猪のハイネセン日記   作:カーネルさん

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後編

 

◯月×日 同盟最高評議会を傍聴。

 

最高評議会の閣僚達もビッテンフェルトの存在に慣れてきて、彼が傍聴していても緊張することはなくなってきていた。相変わらず課題は山積だが、レベロの政権運営は楽になってきていた。地球教の摘発で野党勢力と政府に批判的なメディアの声は弱まり、また彼がビッテンフェルト高等弁務官と良好な関係を構築しているという事実はレベロに帝国の後ろ盾という見えない権力(パワー)を与えていた。

 

最高評議会の議題が話し合われる前に、ビッテンフェルトはオーディンからの連絡事項を通達した。

 

「トリューニヒト前議長だが、卿らからの情報提供に基づき収監されたそうだ」

「まあ当然でしょうな」

 

閣僚達は無感動にそれを受け入れた。敗戦後に政権を放り出して帝国に逃亡した前議長に対する好意などほとんど残ってはいなかったし、わずかな残余分も先日地球教徒と共に灰になっている。レベロがご連絡いただきありがとうございますとだけ述べて、その話はそれで終わった。

 

その日の評議会では議題のひとつとしてバーラトの和約の履行状況が話し合われた。その中で、国防委員長が同盟軍の戦艦・宇宙母艦廃棄計画の遅れについて報告した。

 

「なにぶん復員計画に人手を取られているのと、やはりここでも予算不足で…」

「国防委員長、第五条の履行は帝国にとって強い関心事のひとつと申し上げておこう」

「わ、わかっております、高等弁務官!」

 

ビッテンフェルトは一言釘を刺しておいて、閣議の後にレベロ議長と密談した。

 

「それで、高等弁務官閣下」

「つまり、そういうことだな議長」

 

レベロとビッテンフェルトはニヤリと笑い合った。高等弁務官府に戻った後、ビッテンフェルトはFTL通信でガンダルヴァ基地に連絡した。

 

「シュタインメッツ提督、手が空いている工兵隊はいないか?」

 

---

 

「同盟軍の艦艇廃棄作業に、我が軍の工兵隊を使いたいだと?」

 

シュタインメッツからの報告を受けたロイエンタールは驚いた。

 

「はい、ビッテンフェルト提督によりますと、同盟政府はバーラトの和約に定めた艦艇の廃棄作業に充てる人員が不足し、計画策定の目処が付かないとのこと。艦艇の廃棄はわが帝国にとって最重要項目であり、今年のうちに廃棄作業を完了させたく、ガンダルヴァ基地の建設要員を借りうけたいとのことであります。これを材料に安全保障税を含む同盟政府予算の早期成立を働きかける、と」

「ふうむ」

 

理屈は通っている。確かにガンダルヴァ基地建設の安全のためにも同盟軍の大型艦廃棄は早いに越したことはない。

 

「だが、こちらの基地建設に与える影響はどうか」

「それについては5%程度の影響が予想されますが、予備のリソースで挽回できる範囲内です。小官としては受けてよいかと。それに」

 

その程度ならばよし、ビッテンフェルトに貸しを作ってやるかと考えていたロイエンタールだったが、続くシュタインメッツの話に呆れた。

 

黒色槍騎兵が同盟領各地の航路哨戒を始めて以来、輸送艦隊の事故率は下がり、現地で調達している物資の価格が落ち着きを見せてきたこともあって予算執行率と工事進捗率は改善しつつあった。ビッテンフェルトの要望に対応しても、この調子なら最終的には当初予算と日程内に収まるかもしれないという。

 

「なんだ、それでは俺たちがビッテンフェルトに助けられているようなものではないか。ますます断れんな」

 

ロイエンタールは笑った。同盟とこの俺に貸しを作るとは、猪め、やるではないか。

 

***

 

二週間後、ガンダルヴァ基地建設から一時転用された帝国軍工兵部隊がレサヴィク星系で1820隻の旧同盟軍戦艦、宇宙母艦の廃棄作業を実行した。

 

「武装を破壊して、船体は再利用するのではないのですか?」

 

同盟軍から派遣されたマスカーニ少将は、帝国軍工兵隊の指揮官に聞いた。

 

「その必要はありません。星系内の第六惑星に投棄して終わりです」

「なんだそれ!!」

 

帝国軍工兵隊は黒色槍騎兵の護衛のもと、手際よく廃棄艦艇を無人艦モードにして航路をセットすると、六番目の軌道を回る巨大ガス惑星へ落着する進路に発進させた。1820隻は一隻残らず巨大ガス惑星の大気圏に突入し、その圧力で粉々に破壊された。

 

「宇宙の果てまでイッて」

「マスカーニ少将、何かおっしゃいましたかな?」

「問題ない、全て予定(シナリオ)通りだ」

 

