天才少女とお節介な運命竜   作:コンペ

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天才少女のプロローグ

 突然だが宣言しましょう。私――フローラ・ジークアルトは天才です。

 

 七歳で星付き(アデプト)と呼ばれる高位魔術師が手に付けるような本を開き、その内容を完全に理解した時に私はそれに気が付きました。もちろん知識として分からない言い回しや単語は存在しましたが、少なからず理解したことが私が天才である事の証明になりうるでしょう。

 

 そんな私は今年でもう十六。国立魔術学院に入学し、早一年。そこに通う一生徒の私ですが、勿論そんな天才の私は同年代から崇められ、教師からは畏怖の念を抱かれ──てなどいませんでした。

 

 ……私の運命を歪めた元凶は──七歳の時に私の中で目覚めました。それはある意味私にとって幸運であり、そしてとてつもない災厄だったのです。

 

 全てはそう。私の中にいる、とある一体のクソ竜が関係していいます。

 

 

(……なんだと?妾を『クソ竜』だと?訂正しろフローラ。妾は確かにお前を認めはしたが、そんな口を聞くことを許した覚えはないぞ?)

 

(そうですかそうですか。なら私にまっとうに力を振るう事を許してくれたらいいですよ?)

 

(それは出来んかもしれんな)

 

(……このクソ竜)

 

 布団の中で私は怒りに、もぞもぞと体を捩らせます。

心の内で交わされる一つの会話。そのお相手が、かつて我がご先祖、ギルドリア・ジークアルトが最後に倒し、そして『呪われた』竜。

 

 運命竜(ウルボロフ)

 

 その竜が私の中から話しかけてきたのは、丁度私が例の本を読み終えた時。頭の中から、自分の意思ではない声が聞こえたのです。

 どこか幼げで、力強く 、儚く、威厳に満ちた――そんなちぐはぐな声でした。

 

 

『ほう、童子にしてはなかなか聡明ではないか?』

 

「?!……え……誰、ですか……?」

 

 

 これが彼女と私の初めての会話。それから様々な事がありました。幾度も死線をくぐりましたし、友人も出来ました。知らない世界を見て、憧れて――一度ですがこの身分を捨てて旅をしようと決意した事もありました。

 

 が、それは割愛。

 

 やがて私を『主』として認めてくれたディアは、一つの宣言をします。曰く――『何があろうとお主に平穏を与える』だそうで。

 

 私が目立たない様に。私が面倒事に巻き込まれない様にと、完全なる善意(最近では怪しい)で私の行動を制限するとんでもない竜。

 

それが、それこそが運命竜ディスアトリ。世界の運命をねじ曲げ、弄び、いつしかジークアルトに滅ぼされた竜。

 

 ただ一つ言いたいのは、その『平穏』が私にディアに無理矢理行わされている事柄の結果のものであること。確かに異様な力は混乱と破局をもたらすものでしょう。だがどうせ私の力なのです。どう使おうと自由でしょうと、未だに私は声を高々にして言っています。

 

 ……手を抜くのがどれだけ屈辱なのか、分かって頂きたいのですがとは、常日頃の私の弁です。

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