ぼっち・ざ・へゔぃめたる   作:怜哉

21 / 24
すみません、ライブには行けません。俺は今、地中海にいます。

 

 

 

 

 

 今日は待ちに待った《結束バンド》のライブの日!

 外は秋晴れ。日の暮れる時間は早くなったけど、この時間はまだ明るい。

 リハも終わり、ライブの時間までスタジオに入って最終調整をして、今はSTARRYに向かっている。

 

「ほらリョウ、ぼっちちゃん、急いで! わりと時間ギリギリだから!」

 

 後ろを歩く二人に声をかけ、長く伸びる影を追いかけるように早足で歩く。

 二人とも(さお)*1を背負っている分、あたしより足が遅いのは仕方がないのかもしれないけど、同じくギターを背負っている喜多ちゃんはあたしと同じ速度で歩いている。

 

 二人を急かし、足早にSTARRYに入る。

 中にはチラホラとお客さんも入っていて、こちらに気付いたファン一号さんと二号さんと軽く挨拶を交わしてから控え室に入った。

 

「間に合ったね」

 

「ちょっと余裕あった。急ぎ損」

 

「ごめんごめん。でも早めに着いて悪いことなんてないじゃん。それにあたしたちまだ駆け出しなんだし、ホントなら誰よりも早く来ておくべきなんじゃない?」

 

 お茶を飲み、わりと余裕のありそうなリョウ。

 ぼっちちゃんは息を切らしていてちょっと余裕が無さそうだ。ぼっちちゃんを見ると急がせたのは悪かった気もしてくるが、やっぱり早めに着いておくことは大事だと思う。

 出番までもうちょっと時間あるし、ちゃんと休んでね。

 

「そういえば今日って海さんも来てくださるんですよね?」

 

 ほかの出演者さんと話していた喜多ちゃんが戻ってきて、ふとそんなことを言う。

 

「うん! 昨日聞いた時は来てくれるって言ってたけど...まだいないみたいだね」

 

 STARRYに入った時に軽く見回してみたけど、海さんの姿は見当たらなかった。海さんは目立つし、見落としてるってことはないだろう。

 

「ロインしてみます!」

 

 素早い動きでスマホを取り出した喜多ちゃんが、これまた素早くフリックを打ち文章を送る。速いなぁ。

 別にロインなんかしなくてもそのうち海さんは来るとは思うけど、と思いながらスティックを握ってイメージトレーニングを始める。周りにぶつけないように、迷惑にならないようにと十分に注意し─────

 

「え!? 海さん今日来られなくなったらしいですよ!!?」

 

「え!!?!!」

 

「グェッ」

 

 スティックがすっぽ抜け、ぼっちちゃんの喉を直撃した。

 

 

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

 

 ライブも無事成功のうちに終わり、物販もこなし、お客さんが全員帰ったところで喜多ちゃんのスマホを覗き込む。

 

 

 Kai『すみません、ライブには行けません』

 Kai『俺は今、地中海にいます』

 

 

 昔どこかのCMで聞いたことがあるようなないようなフレーズだなぁ。......。え、待って? ってゆーか地中海って何!?

 

「おう、ライブお疲れさん。みんなして残って何やってんだ?」

 

 売上の計算が終わったらしいおねーちゃんが聞いてくる。

 

「いや、これ。海さんからのロインで...」

 

「関口? そーいや今日いなかったな。来るっつってたのに、どこほっつき歩いて......地中海って何だ???」

 

 おねーちゃんも首を傾げる。そりゃそうだ。

 いつの間に地中海になんか行ったんだろ...

 

「関口くん、今地中海にいるんですか?」

 

 片付けが終わったらしいPAさんも混ざってくる。ほかのスタッフさんは帰り始めてるけど、PAさんは大丈夫なのかな。

 

「昨日の深夜までは日本にいたはずなんですけどねぇ」

 

「え、PAさん昨日海さんと会ってたんですか? 深夜に?」

 

 まさか二人で密会なんてことは...

 あたしは今冷静さを────

 

「会っていたというか、ちょっとゲー......オンラインサロンの方でご一緒して〜」

 

 オンラインサロン???

