【打ち切り】ダーリン・イン・ザ・フランキス:死の少年   作:らて丸

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Episode.14

Side:ゴロー

 

 

 

第26部隊の人たちと話してきた

 

なんでもそれぞれ機体が違うのはウチの第13部隊くらいらしく、ボディも武器もほとんど同じなんだとか

 

キッシングは彼らの方が経験がある

 

作戦の詳細とかも彼に任せたほうがいいのかもしれないな

 

そんな事を考えつつ自室の扉のドアノブへ手をかけると内側からなにかうめき声のようなものが聴こえる

 

なにが起こっているんだ…

 

まさか…

 

開けるとそこには胸を押さえつけ蹲るイクサの姿があった

 

「イクサッ!!」

 

彼の呼吸は荒く、汗は尋常じゃないほど汗をかいている

 

「おい、イクサ、どうしたんだよ…」

 

「?……ゴローか、なんでも無いよ…」

 

意識が朦朧としているようで、会話はできなくはないが言葉がとぎれとぎれになっている

 

「なんでも無いわけあるかよ!!怪我でもしたのか…⁉」

 

イクサの身体を見ようと制服のジッパーを開ける

 

そこには、蒼い繭のようなものが胸にこびり付き、彼の体調不良や痛みの原因が()()であるとわかるまでに、そう時間はかからなかった

 

「いつからか?ゼロツーと乗ったときからか…?」

 

彼は視線を落とし、なにも喋らない

 

しょうがない、誰か呼ぶしか…

 

そう思い、端末を取り出し連絡を入れようとする

 

しかし、彼に端末を奪われ、その上俺の端末を握りつぶした

 

「あ"ぁ…ぐッ…」

 

胸が痛むのか呻くイクサ

 

仕方がないから水を注ぎ飲ませる

 

イクサはコップを受け取ると、口の端から水が溢れるのをお構いなしに一気に飲み干す

 

しかし、それもやっとのことなのか、むせてそのまま血を吐き白いシーツを紅く汚す

 

「イクサッ…もうストレリチアには乗るな…」

 

「ゴローには関係ないだろ…俺が勝手に命張ってるだけなんだから」

 

「次乗ったらヤバいのわかってんだろ!!」

 

「俺さ、最近楽しいんだ…ゼロツーと乗った日から、イチゴともっかい繋がった時は失敗しちゃったけどでもそのあと、みんなのこと助けることもできたし。特にみんなが近くにいると温かいな、オトナのためじゃなくて、みんなのために戦いたいなって思うんだ。こんなに楽しいのは初めてだ。次の作戦は絶対に失敗したくない。最期になるかもしれない戦いで負けるわけにはいかない…だから…」

 

「俺に見逃せっていうのか…?」

 

「うん…」

 

「だれにも言わないつもりなのか…?」

 

「うん…」

 

「イチゴやヒロにもか…?」

 

「うん…」

 

「くッ…お前ッ!!」

 

悲しそうに、弱々しくそう答えるイクサ

 

振り返りそんなイクサに掴みかかろうとする

 

しかし、先程までいた場所にはもういなく

 

立ち上がって笑っていた

 

「こんな重荷を背負わせてしまって悪いと思ってる。でも俺になんかあった時、みんなを頼む。特にイチゴとか、俺がいなくなったらどうなるかわからないからさ」

 

やめろ…

 

そんな顔するなよ…

 

なんで…

 

なんでお前はそんな状態でも笑えるんだよ…

 

「じゃあ、またあとで…」

 

イクサはそれだけいうと扉を開き去っていく

 

「イクサ…お前は、大バカ野郎だ…」

 

俺しかいなくなった狭い部屋で俺の声だけが虚しく響いた

 

 

 

Side:ゴロー out

 

 

Side:イクサ

 

 

 

「イクサ、ゼロツー、急いで作戦会議に遅れる」

 

「わかってる。」

 

俺たちは現在、ミーティングルームに移動中

 

イチゴに頼み通話を繋いでもらい、あちらの様子はこっちで聞けている

 

『一時間前に距離およそ3000の位置に、叫竜の反応を確認した。数はおよそ、100〜150』

 

『ひゃ、150…?』

 

第13部隊の面々が、驚きたじろいているのがわかる

 

『今後更に増えると思われる。会敵予想時間はおよそ、33時間後と出た。どれだけ急いでも、叫竜の到達前にキッシングを終わらせるのは不可能だ。そこで、この位置に防衛ラインを設ける。26部隊を前衛として展開。13部隊はバックアップとして後方に控えてもらう。』

