【打ち切り】ダーリン・イン・ザ・フランキス:死の少年   作:らて丸

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第一部
Episode.1


Side:???

 

 

 

『比翼の鳥』というらしい…

 

 

その鳥は片方の翼しか持たず

 

 

雄と雌、ツガイで寄り添わないと空を飛べない…

 

 

そんな不完全なイキモノ

 

 

でも何故だろうか…

 

 

そんな生命の在り方を

 

 

美しいと思ってしまったのだ…

 

 

美しいと…感じてしまったのだ…

 

 

 

Side:??? out

 

 

Side:???

 

 

 

最近、よく夢を見る…

 

遠い昔にあったような、なかったような…

 

そんな…

 

そんな、曖昧な記憶

 

雪が降りしきる寒い冬の日…

 

紅い角の少女と自分によく似た幼い少年が大きな樹の下で…

 

なんだったっけ…?

 

こんな感じで徐々に思い出せなくなっていく記憶

 

これが本当に自分が体験したであろう記憶なのかすらも疑わしい

 

脳は忘れている

 

目を覚ますとどんな夢だったかなんて思い出せない

 

でもこの夢を見ると決まって涙を流してる…

 

この呪われた身体にこびりついた…

 

そんな記憶だ…

 

 

 

Side:??? out

 

 

Side:イチゴ

 

 

 

「なあ、イチゴ、『イクサ』見つかったか?」

 

「全然ダメ…ヒロとゴロ―は?」

 

私は目の前にいる男子に結果を尋ねる

 

「こっちもダメだ…相変わらず隠れるのが上手いヤツだよ…」

 

「今日の説明会も出てなかったよな」

 

二人は首を横に振る

 

ダメか…

 

「出ていっちゃうのかな…」

 

ココロは心配そうにしている

 

「いいじゃないですか!!同乗した女性操縦者(ピスティル)が死ぬ…そんな曰く付きの『死神』の男性操縦者(ステイメン)が我らが13部隊からいなくなるんです。あんなバケモノが一緒にいると考えると怖くて夜も眠れませんよ」

 

と唱えるミツル

 

「アンタねぇ!!今の所、私もイチゴも問題ないからいいじゃないの!!」

 

ミクはそう抗議する

 

―――『死神』

 

それは彼の異名

 

彼と同調を行う女性操縦者(ピスティル)はほとんどが死に至る…

 

死ななかったとしても心が死に廃人になってしまう

 

そのため実験部隊である、この第13部隊に送られてきた

 

事前に彼のCODEは教えられていなかった

 

だからこそ驚いたのだ

 

昔の彼と今の彼の変貌具合に…

 

右眼には眼帯を着け、黒く美しかった髪の毛は銀色になっていた

 

まるで、別人に変わってしまったかのような…

 

そんな感じだった

 

それでも彼は昔からの私の相棒だ

 

だからこそ私が、彼をFRANXX(フランクス)に乗せてあげるんだ

 

彼が昔くれたブレスレットを見ながら

 

小さくこぼす

 

「………イクサのばーか」

 

 

 

Side:イチゴ out

 

 

Side:???

 

 

 

「……いや〜 静かだなぁ…」

 

他のみんなは知らない草むらで一人寝っ転がり、木々の間からちょっとだけ覗く空を見ていた

 

「見えるのは左眼だけ…か…」

 

それもそのはず

 

俺の右眼には眼帯が着けてある

 

別に事故とかで欠損したわけではない

 

単純にコンプレックスなのだ

 

いまここには誰もいない

 

ここで死ねば誰にも気が付かれないままひっそりと死ねるだろうな〜

 

 

チャプン…とすぐ近くで水の音が聞こえた

 

そういえば近くに湖があるんだったっけ?