 海さんがやってるのかPAさんがやってるのか...そこの違いは大きいな。

 

「ちょっと聞いてみます!」

 

 現代っ子らしい素早いフリック入力で文章を送る喜多ちゃん。本当に速いな。

 喜多ちゃんがみんなに見えるようにスマホを置いてくれたので、全員で覗き込む。他人のプライベートなロインを覗き見るのはあまり良くは無いかもしれないけど、気になるんだから仕方ない。

 メッセージ送信から十秒ほどして、海さんからの返信が返ってきた。

 

 

 喜多『地中海!!?』

 喜多『どうしてまた...』

 

 Kai『目が覚めたら地中海に浮かぶ船の上だった』

 Kai『分かんないけど、昨日PAさんとゲームしてた時に「十月の地中海って雨も少ないし気温も日本よりちょっと高めだから過ごしやすい」みたいな話を俺がしたからじゃない?』

 

 どういうこと???

 え、何? 海さん『有言実行:EX』みたいなスキルでも持ってるの? ってゆーかゲームって。オンラインサロンは?

 

「あっ せっかく濁したのに...」

 

 濁してたのか...ゲームとオンラインサロンは別物だと思うんだけど...

 一昔前はゲームとかって倦厭されてたみたいだけど、最近はそうでもないし、有名人もゲームしてるし、別に見栄とか張らなくても良いのに。

 それにしても深夜まで海さんとゲームしてるのとか、すっごい羨ましい。

 なんのゲームやってたんだろ? AP〇XとかVAL〇RANTとかかな? スプ〇トゥーンならあたしも一緒にできるんだけど。

 

 

 Kai『もうライブって終わったのかな』

 Kai『ごめんね、行くって言ってたのに行けなくて』

 

 喜多『ちょっと悲しいけど大丈夫です!』

 喜多『あれですよね? たまにやってる誘拐イベントですよね?』

 喜多『なら海さんは悪くないです!!』

 

 

 誘拐イベントって何だ?????

 

「あ え、ゆ、誘拐イベント...?」

 

「そう、誘拐イベント。海さんってたまに誘拐されるのよ。テレビ局とかアイドル事務所とか財閥とかから」

 

 たまに誘拐されるって何それ普通に事件じゃない? なんでそんな落ち着いてるの喜多ちゃん。いや海さんも。悠長にロインとかしてる場合じゃなくない?

 

「高校の時から拉致られすぎてもう慣れた、って前にSNSで言ってた」

 

「慣れるなよ」

 

 お姉ちゃんも呆れてる。そりゃそうだ。

 

「あ、なんか海さんのイソスタライブ始まりましたよ!」

 

 そう言い、喜多ちゃんがアプリを起動させてライブを流す。

 画面には真っ青な空と真っ青な海が映っていた。そっか、時差があるからあっちはまだ昼なんだ。

 海さんがいるのは...船の上? 甲板っぽい床が見える。

 

 

『よっす〜。いつもの如く拉致られた上に突然ライブすることになったんで、イソスタライブで中継しまーす』

 

 

 落ち着いてるなぁ。慣れてる。

 ってゆーかライブ? なんで? そこ船の上じゃないの?

 コメントには「またか」「まだ拉致られてるのか」「空きれー」「誘拐定期」「また海外?」「今回は誰に拉致られたの?」「海外ってことはお嬢か」「ここまで危機感のない誘拐事件もなかなかないよね」といったものが流れている。リスナーも慣れてるなぁ。

 

 と、スマホから海さんを呼ぶ声が聞こえた。

 女の人の声だな......

 

 

『あいあい、今行く。んじゃライブ始まりまーす』

 

 

 そう海さんが言い、画面が一瞬ブレたあと固定される。そこには海さんと、ほかに四人の女の人、そしてクマが映っていた。見たことがある人達だ。直接じゃないけど、海さんのYouTubeの動画なんかにたまに出てくる、Capliberteと同期の「こんにちは幸せな世界!」って謳ってるガールズバンド。

 金髪の人が笑顔がどうとか言い、演奏が始まる。

 

 飛んだり、跳ねたり、ブリッジしたり、燃えたり、踊ったり、合体したり、バク転したり、飛んだり、爆発したり、飛んだり、飛んだり、飛んだり......いや飛びすぎじゃない? 人間って飛べない生物のはずなんだけどなぁ。いや燃えもしないし合体もしないけどさ。

 

