アクアリーデ
幻獣種:麒麟の血から成る。
今はスライムのような姿だが…?
厄ネタ。それは古今東西どこにでもあり、どこでも忌避されるもの。そして俺の目の前にある厄ネタ。それは。
『キリン…?』
首長動物の方ではない。かと言って、缶ビールのやつとも違う。しかし俺は、ソレをキリンだと思った。なぜならば。
某モンスターを狩るゲームに出てくるのと良く似てたからだ。見た目が。
色が白地に青じゃなくて白と黒っぽい赤だったり、思ったより顎髭ふさふさしてんのな、って感じはするが、およそキリンである。
で。問題は。
『明らかに死んでるんだよなぁ…』
そう。黒い血を流して倒れているのである。
なんか白地の部分はまだ光ってるんだけど、息をしてる感じはしない。そもそも生き物なのかも分からないが。
で、この森。大体生き物の死骸なぞ、ものの数分で食べ散らかされるのである。俺だってそうする。貴重な食べ物だ。それがないってことはつまり。
多分食えねえ。食ったら死ぬとか、そういうやーつ。うーむ。
でも、一本角の部分とか、なんとか取って武器に出来ねえかなぁ…。と。
そんなことを考えていた時だった。
『…ん?』
いま、倒れたキリンの腹部(血溜まり)が何やらモゾモゾ動いた気がしたが…。気のせいか?
周りは不気味なまでに静まり返っている。おかげで何かが近付いて来たらすぐに気付けるから良いのだが…。
しばらく注意して見ていると、やはりキリンの腹部の下で何かがもがいているような感じである。が、キリンの死体が重いのか、なんか段々と動きが弱まっているようだ。
どうするか。
『とりあえず、引っこ抜いてみよう』
なんか気になったので、引っ張り出すことにした。これで小さいキリンとかだったら、育ててみよう、なんてアホなことを考えながら。
キリンをどける…には、ちと重すぎる。ので、タールのような血溜まりに手を突っ込み、なんかプルプルしたゼリーみたいなやつを抜く…抜…。
『重てえ』
なんとか腰を目一杯落として、黒いタール状の血溜まりから黒いタール状のゼリーみたいなのを、情けない感じでずりずりと引きずり抜く。大丈夫?これ俺呪われたりしない?
そうは思いつつ、もはや乗りかかった船。ええい、ままよ!の精神で、なんとか最後まで引っ張り出す。
そして、そこにいたのは、プルプルとした真っ黒いタール状のスライムのような形をしたなにかだった。
『ええ…』
そーっと触ってみる。ぷるぷるしとる。
そしてふと気付く。なんかこいつ、俺のこと見てない?
じっ…と見ていると、なんかだるまみたいな輪郭に、丸い輪郭が二つ。どうやらこれが目みたいに見えるみたいだ。
少し右にずれる。丸い二つの輪郭が俺を追う。
少し左にずれる。丸い二つの輪郭が俺を追う。
…これ、多分目だ。なんで見えてるのかは知らん。
とりあえず、こいつを連れて現場から離れることにした。絶対ここに居ても良いことないでしょ…。