ちょっと今更ながらVtuberにハマり、色々と漁っていたら書き方を忘れてしまい一話目にしてここまで止まっていました。面目ねえ。
ようやくの更新に伴い、サブタイのスタイルを変更。本家さんとの区別として。
ブラッシータウン。
隣町であることから徒歩でやって来たラウラたちは、その駅前のベンチに俯き加減で腰掛けるムツキの姿を認めた。
「ムツキ! 大丈夫か!」
掛けられた声に面を上げるムツキ。顔色こそ悪い様子だが、大事はないようである。
「ああ、わざわざご苦労様です……浮気の最中でしたか? 後で面倒ごとに巻き込まれたくないので、ユウリにチクっておきましょうかね」
「バカ言うな。コイツはシンゴ。訳あって一緒に行動してるんだよ」
同行してきたシンゴにムツキが訝し気な目を向ける。それに対してシンゴ、先ほどのラウラの時と同じ任侠スタイルで名乗りを上げた。
「ご紹介に与りまして! 自分はシンゴというケチな男でございやす! 大天使ムツキ嬢とお見受けしますが、名前だけでも憶えてくだされば恐悦の至りであります!」
「えっと……舎弟でもできました?」
「将来的にはそうなるかもな。まずはむしジムをメジャーランクに伸し上げてからだが」
適当に答えたラウラは、ふとムツキの傍に立つ女性へと向き直る。ラウラが蟲と見るか検討中のナックラーを連れた、そのナース服の女性はムツキに顔立ちがそっくりだった。
「とにかく連絡ありがとうございました、リヅキさん」
「いえ、職業柄そうすべきと判断したまでです。迷惑でなかったなら何より、と私は胸を撫で下ろします」
独特な口調で応じた女性――ムツキの姉であるリヅキが、言葉通りの行動を示す。一方、そのやり取りを聞いたムツキは不機嫌気味に口を挟む。
「まったく……たかだかバトルの最中に具合悪くなっただけなんですから、必要ないと言ったんですよ。余計な世話焼かないでください、姉さん」
「本当なら母さんを呼ぶはずのところだったんだから文句垂れないでください。仕事放って駆け付けてこられても困るでしょう? と、私は過保護な母を思い浮かべます」
「……まあ、無理やり病院に叩き込まれるよりはマシですか」
同じく母親を想起し、複雑な表情を浮かべるムツキ。以前、ラウラがリヅキと初対面した際は『(ムツキに)存在も忘れられてる』と言っていたが――こうして姉妹一緒にいる辺り、母・キリエとの関係が緩和したのに際して接する機会が増えてきたのだろう。文句を零すムツキの顔には、その場面をラウラに見られたことへの気恥ずかしさも見て取れる。
それはそうとして。ラウラは本題を切り出す。
「ところでムツキ、襲って来たって言う蟲ポケモンのことだが……」
「ああ。そのポケモンのおかしな技にやられて体調悪くしたんですが、どっかに飛んでいきましたよ。あれは確か以前飛行タイプを調べていた時に見た、ヤンヤンマってポケモンに似てましたね。大きさも雰囲気も全然違いましたが」
間違いない。ラウラは確信する。
知っての通りメガヤンマはヤンヤンマの
と、恐らく同様に目的のメガヤンマだと確信に至っただろうシンゴが徐に周囲を見渡し始める。そして樹木の一つに目を留めたと思いきや、懐からモンスターボールを取り出してすかさず投げた。
「ケムッソ! いとをはく!」
ボールから出てきたたいもむしポケモン・ケムッソが勢い良く口から糸を吐き出す。狙いは何処にでもあるような樹木。しかしその樹を貫かんばかりの練度で放たれた糸を避けるように、そこから大きな二対の翅を持つ影が飛び出してきた。
「――やっぱりな。逃げたと見せかけて、こっそり忍び寄って奇襲の隙を窺う。その戦法は
「ギギギッ、ギイイイ!」
強面の貌に凶悪な色を滲ませるメガヤンマが姿を現す。威嚇するが如く羽音を立てて、策を見破ったシンゴに怒りの目を向けていた。
それを見て、ラウラも即座に身構える。
「やるぞ、テッカニン!」
手持ちから繰り出したのは速さを誇るテッカニン。相手がメガヤンマと聞き、備えていたメンバーだ。透明とまで言われたスピードで飛翔したテッカニンが、メガヤンマめがけて先制攻撃を仕掛ける。
が、それを喰らうよりも早くメガヤンマは急に速度を上げて回避。テッカニンが攻撃の勢いそのまま空振りしたのを見逃さず、虚空を裂いて真空波を放つ――エアスラッシュだ。
「させるか! ケムッソ!」
しかしそれを読んでいたかのように、シンゴがケムッソに指示。またも吹き出され投網状となった糸が、テッカニンを狙った空気の斬撃を覆って妨害し見事霧散させた。
