【打ち切り】ダーリン・イン・ザ・フランキス:死の少年 作:らて丸
Side:イクサ
「ねぇ…本当なの?」
「うん、この道を抜けたすぐ先にあったの」
「探検みたいでワクワクするなぁ」
俺達は今、大岩の割れ目の薄暗く狭い道を通っている
なにやら、ミツルとナオミが何かを見つけたらしく、皆で見に行くとのこと
「でも、暗くて少し気味が悪いね…」
「別に無理してついてこなくても良かったんですよ?」
「なんだよ!!ココロちゃんに向かってその言い方!!」
「少なくとも、この先の安全は保証できないので…」
木々が生い茂りながらも、自然にできたとは思えないほどの階段
これは明らかに人工物だ
もっとも、ひどく風化してしまってはいるけどな…
「うわぁッ!!」
俺の目の前でミクが木の根に足を引っ掛け、転びそうになったところを受け止める
「よっと…」
階段だからって、足元を疎かにすると危ないかもな…
木の根が所々で飛び出ているし、階段も一部は欠けていたりヒビが入っている
「大丈夫だったか?怪我はない?」
「う、うん。ありがと…」
そういえば、なにか忘れている気がする
あっ…
「そういえばさ、朝なにか言いかけてたけどあれ結局なんだったんだ?」
「あ〜、ミク、今日髪型変えてみたんだけどさ…、ど、どうかな?」
いつもはツインテールにしているが、今日はお団子にしている
「新鮮でいいな、よく似合ってる。可愛いよ」
「そ、そう?えへへ…と、当然よね」
顔を赤くしながらも誇らしげにしている
「見えてきました…」
その声に視線を向けると、蔦などが絡まった見慣れない建造物や柱などがあった
これは…
「なに…ここ…」
鉄骨を組み合わせたようなものは拉げ、これが元々の形ではないことがわかる
大きな鏡や、人を象ったような模様の看板
石レンガの塀…窓ガラス…
「まるで、小さな都市みたいね…」
「都市ぃ?オトナたちが住んでるあの都市とはぜんぜん違うじゃん」
「誰か、人が住んでたりするのかな…」
「どうでしょうね、プランテーション以外に人が暮らしているなんて、聞いたことないですけど…」
◇
俺はみんなから離れ、少し探索してみることにした
大きな鉄の箱
中には小さなバックが散乱していたり、座席であろうそれは生地が破れ内側のスポンジが露出していた
まわりに…みんなはいないな…
右眼の周りが暑くて蒸れてきたので一度外しておこう
そう思って外したときだった
「なんだ、これ…」
廃墟だった、建物は真新しくなり、俺の周りを小さなコドモたちが走り回り、その先にあるベンチにはオトナがコドモを見守りながら談笑している
先程まで倒れていた柱も直立し、柱と柱の間を黒色のワイヤーが繋いでいる
体中から汗が吹き出す
暑いからではない。体から出る汗は冷たく、俺の頭をより冴えさせる
「イクサ…?」
「はっ…?」
「どうしたのよ、いきなり突っ立ったまま動かなくなっちゃって…」
視線を向けるとそこにはミクが立っていた
「あれ、俺は今何を…」
幻覚でも見ていたというのだろうか
あたりを見回すと、今度は廃墟の街に元通りになっていた
「みんな、先行っちゃったわよ。急ぎましょ」
「あ、うん…」
俺はミクに手を引かれたまま走ってみんなを追いかけた
◇
ゾロメが見つけた大きな建物
その外見は俺達が住む寄宿舎とよく似ている
「おーい、誰かいますか…?」
どこも、ボロボロになっているし、木に貫かれたピアノ…これじゃあ弾けないだろうな…
「なぁんか思ってたのと違ったな」
「アンタは一体なにを期待してたの…?」
「だってさぁ!!俺達が暮らしてる寄宿舎と代り映えしないじゃん」
「確かに、まるでこれをモデルに、私達の環境が造られてるみたい…」
イクノがこう言うけど、俺もなんだかそんな感じがするかな…
「なんのために…?」
「さぁ…」
「そんなことよりも、そろそろ戻ろう。日が暮れる」
「そうだね」
「もうちょい探索しようぜ!!」
ナオミが賛同してくれたがゾロメがそれを崩していく
「あれ、ココロちゃんは?」
「ん?さっきまでいただろ?それならあんま離れてないだろ。俺探してくるよ」
「あ、じゃあミクもついてく。イチゴからイクサは方向音痴だって聞いてるし」
イチゴ、アイツなに話したんだ…
ん…?あれココロじゃないか…?