 画面の向こうに広がる、CGにしか見えない光景。だが演奏は“本物”だ。

 そして何より、皆が楽しそうにしている。

 演者だけじゃない。観客もみんな笑顔の華を咲かせ、心から楽しんでいるのが画面越しにも伝わってきた。

 

「...すごい」

 

 ぼっちちゃんが呟く。

 その感想は演奏技術にだけ向けられたものではないだろう。

 

『ライブを楽しむ』

 海さんが常に言っていること。

 ギターやベースは確かに上手いが、それでも踊ったり飛んだりその他もろもろ《暴れて》いるため、その分ミスも多い。少し耳が肥えた人だと苦い顔をしそうな場面も度々ある。それでも、画面越しでさえこちらに「楽しい」と感じさせるライブ。

 ある種完成されたライブだ。これを目指すべきかと言われれば少し違うかもしれないが、参考にすべき点は多い。

 自分達が楽しめば観客にも伝播していく。それを体現しているライブ。

 

 

 あたしたちも楽しんでライブをやっていたとは思うけど、それが観客にまで伝染させるほどであったこと言われるとまだまだという評価になる。

 技術を上げることはもちろん、もっともっと、「楽しい」を伝えられるようなライブを。皆の記憶に残る最高のライブを。

 

 

 

 ...............ところで。

 

 

「ボーカルの人、さすがに海さんと近くない!!!??!?」

 

「ですよね!? 私もそう思ってました!!」

 

 

 あ! ほら今も! ほっぺとほっぺがくっ付いたよ!? そんなのもう性的接触じゃん!!!!!!!

 

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

 俺が誘拐先の地中海から帰ってきてからというもの、とある知り合いのJKらの距離感が物理的に近い。

 

 

 

「海さーん! ギター教えてくださーい!」

 

 無垢な笑顔で息がかかるほど接近してくる喜多ちゃん。

 

 

「か、海さん! あの、宿題でここが分からないんですけど、教えてくれませんか...?」

 

 恥ずかしそうにしながらも肩と肩、時には腰や膝までくっ付くほど密着してくる伊地知ちゃん。

 

 

 

 

「絶対に何かがおかしいと思うんですよ」

 

『あははー、そうですかねー?』

 

 ヘッドフォンの向こうから、間延びした声が聞こえてくる。

 現時刻は夜の十一時。良い子は寝る時間だが、大学生な俺は自室でオンラインゲームをしていた。最近、というかここ何年か流行りのチーム戦バトルロイヤルFPSゲームだ。

 

 そしてヘッドフォンの先。通話をしながら一緒にゲームをしているのは、STARRYでスタッフとして働いているPAさんこと、音戯アルトさん。

 まぁこれもネット上でのハンドルネームで本名じゃない。一緒に働いたり飲んだりゲームしたりしてる仲だけど、未だにこの人の本名は知らないんだよな。特に支障はないから別にいいんだけどさ。

 

「日本に帰ってきてから三日、毎日ですよ? 俺、何かしたんですかね」

 

『まぁしたと言えばした、んじゃないですかぁー? あ、そっち敵行きましたよー』

 

「うす」

 

 PAさんの言う通り、敵が一人こちらに来た。

 これを確実に倒し、次に向かう。

 

『ないっすぅ〜』

 

 残る敵は少ない。

 このゲームは一試合につき制限時間が設定されており、残り時間が少なくなればなるほどフィールドが狭くなってくるという仕様だ。

 敵は少なくなったが、フィールドもずいぶん縮小した。敵との遭遇率は高い。

 緊張感はあるが、俺もこのゲームを一年程度プレイしてきた。会話に意識が向けられないほどガチガチというわけでもないし、PAさんも同様だ。

 

「で、俺何したんすかね」

 

『さぁ〜?』

 

 さぁて。

 さっきは俺が何かしたみたいなこと言ってたじゃん。

 

『でも、ご褒美なんじゃないですか〜? 現役JK相手にあーんなことされて〜』

 

「いやぁ...」

 

 ご褒美かどうかと聞かれても、別にそんなことはないと返すしかない。相手は高校生。手を出す訳にはいかないし、そもそも俺は年上が好みだ。

 

「正直、このままで良いのか、ちょっと迷ってます」

 

『というと?』

 