「助かった、シンゴ……やはり『かそく』持ちか。しかもあの加速の仕方、一応腕は良いトレーナーに育てられてたんだな」
危うく一撃で落とされかけたラウラ、素直にメガヤンマの実力を認めてしまう。同時に、一つ"疑念"が浮かんだが、今は目の前のバトルに集中する。
「テッカニン! かげぶんしんで翻弄しろ!」
指示を受け、テッカニンが同じく加速した得意の速さで残像を作り、メガヤンマの周りを囲む。対するメガヤンマは意外にも冷静。蟲の共通器官である複眼を駆使してるのか、闇雲に攻撃せず本物を見極める姿勢を取っていた。こういう場面にも戦い慣れているのか。
「こっちも忘れるなよ? いとをはく!」
地上からシンゴのケムッソもテッカニンの援護をする。捕らえれば動きを封じる糸はテッカニンを邪魔せず的確にメガヤンマの進路を先読みして放たれた。辛うじて避けるメガヤンマだが、それを今度はラウラが見逃さない。
「今だ! シザークロス!」
さっきの意趣返しのように、糸を避けたところを狙いテッカニンのシザークロスが、こちらは見事に決められる。油断の一撃。それでもタフさもあるか痛痒を感じさせない様子のメガヤンマ、何故か飛び回るのをやめ、二対の翅を更に高速で振動させ始めた。そうして肉眼で捉えられないほど羽ばたかせた途端――
ビビビビビビビビビビッ!!
「ッ! 何だ……体が、重くっ……!?」
「また、この技ですか……!」
音の
これは『むしのさざめき』――それをアレンジした技だろうか。響き渡る音の振動がラウラたちに重圧としてのしかかる。ムツキに至っては輪をかけて顔色が青ざめていた。さっき言っていた『おかしな技にやられて』とはこのことなのだろう。
「ギイィ……!」
一方でそれをもたらしたメガヤンマは、忌々し気に一唸りすると背を向ける。流石に2対1では分が悪いと判断したのか、眼下のラウラたちやテッカニンらが動きを鈍らせたところで町の外に飛び去って行った。
「くッ、追いましょう! ラウラ嬢!」
「そうだな――ムツキ、お前はどうする?」
「またあれ喰らったら今度こそ病院行きかねないので遠慮します。代わりにぶっ飛ばしてきてください」
「ムツキのことは引き続き任せてください。姉として、今まで親任せだった妹の面倒を見るつもりなので、と私は柄にもなく姉の自覚を吐露します」
病院勤めのリヅキがいれば安心だろう。ラウラは一つ頷いてシンゴと共にメガヤンマを追った。あのまま放っておけばまた誰を襲うか分からない。早急な確保が必要と認識を改める。
その前に。ブラッシータウンを出たところで、ふとラウラがシンゴへと振り返り問い掛ける。
「なあ、シンゴ。聞きたいんだが……お前とあのメガヤンマはどういう関係なんだ?」
「っ……何故そう思ったので?」
否定も誤魔化しもしない。ラウラは続ける。
「お前はあのメガヤンマと一度出くわしたと言ってたが、それにしては奇襲や攻撃の動きを読み切ってた。『相変わらず』って言葉も引っ掛かる。実はお前のポケモン――ってことはお前の人柄見れば違うと分かるが、ただ住んでた地方で悪さしてたポケモンだから見逃せないだけじゃないんじゃないか?」
しばしの沈黙。やがてシンゴは観念したように嘆息し苦々しく笑った。
「別に隠し通すものでもないんですがね。身内の不名誉を、今日会ったばかりの同好の士に伝えるのは憚られたもので」
「身内だと?」
「ええ。あのメガヤンマは俺の兄貴のポケモンです。いや……"だった"が正しいですね。時にラウラ嬢は、ギンガ団をご存じですか?」
ギンガ団。シンオウ地方における、ロケット団やプラズマ団のような悪の組織だ。当然知っているラウラが「まあな」と当たり障りなく答えると、シンゴはつまらない話を聞かせるように語り始める。
「俺の兄貴はそのギンガ団に所属するどうしようもないしたっぱ団員でした――」
色々詰め込みすぎた感。むしのさざめきのアレンジ技は、放仮ごさんからのアイデアで風都探偵のメガネウラ・ドーパントのオマージュです。
●ケムッソ♀
とくせい:りんぷん
わざ:いとをはく
たいあたり
もちもの:かわらずのいし
備考:さみしがりな性格。食べるのが大好き。シンゴが初めて捕まえた相棒ポケモン。糸を使った戦法が得意で、シンゴに鍛えられたその技量は進化させなくてもジム戦で通用するほど。
次回は早くに更新したい。いや、する。
宜しければコメント・評価くださると嬉しい限り。本家のポケ蟲も宜しくお願いします!