 

しかし不思議だ…

 

こっち側のことはみんなは知らないし…

 

静かな時間を邪魔されたくない一心で倉庫からいろいろ借りて(勝手に持ち出して)、鳥よけを作ったからこっちには誰もいないはずだよな…

 

 

 

音の方向に歩を進める

 

湖畔にやってきて、まず目に入ったもの

 

それは脱ぎ捨てられた俺達とは少し違う…赤色のパラサイトの制服

 

そして水面に浮かぶ少女の姿だった

 

しかし途端に少女の姿が見えなくなる

 

 

「…まさか溺れてッ…!!」

 

ジャブジャブと制服が濡れようとも関係なしに先程少女がいたところまで入っていく

 

ザバァ!!と大きな音をたてて俺も目の前で水が跳ねる

 

 

俺は目を見開く…

 

 

時間が止まったようだった

 

初めて見る女性の裸体

 

紅く艶めく双角

 

翡翠色の瞳

 

目尻の赤いアイシャドウは白い肌に映えていて

 

桜色の長くキレイな髪

 

こうやって彼女の特徴を並べているが端的に言えばとても美しかった

 

 

しかし…

 

しかしだ、

 

何故この少女は口元に魚を咥えているんだ?

 

俺の方をチラッと見るとプッっと咥えていた魚を湖へと戻す

 

恐らく溺れたと思ったであろう少女は単純に素潜りをしていただけだった

 

まぁ…事故が起きなくてよかったね

 

俺は湖から上がり上着を脱ぐ

 

この子がいきなり飛び出てきたせいでビチャビチャなのだ

 

お、いい感じの木発見

 

俺はその木に上着を掛け少女の方を見る

 

「なんで水浴びなんてしてたの?」

 

「おかしいな...ウミの水はしょっぱいって聞いてたのに...」

 

なにを言っているんだろうかこの子…

 

質問に答えてくれない

 

「そりゃあウミじゃないもん」

 

「知ってるよそれくらい…でもボクが知ってる中でいちばんウミっぽいところだなって…」

 

ウミ…

 

前に文献で見たことがある

 

なんでも昔は地球の約7割がウミが覆っていたとのこと

 

「キミは泳がないの?」

 

急に聞かれて返事に戸惑う

 

「へ? あー、まぁ…ここに来たのはちょっとした探検みたいなものだから」

 

「ふーん、じっと見てるから泳ぎたいのかと思ったんだけど」

 

「君が溺れてるんじゃないかって途中で心配になってさ」

 

「ふふ…助けようとしてくれたんだ…礼を言うよ」

 

そう微笑む彼女…

 

少女は服を着ながら俺に問うてきた

 

「その眼帯は?」

 

「ああ、少し他の人と違って気味悪がられるから…隠してるんだよ」

 

「見てもいい?」

 

うっ…迷った…、

 

でも何故だろう…彼女なら俺の眼を見ても怖がらないし気味悪がらない

 

不思議に彼女のことを信じたいと思った

 

初めて会ったけど…そんな気がした…

 

「わかったよ…はい」

 

眼帯を外すと黄金の瞳が露わになった

 

こちらの頬を抑えてまじまじと俺の右眼を見つめる少女

 

「へ〜…すごくキレイだね」

 

「え?」

 

そんなこと初めて言われた

 

この呪われたこの眼をキレイだなんて

 

「うん、すごくキレイ…宝石みたいだ」

 

「そっか」

 

彼女は振り返りこちらをじっと見てくる。

 

「ふたりきりのときは眼帯外してほしいな」

 

と言いながら眼帯を投げ返してきくれた

 

それをしっかりと受け取りポッケにしまう

 

「もう一つ質問してもいいかな?」

 

「どうしたの?」

 

 

「その制服…君もパラサイト?」

 

 

その言葉に俺は眉をひそめる

 

そして、ウ~ンと少し唸って考えた

 

「半分アタリで半分ハズレかな?」

 

「え〜?なにそれ?」

 

不思議そうにそして面白そうに少女はこちらを見てくる

 

「乗れるんだけど、乗ったら駄目なんだ。終わった後パートナーはみんな運がよくても廃人に、だいたいみんな死ぬよ。こんなんだから周りからは『死神』なんて呼ばれてる」

 

「じゃあキミが噂の?」

 

噂だなんてそんな有名なのか

 

いい方の噂……ではないだろうな

 

「たぶん?なんとも無かったのはCODE:015(イチゴ)ってやつとCODE:390(ミク)ってやつなんだけど俺と違ってふたりともうまいから。他の人とパートナーになってる。だから俺に居場所なんかないよ」

 

「なーんだ。じゃあボクと一緒か。」

 

「え?」

 

俺と一緒?

