ふと、立ち止まる。
あなたがいなくなってから一ヶ月が経った。
親友だった私は、あなたがいなくて塞ぎ込んでしまった。
あなたの背中にぴったりとくっついていた私をいつも引っ張っていってくれた優しいあなた。
私がメソメソしてたら勇気づけて、笑顔にしてくれたあなた。
(あぁ、だめだなぁ)
思い浮かんでくるのはあなたの顔と、あなたとの思い出ばかり。
その度に、私はまた下を向いてしまう。
(こんなとき、あなたなら ─────)
またあなたの事を考えてしまう。
ひゅう。
冷たい風が頬を撫でる。
『こっちだよ、おいで?』
顔を上げる。
目の前には、両の手を差し伸べて私に笑いかけるあなた。
ボロボロと涙が頬を流れる感覚がする。
そうだ、こんな時はいつもあなたが手を引っ張っていってくれていたんだっけ。
あぁ、ようやく前に進める決心がついたよ。
涙でべちゃべちゃに汚れた顔を拭い、私は言う。
「うん、行こっか」
あなたの手を取り、歩みを進める。
「やっぱり、あなたがいないとダメみたい」
まるで鳥になって空を飛んでるみたいな感覚。
強い衝撃とともに、私の意識は深い闇へと落ちていった。
▽
気がつくとそこは見慣れない場所だった。
周りを見渡せば真っ白な世界が広がっているだけ。
なんだか雲の上にいるような気分になる。
「歩夢」
聞き覚えのある声がした。
ずっと聞きたくて、ずっと待ち焦がれていた声音が耳に通る。
「侑ちゃん!」
私は彼女の元へ駆け寄る。
彼女は少し照れ臭そうに笑うと、優しく抱きしめてくれる。
温かくて柔らかい彼女の身体に包まれると、安心感と共に幸福感が胸を満たしていく。
「ごめんね」
耳元であなたが言う。
表情は見えないため、分からない。
「ううん、いいの。こうしてまた会えたんだもん…」
私はあなたを強く抱きしめる。それこそミシミシという音がなりそうな程に。
「もう絶対に離れないでね…?」
「…うん」
「本当に?約束だからね?」
「…うん、約束する」
「指切りげんまんもしてくれるよね?」
「…それは恥ずかしいかなって」
「もう…そこは良いよって言ってよぉ…」
「えへへ、冗談だよ」
ちょっと強引かな?なんて思ったけれど、散々私は待たされたんだから…と自分に言い聞かせる。
ここには私たちを隔てるものは無い、正真正銘2人だけの世界。
「ほら、指だして?」
『ゆーびきりげーんまーん』
邪魔をするものは存在しない。
『うそついたらはりせんぼんのーます!』
永遠に続く、私たちだけの楽園。
『ゆーびきった!!!』
いつまでも一緒にいようね、侑ちゃん。
読まなくてもいい後書き
最近精神的にくる出来事が多すぎてこういうネタしか思い浮かびませんでした。
お気に触ったら申し訳ありません。
現在私が投稿しているもう1つの作品の方は、なんとなく気が向いた時に投稿します。
読了感謝