 

『え?バックアップ?』

 

『かなりの乱戦になるだろうからね、連携の取りやすい仲間とやりたいんだ。』

 

『なッ!!』

 

『つまりミク達足手まといってことじゃん』

 

『んん…最優先事項は両プランテーションをつなぐメインパイプの防衛となる。そこでこの場所には単騎でも戦い抜けるFRANXX(フランクス)を配置することにした』

 

『そんなFRANXX(フランクス)がいるんですか…?』

 

『ここにはストレリチアを置く』

 

26部隊の人たちはガタガタッっと立ち上がり、その動揺具合がわかる

 

「ゼロツーって前に26部隊の人となんかあった?」

 

「ん〜、覚えてないな〜、どうでもいいし」

 

『ストレリチアだって…?これはどういう…?』

 

お、そろそろつきそうだ

 

プシュウっと空気が抜け、開かれるハッチ

 

「ごめんなさい、遅れたわ」

 

「ゼロツー、先どうぞ」

 

「ありがと、ダーリン♡」

 

「CODE:002…それに、CODE:013まで…」

 

CODE:090の声は怯えているかのように震えている

 

賢人(パパ)からの許可は?」

 

「ええ、出たわ。ゼロツーのパートナーとしてイクサにはストレリチアに乗ってもらいます」

 

「今はコレが最善の策だ」

 

「了解です」

 

「待ってください」

 

そこにCODE:090の待ったが入る

 

「我々は、ストレリチアとは一緒に戦えません」

 

「作戦の変更はない」

 

「しかし、そこにいる女は味方のことを顧みないッ!!そんなやつに背中を預けられませんッ!!CODE:002、お前には心当たりがあるはずだ。」

 

「なんのこと?」

 

「とぼけるなッ!!」

 

ゼロツーは恐らく本当に覚えていないだけだろうな

 

「2年前の共同戦線だ、あの時、お前のあまりに無茶な戦いのせいで、僕らは戦場で孤立し僕は…パートナーを失ったんだぞッ!!」

 

呼吸を荒くし、肩で息をするCODE:090

 

「ふーん、覚えてないな〜、弱いやつは死ぬそれだけのことでしょ?」

 

「ッ!!」

 

ゼロツーの言葉にカチンと来たのか、ゼロツーに歩み寄ろうとする

 

しかし、俺はその間に割って入る

 

「今は、俺がゼロツーのパートナーだ。彼女のことは俺が抑える。」

 

「CODE:013………」

 

「前は任せるよ、CODE:090」

 

 

 

 

 

 

「イクサ、帰ろ?暗くなっちゃう」

 

「あぁ、悪い、ちょっと26プランテーションにようがあるんだ。先に帰っててくれないか?」

 

イチゴが誘ってくるが、それを拒否する

 

俺と乗った女性操縦者(ピスティル)が、今どうなっているのかを知りたい。

 

ナナには予定を合わせてもらっているからな

 

なるべく急がないと

 

「ふーん。」

 

「なんで、着いてくるんだよ…」

 

「いや〜、一緒に行こうと思ってね。イクサじゃ迷子になりそうだから」

 

「そんなこと…あるか…」

 

そう、俺はこう見えて方向音痴なのだ

 

前に、ガーデンで迷子になったときに、こっぴどくナナとかオトナに囲まれて怒られたっけ…

 

懐かしいな

 

「ところで、なにしに行くの?」

 

「あぁ、ここに来る2つ前のプランテーションがここ第26プランテーションだったんだよ。だからそのときに一緒に乗ったやつの容態を見に行ってみようと思って」

 

「もしかして、ついてこないほうが良かったかな?」

 

「いや、正直1人で合うのはちょっと怖かったから。助かったよ」

 

「えへへ、なら良かった」

 

ここか…

 

3回ノックし中に誰かいるかを確認する

 

「はーい、誰かな?入っていいよ」

 

扉の中で声がした

 

「よぉ、ひ、久しぶり…」

 

「CODE:013…!?久しぶりだね…」

 

俺が来たことに驚いていたが、すぐにニッコリと笑っていた

 

「意識戻ったって聞いてな。元気そうで良かった」

 

「うん。ところで後ろにいるのは新しいパートナー?」

 

「あぁ、違うよ。こいつはCODE:015。俺たちはイチゴって読んでるんだけど、俺の部隊のリーダーなんだよ」

 

「へ〜」

 

イチゴのことを見定めるかのように、そしてニッコリ笑うと

 

「CODE:037っていいます。CODE:013、イクサ君とは元パートナーだったの。よろしくねイチゴちゃん?」

 

「はい、よろしくおねがいしますね。()パートナーさん?」

 

バチバチと、二人の視線の間に稲妻が走っているように見えるのは俺だけだろうか…?

