オカルト伝奇系恋愛鬱ゲーに放り込まれました。   作:氷桜

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042/晃月

 

眠ったような、眠らないような。

曖昧な微睡みと思考の中で、得た情報を整理する。

 

目を瞑ったまま、身動ぎを取りながら。

頭の中で殴り書きをしては塗り潰し、方向性を複数に作っていく。

 

(――――俺の曖昧な知識じゃ、特定までには至らない。)

 

画面を介した世界と、こうして降り立った世界。

その差は微かでも確実に広がり、掴み取れるだろう知識が指先から離れていく。

 

当人の目線として、俺が知る限りの情報からしか話が広がらない今。

プレイヤーに微かな慈悲を与える、周囲の情報を含めて得られた過去。

そんな小さな差が積み重なり、『特定』という答えから遠ざかって行く。

 

(分かってはいるんだ。 それをするのは俺の役割じゃない。)

 

総てにおいて中途半端。

総てにおいて手を出せる構築。

それを求め、そしてその通りに弄っていった結果。

 

他の……特化型の仲間達に出来ない部分を補う中衛。

それで満足し、だからこそ他の仲間達に相談・指示を出せる立ち位置を作り上げた。

こうして欲しい、ああして欲しい。

方向性を指示できるのは、色々と知識を統合できるからだというのも分かっている。

 

とは言え……こうして、たった一人で眠れない夜くらいは。

間違っていたんじゃないか、と悩む時位ある。

……いや、ある意味毎日悩んでいるようなものでもあるけれど。

 

(それでも……もう少しくらいは呪法陣に付いての能力習得しとくべきだったかもなぁ。)

 

存在を知ったのがこの世界に来てから、という大前提があるにしろ。

呪符に書き込むモノを大きく反映させる、そんな存在を知っていたのだから。

役割の一つとして知識をもう少し蓄えておくべきだった、と自己反省を繰り返す。

 

奇妙な程に執拗に。

この場所にやってきて何十回目かの――――。

自分で数えるのも馬鹿らしい程に、間違っていたのではないのかという自己言及。

 

(ま、()()()()()()()から気にするだけ損なんだけど。)

 

ただ、()()()()()()()()()()()()()

そもそものこの意識自体が間違ってるんだから、何をどうしようと間違ってるに決まってる。

それでも、間違ったままに突き進み。

やれる範囲でやる、といつもの答えへと回帰する。

 

(……然し駄目だな、ちょっとでも弱気になると直ぐに引っ張られる。)

 

此処まで来ると、この状態の異常さにも自分で気付く。

……いや、多分。

自分で気付けないまま、考え込んでいく事自体が仕掛けなのだろう。

 

特に、霊能力者という在り方は『一個人』が全ての根底にある。

誰かに相談するよりも先に、自分一人で何とかするのが当たり前。

 

だからこそ、この場所。

特に部隊というそれぞれの仕事が決まっている集団だからこそ。

本来の役割から逸れた思考へと自然と向いてしまう、()()()()が覿面に効く。

 

運命操作、思考操作。

定められた道程を変えるためには、当人の考えを変えればいい。

恐らくはそんな発展から続く権能の扱い方。

 

(……灯花にはああ言ったし、今の状況を見るに先ず大丈夫。

 白もそもそもの出立点からして大丈夫だろうな。

 リーフは護られているとして……伽月と紫雨は他の三人から切り離しては不味い、と。)

 

そして、それに対抗する手段。

真っ先に思い付くものとして、そして中々実行できないものとして。

()()()()()()()()、という方策がある。

 

誰かに付き従う。

意思を全て誰かに委ねる。

在り方に反する行動だからこそ、今の狂ったこの場所では有効な札となる。

 

故に、何故か懐いてる灯花やそもそもの式である白。

この二人をきちんと見てさえいれば、俺の意思を代行してくれる立ち位置として考えられ。

真逆に、本来は一個人として別の考え方を示してくれる伽月と紫雨。

この二人は、今のこの場所に限り二人きりにしてはいけない相手として考えていい。

 

(相手が相手だけに、見る視点を変えないといけないんだろうなぁ……。)

 

名前も知らぬ運命神。

相手は現状盤面に立たず、ならば俺も立ち位置を変える。

駒ではなくて、指し手として得た情報を噛み砕き。

行わせたい道先、仕掛けた罠を理解しては利用する。

 

そして、最後の一手を詰めるのは……恐らく、灯花ではなくリーフ。

全ての神々に適正を持つ彼女ではなく、既に宿しているが故に否定できる立場を持つ彼女。

 

(最もダメージを出せるのは多分リーフ。

 持ってる能力の差もあるが、相性の問題が強いと見た。)

 

『太陽神の裁き』――――幾つかの神話で主神と謳われる立場の神による裁き。

 

八百万の神、と言われる日ノ本の神々にも格の差は無論存在する。

ただ、その上でも”八百万”と一纏めにされる言葉がある以上。

その方向性で幾らかが軽減され、特攻として叩くことは難しい。

 

だが、正直不利な点やら悪い点ばかりが目立つと思っていた異国の神々。

それらが生きる機会が来るとは、昔の俺に言って信じるのかどうなのか。

 

(だから……相手の能力面を引き下げ、此方の能力を底上げる。

 前者は元々考えてる結界でいいとして、後者どうするかなぁ……。)

 

無論俺も回復効果のために呪法陣を使うつもりだが、行動停止系列が通るとは思えない。

まぁ先ず間違いなく【行動停止耐性】はあると見た上で、どう動くべきなのか。

常に攻防のデバフは大前提、出来ればもう一二枚手札が欲しい。

 

結界で戦場効果が出ていると考えるなら……俺に有利な方法は…………。

俺の霊能力的に、何らかの低下・干渉系の方が効果は大きいんだし…………。

 

(あ。)

 

…………一つ、思いついてしまった。

ただ、こればっかりは事前に説明すればバレる。

 

本来は取るつもりもなかった能力ではあるが……。

今後の部隊での活動上。

そして、本命の火力を増大させる手法として確実に効果が出る能力ではある。

問題は此方にも被害が出る可能性があるってことだが……考えるだけ無駄だろ。

 

(うし。)

 

目を開ける。

部屋の中にはみっちりと、部隊の仲間達が寝転ぶ姿。

壁を向き、こっそり唱える『写し鏡』。

 

……能力点はどうだったかな、と。

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