ルアフ・ガンエデン、霊帝さ…!   作:クロトシ

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アニキの訃報に呆然としてたら時が過ぎていた・・・
当初の予定よりゲベルディス少なめでお送りします。



第三話 そして終焉の銀河へ

ルアフが不貞寝している間にナシム・ガンエデンが敗れ、アポカリュプシスを告げる戦鐘としてクロスゲートが出現した。

今更クロスゲートが現れても好敵手たるアイドルは銀河のどこかへ旅立ったし、よしんば探し出したとして機を逸したのでもう落ちぶれてるかもしれない。

……といった風にルアフはすっかり気持ちが萎えてしまっていたのだが。

 

「ふぅん。別宇宙からムゲ・ゾルバドス帝国と機界31原種が現れ、プロトデビルンが復活し、別銀河からバッフ・クランが進出してきたか」

 

「…原種は太陽系に留まり、バッフ・クランも現れたのは少数に過ぎません。警戒すべきはムゲとプロトデビルンかと」

 

「ムゲの相手は支配下の星系軍も動かすといい。そして問題はやはりプロトデビルンだね。あれらはかの者からの使者…かつてプロトカルチャーを滅亡においやった最大の原因だ」

 

ここ数年のバルマー優勢の影響を受けてキャンベル星やボアザン星といった支配下の勢力は反逆しておらず、それでなくてもゼントラーディや宇宙怪獣と潰し合いをしていただろう正史よりはるかに戦力は充実している。

そんな現状のゼ・バルマリィ帝国の立場からしても、今回現れた勢力はどれも脅威だったりするのだが。

銀河大戦(第三次α)のインフレ怖い。

 

「虚空からの破壊神と同種の存在と…?」

 

「どうかな?クロスゲートが現れたにも関わらず奴らは動きを見せず、プロトデビルンが現れた。僕の推測通りなら……」

 

そこでルアフが言葉を止める。真面目に話を続けていたのでシヴァーは沈黙したまま待った。

 

「……今、無限力の鼓動が聞こえた。ついに血塗れの伝説巨神が目覚めたらしい」

 

「!!」

 

「シヴァー、死と新生の輪廻を断ち切る剣を導くんだ。無限力に連なる存在を…そして無限力に魅入られし者達をあまねく世界から消し去るために…」

 

「御意…」

 

(無限力はともかく、別の場所から歌が聴こえた。こいつは何だ…?熱気…バサラ…?)

 

ルアフが感じた歌声は、無限力以上に宿命めいたものを感じさせるものだった。

リン・ミンメイの時に感じなかったそれが意味することは――

 

「フ、フフフ、ウフフフ……あの時に動かなかったのは正解だったようだ。僕達に課される最後の試練は、どうやら面白いことになりそうだ」

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

それからさらにしばらく時は流れる。

シヴァー・ゴッツォの計画は概ね予定通りに進んでいた。

選ばれし剣たる地球人はバルマーの脅威をことごとく殲滅していった。

強大な勢力と強力な兵器を兼ね備える帝国監察軍をも超える、特化された超戦力――運命の戦士αナンバーズ。

シヴァーは思案する。彼らならばルアフをも倒しうるだろう。問題はその後に彼らを倒せるか、そしていかに帝国監察軍をルアフから引き離すかだ。

監察軍に近衛軍といった守りを突破した上でルアフを倒すのはいかに彼らでも不可能であり、それでなくてもルアフ打倒後の戦力として貴重な彼らを浪費するのは避けたい。

 

そう考えるシヴァーだが、実際はαナンバーズならばバルマー艦隊を片っ端から倒しつつルアフもシヴァーも倒せてしまう。

だが、ルアフとの戦闘後の彼らを自らが倒せるというのがシヴァーの計算だった。

割とそこら辺の計算がガバガバだったのがシヴァーという男である。そもそもルアフ打倒に同格の神子たるイルイの捕獲が必須だったりする辺りも含めて。

 

原種もムゲもプロトデビルンもバジュラも撃退し、原種打倒後に現れた遊星種もついでのようにαナンバーズは殲滅していった。

ちなみに一応戸籍上はシヴァーの息子であるハザルも連戦の勢いのままに彼らにさくっと倒された。出来れば温存しておきたかったのだが。

そんな破竹の勢いの彼らだが、流石に心身共に疲弊の色が見え始めた。(クスハとか中盤ずっと精神的に不安定だったし)

どうにかルアフとの決戦までは彼らの戦力を維持させなければならない。

ルアフの目を盗んでネビーイームの防衛網に穴をあける必要もある。避難用の星はいくつか準備できたが、近衛軍を使っての民衆の避難もルアフが瞑想中でない以上、どれだけ行えるか未知数だ。

いずれにせよ、全ては神子イルイ・ガンエデンの捕獲をエイスが成功するかにかかっている。

バッフ・クランと小競り合いするぐらいで割と健在な帝国監察軍の戦力を見ながらシヴァーは頭を悩ませる。

 

「悩んでるようだね、シヴァー」

 

「……っ、陛下…!?」

 