 

「ところでイクサ君。今の部隊はどう?楽しい?」

 

「うん、コイツのおかげでね」

 

「ふーん、そっか」

 

「お前は最近どうなの?」

 

「ちょっと右眼が痛いけど、特に問題ないって。2ヶ月後には実戦復帰できるってさ」

 

「そっか、良かった。今日はありがとう。また時間があったら遊びに来るよ」

 

「イクサ君…次の戦い、私はなにもできないけど、応援してるから」

 

ニッコリと笑う彼女。

 

さっき聞いた話だと2年前の共同戦線だから、コイツもいたんだよな

 

じゃあ俺のパートナーの話はしないほうがいいか…

 

「ありがとう、またな」

 

扉を締め、26プランテーションをあとにしようと歩き出す

 

俺は一年前、26部隊に移籍になったときに、彼女と同調(コネクト)した

 

その際に彼女は意識不明の重体

 

いわゆる植物人間と呼ばれる状態になっていた

 

最近、ナナの話だと廃人になった人たちが自我を取り戻しつつあるそうだ

 

いつか全員に謝れるといいんだけどな

 

「また思い詰めてる…」

 

「え…?顔に出てたか?」

 

「眉間がすごいことになってた」

 

マジか…

 

気をつけなきゃな…

 

「いつでも頼っていいからね」

 

ズキッ…

 

イチゴの笑顔が心に刺さる

 

でも…決めたことなんだ

 

「気が向いたらね」

 

「またそうやってはぐらかす〜」

 

「ははは、ごめんってば」

 

「ほら、急ご。晩御飯が待ってるよ」

 

「今のイチゴ、フトシみたいだったぞ」

 

「う、うるさい!!」

 

俺はイチゴに手をひかれながら、みんなの待つセラススへの帰路についた

 

 

 

Side:イクサ out

 

 

Side:ゴロー

 

 

 

イクサは遅めに帰ってきた

 

特に何かあったわけでもなくそのまま眠りについている

 

だけど、耐え難い痛みに襲われているのかまた唸っている

 

俺はそれから目を背けるように、部屋をあとにした

 

中庭に出てみると、何やらイチゴとゼロツーがドコかに行くのが見えた

 

ドコに行くつもりなのか…

 

 

 

Side:ゴロー out

 

 

Side:イチゴ

 

「26部隊とのことについてなにか言うつもりはないよ。ただ、次の作戦では独断専行はしないで欲しい。ちゃんとリーダーの私の指示に従って動いて」

 

「またボクに指示するの?キミほんと偉そう」

 

ゼロツーは私の事を通り過ぎようとする

 

「ちょ、ちょっと!!話はまだ終わってない…!!」

 

立ち去ろうとするゼロツーの腕を掴むが力が強く引っ張られてしまう

 

「なに…?」

 

冷たく言い放つゼロツー

 

でも…これだけは言わないと…

 

「イクサに、無理させないで」

 

しかしゼロツーは私の手を振り払うと

 

「ボクと乗りたいって言ってきたのはダーリンなんだけど」

 

「わかってる。だからせめて、イクサの負担になるようなことはさせないで…」

 

「譲って欲しいの?でもキミ、ダーリンと2回も試したのに結局何もできなかったじゃん」

 

「私のことはいいでしょ!!」

 

思わず声を荒らげてしまう

 

「だったら、そっちも口出さないで…」

 

「貴女…イクサを利用するつもり?」

 

「ダーリンはボクのモノだ」

 

「死んじゃうかもしれないんだよ?」

 

「そうだよ」

 

「死んだらそれまでさ…」

 

ダメだ、この女はイクサのことを利用している

 

そう考えると怒りがこみ上げてきた

 

我慢できなくなり、思いっきりゼロツーの頬を打つ

 

その衝撃で、ゼロツーのカチューシャは外れて飛んでいく

 

でもそんなの知ったものか…

 

「人でなし…アンタはやっぱ、人間じゃないッ!!」

 