これを皮切りに帝国軍工兵隊が作業を委託された旧同盟軍戦艦・宇宙母艦の廃棄作業は順調に進み、一ヶ月ほどで完了した。

 

なお作業中に近傍宙域に接近してきた不審な船舶があったが、帝国軍の誰何を無視して逃亡を図ったため、撃沈された。

 

***

 

◯月×日 ビュコック退役元帥を訪問。

 

ビッテンフェルトがハイネセンポリス郊外の元宇宙艦隊司令長官宅のドアを叩くと、妻だという老婦人が応対に出てきた。夫は朝から近くの川に釣りに出掛けて戻ってきていないという。申し訳なさそうに謝って中で待ってもらうよう申し出たビュコック夫人に丁重に断りを言い、ビッテンフェルトはビュコックを探しに行くことにした。

 

「ビュコック元帥閣下とお見受けします」

「おや、こんなところまで来たのかね、ビッテンフェルト提督」

 

渓流に釣り糸を垂らしていた老人が振り返り、肩をすくめた。

 

シトレに対した時と同じようにビシーっと敬礼をするビッテンフェルト。この老人とビッテンフェルトはランテマリオ星域で相対した。双頭の蛇陣形を取った数倍の帝国軍の猛攻撃を受け止め、耐え、ラインハルト以下帝国軍の将帥達を感嘆させた用兵家がこの老人である。ビッテンフェルトは最後に勝利を決定づける一撃を老人に食らわせたが、その老獪な反撃で黒色槍騎兵も少なからぬ損害を被っていた。紛れもなく尊敬すべき偉大な敵手である。

 

「今朝から調子がよくて引き際を掴めんでなあ。約束の時間を忘れてしまっておったわい。すまんな」

 

貴官が諦めて帰ってくれんかなと少し思いもしたがな、と悪戯っぽくウィンクして笑う老人を、ビッテンフェルトは不思議と憎めなかった。

 

ビッテンフェルトはビュコックの側に座り、持参したウィスキーを差し出した。この老人が酒好きであると聞いていたのだ。ビュコックは喜び、熱いコーヒーに垂らしてビッテンフェルトにも勧めた。寒い季節の釣りのお供にはちょうどいい。

 

ビッテンフェルトはやがて同盟で数年前に発生した軍事クーデター、救国軍事会議の反乱について尋ねた。当時帝国ではラインハルト陣営と貴族連合軍の内戦が起こっており、帝国側ではほとんど情報を得ていなかった。

 

「あれはひどい、悲惨な出来事じゃった。儂は宇宙艦隊司令長官の席にあり、イゼルローン要塞を守るヤン提督から本国の安全を守ってくれるよう依頼されておったのに、果たせんかった。実際、ヤンはローエングラム侯が捕虜交換を利用して同盟に工作員を送り込み、クーデターを起こさせる可能性を儂に警告してくれていたのじゃよ」

 

ビッテンフェルトは驚いた。それはラインハルトと当時総参謀長だったオーベルシュタインが立てた謀略で、秘中の秘だったはず。ビッテンフェルトとていまだに詳細は知らない。

 

「ヘル・ヤンは皇帝(カイザー)の策を見抜いていたのか!?」

「ヤンは論理的思考でその可能性を導きだした。頭のいい若者じゃよ。だが誰が工作員なのかまでは、さすがに掴めていなかったのじゃ」

 

ビュコックは首を振った。

 

「実際のところな、ローエングラム侯の策だけでクーデターが起こったわけではないのじゃ。同盟軍の中にクーデターを画策していたグループがすでにおり、工作員はそいつらの背中を押したというのが正しい」

 

工作員は儂も知る男じゃった、とビュコックは付け加えた。

 

「救国軍事会議のリーダーが儂の前に現れた時、儂はひっくり返るほど驚いた。それは儂が最も信頼する同僚のひとり、グリーンヒル大将じゃった」

 

グリーンヒル大将と言えば同盟軍の知将、長く宇宙艦隊参謀長を勤めていた人物で、ビッテンフェルトもその名を知っている。救国軍事会議は綱紀粛正と帝国との戦争完徹を唱えていたとわかっている。彼は主戦派だったのか?

