天才少女とお節介な運命竜   作:コンペ

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なんか間違えて1つ先のを投稿してました! 見た人は忘れて下さい!


天才少女は友達が出来ない

「──次の講義までに軽くこのページまでを読み込んでおくこと。では解散」

 

その言葉を合図に一斉に生徒達が立ち上がり次に受ける授業の予定を確認し始めています。そして私は一人、トントンと机を使い書類をまとめていると、突然影がかかりました。

 

「フローラ」

 

「……どうしたんですか、アドバンテさん?」

 

その声はアドバンテさんの物でした。学年一、二を争う秀才(本来なら私が一)に声をかけられた私は、教科書を鞄へ片しながら顔を向けます。

どうやら多少周りの目を引いているようですがそれもそうでしょう。学年一の秀才がわざわざ平凡(だと思われている)私に話しかけているのですから。

 

(相変わらずとち狂った敵愾心よの)

 

(そんなの知らないですがと言うか全てディアちゃんが悪いです)

 

ため息をつく竜の姿を幻視していると、一拍おいてアドバンテさんは口を開きました。そこから響くのは鈴の音よりか細い声で──そして私をかなり苛つかせる類いのものでした。

 

 

「あの……真面目にやって。……やってないから才能あるのに貴女は伸びない……うん、それだけ」

 

 

ピキッと、私の中で何かが破裂しそうになりました。

 

(──は? 殺していいですかディアちゃん?)

 

(いやダメじゃが)

 

(いえ、聞きました?今アドバンテが私に、「真面目にやれ」と言ったのを。さすがに許容範囲越えてます今すぐ殺します少なくとも社会的に抹殺してやります)

 

(お主は『落ちこぼれ』なせいで本家への影響力をまったくもっておらんだろ……)

 

ディアちゃんの小言を聞き流しながらとんでもない質問をしたアドバンテへ笑顔で返答します。勿論アウトな答えが来たら抹殺する所存です。

 

「あはは……なんでそんな事いうんですか? 私真面目にやってますし、全力です」

 

「それは……違う」

 

少し憂うような表情。透いた赤い髪に、青い瞳はそのおどおどとした動作を一際常識から逸脱させるモノへと変貌していました。長く垂らされた髪は目元付近まで伸び、夜中なら悲鳴をあげること間違いなしでしょう。

そんな彼女の瞳を注意深く観察していた私は、アドバンテさんの言いたいことを理解しました。端的に言うとビビっと来たのです。

 

ふむ。つまり──私にはアドバンテさんが恐れる程の才能があると言いたいのでしょう。

 

(……なるほど?)

 

(……フローラ、ここで暴動を起こす気ならば妾は契約によりお前を)

 

(──違います。つまり、アドバンテさんはこういいたいのです。私には、アドバンテさんが太刀打ちできない程の才能があると!

いやー、さすが秀才ですね!私の(強制的に)秘められし力を見抜くとは!)

 

(あながち間違っとらんのがお主の手の出しづらいところよの……そしてそこで奴を『天才』と言わんのもまたお前らしい……)

 

ディアちゃんの言葉を無視し、ニコニコと善意百の笑顔でアドバンテを見直します。うん、私の実力を見抜くとは見所がありますね!

 

「よし、アドバンテさん!」

 

「え……な、なに?」

 

そして私は、半ば隠れたその瞳をしっかりと見つめ、言い放ちます。

 

「折角ですし、お友達になりましょう!こう見えても私、それなりにいろいろな物へ造詣があるんです、多少お役にたてる事はあると思います!」

 

「え……と……」

 

一歩後ろへ下がったアドバンテさんですが気にしません。すでに次の講義の為にと移動し、周りに人はいないので印象を気にする事もないでしょう。

 

「いえいえ、遠慮することはありません。私もしっかりと私の実力を──」

 

そこから一歩詰めより更に言葉を次ごうとします。しかしその続きは私の頭のなかで反響するだけに終わりました。

おどおどとしていたアドバンテさんが、突然大声で言い放ったのです。

 

「その……私は、一人でいたいから──ごめんなさい!」

 

まさに脱兎のごとく。そんな言い草が似合う程の速度でアドバンテさんは講義室から逃げ出します。

横長の机の隙間を駆け抜け、講壇のある下へとかけ降りるとそのまま開け放たれた扉から廊下へ出ました。

パタパタと駆ける音が聞こえて来る最中、私は呆然とディアちゃんに尋ねます。

 

(あの……私、何か間違えました?)

 

一途の望みをかけてディアちゃんに問いかけます。私、いつから友達ってどうやって作るのか忘れたんでしょうか?直すところがあれば直して、次こそお友達になりたいです。

 

(ふむ……妾にとって、人間のねじ曲がった心理は推測すら難しいが、かつての経験から強いて言うなら──全てじゃ)

 

なるほどですなるほどです──とどこか達観した感想を抱いていると、時間を告げるチャイムが鳴り響きました。

 

そこでやっと私は、既に講義に遅刻していることに気がつき絶望に襲われるのでした。

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