虹色の少女たち   作:桜井ナナヲ

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好きだと気づいてしまった。
叶わないって分かってしまった。
それでも。わたしは。


拝啓 届かないあなたへ (あゆかす)

私は失恋した。

いや、失恋とするには時期尚早というものかもしれない。だって告白すらしていないのだから。

 

歩夢先輩への気持ち、いや、恋心が芽生えたのはいつだったのか分からない。初めて会った時から… いわゆる一目惚れだったのかもしれないし、一緒に活動をし始めてからだったのかもしれない。気づけば、私の心は歩夢先輩でいっぱいだった。

 

「似合ってるよ、かすみちゃん!」

 

褒めてくれた。

 

「大丈夫?かすみちゃん、元気出して?」

 

心配してくれた。

 

「一緒に行こっ!かすみちゃん!」

 

私に手を差し伸べてくれた。

 

「えへへ、ありがとう、かすみちゃん」

 

私に笑いかけてくれた。

 

歩夢先輩と話す度に。歩夢先輩に触れる度に。歩夢先輩が微笑むたびに。私の中に先輩が溢れていく。溢れて溢れていっぱいになっていく。

 

そんな気持ちを抱えて過ごし始めてからどれくらいか経った頃、私は気づいてしまった。侑先輩と楽しそうに話す歩夢先輩に。私には見せない、侑先輩だけに見せる表情で話す貴女を。

 

本当は気づきたくなかった。いや、気づいていた。それでも気づいていないと自分に言い聞かせて、気づかない振りをして。

 

ねえ先輩。その笑顔をわたしだけに見せてください。侑先輩にじゃなくて。わたしに。

 

好きだよ、って言ってくださいよ。恥ずかしがらずにわたしも言いますから。なんて、考えてみたり。

 

あぁ、本当わたし、バカみたいじゃん。

 

そんな事を思っても、歩夢先輩への思いは簡単には消えない。消えてたまるか。消してたまるか。

 

涙が込み上げてくる。

 

歩夢先輩。わたし、諦めますから。

 

侑先輩が好きな事も分かってますから。

 

だから、せめて。

 

あなたを好きだっていう気持ちだけは。

 

この胸に抱いたままでいさせてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

夢を、見た。

 

歩夢先輩がいて。侑先輩がいて。そして、わたしがいる。

 

楽しそうに2人で笑いあっている。

 

もう分かってる。叶わない恋なんだって。

 

わたしなんかには烏滸がましいくらいの思いだって。

 

それでもいいじゃん。夢なんだから。

 

悔しくって、拳を握りしめる。痛みは、無い。

 

歯を食いしばる。やはり痛みは無い。

 

どうして?

 

夢の中でくらい夢を見させてよ。なんて。

 

正確な距離なんて分からない。でも、きっと、手を伸ばせば届く距離に先輩たちがいる。

 

本当は今すぐ2人の間に割って入りたい。

 

『な~にイチャついてるんですかぁ!』

 

なんておどけてみせたりしたい。

 

でも無理だよ。

 

だって。夢の中でさえ、その特別な笑顔はわたしには向かないから。

 

「歩夢先輩、大好きですよ」

 

呟いた言葉は、夢か、現実か。




ハーメルンが1000文字以上投稿という事を忘れていました。
横線以降はハーメルンだけの文字数傘増しです。蛇足だったらごめんなさい。
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