 

「全くの逆じゃ…彼は良識派と言われておった」  

「それでは彼はなぜ、クーデターを起こしたのです?」

「きっかけは、アムリッツァの敗戦じゃ。貴官も知っての通り、あれは支持率が低下していた当時の同盟政府が状況打開のため起こした侵攻作戦じゃった。選挙に勝つために政治家が無用の(いくさ)を起こし、二千万の兵が死んだ」

 

ビュコックは痛みを堪えるような表情で語った。

 

「グリーンヒル大将は絶望したのじゃ。市民のためにではなく自分たちのために権力を使う同盟政府に。それを許す同盟市民に。文民統制の原則のためにそれを抑制することもできぬ軍に。彼は同盟に、いや民主共和政そのものに絶望したのじゃ」

 

ビッテンフェルトはじっと老人の話を聞いていた。選挙のために出兵する。その何気ない一言の裏で、多くの人間が死に、軍人が祖国に絶望していたのか。

 

「グリーンヒル大将は儂に聞いた。同盟の政治は腐敗し、社会が行き詰まり、民主主義の美名のもとに衆愚政治が横行し、自浄能力はかけらも見いだせない。ほかにどのような方法で粛正し改革することができるのか、と。儂には、グリーンヒル大将が泣いているように見えた…」

「ビュコック元帥、卿はどうお考えなのですか。民主共和政という制度は、間違っているとお思いですか」

 

それはかつて十六歳の少年がビュコックに尋ねたのと同じ問いだった。ビュコックの答えもまた、同じだった。

 

「ビッテンフェルト提督、儂は民主共和政の制度が間違っているとは今でも思っておらん。民主制共和国が、軍人の権限を制限するのは正しい、と、儂は思う。軍人は戦場以外で権力や権限をふるうべきではない。問題は、制度と、それをささえる精神が乖離していたことだ」

 

ビュコックは十五の歳から同盟軍人として戦ってきた。同盟憲章に忠誠を誓い、民主主義を守ると宣言した。グリーンヒル大将の絶望がいかに深くとも、それに賛同はできなかった。

 

「それで、儂は言ったのだ。武力を持った貴官らが腐敗したとき、誰がどうやってそれを正すのだ、と」

 

---

 

「陛下、小官はこれまで民主共和政という政体の利点がいまひとつ理解できませんでした。それは、小官が帝国という君主制国家に生まれ育った故ではありますが」

 

ミッターマイヤーが日記を読みながら独り言のように話し始めた。

 

「ですが、民主共和政のひとつの柱といえる文民統制とは、これのためかと理解できた気がします。帝国では権力闘争には必ず武力闘争と流血が伴いました。政治権力と武力が不可分に一体であるからです。民主共和政ではそうではありません。選挙という無血の競争で為政者が変更されます。それを担保するために政権の担当者と軍の指揮官を分離して、制度的に政治闘争と武力闘争を切り離そうとしています。なるほど民主共和政とは武力闘争の連鎖を防ぐために人類が編み出したひとつの知恵なのだとわかった気がします。たとえ、時に精神と制度が乖離することがあるとしても」

 

ミッターマイヤーはちらりと隣りに座る盟友を見た。統帥本部総長ロイエンタール元帥、心のうちに叛逆の黒い炎を秘める彼は、何も言わず、日記を眺めていた。

 

***

 

◯月×日 レベロ最高評議会議長と会談。同盟政府次年度予算案の最終確認。

 

「ようやくここまで来たな、レベロ議長」

「高等弁務官閣下のおかげを持ちまして…」

 

レベロはやつれてはいたが、表情には安堵と笑みがあった。どうやら予算案は年内に成立の目処がついた。なんといっても予算案の年度内可決は政権にとっての最重要事項、今年は敗戦とバーラトの和約による安全保障税という新たな負担もあり野党との調整には困難が予想されたが、時々議会の傍聴席に座る帝国高等弁務官という無言の圧力、経済の好転と地球教徒摘発により野党が弱体化したため、当初の想定よりはまだ楽に予算成立の道筋がついたことは確かであり、ビッテンフェルトには大いに助けられたという思いがある。いろいろあったが、様々な難題を解決し乗り越えてきたことで、レベロは議長として自信を持ちつつあった。

 

「議長、お互いよい年を迎えられそうだな。今日は飲もうではないか」

「いいですな!」

 

そうして始まった酒席で、レベロはいささか酒を過ごしすぎ、いつになく饒舌だった。

 

「…数年前、私は同盟の存続に不安を持っていたのですよ。現役の統合作戦本部長の暗殺未遂があり、直後に軍によるクーデターがあった。同盟軍同士が相撃つという悲劇の後に鎮圧されたものの、今度は帝国が移動要塞をイゼルローン回廊に持ってきて攻めてきた。まさに亡国の危機でした。そんな状況で私は疑心暗鬼になり、事態打開の救世主を求める国民の声望を集めたヤン提督が第二のルドルフのような存在になる危険があるとすら、私は考えていたのです」

 

ビッテンフェルトは内心驚いた。ヤンが政府閣僚からそこまで危険視されていたことにである。

 

「議長は今でもヘル・ヤンに疑いをお持ちかな?」

「それがですな、高等弁務官がハイネセンに来られてしばらくしたら、今思い出すまで忘れてしまっていたんですよ」

「ほう?」

 

レベロはビッテンフェルトに、救国軍事会議のクーデター時のことを語った。ビッテンフェルトはビュコックから既にあらましは聞いている。

 