少し歩いたところでココロを見つける
なにかの建物の入口に突っ立ているが…
なかに入っていくな
「ついていってみましょ」
「そうだな」
ついていってみると茶色の瓶が所々にあったり、投薬などの字があったため、なんらかの医療施設だったことが伺える
ココロが何かを見つけたのか、足元の小さな手帳のようなものを拾う
「赤ちゃん……?」
しかし、突然、ミシミシと鳴り出す本棚
「ココロッ!!」
「い、イクサ君ッ!!」
俺が一気に駆け出し、本棚を手で受け止める
ふぅ…なんとかなった…
「今の状況…ココロさんの手を引いたほうが良かったんじゃないですか?」
「おぉ、ミツルいたのか…冷静に考えたらそっちのほうが安全だったな」
本棚を倒しつつ自分が冷静じゃなかったことを思い知る
「全く…ココロさん1人で行動しないでください。ここでの安全は保証できないので…」
「ご、ごめんなさい…」
でも、誰も怪我なくてよかった
「そういえば、イクサ、アンタありえないくらい力持ちだったのね、片手で本棚受け止めるとか」
「え?」
言われてから気が付いたなんでこんな事出来るんだ…
そういえば遠く離れたみんなの話し声も聴こえるようになった
俺の身体になにか異変が起こっているのか…?
いや、やめておこう…
これ以上は考えたくないな…
Side:イクサ out
◇
Side:イチゴ
みんなと離れて、すこし建物がズラッと並ぶ通りへと入ってきた
その一角には、シャッターが上がっているものもあり、中の様子もうかがえる
その建物のガラスに張ってある一枚のポスターに目が行く
そこには『キスの鼓動』と大きくかいてあり、男と女が抱き合うような写真も添えられていた
「キス…口と口…」
思い出すのは、満身創痍になって、無意識に助けを求めていたイクサとのキス
唇に当たった指が、キスの感触がなんだか名残惜しく感じるのを思い出させる
「ボク、ダーリンとしたことあるよ」
耳元に唐突に話しかけられる
「ぜ、ゼロツー…チッ…」
思わず舌打ちまでしてしまう
彼女とはいつまでもうまくやれそうな気がしない
「したことあるって、なにが…?」
「キス♡」
「む……」
「キミたちにはまだ早いか!!」
誇らしげに笑うゼロツーを見ているとなんだか心がムカムカする
「あ、アタシだって、したことあるし…」
嘘は言ってないよね…
「へぇ…?誰と?キスってね、特別な人とするものなの、その人は君にとって特別な人なの…?」
ゼロツーは壁に手を付き私に対して寄りかかるような姿勢を取っている
それが威圧感を醸し出している
「そ、それは…」
「おーい、イチゴ〜」
みんなが合流したそうだから、探しに来たとのこと
それじゃあ戻らないとかな…
私は探索を終え、みんなの元へと向かった
Side:イチゴ out
◇
Side:イクサ
「すご…」
すっかり、日は傾いてしまい太陽は水平線へと吸い込まれていっている
「もーミク、疲れちゃったぁ〜」
「結構歩いたもんね〜」
「絶対明日筋肉痛〜」
座り込む二人を横目に俺も地面に座る
「結局、ここって何だったんだ…?」
「少なくとも生活の場であったことは間違いなさそうよね」
「じゃあ、誰かが過去に暮らしてたってことか…?」
「捨てたんだよ…」
最後に聴こえた声の方へと顔を向ける
その声の主はゼロツーだった
「かつて人間が地上で生活し、そして捨てた。世界中にはいっぱいあるよ。こんなところ…」
寂しそうに言うゼロツー
確かにこの『眼』でみた当時の人々のものであろう生活は、プランテーションのからっぽな黄金の街よりも活気に溢れキレイだった
「さて、戻るか…」
とりあえず俺達は、砂浜へと戻っていった
◇
俺達が砂浜につく頃にはもう日は沈みきっており、まさに夕食時と言ったところだ
そして、知らない間にBQQセットと焚き火まで用意されている
「やりぃ!!もう出来てるじゃん!!」
「肉だよ!!肉!!」
「なぁ、もう食っていいかな?いいよな!!」
「ミク、もうお腹ペコペコ〜」
イクノは焚き火の方へと視線をむけ小声で
「ほんといつの間に用意されてるんだろう…」
と疑問に思っているようだ
今はそんな事を気にするよりも楽しんだほうがいいと思うけどな
「あーんッ!!…ッ!!あちち!!」
フトシは一口で串を全部いったせいか、熱くて悶えている
それはそうだろ…焼き立てなんだから…
「大丈夫?」
「だいじょぶだいじょぶ…」
「ほら、ゼロツーも」
ゴローから串を受け取るゼロツー
「ねぇ…ゼロツー?」
「どうしたのダーリン」
「楽しい?」
「うん、悪くないかな…」
恥ずかしそうに、袖で口元を隠すゼロツーはとても可愛かった…