 

この子は今そう言ったのか?

 

「ボクもいつもひとりだよ?この()()のせいでね。居場所なんて自分で作るものさ。パートナーだってまた作ればいい。作れないんだったら…」

 

「だったら?」

 

「奪え‼」

 

彼女は俺に掴みかかると俺の首筋を舐めた

 

しかも押し倒す形で…

 

「へ〜…ドキドキする味だ…ピリピリして、何処か引っかかる…危険な味…」

 

「なにを言って…」

 

「それともキスがよかった?」

 

「キス…?」

 

キス…とはなんなのだろうか…昔海にいたとされる魚のことだろうか…

 

「そっか…キミたちは知らないんだっけ。特別なコトだよ…」

 

彼女は耳元で囁いてくる

 

「特別?」

 

驚きの連発…

 

この少女と出逢ってから色々とおかしい

 

情報量が多すぎて脳が爆発しそうだ

 

「ボク、キミに興味あるかも。」

 

興味持たれると大変そうなんだけど…?

 

「キミ、ボクのダーリンにならない?」

 

「ダーリン?パートナーのことか?」

 

彼女は俺に手を差し伸べながら続ける。

 

「キミの能力は…たぶんまだ眠っているだけだよ。ボクならそれを引き出してあげられる。キミはボクの角を見たとき怖がらなかったね」

 

「君だって俺の右眼をみても怖がらなかったじゃん?」

 

「そうだね‼じゃあおあいこだね」

 

口に手をあて、ふふふって笑う

 

彼女の一挙一動が胸に突っかかる

 

「ボクと行こうよ。ボクはキミが欲しい」

 

少女はゆっくりと少年の方へと手をのばす

 

俺はその手を…

 

掴まなかった…

 

いや、掴めなかった

 

俺のせいで彼女を殺したくない

 

会ってまだ少ししか経ってないけど…

 

彼女にはずっと生きていて欲しい

 

「俺と乗ったら…死んじゃうかもしれないんだよ…?」

 

「大丈夫、ボクを信じて、キミはボクのことを殺せないよ」

 

もう一度伸ばされる白く美しい腕

 

「さぁ…どうする?少年」

 

俺はその腕をつかもうとした

 

しかし…

 

 

「時間切れだ…」

 

ガサガサと草をかき分け現れる人たち

 

「探したぞ、何故いつも勝手にいなくなる。」

 

深い怪我を負った男性操縦者(ステイメン)が彼女に歩み寄る

 

「どうせ明日の入隊式まで暇だよ…」

 

「パートナーの俺が迷惑するんだよ」

 

といいながら男性は帽子を彼女に被せ、こちらに目を向ける

 

「君は…パラサイト候補生か。明日は入隊式だろう?コイツが邪魔して悪かったな」

 

「いえ…喋り相手になってくれて楽しかったですよ」

 

「ふむ、そうか。君に忠告しておこう。この女には近づかないほうがいい。コイツは誰でも扱えるような女性操縦者(ピスティル)じゃない」

 

「そう…ですか…」

 

 

立ち去ろうとする彼女

 

 

「名前‼君の名前は?」

 

咄嗟だった

 

背を向けた彼女に言葉を投げかける

 

くるっと振り向いてこちらを見据える

 

「ボクたちパラサイトに名前なんてある?でも…そうだな…『CODE:002』…みんなはボクのことゼロツーと呼んでいる」

 

 

「ゼロツー!!」

 

「なに?まだなにかあるの?」

 

他の人たちがいるからか少し不機嫌な彼女

 

「またね」

 

ニッコリと笑ってその言葉を彼女に向かっていう

 

『サヨナラ』じゃない…

 

その言葉を言ってしまったらもう会えない気がしたから

 

彼女は唐突の言葉で驚いたのかキョトンとした顔だったが帽子のつばで顔を隠しながら小さく「またね」と溢した

 

 

また会えるといいな…

 

俺のこの願いは、思っている以上に早く叶うことを、今の俺は知る由もなかった

 

 

 

Side:??? out

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