ポケ蟲 サイドストーリー   作:秋塚翔

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昔、サンデーで連載してたポケモン漫画。思い出補正入ってるかもだけど、上手くやればポケダンみたいな独自コンテンツ築けたんじゃないかなーと常々思う。
マザービーストやサトシゲッコウガを通過した今、ストーリー性でコケさえしてなければ二次で人気な作品だったんじゃないかな。思い違い?

長くて区切ったエピローグ回。無糖コーヒーの準備をしてもらえたら。


襲来!メガヤンマ エピローグ

「もうシンオウに帰るのか?」

 

 

 メガヤンマの大捕物から数日後。ハロンタウンのユウリの家にて、ラウラはついこの前の初対面の時のようにシンゴと向かい合う。あの時との違いは、シンゴがケムッソを腕に乗せ、手荷物を提げていることだ。

 

 

「はい。と言っても、早すぎる里帰りみたいなもんです。コイツを手ずからシンオウに戻そうと思いまして」

 

 

 手の内にあるボールに目を落とすシンゴ。そこにはあのメガヤンマが入っていた。

 ガラルでは基本的に、現地に生息していないポケモンの入国は厳しい。トレーナーの手持ちであれば多少認められる――ウルトラビースト、その他伝説・幻に指定されるポケモンも所有者への査定を経て許可される――が、このメガヤンマはシンオウ地方で要指名手配になっているポケモンのため、一度シンオウの警察機関に引き渡す必要があった。

 故に、シンゴはそれを自らの手で行うべく今日ガラルを立つのだ。

 

 

「できるなら、兄貴に代わって真っ当な方向に育て直せればと思いますが、それは向こうでの処遇次第になりますね。それまでは古巣に留まろうと。できればあっちのジムを巡って、その下地作りをしようと考えてます」

 

 

「ああ、それは良いかもな。『おや』はお前の兄貴な訳だし、ジムで力をつけて認めさせれば言うこと聞いてくれるだろう」

 

 

 ふとラウラは、ジムチャレンジの頃にまだまだ言うことを聞いてくれない力差(レベル)だったドラピオンを捕まえたことを思い出し、懐かしそうに頬を緩める。

 

 

「ムツキ嬢とユウリ嬢にも宜しくお伝えください。結果的にお二人も巻き込んでしまったのに、もう一言お詫びもできず去るのは申し訳ないですが……」

 

 

「二人とも用事だからな、仕方ないさ。それに大丈夫だ。あのくらいで根に持つほど経験は浅くない。なにせ俺のダチとガラル最強の恋人なんだから」

 

 

「そうでしたね。杞憂でしたか。せめて次に戻ってきた時は名物のもりのヨウカン詰め合わせを持参して挨拶させていただきましょう」

 

 

 笑い合うラウラとシンゴ。そうしたところで出立の時間が間近となる。今生の別れではないのだから、ダラダラと長居は無用だろう。シンゴは姿勢を正すと、改めて別れを告げた。

 

 

「では、いつかまた戻ってきます。むしジムのジムトレーナー志望ですから。時期が来たら是非、自分を採用してください、ラウラ嬢」

 

 

「お前くらいの実力なら即採用だろう。俺も、それまでにジムリーダーになってみせるさ」

 

 

 シンゴは踵を返し、来た道を戻るようにしてアーマーガアタクシーを待たせている場所へと向かう。それを見送り、変わらぬ日常が流れる中でラウラが家に入ろうとしたその時、後ろから軽い足音と同時に抱き着いてくる少女が。

 

 

「ラーウラっ♪」

 

 

「! ユウリか。もう仕事終わったのか?」

 

 

「うん! リーグ委員会主導の視察だったからね。後はダンデさんとキリエさんがやってくれるって!」

 

 

「そうか、ならシンゴももう少し待ってれば話できただろうにな」

 

 

 既に遠く見えなくなった蟲仲間の姿を思い浮かべるラウラ。そういえば、とメガヤンマ確保後に事情を話すため一度顔合わせした際、ユウリがシンゴに対して警戒心を覗かせていたのを思い出す。あの時は朝の件がちゃんと解決してなかったからだったか――

 

 

「……あー。ユウリ、ちょっといいか?」

 

 

