五等分の花嫁と一人の弟   作:よもぎもなか

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まさかの番外編より先に出来あがっちゃった………


第96話 二乃と四葉…時々五月

 

五月「この前見たドラマの話なのですが……とある男女の恋を応援していた女の子がいました その子は望み通り二人は結ばれることになりそうなのですが…いざその時が来るとなぜかモヤモヤして胸が張り裂けそうなのです……」

下田「…………」

五月「あっ……あくまでドラマの話ですが……文脈を読み取るという観点からこの登場人物の心境を下田さんに解説していただけたらと思いまして……」

下田「そりゃ男を好きだから嫉妬してんだろ」

五月「違います」

下田「なんでお嬢ちゃんが違うって言い切れんだよ それにドラマじゃそんなのよくある事だろ」

五月「で でもその子と男の子は会えば口喧嘩するほど馬があわなくて……」

下田「恋を自覚した女が男との距離を縮めてくんだろ! 『なんでこんな男のこと……!』ってな!」

五月「彼には既に想い人が………」

下田「そこから略奪すんのがいいんじゃねーか!友人を裏切る背徳感と同時に湧き上がる愛情!ってな!」

五月「………………」

下田「断言する!そのドラマ私の読み通りになるぜ! つーかお嬢ちゃん 入試まで秒読みっとことで恋愛ドラマなんて見る余裕あんのかよ」

五月「き 気分転換で………」

下田「! んじゃそんな恋愛博士にご教授願おうかね うちの中等部の生徒が絶賛恋に悩んでいるらしいんだ 年も近いお嬢ちゃんからもアドバイスしてもらいたいね」

 

〜次の日〜

 

五月(一応言えることだけの事は伝えましたが……私なんかでよかったのでしょうか……姉妹が心配と言っておきながら結局このモヤモヤの原因が私にあったなんて……そ そんな訳ありえませんよね……今更私が引っ掻き回すような真似はしません!)

  「あ……廊下は冷えますね 早いもので寒いところでは雪も降っているそうですよ」

風太郎「そうか………」

五月(なんて自然な日常会話でしょう!今朝のニュース見てよかった!私は少しも動揺していません!)

風太郎「五月ちょっといいか?」

五月「 ! な なんでしょうか………」

風太郎「えーっと……話したいことが………ここじゃまずいか……お前が嫌じゃなければ昼飯どうだ?」

五月(どうしてこんなことに………)

 

  〜・〜・〜・〜・〜

 

風太郎「400円のカレーに100円のコロッケ二つ……300円のケーキをまさかの二つだと………!?相変わらずお前は。K点超えの昼食を見せつけてくるな……」

五月「あなたにはそう言われると思ってました これ(チーズケーキ)は貴方に差し上げる分です」

風太郎「え?」

五月「一つは……まぁ食べたくなったので自分で食べるようですが………お祝いの気持ちを込めて……これで900円です!少食と言って差し支えありません!」

風太郎「そうか………サンキュー」

五月(どうです!私はこんなことができるんです!やはり下田さんの言うことは間違いでした!本当にお二人を祝福しています!)

風太郎「立ち話もなんだし座ろうぜ」

五月「そういえば貴方は一体なんのご用で………」

四葉「あ 五月」

五月「えっ えっ………」

  (なんですか!?上杉君どういうことですか!?私にいったい何しろと!?)

風太郎「四葉!なんでお前までここに………」

四葉「う…上杉さん!あ〜………ここちょっと寒いですね……でも もっと北の方は雪みたいですよ では…………」

五月「ん?二人は約束してた訳じゃないのですか」

四葉・風太郎「………………」

五月「それでは四葉はいったいどうして…………」

二乃「今日は大盛況ね どこも空いてないわ」

五月「 !……………もしかして」

四葉「うん………」

風太郎「二乃」

二乃「げっ………ここ座れるわね……」

 

  〜・〜・〜・〜・〜

 

二乃「暖房が弱いのか冷えるわね でも雪が降ってるとこよりマシかしら」

風太郎「今日はその情報をやけに耳にするな」

二乃「ちょっと!隣の席の会話聞いてんじゃないわよ」

五月「仕方ありませんよ……ところでお話というのはなんでしょう?

二乃「話したいことってなんなのかしら?」

四葉・風太郎「…………………」

風太郎「それは…なぁ……」

四葉「はい……」

五月(大変です!このままでは衝突を避けられません 私が空気を変えてみせます!)