「救国軍事会議のクーデターを鎮圧したヤン提督は、やろうと思えばそのまま権力を掌握することができました。しかし彼はそうしなかった。最も権力に近づいた時でもヤン提督は手を伸ばそうとはしなかった。その後も彼はただひたすらに前線の一司令官として国の防衛に務めた。つまりはそういうことなのだと、今の私にはわかっています」

 

「当時の私は救国軍事会議のクーデターにショックを受け、悪い方に悪い方に考えすぎていた。ただそれだけだったのです。実はその当時も同僚に笑い飛ばされたのですよ。ヤン提督には独裁者になる成分に欠けている、そもそも権力への恋愛感情がない、とね」

 

レベロはその時の自分がいかに猜疑心の塊のようだったかを思い出して苦笑した。

 

「今となっては馬鹿なことを考えていたと思いますよ。高等弁務官からも伺っていますが、いやここだけの話私も密かに監視を付けていますが、ヤン提督は実に平穏に暮らしている。新妻と年金生活を楽しんでいるようだ」

 

「人は言動よりその行動をもって判断すべきと言います。ヤン提督は言動も行動も一致している。疑うべき何ものもないでしょう」

 

ビッテンフェルトは頷いた。

 

「確かにそうだな」

「あなたもですよ、高等弁務官閣下」

「うん?」

 

レベロはビッテンフェルトを穏やかな眼差しで見つめていた。

 

「初めてあなたとお会いしたとき、あなたはおっしゃった。同盟のことをよく知り、何ができるか考えたいと。あなたはそれを実行してくださった。あなたのお陰で我が国がどれだけ助けられたことか」

 

「私個人としても、あなたには本当に感謝しています。あなたと一緒に仕事をしたこの何ヶ月かは無我夢中でしたが、実に充実していた。命懸けで国のために戦ってくれた功労者に対するくだらない疑念なんて忘れるぐらいね。高等弁務官閣下、ありがとうございます」

 

レベロは笑った。さっぱりとした笑顔だった。ビッテンフェルトも笑って、レベロにお代わりを注いだ。帝国の高等弁務官と同盟の最高評議会議長は、戦友になった。次の日、二人は揃って二日酔いになった。

 

---

 

「…陛下、陛下はヤン元帥を帝国に招きたいと、まだお考えですか」

「…考えてはいる」

 

それは帝国軍最高幹部達には知られた話だった。かつて皇帝(カイザー)ラインハルトはヤンを帝国に招聘したいと発言し、それに対しオーベルシュタインは何の職を持って迎えるかと尋ね、ラインハルトは答えることができなかった。それで話はうやむやになっている。

 

「陛下、ヤン元帥を歴史学研究者として、そう…たとえば学芸省の勅選研究員といった待遇でお迎えになるとよろしいかと、小官は進言いたします」

「オーベルシュタイン!?」

 

軍務尚書の意外な発言に、ロイエンタールが思わず叫んだ。

 

「小官が以前陛下のお考えに反対した所以は、彼を迎えるに相応しい地位職責がないこと、また彼に旧同盟領総督などの高位を与えるとするなら卿らとの間に無用の緊張と混乱をもたらすと考えたためだ」

 

オーベルシュタインはロイエンタールに淡々と説明した。つまり大元の理由はナンバー2不要論である。

 

「しかし歴史学の研究者として遇するならば、毒にも薬にもならぬ。卿らとの間に何の軋轢も起きぬ。さらに大きな利点は、彼を担いで騒乱を起こす潜在的な危険性のある周囲の不平分子と切り離せることだ」

 

オーベルシュタインはビッテンフェルトの日記を開き、指を走らせた。

 

「シェーンコップ退役中将、アッテンボロー退役中将、このあたりが癌だ。ヤン元帥をオーディンに招いて図書館に押し込めば、ハイネセンにいる彼らがヤン元帥を旗頭に担ごうとしても不可能になろう」

「だがオーベルシュタイン、それではヤンの矜持を傷つけることになるだろう。研究員など、とても承服するとは思えぬ」

 

納得いかないラインハルトが反論したが、オーベルシュタインは日記に目を落とした。

 

「陛下、ビッテンフェルト高等弁務官の日記を読んで小官は理解しました。ヤン元帥の本質はささやかな家庭人としての幸せを最も追及する小市民的な人物であり、権力を欲してはおりません。彼に旧同盟領総督の地位を提示しようなどと考えた小官が誤っておりました。ヤン元帥は陛下にも匹敵する戦略家であり、戦場においては魔術師と呼ぶに足る戦術家ではありますが、それは母国の危機においてやむにやまれぬ状況で発揮せざるをえなかった能力であり、彼が望んでその立場にいようと欲したわけではなかったと、小官は考えます。」

 

ラインハルトは信じられぬものを見るような目でオーベルシュタインを見た。

 

