紹介でトキワコンツェルン本社ビルの最上階へ向かっています。最新式のエレベーターは高速だが振動も騒音もゼロで、乗り心地は最高である。

 ……気分は実に最悪だが。どうしよう、今すぐ引き返したい。まさか、大企業の社長様と直に面会出来てしまうとは。数字には繋がるだろうが、胃腸へのダメージが半端じゃないのよ。ボク、目立つのは好きだけど、性根は小市民なんだもーん。

 

「(キバナ氏、挨拶は頼みましたよ!)」

「(何でだよ! お前、配信慣れしてるんだから、そのノリで行けよ!)」

「(嫌ですよ! だって、絶対にオモマガさんよりとっつき難そうだもん!)」

「(“オモダカ”な!? 自分の所のチャンピオンの名前くらい正確に覚えておけよ!)」

「(うっさいうっさい! ……ってか、マクロコスモスの元社長とよく会ってた、キバナ氏の方が場慣れしてるでしょ!)」

「(それはあくまでチャンピオンだったダンデの話だろ!? オレ様は事務的な手続きでしか話した事ねぇよ!)」

「(この役立たずがー!)」

「(黙れちんちくりん!)」

「着いたよー」

「「あ、はい……!」」

 

 ぎゃーん、下らない口喧嘩している間に、もう着いちゃったよ~!

 ――――――くそぅ、覚悟を決めろナンジャモ!

 「覚悟」とは! 暗闇の荒野に! 進むべき道を切り開く事ッ! 「覚悟」は「絶望」を吹き飛ばすのだッ!

 

「失礼しまーす」

 

 あーん、やっぱちょっとタンマ~!

 

「……お久し振りです、マツリカさん。そして、初めまして、ナンジャモさんにキバナさん。ワタシはアポロ。僭越ながら、トキワコンツェルンの社長の椅子に座らせて頂いている者です。どうぞ、お見知りおきを」

 

 そして、遂にマジ☆アポロ氏とご対面。水色のショートに切れ長の目、精悍な顔立ち……本当にスーツが良く似合うお方だ。雑誌とかでは見た事あるけど、こうして面と向かって会ってみると、切れ者感が半端じゃない。勝つ為なら手段を選ばなそう。

 

「「ヨ、ヨロシク、オネガイシマス」」

 

 しまった、2人して緊張し過ぎてレトロな宇宙人みたいになっちゃった!

 

「ハハハ、そう緊張しなくても大丈夫ですよ。別に取って食う気はありません。もちろん、只で帰す気もありませんが」

 

 こ、怖いよー。おちっこちびりちょー。

 

「アポロさん、顔怖いよー。そんなんだからアオイお姉ちゃんに窘められるんだよー」

 

 アンタが一番怖いよ、マツリカ氏!

 

「これは失礼。つい癖でね……」

 

 癖が付くぐらいには脅してるって事ですよね、アポロさん。

 

「さて、さっきも言った通り、別に貴女方を害するつもりはありません。ちょっとした相談をしたいのですよ」

「そ、相談……ですか?」

 

 何だろう……誰か消して来いとか?

 

「はい。現役のジムリーダーであり配信者でもある、貴女方に是非ともお願いしたい事があるんですよ。……マツリカさんから概要は聞きましたが、確かガラルリーグとパルデアリーグが合同で、ワールドツアー染みた撮影をしているんですよね?」

「は、はい、そうですけど……」

「――――――実はですね、ワタシ、ガラル出身なんですよ。育ちは殆どカントーと言っても良いんですが」

「そうなんですか!?」

 

 それは知らんかったー。

 

「本来なら駆け込み撮影はお断りする所ですが、ポケモンリーグ公認となれば話は変わってきます。今や世界規模のトキワコンツェルンですが、やはり活動拠点は地元であるカントーに集中しがちです。ですから、これを機会に世界へ名を売って、縄張りを広めてみたいのですよ。それが“会長”との約束なので」

 

 わーお、野心家。そういうの嫌いじゃないぜ~。

 

「それに、これは貴女方にもメリットがあります。先程申し上げたように、我々の活動拠点はカントー地方です。……つまり、ワタシの鶴の一声で、カントー地方の殆どがフリーパスで楽しめますよ。もちろん、コスメもグルメもショッピングも只です」

「協力させて下さい☆♪」

「(――――――って、待て待て待て!)」

 

 と、キバナ氏に袖を引かれた。

 

「(流石に怪し過ぎるだろ! 幾らリーグ公認とは言え、ここまでするか!?)」

「(まーまー、良いじゃないですか。全部只って事は、リーグから貰った旅費はそのまま懐に入れられますし)」

「(おい、ジムリーダー)」

「(ま、それは少しだけ冗談だとして)」

「(8割方本気だろお前)」

「(リーグ側としても、損は無いでしょ。トキワコンツェルンと言えば、今がまさに華の大企業。神輿を担げばお零れに預かれるでしょうし、優待取引が結べれば馬鹿みたいに高い物価も改善されますって)」

「(お前、それらしい事を……)」

「(事実でしょ。野で拾うしかない木の実の栽培技術とか、マスターボールの製造方法とか、知りたい事は山程ありますもん)」

 

 そうなのだ。トキワコンツェルンが抱える企業秘密は、魅力的な物が多過ぎる。特に木の実に関する事は、殆ど列島が独占していると言っても過言じゃないからね。ガラルやパルデアの政府も、そういった技術は喉から手が出るくらいに欲しがってるさ。

 ……実際、ボクも木の実の栽培技術とか、ボールデコのシステムとか、知りたいしね~♪

 

「(どうなっても知らんぞ……)」

 

 安心しなよ、そこはボクも知らないから。後は上層部(うえ)が判断べき事である。親善大使(したっぱ)の役目って、そういう物だからね。

 

「話は纏まりましたか?」

「はい☆♪ 誠心誠意、協力させて頂きます★♪」「……よろしく」

 

 キバナ氏は若干納得行っていないようだが、そんな事は無視して、是非とも仲良くさせて頂きましょう~♪

 

「ありがとうございます。では、こちらのバッチを受け取って下さい。トキワコンツェルンの特別社員に与えられる、優待券のような物ですよ」

 

 そう言って、アポロさんは、見ようによっては「R」とも取れる「TK(トキワコンツェルン)」のロゴ入りバッチを2つくれた。バッチ1つで好待遇とか、まるでジムバッチみたいだねぇ。むしろ、変に責任を負わない分、ジムバッチより嬉しいかも。

 

「それでは、くれぐれも(・・・・・)よろしくお願い(・・・・・・・)しますよ(・・・・)、マツリカさん」

「りょーかい、ボス(・・)

 

 そんなこんなで、ボクらのカントー旅行は一気に豪勢な物になったのであった。

 

「ちなみに、ヤマブキジムは我々と提携したシステムを使っていますので、そちらに挑むのもおススメですよ」

 

 そーなのかー。




◆アポロ

 トキワコンツェルンの若き社長。前社長(現会長)と共にシルフカンパニーの不祥事を暴き、見事M&Aに成功した切れ者。精悍な顔立ちで慇懃無礼な話し方が特徴。基本的に誰でも「さん」付けで呼ぶが、部下は呼び捨てにする(社長として当たり前だが)。趣味はガーデニングで、特にバラの栽培に目が無い。
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