  「み 皆さん 進路の近況報告しませんか?私は自分に見合った志望校を視野に入れて先生や六海に相談して決めています もちろんずっと志望していた学校も諦めずに挑戦するつもりです 二乃は……」

二乃「今 そんなこと話す気分じゃないわ」

風太郎「俺は大学に予定通りに行くつもりだ 試験もまず落ちないだろう」

四葉「わぁ………」

五月「一度は言ってみたい台詞です」

風太郎「……………」

四葉「実は…私も先生から聞かされたばっかなんだけど……色んな大会に記録を残してたのを見てくれた人がいたみたいで…とある体育系の大学から声をかけてもらってるみたいなんだ」

風太郎「推薦かよ すげーじゃねーか!」

五月「ええ 体育大学も四葉にぴったりです!」

四葉「あ でも条件があって……最低限の学力試験は必須だと……

五月「………そうですか…」

風太郎「が 頑張れよ………」

二乃「いいわね あんたは恵まれてて」

四葉「 ! 」

二乃「何もしなくも向こうから来てくれるなんて 気楽だわ」

五月「に 二乃!」

二乃「何よ……っていうか今日は進路の話をしに来たの?違うでしょ?」

四葉「…………今は………」

五月「ごちそうさまです!ほら 二乃も食べたのなら行きましょう!教室の方が暖かいですよ!」

二乃「ちょ ちょっと離しなさい!」

四葉「……………」

風太郎「四葉……二乃はああ言ってるが……」

四葉「上杉さん すみません 私 行かなきゃ!」

 

  〜・〜・〜・〜・〜

 

二乃「離しなさいって!」

五月「二乃……」

二乃「邪魔しないでよ 結局あんたはどの立場なの?ハッキリさせなさいよ!

五月「………私は…」

二乃「もういいわ」

五月「あっ二乃!………………」

 

〜食堂〜

 

五月「あれっ?いつの間にか上杉君も四葉もいません………」

 

〜廊下〜

 

五月「二乃〜!どこに行ったのですか………」

風太郎「五月!」

五月「えっ 上杉君一人ですか?」

風太郎「あぁ 四葉も飛び出しちまって………お前こそ二乃と一緒じゃねーのか?」

五月「はい……逸れたっきり見つからなくて………!二乃?」

風太郎「ここ空き教室だぞ?いる訳ないだろ」

五月「でもこの辺りから物音が………」

ねずみ「チュー」

五月「!!!!!!」

風太郎「 ! 」

 

五月が風太郎を押し倒す

 

五月「すっすみません!」

風太郎「痛っ………あぁ気にすんな」

五月(ずっと感じてるこのモヤモヤは…………)

二乃「ここ空いてるじゃない ここなら誰かに聞かれる心配ないわ ほら 言いたいことあるなら言いなさいよ 四葉」

 

五月「どうしましょう上杉君……これって見つかったら不味いのでは!?

風太郎「落ち着け

五月(凄い………さすが上杉君 どんな時も冷静です……それとも私なんて動揺する価値もないということでしょうか………何か打開案が………

風太郎「ふぅ……それにしても今日は冷えるな 知ってるか? 寒いところでは雪が降ってるらしいぜ

 

二乃「あんたのことがずっと疎ましかった それまで私たちはずっと仲良くやってきたっていうのに一人で何も言わず突っ走って

私たち六人の輪を乱し始めたのは 四葉 あんたよ」

四葉「自分勝手でごめん 昨日だって二乃のこと考えず押し付けるばかりで……だけど今も考えてることは同じ 私の願いは私と上杉さんのお付き合いを認めてもらうこと」

二乃「呆れた まだそんな甘いこと言ってるのね なんで私が認め………」

ガタッ

二乃「え?」

四葉「今何か………」

暗闇の中「チュー」

四葉「なんだネズミか」

二乃「ねずみがいるのね」

 

風太郎(危ねぇ…やっぱドア開けんのは厳しか……どうする?身動き取れねぇぞ……

五月「上杉君……あまり近づかないでください……

  (こんな所四葉たちに見せられません……

風太郎「失礼

五月「…………っ!」

暗闇の中「チュー チュー」

四葉「大量だ」

 

風太郎「お前っ!暴れんな!

五月「だ だって急に手を伸ばしてきたから……なんのおつもりですか?

風太郎「スマホだ 六海だったら助けてくれる 今六海のモバイルバッテリーで充電してもらってんだよ

五月「…………それなら……あっ……………やっぱりダメです

風太郎「 ? 

五月「今はこの教室が暗いおかげでバレていませんがもし画面が少しでも光れば見つかってしまいます

風太郎「一理あるな……このまま潜むしかないか………

五月(下田さんの言う通りこのモヤモヤの正体が嫉妬なのだとしたら……私はなんて悪い子なんでしょう………

 

二乃「もうお昼休み終わっちゃうわ 帰りましょ」

⁇「 ! 」

四葉「待って!」

二乃「今更なんなの?私たちなんて無視して付き合えばいいじゃない!