「それでは、()()は嫌々俺と戦っていたと言うのか?」

「はい。レベロ最高評議会議長、シトレ退役元帥、キャゼルヌ中将、その他の彼の知己達の証言とも一致します。かれが同盟軍での栄達を望み、同盟軍全軍を率いて陛下と戦おうとしていたことなどありません。彼はむしろ講和と平和を望んでいました。そもそも彼が勤勉な軍人であったとは、とても申せません。彼は真に必要な時以外は軍務に精励していたことすらないのです。もともと自ら望んで軍人を志願したのではないのですから。彼がかつて志望し、今も志望しているのは歴史学研究者です。父親の死で経済的に困窮したため心ならずも軍人の道を選び、士官学校でも史学科を選択したほどです。衣食住の不安なく心ゆくまで歴史の研究に没頭できる環境を提示すれば、かれは喜んで承諾するでしょう。それは同時に帝国の利益にもなると、小官は考えます」

 

ラインハルトはここ数か月、認めたくないものから目をそらしていた。これまで抱いていたヤン・ウェンリー像が次第にひび割れていくような思いをしていたのだ。それが今、ついに音を立てて崩れていくのを感じ、頭を抱えてしばらく黙っていた。全員が、敬愛する皇帝(カイザー)が立ち直るのを待った。

 

「だが、俺はやつと戦いたいのだ…!」

 

それはラインハルトがやっと絞り出した血の滲むような一言だったが、常に冷徹な彼の軍務尚書は()()もなく答えた。

 

「それならオーディンに招いたのちに艦隊戦シミュレーションでも実働演習でもなさるとよろしいではないですか。何も、実戦で将兵の血を流さねばならない訳ではありますまい」

 

それはその通りだ、とミッターマイヤーやロイエンタールは内心同意した。彼らは戦いを厭うことはないが、ラインハルトのような戦闘狂(ウォーモンガー)というわけではない。他の閣僚達も頷いていた。

 

ここでラインハルトが、いや真剣(ガチ)の戦争じゃないと本気になれないじゃないか、などと命をチップにした勝負に生きる博徒(ギャンブラー)のような発言をしていたらオーベルシュタインは皇帝の廃立でも検討し始めるところだったが、幸いなことにラインハルトにも最低限の常識があった。

 

ラインハルトは、自分が死地にある気がした。ラインハルトは信頼する秘書官の助言を求めようとしたが、生憎彼女はその日有給を取っていた。孤立無援となったラインハルトは、バーミリオン会戦時以来の敗北感を覚えながらオーベルシュタインの提案を受け入れた。  

 

「…わかった。卿の案を採ろう」

「お任せください。必ずヤン元帥を陛下のお側に連れてきてご覧にいれます」

 

***

 

◯月×日 ヤン夫妻宅を訪問。

 

「ビッテンフェルト提督、お久しぶりですね」

「いやすまんヘル・ヤン、しばらくレベロ議長と連日会って忙しくしていてな、ようやく予算が可決されたので時間ができたのだ」

 

(別に来てくれなくていいんですけど)

 

フレデリカは思った。

 

「そうだヘル・ヤン、こんなものを持ってきたのだが、興味があるかな?」

「どれどれ、なんだって、これは! ダゴン星域会戦の、帝国軍務省の公式報告書ではないですか!!」

「以前、ヘル・ヤンが歴史が好きだと言っていたのを思い出してなあ。本国に話してみたところ、これが送られてきたのだ」

「素晴らしい!ありがたく拝見します!」

 

それはオーベルシュタインが用意した撒き餌の最初の一冊だった。

 

***

 

◯月×日 ヤン夫妻宅を訪問。

 

その日ヤン夫妻宅を訪れたビッテンフェルトは、帝国学芸省上席研究員という男を伴っていた。

 

「ヘル・ヤン、お初にお目にかかります。私は帝国学芸省で帝国史の研究をしております。ヘル・ヤンが歴史学に深い造詣をお持ちと尚書から聞きましてな、この度無理を言ってこちらに参りました。ヘル・ヤンにお願いがあるのです。我が国での帝国史の研究においては、これまで同盟側からの視点が全く欠けていました。そこをヘル・ヤンに補っていただきたいのです」

「光栄です!」

 

上機嫌で帝国からやってきた男と話し込む夫をフレデリカは微笑ましく思ったが、ふと、わずかな不安を覚えた気がした。しかしフレデリカはそれを言語化することはできず、そのうちに忘れてしまった。

 

フレデリカが覚えた不安は正しかった。上席研究員と名乗った男は、実はオーベルシュタインがオーディンから伸ばした長い腕の先端だった。男は実際に歴史学の博士号を持つ帝国政府お抱えの帝国史研究者で、帝国の歴史学会の重鎮だったが、同時に軍務省情報部が学芸省に密かに有していた数少ない資産(アセット)、つまり協力者のひとりでもあった。