この言葉を聞いてか、ゼロツーの瞳は紅く染まり、怒っていることがわかった

 

「えっ…?」

 

「人間…?人間だって?じゃあさ、聞くけど君たちの人間ってなにさ…?」

 

「え?」

 

「ダーリンは?ボクもたくさんの男性操縦者(ステイメン)を殺してきたけどさ、多分ダーリンはその比にならないくらいの女性操縦者(ピスティル)を殺してるんじゃないかな?」

 

そ、そんなはずはない

 

だって、CODE:037は生きてた

 

今も元気になっている

 

イクサが人を殺すだなんて…

 

「ダーリンはね?()()()()()()()()()()()()()()()()()って話だよね。だったら、ボクより…」

 

やめて…

 

言わないで…

 

「よっぽど、バケモノなんじゃないかな…?」

 

その言葉が終わると同時に、地面が湿りだす

 

「雨だ…一緒に見たかったな、ダーリン…」

 

それだけ言い残すとゼロツーはこの場を去っていった

 

イクサを救うことができないただ弱い私を残して…

 

 

 

Side:イチゴ out

 

 

Side:ゴロー

 

 

 

しばらく経って、イチゴは帰ってきた

 

雨に濡れてしまっていたイチゴにタオルを手渡す

 

「ほら、風邪引くぞ?」

 

「ありがとう…ちょっと用事で…」

 

「あぁ…」

 

「見てた?もしかして…」

 

「あぁ…」

 

言葉が詰まる

 

ゼロツーと何があったのか

 

それは聞くまでもないだろう

 

「わからないんだ、リーダーなのに…幼馴染なのに…私じゃ、イクサを乗せてあげられなかった…私じゃ、イクサを止めれなかった。でも今はアイツがいて…イクサだってそれを… でも、私…私ッ…なんか変だ…ッ!!」

 

泣き出してしまうイチゴ

 

イクサは今のほうが本人からしてみれば幸せなのかもしれない

 

でも、周りからしてみれば心配でしょうがない

 

壊れていくイクサを見ていることしかできない

 

それも俺だって辛かった

 

「イチゴッ!!」

 

「私…私、嫌ッ!!嫌…頭がグチャグチャになる…なんなのコレ…イクサ…イクサァ…」

 

「イチゴ…」

 

泣きじゃくるイチゴの方をつかもうとした時、俺の手も震えていた

 

触ってしまったら、彼女が壊れてしまいそうで

 

「なんだよ…コレ…」

 

 

やっぱイクサ…お前は大バカ野郎だ…

 

 

 

Side:ゴロー out

 

 

Side:イクサ

 

 

 

「雨の後って、いい匂いするんだね。また降らせてよ…あっ、そっか…キミじゃ無理なんだっけ?」

 

「わからないな…まだ。できるかもしれないし、できないかもしれない」

 

「ふふ…」

 

湖を見渡す

 

そういえばここって…

 

忘れもしない、あの日だ

 

「ボクたちが初めて会ったのはここだった」

 

「ゼロツーに出会って、俺はここにいることができてる。FRANXX(フランクス)に乗れている」

 

「そう、ボクだけがキミのパートナー…」

 

俺の制服のチャックを開くゼロツー

 

そこには、前よりも大きくなった繭のようなナニカ

 

「ダーリンはもう知ってるんだよね?ボクと3回以上乗れたパートナーは1人もいなかったこと」

 

「うん…」

 

「痛いでしょ?苦しいでしょ?でも、とってもキレイ…」

 

俺の胸を愛おしそうに撫でるゼロツー

 

「どうする?降りるなら今のうちだよ?」

 

「そんなの、聞かなくてもわかってるくせに」

 

「じゃあ、ちゃんと言って」

 

「俺は乗る。キミと一緒に戦う」

 

そうこたえると、ゼロツーは高笑いをする

 

この広い森に響く彼女の高い笑い声

 

それはなによりも心地良い

 

望んで手に入れたこの翼

 

記憶の中でなんども、俺に叫んでいる

 

冷たい鋼鉄を抱きしめていても

 

いつか折れるその翼がまだ折れていないのなら

 

まだ飛べるはず…

 

だから俺は翼が折れるまで

 

彼女と一緒に戦い続けよう…

 

それが俺の生きる理由だから…




ギリ6000行かなかった…

というわけで、もう少しで第一部終了ですね

第一部が終わったら第一部に登場する設定をあげようと思っているので

頑張りたいと思います!!
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