四葉「これは……私と上杉さんだけの話じゃないと思ってるんだ………二乃と上杉さんのこれまでの関係……いや二乃だけじゃなくて一花も三玖も五月も……皆と上杉さんがこれまで過ごした日々を無視なんてできない 私なりの覚悟を持って伝えに来たんだ 私の願いは上杉さんとの関係を認めてもらうこと……」

二乃「だからそれは………っ!」

四葉「ただそれは今じゃなくていい

二乃「 ! 」

四葉「数ヶ月……数年……どれだけ時間がかかるかわからないけど……私が上杉さんをどれだけ好きなのか……この想いの強さを見ててほしい きっと負けないから

二乃「…………そうね たとえ今のあんたに謝られたり説得されたとしても私は納得できないでしょうね それをわかった上であんたは茨の道を進むつもりなのね」

四葉「私は上杉さんを好きなのと同じくらい姉弟の皆が好きだから」

二乃「全く………バカね」

 

五月「何動揺してるのですか

風太郎「し してねーよ………え?して見える?

 

二乃「………だけど四葉らしいわ 六人の枷から解き放たれて突き進んでいくあんたの背中が気に入らなくて羨ましかったわ あんたはまだ私を競い合う相手として見てくれるのかしら」

四葉「勿論だよ 私たちはずっとお互いを意識しながら生きていくんだ」

二乃「そうね……三玖とは話した?」

四葉「うん」

二乃「なんて言ってたの?」

四葉「怒ってるって………」

二乃「ふふ……口下手なんだから 昨日のことがなければ大人しく祝ったあげようと思ってたのに あんたがそのつもりなら私も言うわ 往生際が悪いのかもしれないけど 私……いや私たちのフー君への気持ちは収まる気がしないの ここで勝負は終わってない!少し後ろであんたたちの行く末を見ててあげる 絶対に背中は押してあげないしほんの少しの隙なんて見せたら私が彼を奪ってやるんだから!

四葉「うん」

二乃「…………そろそろいいかしらね」

四葉「 ? 」

二乃「ネズミの二人出てきなさい

四葉「えっ」

風太郎「……気づいてたのか」

五月「あ あの……決してやましいことをしていたというわけではなくてですね………!」

四葉「えっ………上杉さんたちいつから……もしかしてずっと聞いて………」

風太郎「………すまん」

四葉「 ! 二乃〜!」

二乃「あら てっきり知ってると思ってたわ…………あといつまで扉の後ろに隠れてるの?」

四葉・五月・風太郎「え?」

六海「あれ?バレてた?」

風太郎「六海!?いつから!?

六海「二乃ねぇが『ここ空いてるじゃない』って言ってた時」

五月「ほとんど最初じゃないですか!」

四葉「ってことは六海も………」

六海「しっかり聞いてた」

四葉「二乃〜!」

二乃「気づいてると思ってたわ……………聞いてたわよねフー君 そういうことだから 努々(ゆめゆめ)油断しないようにね」

風太郎「あぁ 肝に銘じておくよ」

五月「あはは……二乃らしいですね あなたも厄介な姉弟に手を出してしまいましたね」

風太郎「手を出したとか言うな」

五月〔皆のことを考えると……素直におめでとうと言えません〕

二乃「推薦のこと……つい言い返しちゃったけど……だけど本当のことだから 自信を持ちなさい!あんたがやってきた成果でしょ」

四葉「二乃………」

五月「下田さんの予想はハズレみたいですよ」

二乃「五月 何笑ってんのよ」

五月「なんででしょう 二乃と四葉を見てずっとモヤモヤしてた感情が無くなったかもしれません」

風太郎「 ? どういうことだ?」

五月「貴方には秘密です

 

  〜・〜・〜・〜・〜

 

中三の女の子「か 彼……クラスの子と付き合ってるみたいで………」

五月「そうでしたか………」

下田「は〜今時の中坊は進んでんな〜」

中三の女の子「こんなことなら好きにならなきゃよかった」

五月「辛いですよね でも これで終わりではありませんたとえ実らなかった恋であったとしても彼を好きだった思い出…そんな自分が輝いていた記憶は何事にも代えがたい宝となるでしょう この恋はこれからの貴方をより輝かせてくれるはずです だからあなたも手放さないでこの恋の記憶を

中三の女の子「………はい」

下田「お嬢ちゃんにしてはやけに力強い言葉だな…何かあったな………」

五月「さ さてなんのことでしょう」

下田「なんだよ〜教えろよ〜」

 

  〜・〜・〜・〜・〜

 

五月(やっと言えそうです………上杉君 おめでとう)

 

 

 




※ この日の昼食時の六海は武田達と食べてます

六海のモバイルバッテリーはAnker PowerCore 10000のブラックです




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