オカルト伝奇系恋愛鬱ゲーに放り込まれました。   作:氷桜

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012/腐臭

 

「こんなもんかな、っと」

 

本来こんな場所でやるべきことじゃない。

けれどこんな場所でやるしかない、ので必要最低限の――ついでに先々を見据えて――成長を遂げた紫雨が片手を叩くように動作を見せ。

半透明の『写し鏡の呪法』による変異した能力値が顕になる。

 

紫雨(しう)

 

霊能力(ステータス)

 

『紫雨/深度15』
『力』『霊』『体』『速』『渉』『呪』
16161423

 

能力(スキル)

 

未取得/3点
【血】『洽覧深識』1/1相手ヲ知リ、己ヲ知レ。
【無】『写し鏡の呪法』1/1自身の内側の情報を水鏡に映し出す簡易呪法。
【無】『徒人の慧眼』3/3鑑定に習熟する。能力上昇で補正。
『熟練した慧眼』3/3一部鑑定不可品の鑑定可能化。
【無】『習熟:軽鎧』5/5軽鎧の扱いに習熟する。能力上昇で補正。
【無】『習熟:弓』3/5弓系列の扱いに習熟する。能力上昇で補正。
【無】『重量制限超過』5/5所持可能重量を【深度】倍化する。
【無】『多重道具使用』5/5道具を【深度】個まで多重に使用できる。
【無】『道具強化:攻』3/5相手に傷を負わせる道具威力を増加する。
【無】『道具強化:癒』3/5傷を癒やす道具威力を増加する。
【無】『其は此処に』3/3自身の指定した場所を【深度】個まで記録する。
【花】『継続毒強化』5/5継続して傷を負わせる道具威力を増加する。
【鳥】『乱射』1/5同時に矢を放つ。【能力回攻撃】【不定対象】
【鳥】『精密射撃』3/5相手の急所を穿つ精密射撃。【即死】【必殺率増加】

 

変化させたのは自身の場所を確認するだけの能力、そして溜め込んでいた霊能力の強化。

主動的(アクティブ)な能力に関しては現状()()()()()()()()()原則を考えれば、将来的な部分を考えても即応した範囲としては十二分だと思う。

ただ、一つ気になることがないわけじゃない。

 

「いきなり最大まで伸ばしたのか?」

「正直今でも後でも変わらないじゃん?」

 

個人的には1、或いは2で止めると思ってた。

 

この能力は、取得した能力者の脳内に今現在自分がいる場所を示す基点を同一の次元に存在する限り()()発生させる。

基本的に同じ《幽世》に潜る場合だったら出入り口、狩り場、休憩場所。

そんな形で幾つかの箇所を指定し移動できるようにする――――前世で言うならば自動移動(オートパイロット)の印のようなものだ。

反面、道具として使用した経験から言うならば。

霊体のどこかで常に処理しているような気怠さのような、慣れを必要とする体調変化が出るのもまた確か。

 

「そりゃそうだが……」

「それに、道具の方では慣れてるからね~」

 

そうとまで言われてしまえば何とも言えない。

僅かに口籠ったのを境目に、視線を逸らして周囲へと目を向ける少女(しう)

 

「リーフちゃんに……羽根虫とかは?」

「二人はなぁ……」

 

どちらも何かを言いたげに、()()()俺の言うことだから、という目を向けている。

責任重大なのは今更ではあるのだが、その視線の色や湿度が増している気がするのは気の所為と思って良いのか。

取り敢えず全力でその事項から目線を外しつつ、ちょっと悩んでいることを口にする。

 

「最終方針が幾つかあるから悩んでる、実際のとこ今すぐ取得する必要があるわけじゃないしな」

 

成長して欲しくない訳じゃない。

何なら霊能力(ステータス)だけは直ぐにでも振ってほしいが、二人の場合は()()()()()()()()()()というのが問題になる。

どの程度の消耗でどの程度の損傷を与えられるか。

無論敵次第でその目安が変わってくるのは分かっているが、今回の場合問題になるのは消耗による継戦能力のブレを限りなく減らすことを主体にする。

白の場合は『血飛沫月光』と通常攻撃で、リーフの場合は『呪法:火球』と『太陽神の裁き』での二種類があるとはいえ……何が出るか分からないとなるとなぁ。

 

「出来れば吾は範囲攻撃だけは取りたいのじゃがのう」

「変に敵意向けられすぎても困るだろ、今だと」

 

この部隊の場合、純粋な防御役……タンクが一人もいないのも欠点の一つ。

一応今後のことを考えて、白と伽月にはそれぞれ回避盾向けの能力と武器防御向けの能力とを修めて欲しいがそれにも慣れがいる。

……俺が前に出る機会も増えるだろうし、他人事じゃないのがな。

 

「取り敢えず、最低限の準備は出来た」

 

後ろに目を向ければ、僅かに怯えを見せる灯花の姿。

自分から《幽世》に飛び込むには慣れがいるし、それはそれで仕方ないと思う。

 

「白、いつも通りに頼んだ」

「うむ」

 

だから、敢えてそこには触れずに平常通りの動きを心掛ける。

変に心を砕けばそこに依存するのが人の常。

特に霊能力者であれば、この最初の部分くらいは自力で越えて貰わないと今後困ってしまうから。

 

僅かに揺れる空間に白が先行し、続いて伽月。

その後に俺が入る、という前衛を先行させるだけの普通の動き。

ただの臨時発生の《幽世》である以上、その程度で済むはずで――――。

 

『ほう』

 

そんな当然を当然と考える俺の思考を、良く見知った契約神(しょうじょ)の声が遮った。

 

()()()()()()()()()()()

 

鼻に刺さる異臭。

空間越しに見えていた草原は、一枚膜を超えれば枯れ落ちた芒の原。

乾いた空気は、妙に良く見知ったような幻視を俺に与える。

 

ああ。

この特性は。

 

()()()関係のかよ…………!)

 

ここ一番で、利点不利点両面を得る異界に飛び込んでしまった。

そんな悪運に、大きく舌打ちを鳴らした。

 

けらけらと。

笑い声が、直ぐ隣から聞こえながらに。

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