◇
「おぉ、焼けた焼けたッ!!」
「ミクもやる!!」
みんなが焚き火の前で焼きマシュマロなど思い思いのことをしているときにゼロツーに話しかけられる
「ねぇ、ダーリン。また泳いできていい?」
「真っ暗だけど…まぁ、あまり遠くに行かなければいいんじゃないかな?」
「ありがとう!!じゃあ行ってくるね!!」
そういうと、羽織っていたパーカーを脱ぎ捨て、海へと走っていく
「もーむりぃ…お腹はち切れる〜」
「ミクったら、みんなの前で行儀悪いよ?」
「いいの!!今日はいっぱい歩いたんだから〜」
ミクはそう言うとココロの太腿を枕にして寝そべりだす
その光景に、ゾロメもフトシも悶絶している
なにしてんだコイツら…
「ほらほら、見なさ〜い。アイツらの羨望の眼差し〜!!」
得意げにピースまでしている
たのしそうでなにより…
「みんな歩いたのは同じじゃねぇかよ!!」
「うらやましぃいぃ!!」
「なんとでも言いなさ〜い」
イチゴはホットチョコにマシュマロを浮かべてる
いいな〜美味しそう〜
「イクサ、飲む?」
こちらの視線に気が付いたのかマグカップをこちらに差し出してくる
「じゃあ、一口もらおうかな」
「うん」
ふー、ふー
それにしてもゾロメとフトシが
ふー、ふー
悔しそうにしてるのは見てて面白いな
ふー、ふー
ミクもいい性格してるね
ふー、ふー
「いつまで冷ましてるの?」
ナオミがツッコミを入れてくる
「だって、猫舌なんだもん…!!」
小さい頃から熱いものは本当に苦手だった
恐る恐る、カップを傾けチョコを口に流し込む
うん、甘くて美味しい
もう一杯分くらい用意できるかな
「そんなに美味しいならもう一杯入れてあげるよ」
「なんか悪いな…」
「んーん、気にしないで」
そう言ってイチゴは席を立つ
それにしても、何故人類は地上を放棄したのか…
こんなキレイな海もあるのに
もし、マグマ燃料を掘り出さなかったのなら、叫竜は現れなかったんじゃないか?
「はい、イクサ」
「うん、ありがと」
イチゴからホットチョコを受け取る
「………」
それに俺が見たあの景色…
あんなに暖かったのに、何故今の大人の街は冷たいのか…
疑問は増え続ける
そう思いながらイチゴが用意してくれたものを口まで持っていく
「イクサ、それ冷ましてない…」
「ん?」
ジュッ…
「あ"っ"つ"ッ!!」
俺の悲鳴が夜の海に響いた
◇
みんな腹が膨れ横になり眠っている
しかし、俺はなんだか目が冴えて眠れないでいた
すこし、散歩でもしようかな…
そう思い立ち上がる
ゼロツーは、どっか行ってるのかな…
ゼロツーのために用意された寝袋には誰もいない
歩き出そうとしたところでひとつの人影が動いた。
「イクサ?」
「あ、悪い。起こしたか?」
「ううん、平気」
「少し、歩かない?」
「うん、行く」
みんなを起こさないように静かに抜け出す
「なんだか眠れなくて…」
「俺もかな、寝て起きたらもう終わりだなんて、勿体ない気がしちゃってさ」
イチゴは立ち止まる
「イチゴ?」
「見て!!イクサ、こんなに星が見えるよ!!」
見上げてみると、かなりの数の星が見える
それこそ数え切れないほどに
「本当だ、すごい数だな」
「あ、オリオン座!!」
イチゴが指を指した方には台形が2つ縦に並んだような星座があった
「昔は、オリオン座は冬の星座の代名詞だったんだってな」
「へぇ…小さい頃、ヒロがよく星の話をしてくれたよね」
「そういえば施設を出たらみんなで星を見に行こうって約束もしたっけ?」
懐かしいな…
所々思い出せないところもあるのはなんでだろうな
みんなこんなもんなのかな
「また星は探せるよね」
「まぁ、これからもチームとして戦っていくんだろうし」
「ねぇ、イクサ…」
イチゴは突然立ち止まると俺の方へと振り返る
「私さ、リーダーとして頑張るからさ、ゼロツーとかCODE:037とかじゃなくてさ!!私のこともちゃんと見て」
「イチゴ?」
「模擬戦のときのイクサとのキスは特別だと思ってる!!だから私はイクサとずっと一緒に…「すごい、流れ星だよ!!こんなにたくさん!!」
上を見上げると無数の流星が空を切り裂いている
「流れ星に願い事をすると叶うんだって、イチゴだったらなにを願う?」
「さっき言おうとしてたのにな…」
「え?」
「あはは!!イクサのバーカ!!」
「はぁ?なんだよそれ…教えろよ〜!!」
「教えないよ〜だ!!」
俺達は笑いながら砂浜で追いかけっこをした
こんな素敵な時間がずっと続けばいいのにな
Side:イクサ out
台本型式が良いか…?
-
あり
-
なし