五等分の花嫁と一人の弟   作:よもぎもなか

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第62話 新川中島

武田「中野さんのお父様から話は聞いたよ 成績不良の五人を赤点回避させるべく学年一の成績を持つ君と二位の成績を持つ中野くん…君たちに白羽の矢が立ったとね」

風太郎「なぜお前とあの父親と面識があるんだ?」

武田「僕の父がこの学校の理事長でね お父様とはかねてより懇意にさせていただいてる」

風太郎(ボンボンコミュニティーめ………)

武田「君は他でもバイトをしているみたいじゃないか 大変だろう?僕が君と代わってあげるよ」

風太郎「代われるなら代わってほしいくらいだが残念ながら俺を雇ってるのはあいつら六つ子……特に六海だ 俺が決められる事じゃない」

武田「へぇ……確信しているんだね 中野さんたちが君を手放さないと……」

風太郎「そうだな…最低限()()は逃さないと思うぞ『友人』として…『雇い主』として…『相棒』として……な」

武田「……そうか…しかし君にはこんな事してる場合じゃないだろ もっと他にやるべきことがあるはずだ」

風太郎「何のことだ?」

武田「失望したよ 腑抜けた君にもう用はない お先に失礼」

風太郎「……あいつ…」

 

 

 

 

 

 

三玖「ここで集まって勉強するのも久しぶり」

二乃「最近は皆バイトだものね」

六海「一花ねぇは仕事だから仕方ないね……明日は試写会だから明日も集まれないしね  そういや五月ねぇはバイト………」

五月「ギクリ!」

二乃「あんたまだみつけれてなかったの?」

五月「もう少しだけ考える時間をください………」

風太郎「お前ら口より手を動かせ……月末の全国模試はもうすぐだぞ!」

二乃「一通り埋めたわ はい答え合わせよろしく フー君っ」

三玖「私も終わってる」

二乃「邪魔なんだけど」

三玖「何で?」

二乃「は?」

六海「ふ…二人とも?俺が見るからとりあえず落ち着いて?」

五月「しかしそれほど不安でもないというか……」

四葉「だよね!」

三玖「………うん学年末試験を乗り越えたんだもん」

二乃「一度超えた壁だもの 余裕だわ」

四葉「こうなるといよいよ卒業も見えてきましたね!上杉さん!」

 

風太郎(こいつらの言ってることも間違いではない 試験の難易度なんてそう変わるものでもない……ということは本当に見えてきたのか……?あの時彼方に見えたゴールが……!)

 

風太郎「よっしゃー!答え合わせするぞ!」

六海「了解!」

全員「はーい!」

 

 

 

 

六海「これは………夢?」

風太郎「ほとんど赤点じゃねーか……ふざけんなお前ら……あれか?学年が上がると脳がリセットされる仕組みなのか…?」

四葉「なるほど!どうりで!」

三玖「できたと思ったのに……」

二乃「言い訳になるかもだけどここ最近仕事ばかりであんま自習できてないのよのね」

六海「確かにねぇ……五月ねぇは点数それほど下がってないし」

五月「すみません すみません」

風太郎「無事卒業とか言ってるそばからこれだ 俺の模試勉強もあるってのに……じゃあ間違えた箇所を順番に確認していくぞ」

全員「お願いします!」

 

 

 

〜数分後〜

 

ピンポーン

六海「 ! はーい 俺出るよ  どちら様……え⁉︎なんで………」

三玖「フータロー ここだけど……」

五月「え⁉︎」

⁇「失礼するよ」

風太郎「⁉︎」

三玖「お……」

全員「お父さん⁉︎」

二乃「どうしたのよ急に……というかこの家……」

マルオ「もうすぐ全国模試と聞いてね 彼を紹介しに来たんだ 入りたまえ」

武田「お邪魔します 申し訳ない 突然押しかける形になっちゃって」

二乃「君って……」

三玖「どういうこと?」

四葉「わ 私何がなんだか……」

マルオ「今日から彼が君たちの新しい家庭教師だ」

三玖「 ! 」

六海「待てクソ親父!今風太郎を雇っているのは俺だ!今のアンタには関係ない!」

マルオ「まぁ六海君、落ち着きなさい 先の試験での上杉君の功績はとても大きい 成績不良で手を焼いていた娘たちを優秀な同級生を打つけることによって一定の効果を生むと教えてくれた だがそれは今でも彼が優秀ならの話だ 残念だが上杉君はどの科目も点数を落とし順位も落としている そして新たに学年一位の座に就いたのが彼だ ならば家庭教師に相応しいのは彼だろう」

武田「ふっ ふっふっふ ふっふっふ……くくく……ヤッター!勝った!勝ったぞー!イェス オ〜イェス!イェス!イェス!イェス!上杉君!六海君!長きにわたる僕らのライバル関係も今日で終止符が打たれた!ついに僕は君たちを超えた!この家庭教師も僕がやってあげよう!」

風太郎・六海「…………」

武田「始まりは二年前……学年トップを目指して……」

風太郎「六海 こいつ誰だ?」

六海「さぁ?誰だろ?変人?」

武田「変人じゃない!ほら!ずっと三位で君たちに迫っていた武田祐輔……」

風太郎「あんな突っかかってきたのはそういうわけか ずっとわからなかったんだ 今まで俺ら満点しか取ってなかったから 三位以下は気にしたことなかったわ」

六海「同じく……」

武田「三位以下……‼︎」

二乃(三位以下…憐れだわ……)

六海「なんか話綺麗に流されたけど上杉を雇ってんの俺だし ずっとほったらかしだったくせに……」

武田「いい加減気づいてくれ 上杉君が家庭教師を辞めるということ…それは他ならぬ『上杉君のためだ』君たちのせいだ君たちが上杉君を凡人にした」

マルオ「彼には彼の人生がある 解放してあげたらどうだい?」

六海「急に家上がってきて偉そうに……!」

風太郎「六海…落ち着け お前の親父が言ってる事は間違いじゃない  お前が俺を過剰評価してんのはわかった お前が言ってることも間違いではない…だが去年の夏までは……あるいは六海とこの仕事を受けていなかったら……俺は凡人にもなれていなかっただろうよ 教科書を最初から最後まで覚えただけで知った気になってた 知らなかったんだ 世の中にこんな馬鹿がそれも五人もいるってことを…俺がこんなに馬鹿だったってことも こいつら六人が望む限り俺は付き合いますよ 解放なんてしてもらわなくて結構」

マルオ「そこまでする義理はないだろう」

風太郎「義理はありません…ですが『この仕事は俺にしかできない自負がある‼︎』こいつらが成績を落とすことはしません 俺の成績が落ちてしまったことに関してはご心配をおかけしました 俺はなってみせます そいつに勝ち全国模試一位に!そして……」

六海「はいストップ!」

四葉「上杉さん⁉︎」

風太郎「なんだよ!」

五月「全国は無茶ですって!」

三玖「フータロー もう少し現実的に……」

風太郎「あ⁉︎学校内で一位だけじゃ今までと変わんないだろ!」

六海「いいから! 全国で三位以内!これでどうですか!」

風太郎「おい!離せ!」

五月「六海⁉︎それほとんど変わってません!」

武田「……大きくでたね 無理に決まってる それも五人も教えながらなんて」

マルオ「わかったよ もしこの全国模試でそのノルマをクリアできたなら改めて君が娘たちに相応しいと認めよう」


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