 

帝国史の研究に同盟視点が必要としても、歴史研究を生業として実績があるわけでもなく、さらにいえば歴史学の学位すら持っていない、つまるところ在野の歴史愛好家にすぎないヤンにまず話を持ってくるのはおかしい。その違和感にフレデリカの知能は小さな警鐘を鳴らしたが、研究者としての経歴を全く持たないフレデリカはついにそれを明確に認識することができなかった。仕方のないことだったのかもしれない。ビッテンフェルトもこの謀略について知らされてはおらず、フレデリカはその態度に不自然な点を見つけることはできなかった。オーベルシュタインの放った蜘蛛の糸が、ヤンを絡めとりはじめていた。

 

***

 

それから何度かかけて、博士はヤンの前に少しづつ、史料と論文を小出しにして、同盟人はおろか一般の帝国人も知らなかった歴史の秘密をヤンに見せていった。ヤンは博士との歴史談義に夢中になった。

 

「ヘル・ヤンの見識には本当に感嘆させられます。いっそ正式に私の研究班の一員として迎えたいほどです。そうすればどれほど研究が進むことか…」

「え? それは無理でしょう。私は同盟人ですよ」

「いや、そんなことは関係ありません。決めました。私は本気です。どうか、是非オーディンに来ていただきたい。私はこの件、皇帝陛下に直訴しようかと思っています」

「それほど私のことを評価していただけるのですか…!」

 

もともとヤンは自分自身に対する謀略には鈍感な質である。それを補い警戒する役割を負っていたユリアンとシェーンコップはいまこの惑星にはおらず、連絡を取れないほど遠い場所にいた。止める者はいないまま、かつて諦めた夢を差し出されて、ヤンが受け取らないはずもなかった。博士が初めてヤン夫妻宅を訪れてから三ヶ月もしないうちに、ヤンは落ちた。

 

***

 

動くシャーウッドの森にヤンからの通達、「帝国に対する大規模武力抵抗は当面断念する。遺憾ながら各位は自由行動を取れ。申し訳ない」が届いた時、彼らは大いに落胆した。たたでさえ正規の補給ルートはなく、黒色槍騎兵艦隊による哨戒と海賊討伐作戦のあおりを食って放棄された補給基地での物資回収も思うようにできず、できれば奪取して戦力を増やしたいと計画していた廃棄戦艦群も手に入らず、閉塞感に苛まされていたところにこの連絡である。

 

もともと、動くシャーウッドの森はバーミリオン戦後にヤンがメルカッツに託した秘匿戦力であり、将来の帝国軍再侵攻ある際に維持できているかわからない同盟軍を補完する保険であった。雌伏の期間は長くて五、六年とされていた。しかしそれよりはるかに早く、終わりの時が来た。

 

「こうなったら、いっそ俺達も海賊になっちまうか!」

 

ヤケクソ気味にポプランが叫んだ。

 

「…それも、やむを得ぬかもしれぬな」

 

昏い顔でメルカッツが呟いた。彼らはそれほど追い詰められていた。

 

***

 

◯月×日 アッテンボロー退役中将と会食。

 

年も明けてしばらく過ぎたころ、ビッテンフェルトはアッテンボローと「三月兎亭(マーチ・ラビット)」で飲んでいた。

 

「先輩とマダム・ヤンもシェーンコップ中将も帝国に行っちまって、寂しくなってしまいましたよ…」

「卿には悪いことをしてしまったな」

 

酔ったアッテンボローはビッテンフェルトを前にクダを巻いていた。

 

「これから俺は何をやったらいいのか、わからんよ。ああつまらん、つまらん」

 

ビッテンフェルトは思いついたように口に出した。

 

「やることがないのか? ならアッテンボロー中将、海賊退治をやる気はないか?」

「海賊退治? どういうことですそれは?」

「今度新しく航路保安局というのを作ることになったというのは聞いているだろう」

 

それは補正予算案に計上を計画されている、航路治安維持のための新組織だった。同盟軍の縮小に伴う余剰人員の受け皿を兼ねている。

 

「いつまでも俺の黒色槍騎兵に同盟領で海賊退治させるわけにもいかんのでな、レベロ議長も乗り気なのだ」

 

ビッテンフェルトは、そこで将官級の司令官職に就かないかとアッテンボローを勧誘した。とりあえずは実際に哨戒と海賊退治にあたる実働部隊の総司令官ポスト、いずれは組織の長も視野に入る。アッテンボローはヤン・ウェンリーに匹敵するほど若くして同盟軍で将官の地位を得た。あと少し戦争が続いていたらヤンを凌いで史上最年少で大将になっていた可能性もある。実績、実力とも申し分ない…。

 