「音楽、バンドの先輩として色々世話を焼くのは当然ですし、それであの子たちが成長するのなら手間は惜しみませんけど、あまり過干渉になるのも良くないかなって。勘違いじゃなきゃ、俺とばっかり絡んでる気がするんですよ、《結束バンド》の子らって」

 

『はぁ〜。まぁ、そうですねぇ。あ、ないすぅー』

 

 喋りつつ敵をもう一人撃破する。

 残るは十人以下。そろそろ決着だ。

 

「この界隈、交友関係の広さは最大の武器です。俺ばっかりじゃなくて、ほかの、それこそ同年代の子たちと交流を持つべきだと思うんですよね」

 

『あの子たちも関口くんも、私からしたら同年代ですけどねぇ』

 

「まぁ年齢だけ見れば。けど高校生と大学生じゃ全くの別物ですし、何より俺らは《Capliberte》。自慢じゃないっスけど、それなりの知名度もあるし、立ってるステージが違います」

 

 自惚れるわけじゃないが、《Capliberte》と《結束バンド》で同世代というのはやはり違うだろう。そもそも事実としてバンド歴が違う。歩んできた道、経験は比べ物にならない。

 そうではなく、同じ世代、同じ経験値、同じ環境に身を置く“同期”との繋がり。切磋琢磨できる、言わば『親友』と書いて『ライバル』と読む、みたいな間柄のバンド交流が必要だ。

 

「ちょっと距離を取るべきなんスかね。あの子たちのためにも」

 

 その機会を俺が奪ってしまっているのではないか。俺とばかり話すことで周りとの交流が疎かになったり、周りから避けられたりしていないか。そんな心配があった。

 

『いやぁ、そんなことしたら逆効果だと思いますけどぉ』

 

「逆効果? ってあっちょ、ヤバっ! クッソこンの......! あー!! ...っと、すんません、やられました」

 

『大丈夫です〜』

 

 油断し、敵に倒されてしまった。

 このゲームもそこそこ上手くなってきたんだが、まだまだ上級者には届かない。PAさんなんかは最高ランクを取得しているし、今の俺は足手まといに他ならない。

 もう少し頑張って練習するか。まずは上手い人のプレイを観察だとPAさんが操作するキャラクターの動きを見ていると、ヘッドフォンから声がした。

 

『交流の大切さとかは分かりますけどぉ、今あの子たちが必要としてるのは関口くんですし。本人たちの気持ちも大切ですよ〜』

 

 言いつつ、二人をキルするPAさん。敵二人に挟まれてたのに背後からの弾を避けつつ前方を一発撃破(ヘッドショット)。振り向き一秒足らずで後方の的にもヘッドショットを決めて仕留める。

 いや神エイムすぎだろ、今のどうやったの。

 

『それにあの子たちと距離を置くってことは、STARRYにも来ないんですよね?』

 

 俺が驚いている間にまた一人倒す。

 

『それはちょっと寂しいってゆーかぁ』

 

 また一人、いや二人倒した。

 残るはPAさんともう一人。

 

『私まで関口くんと会う機会が減るのはなー、って感じですかねぇ』

 

 激戦になるのかと思いきやあっさり最後の一人を倒し、チャンピオンに輝いた。

 とてもすごいと思うし、後半の暴れっぷりは圧巻だったが、そんなことは鼻にも掛けないPAさんは『お疲れ様です〜gg〜』と相変わらず間延びしたダウナーな声で言ってくる。

 か、かっけぇ...! あまりにもカッコ良いんで後半PAさんが言ってたことはあんまり耳に入ってこなかったわ。

 

 なんだっけ? あんまりあからさまに距離を置くのもダメだよとか、当人たちの気持ちも考えてとか、そんな話だっけ。

 

「お疲れ様っした〜。そっすねぇ...まぁすぐすぐ離れなきゃとか、そんな話でもないとは思うんで、しばらくは今のままで大丈夫スかね?」

 

『大丈夫だと思いますよぉ。あ、もう一試合いっときます?』

 

「いっときます」

 

 絶対にもう一試合じゃ終わらない。三回、四回と続けるであろうことは分かっている。いつもそうだから。

 今夜は夜更かし確定だな。

 ゲームをしつつPAさんと何気ない雑談を続けて、今日も夜は()けていく。

 

 

 

 

 ✿ ❀ ✿ ❀ ✿

 

 

 

 

「あ〜、筆がノらな〜い」

 

 どれだけ見つめても白紙のまま変わってはくれない画面を見続け、溜め息混じりに独り言を呟く。

 就活で大手音楽雑誌の編集部に尽く落ち、結果行き着いた音楽ライターの仕事。楽しくないこともないんだけど...

