最初は、こんなはずじゃなかったのに。
いつになって狂ったのだろうか、いいや、沼ったのだろうか?
「ひーくん、ご飯だよ?ちゃんといい子にしてた?」
「うん、言われなくても。ずっと一緒にいたから分かってるじゃん、美乃里。」
「へへ、そーだったね。ちゃんと私の愛いーっぱい込めて作ったからね?ほら、あーんっ♡」
いつの間にか、こうして1日だらだらと一緒に居るようになって。気づいたら、互いに深い沼に堕ちて逝って。
互いが互いを縛り付けるような、2人だけの深ふっかーい関係性。現状が嫌な訳では無い。ただ、何処と無く気になる時があるんだ、このままふたりでずっと居て良いのか、とか。
幸せだけど、どこか変な感じがする。
僕はこの女に、毒されてしまったんじゃないか、って。
こうは思っていても、もう離れることは出来なかったんだけどね。
「どうかしたの?ひなた。考え事?それとも、私と居るの嫌になった?」
「そんな事ないから、安心して。少しぼーっとしてただけだからさ。」
恐らくメンヘラ、と呼ばれる分類の彼女で。とても不安症で寂しがりで、そんなとこも好きだったりする。
こういう風に、彼女の心の奥底を見た時に見える、美乃里の独占欲。重い、どろっとした感情。
そして、自分の中にも噴出し始めている、彼女にも見える感情。
砂糖に浸されて過ごしていたら、苦いものはより苦く感じるし、少しの苦さでもとても苦く感じる。
慣れちゃったからこその、苦しさ。
そんなことを実感しながらも、幸せを感じながら、また一日を終える。
本当にこれでよかったのだろうか、と思いつつ。
どんどんと幸せな感情も加速して、そのうち喉元を掻っ切られるような危険な愛情を、互いの腹の奥に孕ませながら。
「先輩、好きですよ。」
「先輩呼びされるのも久々だね、ひーくん。
私は好きじゃないよ?」
ぶわ、っと体から吹き出すような焦りを感じて。
なんで?とか捨てるのか?とかそういうドロドロとした感情が体の奥底から湧き上がって止まらない。不安だ、怖い。
「もー、焦りすぎ…よしよし、ぎゅーっ。
愛してるよ、ひーくん。大好きだし愛してるから、好きじゃ収まらない」
ほんと、意地悪な人だ。絶対こうなるのも分かってたし、僕が言われたら焦って仕方ないのも、分かってて言ってるんだ。
でも、嬉しい。
「こうなることわかってたんでしょ…そんな意地悪な美乃里は嫌い…」
と、頬を膨らませるようにしながら拗ねて
「ねえ、一生嫌いなんてこと、言ったらダメだよ?
そんなこと言われたら私、何するかわかんない…」
と、そのままベットに押し倒されては、ギラギラとした綺麗な瞳に目を合わせられて、優しく首元をペロリと舐め上げられて。
「分かってますから…嫌いになんか、なれないから。その、意地悪されたぶんし返したくなっただけ…」
「あはは…互いに似たもの同士だね。
少し言われるだけで、こんなんになっちゃうんだもんね」