アッテンボローは考えてみることにした。今度の組織は帝国軍と戦うための組織ではなく、人やものを運ぶ民間船を守る組織だ。同盟軍にはうんざりだが、これは悪くないかもしれない。

 

***

 

「皇帝陛下、本日はお話があって参りました」

 

ラインハルトは彼の主席秘書官と父親である国務尚書から彼女の結婚について聞かされて驚愕した。バーミリオン会戦と内心のヤン・ウェンリー像が崩壊していらいの、ここ一年間で三回目の巨大な衝撃であった。

 

その数日後、ヒルダとその婚約者が大本営を訪れた。しばしの歓談の後、二人を見送ったラインハルトは窓の外を眺めた。

 

「伯爵令嬢は幸せそうであったな」

 

伯爵令嬢が結婚、結婚とは。ラインハルトは以前マリーンドルフ伯爵から結婚を勧められたことを思い出していた。

 

(結婚…か)

 

ラインハルトは少し真剣に考えてみることにした。

 

***

 

それから、何年かが平穏に過ぎた。

 

帝国と同盟の経済的、人的合流は大きく進んだ。帝国企業は帝国マルク借款と国債を梃子に同盟領への進出を進め、逆に同盟企業も帝国辺境の開発事業に商機を見出し、やはり帝国領に進出していた。景気は安定し、皇帝主席秘書官夫妻を皮切りに、その後皇帝その人もそうしたように帝国人と同盟人の結婚も珍しいものではなくなり、「もはや戦後ではない」という声も聞こえていた。

 

「いっそ、同盟と帝国はひとつになってもいいんじゃないか?」

 

それは、バーラトの和約が結ばれてからやがて十年になろうかという頃だった。皇帝(カイザー)ラインハルトと同盟から迎えられた皇妃との間に第三子となる皇女が生まれた祝賀ムードの中で誰かが電子掲示板に書き込んだのが始まりとされているが、発言者は特定されていない。優に数万人が、自分だと主張したことも理由である。

 

当初は誰もがジョークと考えていたが、そのうちに少なくない数の同盟市民が本気で主張し始め、程なくして議会にも声が届いた。ビッテンフェルト高等弁務官も好意的な発言を行い、引退が近いとみなされていたレベロ議長が最後の花道にと考えて実現を訴え始め、多くの自治政府で法的拘束力を持たない「請願」が可決されたことを受け、ついに帝国への併合を求める案が国民投票にかけられた。そして多くの帝国人が驚いたことに、賛成票が多数を占めた。皇帝(カイザー)ラインハルトは大いなる喜びであると述べてそれを受け入れた。新帝国暦九年十二月三十一日をもって、自由惑星同盟はその歴史的役割を終え、人類はローエングラム朝銀河帝国の元に統一された。

 

***

 

ダスティ・アッテンボローは、数年に渡り航路保安局で保安監(中将に相当)として海賊の掃討にあたっていたが、シヴァ星域における旧同盟軍の制式艦艇を装備した大規模な海賊集団との不期遭遇戦中に旗艦が撃沈され、戦闘中行方不明(M.I.A)と認定された。

 

ヨブ・トリューニヒトは、帝国での長い長い収監生活の末、ひっそりと死んだ。既に全宇宙が再統一されてから数十年が経過しており、その死に関心を持つものはほとんどいなかった。

 

ジョアン・レベロは、同盟の帝国との併合をもって最高評議会議長と代議員を引退したが、ビッテンフェルトの求めにより新領土総督府顧問官となった。彼とビッテンフェルトの交誼はレベロの死まで続いた。ある後世の歴史家によるレベロ評は、新帝国による人類再統一期に活動した権力政治家、新帝国の権威を傘に同盟市民を弾圧し、最終的に同盟と民主共和政を売り渡した最後の、そして最悪の同盟元首というものである。

 

シャルロット=フィリス・キャゼルヌは、18歳で彼女の「いのししのおじちゃま」と結婚し、三男二女をもうけ、生涯仲睦まじく幸せに暮らした。彼女の父親は娘の結婚式で号泣した。

 

フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトは、ハイネセン駐在高等弁務官を10年、初代新領土総督に横滑りしてさらに5年務めたのち、勇退して後進に道を譲った。旧同盟を大きな混乱なく帝国に併合した功績により元帥杖を得た彼はハイネセンを第二の故郷と定め、骨を埋めた。

 

ビッテンフェルトの跡を継いだ新領土総督には文官が任命され、その時点で帝国軍新領土駐留艦隊は本土に撤退し、以後の新領土の航路治安維持は航路保安局が拡大改組された法執行機関が引き継いだ。これは、ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥が皇帝(カイザー)ラインハルトに進言した内容に基づくといわれている。

 