霊帝宮の外に現れるはずのないルアフの姿にシヴァーは不穏なものを感じ、死を覚悟した。

 

「いよいよ銀河の終焉が始まるようだ。巨神は相変わらずだし、ついに破壊神も現れだした」

 

なんてことのないようにルアフはそこらへんの椅子に座り、同行させていたアルマナ(αナンバーズから帰ってきたばかり)に水を注がせる。

アルマナやバランが既にバルマー星へ帰還していたのも寝耳に水だった。(αナンバーズの情報欲しさにルアフが迎えをよこしたせい)

彼らがルアフと接触したということは、すなわちシヴァーの計画が露見してしまっていることを意味する。

シヴァーは死を覚悟した。

 

「ナシムの子はガフの部屋を開かなかった。ならばゲベルの子とナシムの子で雌雄を決し、そして勝者が死と新生の輪廻を乗り越える試練を迎えることになる」

 

しかしルアフはいつものように話を進める。この偽神にとってシヴァーなどは端から眼中にないことは分かっているのだが。

 

「だからね、シヴァー・ゴッツォ。僕は今からゲベル・ガンエデンでクロスゲートを開いて地球へ向かうよ」

 

「……また、ですか」

 

数年前の未遂の前科があったので、驚きはなかった。ただ、血を吐くような声は出た。

 

「バランも同じようなことを言っていたね。力尽くでも止めるというから麻酔針で眠ってもらったよ」

 

いつの間にそんなものを用意したのかは分からないが、何故かルアフからは何十年もの間こなしてきたかのような空気が醸し出されていた。

 

「自分も地球に行ってる癖に、アルマナも反対みたいでね。ほら。こいつ、さっきから愛想ないだろ?」

 

無表情で水の入った瓶を持つアルマナは確かに不機嫌そのもので、かつてのルアフと対面するだけで怯えていた姿が懐かしかった。

 

「そんなわけで、君ともお別れになるかもしれないから顔を見に来てやったんだ」

 

傲慢そのもののルアフからデカい態度のまま戻れないかもしれないという意の言葉が出たことに内心驚いた。彼らが己をも倒しうる脅威であるとルアフも分かっていたのだ。

 

「それで話をしておこうと思ってね。……実はね、シヴァー。僕は2万歳じゃないんだ。年齢でいうと5百歳ぐらいの何十代目の霊帝なんだ」

 

「「!?!?」」

 

『ZEST SEVEN』が持ち曲なシヴァーにセブン最終回チックな告白をするのは、何気に結構な嫌がらせだ。

 

「地球の神子…イルイを見れば分かるだろう?いくら神子だって、万年は生きられないよ」

 

あいつは2代目らしいから数千年は生きてるかもしれないけどね、と付け加える。

 

「けど大丈夫さ。初代の神子はいなくても、初代であり現役のアウグストスたるゲベルは健在だ。彼が次代を用意してくれるはずだし、いざとなれば本人に霊帝をさせればいい」

 

「な、なん…だと…!?」

 

前半の話はとうに知っていたことだが、後半は完全に初耳でシヴァーは頭がおかしくなりそうだった。

神を自称する偽神の打倒を目指していたが、話を聞けば真の神は健在で霊帝もそういうシステムの一種に過ぎなかったということだ。

そもそもゲベルという人造神は完全な人格を持ち、こちらが操れるような代物ではないということなのか?

己が倒すべきは創世神ズフィルードそのものだったのか?

取り戻さんとしたゼ・バルマリィ帝国は始まりから歪んでいたのか?

 

「ゲベル・ガンエデンで地球へ行くけど中身のアウグストスはバルマー星の地下で留守番させるよ。ガンエデンシステムのリンクがあれば問題なく力を発揮できるはずだ。…まあ、気がかりな点も無くはないけど」

 

ゲベルが無限力の代わりに得たまつろわぬ神としての力は強大だが、どうもルアフの歌と相性が良くないっぽかった。

ちなみにゲベルに見捨てられる可能性をルアフはまったく考えていなかった。

 

「ま、僕の歌があればゲベル・ガンエデンなどという不確かな力に頼る必要はないのだけれどね」

 

正史と真逆の発言にアルマナはなんて罰当たりな…って顔をした。

もう勝手に行って負けてくれていいなとシヴァーは思った。

おそらくここにきて未だ止めないという事は創世神ズフィルードはルアフを見限ったのだ。

至極、妥当である。

 

「これで僕の話は終わりだ。ゲベルは僕より偏屈だからね、気をつけておくことだ。癇癪で消し飛ばされるなんてことも十分にあり得る」

 

シヴァーもアルマナも、何故かエツィーラが消し飛ばされる姿を幻視した。

 

「さあ、久しぶりのステージだ。待っているんだね、ナシムの子、ゲベルの子、その他の子、アカシックレコード……僕のファン達よ」

 

ルアフが飛翔し、全身を輝かせてゲベル・ガンエデンと一体化する。

そしてクロスゲートが出現し、まるで光輪のようにガンエデンの頭上へと導かれる。

 

「聴かせてやるよ――神子(マシアフ)律動(リズム)を…」

 

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