 

「はぁ...あたし、なんの為にライターやってんだろ」

 

 いいバンドをもっと大勢の人に知ってもらいたくて始めた仕事。だが世間、社会ってものはそんなに甘くなくて、真面目に書いた記事は鳴かず飛ばず。ほかのライターが書いた過激なバンドディス記事はそこそこのアクセス数を稼ぐという、なんとも夢のない、大袈裟に言えば地獄みたいな泥沼の世界。

 

 まぁそんなことを嘆いたところで、記事を書かなければ食べていけない。食べていくためには面白くもない記事を書く。これが大人になることかと、自分の名刺に書かれた『17才』の文字を見ながら思う。

 

「うーん...ん? 高校の文化ライブで女子高生顔面ダイブ......ふーん、結構バズってるじゃん。これテキトーに取材してそれっぽいネタ記事書くか〜」

 

 ネタが決まったところでスマホが揺れた。

 友達からの連絡...はないか。あたし友達いないし。あ、泣きそう。

 だったらトゥイッターか何かの通知だろうか。最近のトゥイッター、あなたへのオススメとか言って全然興味ないトゥイートとか通知してくんのよね〜。

 

 そう思いながらスマホを見ると、予想通りSNSからの通知だった。

 が、予想外だったことも一つ。

 

「あ、Kaiのイソスタライブじゃん! こんな時間にめっずらしー。いつもはもうちょい早い夕方か、土日の真っ昼間なのに」

 

 言いつつ、手早くスマホのロックを解除してイソスタを開く。

 Kai。本名、関口海。

 今をときめく...とは言えないかもしれないが、世界でも知名度のある日本の学生バンドのギターだ。

 最近の流行りとは全くの逆を往くHR/HMバンド。たまにJ-POPになったりジャズになったりヒップホップなったり、様々なジャンルを取り扱う超実力派のバンドだ。

 様々なジャンルを取り扱うとは言っても、彼らの基盤はHR/HM。最近の若者には刺さらないし、バズりもしない。

 それでも、ここ数年で一番の群雄割拠を誇る三、四年前のガールズバンド大戦国時代において、男バンドでありながら『世代最強』の冠を手に入れ、世界に羽ばたいた“本物”たち。

 

「こういう、時代に沿わないからって埋もれてるバンドを記事にしてバズらせたいんだよね〜」

 

 ま、Capliberteは埋もれなかったけど。

 いや、もしかしたらまだ埋もれてるのかも? 日本では、バンドをやってたり音楽にちょっとでも興味があればCapliberteの名前くらい知っているが、一般向けにはまだまだ知られていないのが現実だ。

 

 界隈では有名なバンドを取材し、自分が書いた記事が元で誰もが知る有名バンドに。

 そんな妄想を繰り広げながらKaiのイソスタライブを開く。

 

 そういえば、最近Kaiがギターヒーローの動画に出てたな。コラボとか言ってよく分からないメタルを一緒に弾いてたけど、あそこ繋がりあったんだ。

 界隈でもちょっと盛り上がってた。またKaiが女に手を出したとか、ギターヒーロー逃げて超逃げてとか、そんな感じの盛り上がり方。

 

 そんなことがあったにも関わらず、画面の向こうでは凝りもせずまたガールズバンドと乳繰りあうKaiの姿が。Kai誘拐常習犯の世界に幅をきかせてるガールズバンドだ。

 今回は地中海に拉致られているらしい。相変わらずだなぁ。

 

「ここまで危機感のない誘拐事件もなかなかないよね、っと」

 

 コメントを打ち込み送信する。

 は〜、なんか疲れちゃった。ネタは見つけたし今日はもういいや。Kaiのライブ配信観ながらご飯食べて、そんでお風呂入って寝ちゃお〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ギターやベースなどのことを棹という。




次回、ぽいずん♡やみ(自称14歳) 本格参戦。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。