ビッテンフェルトの日記は、その死から数十年後、関係者全てがヴァルハラに旅立った後に機密指定を解かれ、公開・刊行されて大きな話題になり、また獅子帝ラインハルトの台頭から人類再統一国家の成立、安定にいたる時期の良質な一次資料として後世の歴史家達には必読書となった。それには長々しい題名が付けられたが、一般には「猪のハイネセン日記」と呼ばれている。なお、新帝国における行政文書の保存、公開制度の導入にあたっては学芸省の研究員を長く勤めたヤン・ウェンリー名誉博士の貢献が大であったと伝えられている。

 




後編あとがき

旧OVA石黒版において、同盟戦艦の廃棄作業中にメルカッツに襲撃されて強奪を許した作業艦隊の指揮官マスカーニ少将の声優は、若き日の立木文彦氏でした。

最悪の民主共和政と最良の君主制の対比というのは原作のテーマのひとつであることはご承知の通りかと思います。筆者も民主主義国家に生まれ育った人間なれば、なかなか独裁や軍事クーデターを肯定することは難しいのですが、救国軍事会議のクーデター時のグリーンヒルとビュコックの問答における両者の質問に対する明確な正解は、どちらもなかったと思います。

原作のレベロは悲観的な性格ゆえに国と民主共和政の将来を危ぶみ、ヤンにも独裁者になる可能性ありとして疑念を向けました。しかしながら、筆者はレベロにこそ独裁者の素質があったと考えます。ホワンがレベロに語った独裁者に必要な資質、独善的でもいいからゆるぎない信念と使命感、自己の正義を最大限に表現する能力、敵対者を自己の敵ではなく正義の敵とみなす主観の強さといった項目はレベロに全て当てはまります。ホワンがそれをレベロに指摘していたら、と思います。実際にレベロはのちに独善的な政権運営を行い、信望を失って破滅しました。彼にはホワンが挙げなかった独裁者として必要な別の要件が欠けていたと考えています。それは、恐怖の対象になることと、従順で意のままに動かせる武力です。

ビッテンフェルトとレベロに薄い本的な関係はありません。

ヤンを帝国に招くについてラインハルトとオーベルシュタインの問答があったのは、原作ではレンネンカンプの死後、再侵攻に関わるイベントが発生したことがトリガーでしたが、今作ではそれより前から雑談的に話が出ていたことにしています。

ヤンをオーディンの図書館に放り込んでやれば反乱は起きないんじゃね? という仮説はこれまでに多くの原作ファンから何度も提起されてきており、筆者のオリジナルではないことは言うまでもないことかも思いますが、改めてここでお断りしておきます。しかし実現するにはいくつか乗り越えなくてはならないハードルがあったと考え、今回書いてみました。

原作におけるヤン最大の不幸は、軍を辞めたい、国家に対する責任など投げ捨てて気楽に慎ましく生きていきたいという本人の切なる希望を本当に理解してサポートしてくれた人間が、おそらくユリアンとフレデリカしかいなかったことです。

原作のラインハルト以下帝国の人間はヤンのことをよく知らず、自分達を翻弄した実績のみを見て勘違いしています。ラインハルトなどは自分の願望が先走り、ヤンという人間を完全に誤解しています。あるいはヤンの希望などどうでもよかったのかもしれません。いくらか真実を看破できていたのはヒルダだけです。

同盟の政治家も同じくで、査問会やレベロによるいわれなき(ヤンからすると)迫害に繋がりました。実績だけみるとヤン艦隊は軍閥化一歩手前で、実際その後反乱を起こして本当に地方独立軍事政権を作ってしまったので、同盟政府の懸念は正しかったと言わざるを得ないのですが。ホワンだけは冷静に観察していますが、彼は政府からもヤンからも距離を置いていました。同盟軍の上層部、シトレやビュコックは国家の危機的状況のため現役時代のヤンを手放せませんでした。そしてヤン一党の幹部達はまさにユリアンのいう「裏切り者揃い」で、やっと退役できたヤンを年金生活から引きずり出してお祭り騒ぎに巻きこもうとし、退路を絶った面があることは否定できないと考えます。

たった十年で同盟が帝国への積年の恨みと民主主義の誇りを忘れて併合を申し出るなんてさすがに御伽話が過ぎるとは思われるでしょうが、まあバタフライ・エフェクトが極まった結果としてお許しください。

ifで良い方に転がったこともあれば逆もあります。今回最も割を食ったのはメルカッツ達でした。アッテンボローもそれに付き合ってもらうことになりました。

シャルロット=フィリスは十年近く抱き続けた初恋を成就させました。ユリアン? そんな人もいましたね。

ビッテンフェルトは高等弁務官としてバーラトの和約の項目を実質的にほぼすべて同盟に履行させることができました。その引き換えに人類再統一は遅れることになりましたが、流血は避けられました。オーベルシュタイン先生が採点するなら何点でしょうか。90点ぐらいかな。

ヒルダが誰と結婚したかについては外伝で書きます。
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