【打ち切り】ダーリン・イン・ザ・フランキス:死の少年   作:らて丸

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Episode.11

Side:イクサ

 

 

 

「悪魔…アイツは悪魔だ… あんな奴と乗るだなんて正気じゃない…殺される…!!」

 

 

「どう?」

 

「ご飯も手を付けてないよ…もったいないから俺、食べちゃおうかな…」

 

「それお前が食いたいだけだろ」

 

「そんなことないよ!!」

 

「戻ってきてから、ずっとあんなだぜ…」

 

ミツルはあれからずっと、ゼロツーを怯えているようだった

 

俺も、これまで見てきた

 

ゼロツーと乗って死んだ男性操縦者(ステイメン)も、俺と乗って死んでいった女性操縦者(ピスティル)も…

 

俺はミツルの方へと歩み寄り、ベッドの周りのカーテンを開ける

 

「ミツル、ゼロツーとなにがあったか教えてくれないか?」

 

「なにか…?だって…?」

 

よく見えないが、こちらを睨みつけるように目だけをこちらに向けてくる

 

「あの女は僕のすべてを吸い取ろうとしたんですよ。血も、肉も、魂も…!!なにもかも…!!最初は普通だったんだ…でも途中からは僕を…殺すつもりで…」

 

ガタガタと震え、力を込め、うずくまり小さくなるミツル

 

魂ねぇ…

 

「ミツル、大丈b「しかも、アイツ!!笑ってた!!」」

 

ぐっと俺の胸ぐらをつかみ、更に鋭い視線をこちらへと向ける

 

「笑ってたんですよ!!」

 

「ミツルくん!!」

 

「おい、落ち着けって!!」

 

呼吸が荒くなり、大粒な汗を欠きながらも、掴む力も一段と強くなっていく

 

「もう一度乗ればそうなる…貴方もそうなりますよ… 自分だけは特別だと思っているのならおめでたいにも程があるッ!!」

 

声を荒らげて、俺に向かって怒鳴る

 

「落ち着けってほら、ちゃんと寝てなきゃ」

 

フトシに連れられて、ベッドへと再び横たわるミツル

 

俺は、医務室を出て中庭へと向かう

 

『俺もそうなる』…か………

 

確かにゼロツーは未知数だ

 

俺が次乗ったらああなってしまうのかもしれない

 

でも…

 

それでも…

 

「俺は決めたんだ…」

 

前に進み続けるって

 

誰にも聴こえていないだろう俺の独白が、長い廊下に小さく響いた

 

 

 

 

 

 

「まだあの子と乗りたいと思ってる?」

 

壁に寄りかかってたところにイチゴが近寄ってくる

 

「私はあの子のこと、どうしても信用できないんだ。ミツルのあんな状態見たらなおさら…」

 

俺は、淡々と話し続けるイチゴを横目に、足元にあるボールでリフティングをする

 

「パートナー殺しの噂がもし本当だったら、イクサ…あと2回乗ったら死ぬかもしれないんだよ?」

 

「これまで沢山の人が俺と乗って死んできた。俺と一緒に戦うために…俺のことを信じて、結果がわかっていても。死にたく無くても死んでいった。俺も、ゼロツーと一緒に戦いたい。だから俺はゼロツーを信じる。俺だけ死にたくないだなんて、そんな虫のいい話なんてあるわけ無いだろ…?」

 

ギュッと言葉を握りしめて唇を噛みしめるイチゴ

 

「覚悟…できてるんだ… わかった。だったらもう止めない。」

 

「イチゴ…?」

 

「私もリーダーとして、覚悟決めなきゃ…」

 

そういうと、俺の前を通り過ぎていく

 

「覚悟…か…」

 

そんなかっこいいものじゃないよ…これは…

 

 

 

 

 

 

『本都市は、第26都市とのキッシングのため、移動形態に移行します。繰り返す、本都市は…』

 

ビービーと警報音が鳴りながら入るアナウンス

 

キッシング…

 

それはプランテーション同士でマグマ燃料の受け渡しを行う事

 

このエネルギーに連られて、叫竜が出てくる可能性もあるとのこと

 

