異世界怪物放浪譚   作:逸般ピーポー

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黒いタール状のスライムのような何か、としか形容のしようのない何かを連れて、いくらかのベリー状の実を取って今のねぐらへ帰る。森は暗くなるのが早く、すぐに冷える。

今のねぐらの横穴だって、別に暖かくはないし、正直猪や熊の毛皮ぐらいほしい。のだが、このゴブリンの身体、弱いのだ。徒党を組まなきゃすぐにやられる程度には弱い。

筋力も低い。背も150cm程度あるかないか。夜目も利かない。動くものに対する認識は早いが、それくらい。人間の下位互換みてーなやつである。

そして森の中は敵がわんさか。この世は弱肉強食である。そして俺は弱肉。美味しくないよー、と言いたい。言っても食べられるが。

 

とりあえず、今日はこいつ、スライム(仮)と共にねぐらへ。

ついて思った。

 

こいつ、入るか?

 

ねぐらのサイズは小さい。ゴブリンの俺が一人でもちっと窮屈な程度には小さい。

ちらりと都内を見る。ぷるぷるぷよぷよした感じのゼリー状(真っ黒)。俺よりは少し視点が低い程度のサイズ感。大きめの人をダメにするソファのような感じ。

…考えても仕方ない。とりあえず俺がねぐらへ入り、残りの隙間に入るように促す。

…これ、俺がギィギィ鳴いてるだけ(ガチ)みたいに見えるんだろうなぁ…。ゴブリン語ですらないらしいし…。

でもまあ、スライム(仮)にも一応は伝わったらしく、俺にのしかかるようにズルリと入って来たかと思えば、俺を包み込むようにして全体がすっぽり横穴にイン。

俺の首から下が真っ黒いタールに包まれて、ちょっとひんやりしながらもちょっとずつ自分の体温で暖まってくるの、冬場の布団に潜り込んだ直後感あるな…。

と、そんな現実逃避をしていた。だってそうしないと、こいつが俺を捕食寸前にしか見えない絵面だし…。

快眠だった。

 

次の日。

雨上がりの快晴。つっても森の中だが。地面がところどころ湿気っているくらいなので、多分小雨だったっぽい。

とりあえず昨日取っておいた木の実をシャクシャクもぐもぐ。とりあえず、これで今日一日くらいはなんとかなる。欲を言えば、コウモリを二匹くらいは食べておきたいところ。三匹食べられればなおよし。

いつの間にか隣に出てきていたスライム(仮)をちらりと見やるが、食べ物には無反応。こいつ飲食いらんタイプか?

しかし、いつまでもスライム(仮)では不便だ。というわけでー

 

『名前をつけてやろう』

 

プルプル。頭?を横に振られた。…え?

 

『名前…』

 

プルプル。再び同じ動作。もしや。

 

『名前、付けられたくない?』

 

プルン。うなずくような仕草。ガーンだな…。俺氏、名前を付けるのを嫌がられる。

そして何故か意思の疎通が出来ているのが不思議だが、そもそもこの世界がまだよく分かってないので保留。

とりあえず、飯(コウモリ)を探しに行きつつついでに湧き水で水も飲んどこう。そう思って歩き出そうとした時、スライム(仮)がプルプルと姿を変えだした。

 

『お?』

 

なんだか愛嬌のあるような気がしないでもない、タール状のスライムのようななにかから、それは真っ黒なままプルプルとしたわずかに光沢のある状態で姿を変えー

 

『って俺かい!』

 

ゴブリンに姿を変えだした。流石にリアルゴブリンはヤダ。自分ゴブリンのくせに何言ってんだと思うかもしれないが、誰だってブサイクな自分そっくりになられるのを喜びはしないだろう。

というわけで、チェンジだチェンジ。戻りたまえ。

そう言うと、ジョジョにゴブリンからまた元のスライム状に戻った。

うーん、やはり意思の疎通は可。そしてこいつは姿形を変えられ、名前を付けられるのを嫌がる。

でも姿を変えても色が真っ黒なタール状のままだから、あんまり意味はないかも。

 

とりあえず、気を取り直して、俺は新たな道連れと共に、朝飯の確保に乗り出すのだった。

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