「どうしたの?」

 

 

 キョトンとしているユウリの腕を剥がし、振り返って顔を向き合わせるラウラ。あの騒動でなあなあになっていたこと。わざわざ掘り返さずとも自然に元通りだったろうが、先ほど自身の過去にケリをつけたヤツの見送りをしたのだ。目の前の少女の恋人として、言わずには終われない。

 少し言いづらそうにした後、意を決して口を開く。

 

 

「この間の話だが、俺はお前のことが好きだ。もちろん恋人として。たとえどんなに良い男だろうと、同じように蟲を愛する話の合う奴が現れようと、俺なんかを好きになってくれたお前から乗り換えることは絶対にない。それは信じてくれ」

 

 

「う、うん。それはこの間のことで良く分かったよ? メガヤンマ(あのポケモン)から私を助けてくれて、怒ってもくれたんだもん。あの時のラウラもかっこよかったなあ。もっともっと好きになっちゃった」

 

 

 臆面のないユウリのまっすぐな好意に、ラウラがますます照れ臭くなる。コホン、と誤魔化すかのように咳払いしてから言葉を続けた。

 

 

「だけど、前にも言ったが俺は恋愛初心者だからな。お前からのアプローチに気付いて応えるってこと自体がどうしたら良いか知らない。()()()()()()になっても、どう誘えば良いのかも分からないんだ」

 

 

 羞恥を必死に押し留め、さながら連続攻撃技の如く思い付くまま偽りない意思を投げ掛ける。

 

 

「恋愛ビギナー級って言うなら、もう少し段階を置かせてくれ。伊達に蟲ポケモンでここまでやってきてないんだ。すぐにマスターボール級まで昇り詰めて、お前を満足させられる恋人になってみせるさ。まずは、その……一緒に風呂入るとこから始めさせてくれるか?」

 

 

「――」

 

 

 黙って聞いていたユウリ。驚いた風に目を見開いてるが、すぐに返事しない。

 もしかして、もっと踏み込むべきだったか? でもいくら女同士とはいえ一緒の風呂も結構刺激が……とラウラが戸惑い出したところで、ユウリはぱあっと顔を輝かせた。

 

 

「良かったあ! ラウラも()()()()()()になってくれてたんだね!? ソニアさんやルリナさんみたいな綺麗な人じゃないとダメなんじゃないかって心配だったんだ!」

 

 

「一番にそこかよ!? それは普通の生理現象でだな……! いやまあ、誰でも良いのかって言われたらユウリは充分可愛いし、好きって言ってくれる相手がいたら気持ち向くが――」

 

 

 言い訳じみたことをもごもご零すラウラだが、その口はあっという隙もなく塞がれた。他でもない、目の前のユウリによって。

 方法は……言うまでもなかろう。

 

 

「私のために頑張ってくれるラウラ大好き! 愛してる! ラウラは、私だけの、ラウラだー!」

 

 

「おい外! ここ家の外! また誰かに聞かれでもしたら……!」

 

 

 フィーバーするユウリの熱い抱擁を解こうとするラウラ。しかし、時すでに遅しであることに気付く。

 家の前にある道路。そこにちょうどホップの家から帰ってきたらしいユウリ母がいた。しかも恐らく談笑しながら同行してきたホップ母の姿も。どちらも「あらあらまあまあ」「若いわねえ」と言わんばかりに微笑ましそうに、かつ生暖かい視線を注いでいる。

 いつもの日常、いつもの風景。恋人の愛に包まれ、衆目に晒される蟲使いの少女は外で話を切り出してしまった自らを恨み、乾いた笑い声を零す。

 ハロンタウンではしばらくの間、これが定番のイジリネタになったのだが……それは別の話である。




一話目からの感覚だと、あっという間に終わったメガヤンマ編でした。めでたしめでたし。

最初からフルスロットルでしたが、今後は日常を切り取った回かペース落としてのバトル回をお送りしていこうかと。うん、完っ全に配分間違えてるネ!もう好きにやらせてもらいますわ!ポケ蟲愛で書く所存!

良ければコメント、評価くださると光栄の至り。あと「こういう話どう?」なアイデアもあれば是非メッセージにて。本家のポケ蟲も宜しくお願いします!
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