だからそれまでにストレリチアに乗れるようにしないといけない

 

自主訓練を終えた俺はタオルで汗を拭い、スポーツドリンクを飲んでいた

 

運動後は身体が熱くなっているため冷たい飲み物を飲みたくなるが、急激な体温の低下は体に良くないとのことでぬるいものを貰ってきたのだが

 

やはり正解だったな

 

じんわりと身体に水分が吸収されていくのを感じる

 

それがただひたすらに心地いい

 

帰り道にはデッキを通ることになるのだが、ストレリチアの前にはゼロツーが立っていた

 

なにをしているのかな…

 

物陰から様子を伺ってみる

 

しかしこちらの視線に気がついたのか、ゼロツーはちらっと、こちらの方を見てきた

 

「なにみてたの?ダーリン」

 

やっぱり見つかってた…

 

「なにか、考え事してたから邪魔しないほうがいいかなって」

 

「ふふふ、なにそれ、へんなの〜」

 

ゼロツーは腕を絡ませてくる

 

彼女の胸が俺の腕に当たり、彼女の心臓の鼓動が伝わってくる

 

ゼロツーって温かいな

 

やっぱり女の子って体温高いのかな…

 

ゼロツーもイチゴもミクも手が温かいイメージがあるんだよなぁ

 

「ねぇねぇ、ダーリン。このあとなにするの?」

 

「あ~、風呂でも入ろうかなって。訓練してて汗かいちゃってさ…」

 

「ふーん、そっか」

 

「?」

 

ニヤニヤと、何故か笑ってるゼロツーを横目に、俺はミストルティンへと戻っていった

 

 

 

 

 

 

「あ~…」

 

いい湯だ…

 

全身がふやけ、疲れが取れていくのを感じる

 

少しずつ、ハチの考えたトレーニングメニューにも追いつけるようになった

 

しっかし、疑問なのがランニングが訓練機ではなく、生身で行うということだ

 

なんでだろうなぁ…

 

トレーニングメニューに疑問を持ちながらも湯から顔を出す

 

それにしても、『パートナー殺し』の噂が本当なら…か…

 

そうしたら俺が乗れるのは2回だけ

 

それしかゼロツーと一緒にいられないんだ

 

寂しいな…

 

カラカラカラと、扉が開く音が聞こえる

 

この時間帯ならヒロかゴローかな

 

そう思い、音のした方へと視線を向ける

 

しかし、何ということだろうか、そこにいたのはゼロツーだった

 

「来ちゃった♡」

 

「うぇッ!!な、なんで!?いまお風呂入ってるんだけど!!」

 

ジャブジャブと服を来たまま、こちらへと向かってくる

 

いや服脱がれたら困るけどさ…

 

せめて靴下脱ごうよ

 

そんな事を考える

 

そうでもしないとショートしてしまいそうだから

 

「ねぇ…ダーリン?一緒にここを出よう?弱っちい奴らなんて放っておいてさぁ…ダーリンさえいてくれればそれでいい。ボクのパートナーはキミだけだ」

 

飲みやすいように、甘く溶かした麻薬のような声

 

一度浸ってしまえば元には戻れなくなってしまう甘美な誘い

 

ゼロツーはこちらへと紅い双角を向けてその距離を近づけてくる

 

「それともキミもやっぱりボクのこと…バケモノだと思ってる…?」

 

キッと睨みつけるように翡翠の瞳をこちらへと向けてくる

 

「馬鹿だなぁ…ゼロツーは…」

 

そう思ったことが全く無いといえば嘘になってしまう

 

でも、それでも俺は彼女のためにともに戦いたいと思っている

 

「そんなわけ無いじゃん」

 

その回答にポッとゼロツーは赤くなり

 

「そ、そう…?ならいいんだけど…」

 

とりあえず出てほしいんだけどな…

 

このままではのぼせてしまいそうだ…

 

頭が虚ろになってきてフラフラする

 

しかし、それは一瞬でかき消される

 

警報音がこの大浴場にも響き渡る

 

この鳴り方は…叫竜だ…!!

 

「さぁ!!行こうかダーリン!!」

 

 

 

Side:イクサ out

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