翌日。
気付けば同じ寝床で横になっていた白と共に、荒屋の中で座り込んでいる。
目の前には昨日のように、瘴気を宿した目線で見つめる父上。
「…………。」
「……何だか擽ったいの。」
そんな事を呟きながら、身動きが取れない白へ気を配る。
どうやら父上の場合、【魔眼】を連打する形で自身を
一度スキル一覧を覗いた時、
……確か、
多少でも齧れたら便利だったのだが。
「成程、飛縁魔か。 そして今は何も無い、幼子のような形で間違いないな。」
「でしょうね。」
何をどうやって確認したのか、目の瘴気を抑えつつに呟く。
俺自身は彼女と契約があるからある程度の情報が理解できる。
そして権限として、彼女の
だけど、『月』の【魔眼】系列にそんな確認できる能力あったか……?
「それで、呪符がもう一枚欲しいとのことだったな?」
「はい。 白……俺の式に能力を定めたいので。」
問い掛けに慌てて思考を戻す。
これに関しては式でも仲間でも同じ。
最初は呪符、そして次からは呪法。
なので倉庫の枠を消費するとしても、何枚か溜め込んでおかないと面倒なんだよなぁ。
「分かった……が生憎在庫が残り少ない。 近々近隣の街まで出向いて貰うぞ。」
…………うん?
「俺がですか?」
「無論即座とは言わん。 最低限の修練を行った上でだがな。」
確か、この近隣への街のお使いは初めての
問題はこの
ゲームの頃より三年も早い。 いや、助かるけど。
「……分かりました。」
「ならば式に渡してやれ。 本日中ならば修練に関する相談にも対応しよう。」
つまり、父上からではなく俺から渡すことで上下関係をしっかりさせろと。
……口にしないけど、これも多分修練なんだろうなぁ。
眼の前で恭しく受け取り、父上が一度荒屋の外へ出て。
ふはぁ、と二人で同時に息を吐く。
「なぁご主人。
「間違いなく人だよ。 瘴気に大分適合してるけど。」
というか人の父親にそんな言い方するんじゃない。
言いたいことは分かるが。
若干羽根が震えているが見なかったことにしてやろう。
「それで、白に目指してほしい形なんだが……。」
「ああ。」
基本的に今回俺が目指すのは
下手に前衛や後衛に特化してしまうと求めている人材が手に入らなかった場合が怖い。
なのである程度余裕を持たせながら……言ってしまえば便利屋のような立ち位置を作っていく。
その為に詠唱時間は掛かっても成功率が高い呪法。
【月】の対象の割合依存になる
残りはある程度均等に【花】【鳥】【風】で割り振って。
自陣強化系列の
なので、白には俺とは違うタイプを目指して欲しい。
「
「す……すか?」
……あ、ついつい構築用語で語ってしまった。
斥候系前衛。 【盗賊型】とも呼ばれる構築の形。
主に取って欲しいものは【鳥】【月】【無】。
【花】はある程度、【風】は一つ二つで良い。
「えーっと……幽世の中にはこう、瘴気で出来た武具防具が見つかったりするだろ。」
「ああ……あるな。 瘴気で封じられた箱の中身じゃろ?」
幽世の中で倒した妖は、倒した霊力と絡み合って経験値となるが。
それらに全てが使用されるわけではなく、ある程度の可能性で瘴気に満ちた箱を生み出す。
そのまま置いておかれれば、やがて溶け込み別の妖の材料へと変わっていくものではあるが。
中を確認さえ出来れば、周囲に残った霊力が流れ込み物質化する現象が発生する。
霊能力者が本来用いる武具防具はこれであり。
同時に世界から霊能力者が完全に排除されない要因の一つでもある。
……それもそうだ。 原料もなしに武具防具が生み出され、それを溶かせば原料と出来る。
一種の鉱山や畑として見られるのも仕方ないことだろう。
その脅威度をきちんと理解しているのかは兎も角として。
「白には、それを解錠する為の技術や
「待て待て。 吾は攻撃系の能力も……。」
「無論そっちも取って貰う。 ただ、攻撃一辺倒にはしない。」
せっかく空を飛べるんだ。
速度重視の構築で、一撃の負担が重いが火力も相応に高くなる術技、
小回りの効く
そしてそれらを十二分に活かせるような装備……短剣や曲剣、刀を主に握って貰う。
後は自動回復と最低限の防御手段、種族特徴を活かす形を目指せれば理想……ってところだな。
「……ふぅむ。 きちんと考えはいるんじゃのう。」
「当たり前だろ。」
まあ、一つ問題があるとすれば。
俺が握る武器の系統が全く決まらない、ってくらいか。
「父上がくれた時間だ。 精々一覧を確認しながら決めることにしよう。」
……こういうの考えるのが好きだからやり込んでた、って部分大きいからなぁ。
多分、その顔を見られていたのだろう。
「そういう顔をしていると、童のようなんだがのぉ。」
「何だよ。」
「いや、愛しいと思っただけよ。」
……そんな言葉を投げられて。
少しだけ、目線を逸らしてしまった。
表示されていない場合は特定の道具を消費して開花出来るがコストが重くなる傾向にある。